リプレイ
第一部「公国陰謀編」
ダーレスブルグ公国のやんごとなき身分に生まれながら、その出自によって騎士神ザイアの神殿にて箱入り状態で育って来た少女、シャルロット・ヘリオドール。
そんな彼女が突然、人助けの為に冒険者活動を始めたいと言い始め、その護衛であるヤンファ・シャンリークが扮する“ジャン”という青年を伴い、冒険者の店の門を叩く。
そこで出逢う二人の若者、エリカ・ケイとソルティア。彼らと冒険者として仕事をする内に、4人は公国を巡る陰謀に巻き込まれていく。
渦巻く陰謀の先に、彼らが見るモノは、果たして……。
目次
- オープニング 2015-11-232017-08-28 改
- 第一話「始動-私たちの世界-」2015-11-232017-08-28 改
- 幕 間 2015-11-262016-04-27 改
- 第二話「蠢く影」 2015-12-032017-08-30 改
- 幕 間 2015-12-082016-04-27 改
- 挿 話「見えない標」 2015-12-102017-09-01 改
- 第三話「知恵を求めて」 2015-12-242018-06-14 改up!
- 幕 間 2015-12-31
- 第四話「混迷に至る道」 2016-05-03
- 幕 間 2016-05-08
- 第五話「二つの導のその先に」 2016-05-15
- 第六話「紫の月の誘い」 2016-05-22
- 最終話「闇き都に光る明星」 2016-05-29
- 幕 間 2016-06-12
オープニング
第一話「始動-私たちの世界-」
送っていたのは、ごく普通の日常。
何の変哲もない、自分にとっては“当たり前”の日々。
境遇が人と違っていても、背負っているものが人と違っていても、まだ、自分には関係ないと思っていた。
そんな中に訪れた転機。
ある者にとっては、大きな変化。けれど、ある者にとっては、些細な変化。
新しい道を選ぶのは自身の意志か、それとも他者の意志か。
……その答えは、自分自身では、まだ出せそうになかった。
そんな私たちをよそに、私たちの周りは緩やかに、けれども確かに変貌を始めていた。
幕間
第二話「蠢く影」
日常にもたらされた変化。僕たちは、それを違いこそあれ、それなりに素直に受け入れていた。
新しい仲間と出会い、今までと少しだけ違った日常を送る。
こうして過ごしていく内に、またそれが新しい“当たり前”になっていくのだろう。
しかし、心の中に生まれてしまった不安は晴れることなく、僕らの心を少しずつ蝕んで行く。
そんな思いを見抜き、嘲笑うかのように、それは僕らの前に現れた。
世界を作るのは、僕たちであって、僕たちじゃない。
――“外の世界”を見て、僕らはそれを、ひしひしと思い知らされていた。
幕間
挿話「見えない標」
見えていたと思っていた明かりは、まるで錯覚であったかのように消えてしまった。
見えていたものが、見えなくなってしまった。
それとも、見えていたつもりでいて、それは見えていなかったのだろうか。
すぐそこに居た友人は、果たして友人だったのだろうか。
知らない。判らない。だから灯しに行こう。
私と、仲間との絆の道標を。
何も知らない私たち。これから、もっと知らない大海原へと旅に出る。
だからこそ、せめて目指す先が惑わぬように。
かつての灯台に、私たちは思いを馳せる。
第三話「知恵を求めて」
私は、知らなかった。今自分が置かれた状況がどんなに異常であるかを。
私は、知らなかった。他人の思惑を。
私は、知らなかった。自分に求められている役割を。
私は、知らなかった。芽を出し始めた、自分の想いを。
私たちは、知らなかった。世界を形作る様々な意志を。
私たちは、真実を求めたいと、思っているのだろうか。
――それすらも、私はまだ、知らなかった。
幕間
第四話「混迷に至る道」
僕らは知りつつあった。
世界が、僕らの意志に関わらず、少しずつその姿を変容させていることを。
けれど、世界の多くの人々は、それを知らない。
世界の変化を止められるのは、それを知っている僕らにしか出来ない。
世界の変貌が、僕らにとって望むべきものでないのならば、僕らはそれを止めるべきなのだろうか。
そんな考えを張り巡らせる最中、事態は大きく動き出した。
ついに私たちの住まう国が、目に見えるように歪み始めた。
幕間
第五話「二つの導のその先に」
世界は、確実に混迷し始めていた。
けれど、私たちも、ただ止まっているだけではなかった。
この目で見てきた様々なモノが、少しずつではあるけれど、私たちの前を照らしている。
それらの導を頼りに、私たちは、欠けた破片を求めて、またひとつ進んでいく。
それでも、心の中には、いくつもの不安。
言い知れぬ焦燥感に、得体の知れないものへの恐怖、そして身近な存在への嫉み。
――自信を持って歩むには、この世界はまだ、私たちにとって広すぎた。
第六話「紫の月の誘い」
僕たちの元に届いた、“死神”からの招待状。
この状況で届いたそれは、罠以外の何物でもない事は、理解している。
けれど、僕らは選ぶ。彼女に会いに行く事を。
浮かぶ疑心に、これまで起こった出来事、そしてこれから起こる事態。
その答えを、彼女は持っているはずだから。
――これは、今の僕たちにとって、間違いなく避けられない戦いだった。
最終話「闇き都に光る明星」
私たちの世界は、闇に包まれていた。
大切なもの、守りたいものはすべて、その闇の中に消えていこうとしている。
それを防げるのは、私たちをおいて、他には誰も居なかった。
だから、私たちは立ち向かう。
過去と向き合い、大事なものを守り、生きて、真実を求める為に。
その想いが、世界に比べてあまりにちっぽけな私たちが、今持っている数少ない力。
――闇い世界で、私たちは、道を照らし出す明星になる。