幕間
- フェリシアからの依頼の最中に現れた、妖しい雰囲気の少女。
- 誰もが彼女の登場に動揺する中、一歩進んで彼女と言葉を交わした彼。
- その彼に対していくつかの疑問を抱いた仲間たちは、あの日ののち、自然に〈宵の明星亭〉へと足を運んでいた
- 此処は、その〈宵の明星亭〉の奥にある一室。
- ジャン
- 「……さァて、身体は休まったか?」 一室の真ん中に置かれた質素な丸いテーブルを囲むように、座っている
- エリカ
- 「……はい、もう普段通りです」 膝の上に両手置いて、若干落ち着かない感じに。
- ソルティア
- 「はい、お陰さまで……」 机の上に肘を付く形で両手を組んでいる。
- ジャン
- 「そりゃァ何よりだ。手をあんな真っ黒にしてたワケだしなァ」 まずは話しやすい雰囲気を作るよう、適度にしゃべっている
- ソルティア
- 「えぇ。幸い、手はシャルロットさんに治して貰いましたから、怒られは……少ししましたが」 いつもと変わらない笑顔を浮かべて、頭の後ろを掻く。
- ジャン
- 「アイツはアイツでそういうのを見るの嫌うからなァ」 カカッっと苦笑した
- ジャン
- 「連戦だったしエリカちゃんもさぞ疲れたんじゃねえか? 普段連戦なんて無ぇだろォ」
- エリカ
- 「立て続けに戦闘が続くことは、全く無いわけじゃないですし。……私のことはお気遣いなく」
- ジャン
- 「まァ、それなら良いんだがな」 エリカちゃんは落ち着きなさそうにしてるな、なんて思いつつ
- ソルティア
- 「シャルロットさんは……来ないようですね」 何となく分かっていたように
- ジャン
- 「あァー、今日アイツは父親んトコにでも行ってるんじゃァねえか。あそこも大概過保護なんでなァ」 まあそりゃ過保護になるわ
- エリカ
- 「……お父さんのところ、ですか」
- ジャン
- 「あァ、中々頼りになる父親だぜ」
- ソルティア
- 「親、と言うか保護者なんてそんなものですよ。余り構いすぎると嫌われてしまいますけどね」 はは
- ジャン
- 「そんなことで嫌うなんて考えがアイツにあるか解らねえよ」 くっくっく
- エリカ
- 「……まあ、シャルロットちゃんのことはいいです」
- ジャン
- 「……ま、そういうことでシャルは来ないみてえだし」
- エリカ
- 「事情が何にしたって、来れないなら待っていても仕方ないですし……」
- ソルティア
- 「……そうですね。そろそろ、本題に入りましょうか」
- ジャン
- 「言わなくても、大体分かってるみてえだなァ?」
- ジャン
- 「事情は深いってことは解る。だが、ソイツが今回捕まえた奴の仲間であり、俺の幼馴染に刃を向けた女だった」
- ジャン
- 「そんな状態でお前と一緒に行動するんじゃァ当然信じきれねえワケだ」
- ジャン
- 「俺としてはその嫌疑が拭えりゃァそれでいい」
- ソルティア
- 「えぇ……と言っても、僕もどこから話せばいいものか、と悩んでいますが……」
- ジャン
- 「まァ、それは仕方ねえな」 椅子にもたれかかり
- エリカ
- 「とりあえず、ええと……」 どう聞いたものか。
- ソルティア
- 「そうですね……シャルロットさんには、ほんの少しだけ話した事があったんですが……」 と居住まいを正して。
- ソルティア
- 「僕の生まれは、ザルツではなく、ダーレスブルグから橋を渡った北の地……エイギア地方のある村です。そこはもう、失われて久しく、僕も既に所在地は覚えていません」
- ソルティア
- 「彼女……ルナティアもそこの出身で、要するに僕と彼女は幼馴染のような関係なんです」
- ジャン
- 「……へェ、成程なァ」 昔からの知り合いか
- エリカ
- 「幼馴染……」 そこだけ聞けば普通の関係に聞こえる、けど。
- ソルティア
- 「そこに居たのは、十年と少し、でしょうか……村は蛮族の領域にあって人族の暮らす地。蛮族の元から逃げ出した、奴隷の住む村でした」
- ソルティア
- 「僕らが生まれた頃には、既に村が作られていて、僕自身奴隷であった覚えは無いのですけれどもね」
- ジャン
- 「…………ど、れい……?」 一瞬言葉の理解に苦しんだ
- エリカ
- 「……奴隷、って」
- ソルティア
- 「ただ、それは蛮族の、と言うだけで、僕ら自身は似たような扱いをされていました……詳細は言いませんよ? 気分が悪くなるだけです」
- ジャン
- 「あ、あァ……その辺は別にいい」 予想していたよりも後ろめたい話で戸惑ったが、首を横に振って真面目に聞く
- エリカ
- 「……」 奴隷という言葉は勿論わかるものの、いまいち様相を想像できず。
- ソルティア
- 「その村が、人族の軍によって解放されたのが、10年と……どれくらい前でしょうね。当時は日を数えた覚えが無いので、曖昧ですが……」
- ジャン
- 「まァとりあえず開放されたワケだ」 細かいことはいい
- ソルティア
- 「僕と彼女は、連れ立って村を出ました。村は解放されたとはいえ、よい扱いはされていませんでしたから、村に留まるつもりもありませんでした」
- ソルティア
- 「……その当時、僕らは10を少し過ぎた頃の子供でした。まともな職に就くこと等出来ず、いわゆるストリートチルドレンと同様の生活を送っていました」
- ジャン
- 「子供ならそう雇って貰えるモンじゃァねえしな」 そりゃ仕方ない
- ソルティア
- 「転機になったのは、8年前。ちょうど、帝国で蒼銀戦役の始まった頃です。僕らは帝国で暮らしていました」
《蒼銀戦役》
8年前に勃発したルキスラ帝国内部での内戦の呼称です。
一部の帝国将校がクーデリア侯爵領の者たちと結託してあまりに急進的なユリウス・クラウゼに反旗を翻しました。
将校たちは開戦以前にもユリウスの事を急いたような内政、侵略的とも言える外交に対して進言していましたが、ユリウスはそのどれもを聞き入れることはありませんでした。
開戦の引き金となったのは、皇帝派の雇った傭兵団によるノトル村の襲撃でした。
ノトル村はクーデリア侯爵領の末端にある小さな農村で、その住民たちの多くは皇帝派でも反皇帝派でもなく中立を保っていました。
見せしめのように凄惨な方法で殺され、略奪の限りを尽くされたノトル村は壊滅、これを皇帝派の仕業と断定した反皇帝派の将校らは即座にクーデリア侯爵と共に立ち上がり、皇都へ攻め入ろうとします。
始めこそ反皇帝派が優勢だったものの、皇帝はクーデリア侯爵の蛮族との癒着を明らかにし、民意と正義は皇帝派に流れていき、次第に反皇帝派を追い詰めていきました。
結果、ノトル村の襲撃も反皇帝派の仕組んだ自作自演で、実際には中立の立場を保ちクーデリア侯爵からも疎まれていたノトル村を壊滅させることが目的だった事が判明。さらにクーデリア侯爵と蛮族との不正な取引の数々も明るみに出、《蒼銀戦役》は皇帝派の勝利で幕を閉じることとなりました。
クーデリア侯爵はその罪の重さから極刑に処されましたが、反皇帝派の将校らの中には恩赦を受けて罪の一部を免れた者も存在します。クーデリア侯爵だけでなく、その自治議会の罪も問われ、こうしてクーデリア侯爵領は自治権を剥奪されることとなりました。
これにより、自治権を与えられた貴族たちへの監視の目は強まり、その後ほぼ全ての領が直接的または実質的に自治権を剥奪されていきます。
- ソルティア
- 「僕らのような立場にとっては、戦争は稼ぎのいい商売です。そうして戦争に関わる仕事をしていた時……ある事件で出会ったのが、アカシャです」
- エリカ
- 「アカシャちゃんと……?」
- ソルティア
- 「えぇ。アカシャは、両親に虐げられて育ってきました……僕や、ルナティアと同じように、ね」
- ジャン
- 「……あの子までも、かァ」 何とも言い難い気持ちになり、目を伏せた
- ソルティア
- 「……彼女、アカシャと会った時、彼女の両親は死去していました。僕は、アカシャの境遇を自分と重ね合わせて……引き取り、虐げる事の無いよう育てていこうと思いました」
- ソルティア
- 「ただ、ルナティアは……それは出来ない、と言いました。僕らも、人に胸を張れるような生き方をしてきたわけではありませんから……」
- エリカ
- 「そう、だったんですか……」
- ソルティア
- 「……結局、ルナティアを説得する事は出来ませんでした。彼女と僕は、そこで袂を分かち……僕はたまたま知り合う事が出来たザルツの高官のすすめで、ダーレスブルグにやってきたんです」
- ジャン
- (あァ……あの時の会話はそういうことだったんだな)
- ソルティア
- 「その後は、多分お二人とも分かっているでしょう。僕はダーレスブルグの兵士としてこの街で暮らし、今日までアカシャを育ててきました」
- ソルティア
- 「いえ、正確に言えば、一年前まで、でしょうか……アカシャも大きくなり、手がかからなくなりました。そして僕は、袂を分かったルナティアの事を忘れる事が出来なかった」
- ソルティア
- 「だから、僕は兵士を止め、冒険者になったんです。……遠出も多い仕事です。もしかしたら、彼女の痕跡を追うことが出来るかもしれない、と」
- ジャン
- 「そして、今回の仕事でまさかの再会、ってワケだな」
- ソルティア
- 「はい……こんな形でしか会えなかったのは、残念ですが」
- ジャン
- 「……成程、大体経緯は解った」 目の前に置いてあるコーヒーカップを手に取って啜る
- ソルティア
- 「……彼女が出来ない、と言ったのは、僕が選んだような生き方……僕にしろ彼女にしろ、光の当たらない地を選んで、人の闇を多く見てきました」
- エリカ
- 「……ええ、と……」 自分の常識の外にある話に、思考が追いついてこず。言葉が出てこない。
- ソルティア
- 「だからこそ、彼女はあの時、僕と一緒に行けないと言ったんでしょう。暗いところを見すぎて……明るさに慣れる事は……」 言葉を切って首を振り。
- ソルティア
- 「……詳細は省きましたが、僕と彼女の関係はこういうものです。皆の心を騒がせた事は、謝ります」
- ジャン
- 「まァ、その辺は話せないこともあるだろうからなァ。特に言及するつもりは無ぇよ」 カップを受け皿にかちゃりと置き
- ジャン
- 「問題は、この先お前がどうするつもりでいるか、だ」 ずびし、と指をソルティアに向け
- ソルティア
- 「……僕は彼女、ルナティアについて皆と敵対しようとは、思いません。僕が望んでいるのは……ルナティアを、“こちら側”に引き戻す事、ですから」
- ジャン
- 「それはつまり、あの女がどうなろうともお前が俺達と敵対することはない」 「……そう捉えても良いってことか?」
- エリカ
- 「……じゃ、ジャンさん、それは」
- ジャン
- 「いやァ、重要なことだぜ?」
- ジャン
- 「言っちまえば、信じてた筈の仲間に後ろから斬られてもおかしくねえんだからなァ」 「そんなのエリカちゃんも嫌だろォ?」
- エリカ
- 「そ、そんなのは、勿論嫌ですけど、ソルティアさんだって、いくらなんでもそんなことはしないでしょう」
- ジャン
- 「だァ、かァ、らァ、敵対した人間の仲間みたいな素振りを見せたらまず確かめる必要があるだろォが」 エリカの額に指をコツンと当て
- エリカ
- 「いたっ。な、なにするんですか」
- ソルティア
- 「……どうなろうとも、とは言いません。例えば、貴方方が彼女を手にかけようとした時は……恐らく、止めるでしょう。それこそ、体を張ってでも」
- ソルティア
- 「ただ、それと同じように……皆が誰かに殺されようとしていたら、その時も僕は、体を張ってでも止めると思います」
- ジャン
- 「……まァ、今の言葉を聞いた感じじゃァそんなこともねえみてえだな」
- エリカ
- 「そう、ですよね」 ソルティアの言葉にほっとしたように。
- ジャン
- 「ま、あの女を殺すなんてつもりは今のところ微塵にも無ぇ……というより、現状不可能だ」 実力的に
- ソルティア
- 「大丈夫だよ、エリカちゃん。僕にとっては、エリカちゃんもジャンさんもシャルロットさんも、大事な仲間だからね。背を切りつけるだなんて、しないよ」 首を横に振って。
- ソルティア
- 「……僕にとっては、彼女……ルナティアも、今の生き方や仲間達も、同じように大事なものなんです。そこだけは、信じて欲しい……」
- ジャン
- 「俺だってそんな無闇にお前を疑いたかったワケじゃァねんだ。そこんトコは容赦してくれよなァ?」
- ソルティア
- 「いえ、大丈夫ですよ。疑惑を抱かせたのは、僕の行動ですから……本当は、先に言っておくべきことだったのかもしれません」 首を横に振って。
- エリカ
- 「い、いえ。話しにくいこと、みたいでしたし。そこは仕方ないと、思います」
- ジャン
- 「まァ、俺らなんかよりもよっぽど付き合いも深いんだろォ? そりゃァな」 仕方ない
- ジャン
- 「何、付き合いもまだ浅いんだ。そういうのは気にすんな」
- ソルティア
- 「そうですね……生まれてから16年程、寄り添って生きてきた間柄ですから」 嬉しそうな、それでいてどこか寂しげな笑顔を見せて。
- ジャン
- 「あァ、やっぱ“コレ”なの?」 小指立てて冗談めかすようにニシシと笑った
- ソルティア
- 「……ある意味では、それよりもっと深い関係かもしれませんね」 冗談めかすように笑い。
- ジャン
- 「なん……」 「婚約してたってェのか……!」
- エリカ
- 「……」 16年。自分の身近で比較するなら。 「……家族みたいなもの、ってこと、なんですね」
- ソルティア
- 「家族と同じような存在でしたら、恋人より深いでしょう?」 ふふ、とからかうような笑みを見せて。
- ジャン
- 「くっ……」 爆発すればいいのに 「……まァ、冗談はさておき」
- エリカ
- 「……」 じとー。>ジャン
- ジャン
- 「良かったわァ、安心した」 大丈夫そうで
- ジャン
- 「……な、なんだよ」 >エリカちゃん
- ソルティア
- 「まあ、そうですね……僕とアカシャの関係と、似たようなものかもしれませんね」 仲良すぎな兄妹の姿はよく見ていることだろう。
- ソルティア
- 「……ありがとうございます、ジャンさん」 僅かに微笑を浮かべて、小さく頭を下げる。
- ジャン
- 「気にすんな。こっちもあん時はカッカしてたからなァ、悪かったよ」 へへっと笑い
- エリカ
- 「私も、安心っていうか、納得っていうか……とにかく、事情は大体解りました」
- ジャン
- 「エリカちゃん大丈夫かァ?話の最中、別の世界行きそうになってたぞ」 ケラケラと
- エリカ
- 「ちょ、ちょっと驚いてただけです!」
- ソルティア
- 「……御免ね、エリカちゃん。今まで黙っていて」
- エリカ
- 「い、いえ。話しづらいことなのは、解りますし。謝らなくても」
- ソルティア
- 「うん、ありがとう、エリカちゃん」 にこ、と淡い微笑を浮かべて。 「それと……アカシャの生い立ちは、気にしないであげて欲しい。あの子も、そういう事で気を使われたくないだろうからね」
- エリカ
- 「あ……はい、解ってます。普段通りに接してあげればいいですよね」
- ソルティア
- 「はい、お願いします」 小さく頭を下げて。
- ソルティア
- 「シャルロットさんには……幼馴染を探している、と言う事だけは話していましたから、何となく察しているかもしれません」
- ジャン
- 「あァ、そうなのか」 あいつに話ねぇ
- ソルティア
- 「えぇ、たまたま商店街で会った時に、冒険者になった理由を尋ねられまして」
- ジャン
- 「冒険者、かァ……」 一年前だっけ。で、その前に軍属…… 「………ン、ンン?」 10、8…と頭の中で数字を並べ
- ジャン
- 「……ちょっと待て、お前さァ……」 歳……
- エリカ
- 「……どうかしたんですか?」
- ソルティア
- 「はい、何か?」 こてり、と首を傾げて見せる見た目15歳@童顔。
- ジャン
- 「……いや」 首を横に振り 「何でも、ねえ……ウン」 やめとこう
- ジャン
- (えらい若作りだなァ……?)
- エリカ
- 「……? 言いかけでやめるのって気持ち悪いですよ」
- ジャン
- 「うるせェ、気持ち悪いとか人様に言うんじゃねェよ!」 失礼な!
- エリカ
- 「率直に思ったことを言っただけですし」 つーん。
- ソルティア
- 「?」 頭に?を浮かべている顔は、下手をすればエリカやシャルロットより年下に見える――
- ジャン
- 「ったく……」 何食わぬ顔でいるソルティアの顔を見て、頭ボリボリと掻き
- ソルティア
- 「………」 くす、と小さく笑い。 「あいかわらず仲良しですね、二人は」
- エリカ
- 「え、えぇ!? どこがですか!?」
- ジャン
- 「何か俺に対しては態度悪ィよなァ……教育がなってねえんじゃねえのかァ、ソルティア」
- ソルティア
- 「いえいえ、むしろ逆です。エリカちゃんがこれだけ言うのはジャンさんくらいなものですよ?」
- エリカ
- 「それだけジャンさんの普段の言動が――」
- ジャン
- 「そうか……コレが噂のツンデレかァ」
- エリカ
- 「……はぁ? 誰が何ですって?」
- ジャン
- 「いやァ、別になりたいなら俺の妹36号に……」 「あ、はい、すみません……」
- ソルティア
- 「………」 にこにこしながら二人を眺めてる様子は年下なのか年上なのか
- ジャン
- 「………」 相変わらず優男雰囲気出してるな。しかしリア充か……
- エリカ
- 「……はあ。ジャンさんはソルティアさんの爪の垢でも煎じて飲んだ方がいいんじゃないですか」
- エリカ
- 「ジャンさんに限らずギルさんとかアランさんもそうですけど……」
- ジャン
- 「男の垢なんて飲みたくねえな!」
- ジャン
- 可愛い子ちゃんのだけにしてくれよ、と付け足した
- ジャン
- 「なァソルティア」
- エリカ
- 「……」 ヒくわぁ。
- ソルティア
- 「おや、女性のならいいんですか?」
- ジャン
- 「俺はイケる」 キリッ
- エリカ
- 「うわぁ……」
- ソルティア
- 「あ、ちなみに僕は無理ですので」 しれっ
- エリカ
- 「普通はそうですよ……」
- ジャン
- 「裏切り者めェ……」
- ソルティア
- 「これが後の先を取るという事ですよ」 HAHAHA
- エリカ
- 「ジャンさんが気持ち悪いだけです」
- ジャン
- 「ひっでえ……」 ふるぼっこやで
- エリカ
- 「酷くないです。当たり前です」
- ジャン
- 「そうかァ……」 遠い目をして
- ジャン
- 「……っと、こんな談笑すんならこの部屋じゃなくていいわな」
- ソルティア
- 「あぁ、そうですね。いつまでも借りてるのもなんですし、一度戻りましょうか」
- エリカ
- 「あ……、そうですね」
- ジャン
- 「じゃ、戻るとすっか」 立ち上がり
- ソルティア
- 「そろそろ、シャルロットさんもやってくる頃合かもしれませんしねぇ」 よいしょ、と立ち上がり。
- ジャン
- 「ま、頼りにはしてんだからしっかり頼むぜェ大将」 部屋を出ながらソルティアの背中をバシッと叩いていった
- ソルティア
- 「はは、ありがとうございます」 「……っと、そうだ、ジャンさん」 ギリギリ近づいた位置で呼び止めて。
- ジャン
- 「……ン?」
- エリカ
- てくてくと部屋出てって。足を止めた二人には気づかない様子。
- ソルティア
- 「……僕は生い立ちの全てを語ったわけではありません。その語ってない中には、政治的な件が関わってくる事もあります」 ひそ、とジャンだけに聞こえるような小声で。
- ソルティア
- 「僕やアカシャ自身については、ほぼケリがついてます。ですが……ルナティアに関しては、そうじゃない部分もあります」 先に行くエリカを見送りつつ。
- ジャン
- 「……あァ」 思い当たるような顔で
- ソルティア
- 「……各所を曖昧に濁したのは、そういう理由です。覚えておいて下さい。そして、もしその件でジャンさんや、シャルロットさん、エリカちゃんに何かあった時は……“しらばっくれて”ください」 真剣な顔で真正面を向いたまま。
- ジャン
- 「へいへい。まァ、俺も余計なコトにまで首突っ込むつもりはねぇ。その辺は任せとけ」
- ソルティア
- 「……ま、そんな事が無いように立ち回るつもりではありますけどね」 ふっ、と笑顔に戻り。 「じゃあ、行きましょうか」
- ジャン
- 「あァ、優雅にランチタイムと洒落込むかァ」 といってエリカの後を追っていった
- ソルティア
- 「えぇ、そうですね……今日もアカシャとモニカちゃんがお弁当を作ってくれましたから……」 と連れ立って戻っていった。
- エリカ
- 「……はぁ」 とため息つきながら歩いてたら。 「あれ」 二人がついてきてない。
- エリカ
- 振り返って。 「と……何してるんですか、二人とも」
- ソルティア
- 「ごめんごめん。ちょっと男同士の話し合い……ってとこかな?」
- ジャン
- 「何、男同士の……」 と、先にソルティアが言ってた
- エリカ
- 「……なんですか、それ」 よくわからなさそうな顔して。
- ジャン
- 「ま、気にすんな。飯といこうぜ」
- エリカ
- 「……? まあ、いいですけど」
幕間 了