虚ろの輪音

第一部 第五話「二つの導のその先に」 - 06

GM
公都ダーレスブルグ内、旧市街の一角にある小さな個人住宅。
GM
そう広い訳ではないが、ソルティアとアカシャが一緒に住むには十分なスペースのある家。外観は周囲の家々と大きくは変わらず、旧市街の街並みに溶け込んでいる。
GM
呪素発生装置の破壊後、駐屯地へ訪れた君たちに少々の仲違いが生じとはいっても、主に二人だけだが一度解散となった後、君は自宅へと帰ってきた。
GM
一般的な家庭はもう夕食を済ませた頃だろう。辺りからは夕食の残り香が漂ってくる。
ソルティア
「ふぅ……ただいま。帰ったよ、アカシャ」 いつもより若干疲れた感じで、玄関を開けながら告げるのだ。勿論鍵はかかっていたので自前の鍵で開けて入る。
#アカシャ
あ、おかえりなさい」 ややあって、廊下の奥から義妹が顔を出す。
#アカシャ
エプロンを身につけている事から、今まで夕食の準備を行なっていた事が窺える。
ソルティア
「いつもと変わりは無かったかい?」 と言いつつ室内に入る。多分夕飯は食べる的な連絡は先に入れてたんだろう。
#アカシャ
「はい、いつも通りでしたよ。特に変わった事はあ、そういえば、また近い内に神殿にベアトリス先生が来るみたいですけど」 変わったことはそのくらいだ、と。
ソルティア
「そっか。じゃあ、その時は挨拶に行かないとね」 と微笑んで。
#アカシャ
「うーん……忙しいみたいですから、今度は神殿に立ち寄れるかどうかあまり自信がない、って仰ってましたけど」
ソルティア
「さすがに宰相様だからねぇ……」
#アカシャ
「前の事件の事も……」 言おうとして、若干顔が暗くなる。 「……今話す事じゃないですね、ごめんなさい」
ソルティア
「……あんな事件はこれっきりだといいんだけどね」 憂い顔で腕を組んで。
#アカシャ
「すぐにご飯に……」 言いつつ、ソルティアの顔を見て。 「……どうかしましたか? すごく、疲れた顔をしていますけど……」
ソルティア
「あー、やっぱり分かる?」
#アカシャ
「ええ、毎日義兄さんを見ているんですから、そのくらいは分かります」
ソルティア
「うん、依頼は無事に終わったんだけどね? その後で一悶着あってねぇ……後で話すから、とりあえずご飯の準備だけ終わらせちゃおうか。手伝うよ」
#アカシャ
「はい。と言っても、もう殆ど済んでいますから、義兄さんは待っていてくれて大丈夫ですよ」
ソルティア
「そう? じゃあ、先に座らせてもらうよ」 と着席して。

#アカシャ
「お待たせしました」 しばらくして、全ての料理をテーブルへと運び終える。ふぅと一息つきながら、アカシャも着席。
#アカシャ
並べられた料理は、以前と比べて若干だが進歩が感じられるように思えるのは、兄馬鹿故か、それとも事実か。
ソルティア
うちの子は努力家ですから(キリッ  閑話休題
ソルティア
「ん、ありがとうね。いただきます」 一礼してから食べるのが礼儀だ。
#アカシャ
「いただきます」 それに合わせて手を合わせて、こちらも手を付け始めよう。
ソルティア
「……ま、それでね。依頼の方は上手くいったんだよ。拍子抜けするくらいにね。でも……」 食事途中に会話はいいが、物を口に入れたまま喋らないようにするのがうちのルールだ多分
#アカシャ
「……ん」 元々、食事中の口数はそう多くないが、今日しきりにはソルティアの様子を伺いつつ食べている。話が始まるのを待っていたらしい。
ソルティア
「ただ、その後の報告中にね。エリカちゃんとシャルロットさんが……喧嘩、というのかな、あれは」 うーんと視線を宙に彷徨わせながら。
#アカシャ
「……エリカさんとシャルロットさんが?」
#アカシャ
「あまり喧嘩をしそうな二人には見えませんけど……」
ソルティア
「喧嘩と言うより、言い争いかな……アカシャには何となく、くらいしか分からないかもしれないけど、あの二人は色々と正反対だからね」
#アカシャ
「性格は確かに正反対……というか、大分違うとは思いますけど」
ソルティア
「うん、それがねぇ……」 シャルロットの王族カミングアウトみたいな話しちゃいけない部分を除いてかくしかとその時の状況を説明しよう。
ソルティア
「……で、まぁ、その場は手打ちになったんだけどね」
#アカシャ
「……これから、どうなるんですか?」
ソルティア
「……とりあえず、皆でもう一度話し合い、だね」 ふぅ、とため息をついて。 「……いつかはぶつかるんじゃないか、とは思っていたけど」
#アカシャ
「私にはその……難しいことはよく分かりませんけど」
#アカシャ
「……ちょっと、皆さん難しく考えすぎじゃないかな、なんて」
ソルティア
「難しく?」
#アカシャ
「価値観の違い、でいいんでしょうか。……そういうものから来る喧嘩、なんですよね」
ソルティア
「そうだね。お互いの立場の問題でもあるし、スタート地点の問題でもある。……シャルロットさんは何も無いところから手に入れてきたようだけど、エリカちゃんは逆だ。失くしてきたから……それだけ、辛いんだろうね」 少し遠くを見て。
#アカシャ
「私も、モニカと些細な事で喧嘩することはあります。……今回のエリカさんたちの事とは、規模が違うかも知れませんけど、でも、私にはそんなに違うもののようには思えません」
#アカシャ
「……二人共、別にお互いの事を本心から嫌ってるんじゃないんですよね、きっと」
ソルティア
「……そうだね。今回のことは、今まで我慢してきたものが一気に出てきただけで……お互いの相性が悪いとは、僕も思わないよ」
ソルティア
「ただ、一度そういう言い合いになると、お互いの悪い面しか見えなくなるもの……なんだろうね」 困ったように笑い。
#アカシャ
「……もし、私と大喧嘩したら、義兄さんはどうしますか?」
ソルティア
「アカシャと大喧嘩か……そうだね……」 うーん、と腕を組んで考え込み。
ソルティア
「まずは謝る、かな……そうなった時は、多分酷い事も言うだろう。けど、それは売り言葉に買い言葉で、本当にそう思ってるわけじゃないから……」
ソルティア
「その後は、お互いの悪い点について考え合う。喧嘩だからね、どちらかが一方的に悪いんじゃない。どちらも悪いんだから……もう同じ事で喧嘩になったりしないようにね」
#アカシャ
「……私も、同じようにすると思います」
ソルティア
「そっか……アカシャがそう言うなら、正解のような気がするよ」 小さく笑って。
#アカシャ
「……二人も、同じように出来るんでしょうか。そう考えてはみましたけど、いつでも必ず悪い所があるかも、分かりません」
ソルティア
「……分からないよ。僕とアカシャは、お互いの事をよく知ってる。けど、あの二人は……まだ、付き合いも短いからね」
#アカシャ
「かっとなって酷い言葉を言ってしまうのはお互い悪い事ではあるんでしょうけど、その根本の原因が、どちらにも非がなかったら……?」
ソルティア
「どちらにも非が無い……確かに、その可能性も……」 また腕を組んで考え込む。
ソルティア
「……あの二人が喧嘩になったのは、立場の違い……見方の違いだし。どちらにも理がある……」
#アカシャ
「私は」 考え込んでいる所に、小さく言葉を投げる。 「私は、きっと、謝ると思います」
ソルティア
「謝る……それだけって事?」
#アカシャ
「……悪い所が無ければ、それを探す事なんて出来ませんし、絶対にそれを探す必要があるとも思えません。それでも、義兄さんやモニカと喧嘩したままなのは嫌ですから、とりあえず謝る……と思います」
ソルティア
「……そうか……喧嘩したままは嫌、か」 くす、と小さく笑い。 「そうだね。もしかしたら、そういう一番単純な思いが、一番大事なのかもしれないね」
#アカシャ
「……喧嘩した原因は、必ずしも解決する必要がないと思うのは私が子供だからなんでしょうか」
ソルティア
「そんな事は無いよ、アカシャ。誰も皆、同じようには生きていない。違うところはたくさんあって、見てるところも、見てるものも違う。それですれ違った原因を解決しようとするのは、物凄く難しい。いや、もしかしたら出来ないのかもしれない」
#アカシャ
「……はい、その原因よりも、相手と仲良くしたいと思う気持ち、それがあればそう難しく考えなくてもいいんじゃないかなって」
ソルティア
「だから……そうやってすれ違って悪く見える点をあげるより、良い点を見て……いや、もっと単純でいいかな。アカシャの言うとおりで」 横に首を振って。
ソルティア
「仲良くなりたい、友達でいたい、喧嘩したくない……そういう気持ちこそが大切、か」 視線を少し天井に向けて。
#アカシャ
「……すみません。なんだか私の意見ばかりで。……あんまり、解決の参考にはなりませんよね」
ソルティア
「いや……ありがとう、アカシャ。話してよかったよ」 小さく笑って。
ソルティア
「実の所、今回みたいな事を解決するのは苦手でね……今までも、エリカちゃんに上手く言葉をかけてあげられなかった。苦労や辛い思いを溜め込んでいるのは、分かっていたはずなのにね」 はぁ、とため息。
#アカシャ
「それは、私も一緒です。……モニカも、エリカさんが無理をしてる事をわかってるのに、掛けてあげられる言葉がないって悩んでいて」
ソルティア
「はは……皆遠慮がちなのかもね。でも、アカシャのお陰で少し分かったような気がするよ」
#アカシャ
「……何が分かったのか、聞いてもいいですか?」
ソルティア
「大事なのは、上手い言葉をかけるんじゃなくて、シンプルに思いを伝える事だって……ありがとうとか、心配してるとか、そんな単純な言葉で」
ソルティア
「かける言葉が無いって黙り込むより、そっちの方がずっといいんだね、きっと」 疲れがなくなったかのように明るく笑う。
#アカシャ
「……そう、ですね。黙っていても、何も伝わらない。……私も、それは知っていたはずなのに、今まで逃げようとしていたのかも知れませんね」
#アカシャ
「……あの時は偶然、何を言わなくても義兄さんが私を救い出してくれましたけど……そういうことなんて、滅多にあることじゃないんですよね」
ソルティア
「うん、そうだね。……ねぇ、アカシャ」
#アカシャ
「はい?」 小首を傾げて。
ソルティア
「ありがとう。君がいてくれて、よかった」
#アカシャ
「……」 ふるふると首を小さく横に振り。 「それは、私の台詞です。義兄さんがいなければ、今の私はなかったんですから」
ソルティア
「アカシャは僕に救われた、と言ったけど……僕も同じくらい、救われているんだよ。心からそう思ってる」
#アカシャ
「そう思ってもらえているのなら、私も、幸せです」 屈託のない笑顔を向けた。
ソルティア
「君がいなければ、今の僕もきっといなかったんだよ……まだもう少し、迷惑かけちゃうだろうけど、宜しくね」
#アカシャ
「義兄さんに迷惑を掛けるのも掛けられるのも、妹の役目ですから」
ソルティア
「ははっ、アカシャも言うねぇ」 楽しそうに笑って。 「ご馳走様! 食器だけ片付けたら、お風呂入りに行って、今日は寝よう。……一度身体は洗ったけど、まだ匂いが残ってる気がするし……」 下水探索後なう
#アカシャ
「お粗末さまでした」 こちらも食べ終わった食器をまとめ。 「はい、そうしましょうか」
ソルティア
「ん」 食べ終わった食器を纏めて重ねて、水場に持っていきながら。 (……ありがとう、アカシャ) 心の中で、もう一度礼を言った。

GM
シャルロットに対して不平をぶつけた後、ひとまず解散となった後、君は途中までソルティアと、途中からは一人で帰路を辿った。
GM
疲弊した顔をいつものように何食わぬ顔で上塗りして、帰宅し、食事を取り、部屋に戻った。
GM
無理を隠そうとするのは、君も、妹も、そして母も同じだった。血筋なのかもしれない。
GM
君が妹の無理に気付くの同様、妹もおそらくは君の無理に気付いているのだろうが、掛ける言葉を探している内に、食事の時間が終わってしまったらしい。
GM
肉体的な、そして精神的な披露も限界に達していた君は、部屋に戻るとすぐさまベッドに転がった。
エリカ
はぁ」 どさ、とベッドに倒れこみ。
エリカ
「……」 疲れた。半分以上は自分の所為だけど。今日はもう此のまま眠ってしまいたい。
エリカ
「……」 本当に、今日はどうかしていた。私は、あの場であんなことを言って何がしたかったんだろう。
GM
ぐるぐると、似たような思考をループさせていると、それを途切るかのように通信機が震えだした。
エリカ
「ちゃんと、謝らなきゃ……」 明日になったら。あの場に居る全員に迷惑をかけたから。ああ、でも今は眠くて……
エリカ
「……」 胡乱げな目で通信機を見る。誰だろうか。通話に出るのが酷く億劫だ。
GM
小さなディスプレイには、発信先の識別番号が並んでいる。が、果たしてこの番号は誰のものだったか……今の思考の鈍さでは思い出せそうにない。
エリカ
そう思いながらも、のろのろと通信機に手を伸ばし。この番号は……これは、誰のだったろうか。何れにしても、出れば解る、か。 「……はい、もしもし」 ああ、いけない。酷く疲れている声を出してしまった気がする。
#アラン(通信)
よ」 幸か不幸か、発信相手は事情を知る人物だった。夜間故に控えめではあるが、いつもと変わらぬ声の調子で短く挨拶した。
エリカ
「……」 なんだお前かと言いたくなるのを堪える。表情には出た気がするが、それは解るまい。 「……アランさん? 何か……用事ですか?」
#アラン(通信)
「まぁまぁ、なんだお前とか言うなって。具体的になんか用があんのかと言われると無いが、ぼんやりとはある」
エリカ
「べ、別にそんなこと言ってません」 見透かされてしまっていた。 「……はあ、なんですか、それ」 ぼんやりって。
#アラン(通信)
「最近のお前なら絶対考えると思ってな」 なんかいつも酷い発言してるし。 「まァ、あの状態でほっとける程俺も薄情者じゃあないっつーか。いや、ぶっちゃけお前らがしっかりしてくれねェと俺の負担が増えすぎてやばいからなんだけどな?」
エリカ
「……」  「すいません、ご迷惑、おかけして」
#アラン(通信)
「……あん?」 謝罪の言葉に、何言ってんだとでも言いたげな声をあげた。
エリカ
「いや……」 そんな微妙な反応されたらこっちが困る。 「その……あんな時に、あんな場所で、取り乱して。迷惑以外のなんでもないじゃないですか」
#アラン(通信)
「ま、確かにな」 ぎし、と微かに椅子の軋む音が聞こえる。 「けど、ありゃ決して無駄な時間じゃァなかった。むしろ、今で良かったんじゃねェのかってくらいだよ」
エリカ
「……お互い本音をぶつけられたから、それで良かったってことですか」 だとしたら、とても納得なんてできない。
#アラン(通信)
「本音ぶつけただけじゃ、良かったとは言わねェよ。一応、前進ではあるんだろうけどな」
エリカ
「……じゃあ、どういうことですか」
#アラン(通信)
「このまま明後日までにどうにもならねェんなら、ひとっつもよくねェし」 自分の負担が増えるだけだ。 「まだ、時間を置けるタイミングで良かったってこった」
#アラン(通信)
「もっと切羽詰まった状況であんな喧嘩されちゃ、こっちとしては敵わねえからなァ」
エリカ
「……」 それは、確かにそうだが。
エリカ
「私は……前進したとも、思えないです。あんなこと言っても、仲が悪くなるだけで」 ……なのに、言ってしまった。
#アラン(通信)
「本当にそうか?」
#アラン(通信)
「少なくとも、俺ァあれであんたに悪い印象が出来た事もねェし、シャルロットの奴は尚更だろう」 ありゃ底抜けの善人だ。
エリカ
「……なんでそう、皆、優しいんですか」
#アラン(通信)
「優しい?」 またも思ってもみなかった回答だ。素っ頓狂な声を出す。
エリカ
「あんな無茶苦茶なことして、普通、怒ったり、呆れたりして、嫌いになりますよ。馬鹿だと思いますよ」
#アラン(通信)
「ンー……そうだなァ」 数秒考え。 「あんた、ジャンや俺の事は嫌いなのか?」
エリカ
「…………」  「好きじゃないです」
#アラン(通信)
「全部が全部嫌い、じゃねェんだな」
エリカ
「……」 黙った。
#アラン(通信)
「それと同じようなもんなんじゃねェの。優しいとかどうとかじゃなく、あの場面だけ見てあんたの全部を嫌いになったりするような人間じゃないってだけだ」
#アラン(通信)
「いつももっと罵倒されてる訳だしなァ」 冗談なのかそうじゃないのか、けらけらと通信機越しに笑った。
エリカ
「……そう、ですか」
#アラン(通信)
「で、どうするつもりなんだ?」
エリカ
「明日のこと、ですか」
#アラン(通信)
「明日っつーかこれからっつーか?」
エリカ
「謝り、ます。シャルロットちゃんにも、他の皆にも。……あの子の言うこと、全部納得できるわけじゃないけど……あの場を無茶苦茶にしたの、殆ど私ですから」
#アラン(通信)
「発端は、シャルロットの方な気がしたがな」 ぶっちゃけトークを開始したのはあっちだ。 「ま、どっちが悪いとかンなこと言うつもりは毛頭ないが」
#アラン(通信)
「けど、ただ謝っただけでどうにかなるのか? それ。お前が言ってんのは、場を乱した事に対する謝罪だろ」
#アラン(通信)
「それだけじゃ、あっちは納得しねェと思うぜ」 あっちには、シャルロット以外にもジャンやソルティア、フェリシアを含んでいる。
エリカ
「……」 最後まで頑なだったシャルロットを思い出す。 「……そう、でしょうね。多分、少なくともシャルロットちゃんは」
#アラン(通信)
「そんな状態のままじゃ、フェリ公も仕事は任せられないぜ。アンタらが、ぎすぎすしたままでも仕事を上手くこなせる程熟練してるなんて思えないからな」
エリカ
「あの子は……全部本音で言い合いたい、みたいな感じでした」
#アラン(通信)
「そうだなァ。隠し事するのも、されるのも苦手だっつータイプだろ。特に、アンタみたいな同年代の友達には」
エリカ
「けど……私、そんなことできません」
#アラン(通信)
「そりゃ何でだ?」
エリカ
「全部剥き出しにして向き合おうなんて、そんなの……」 そんな恐ろしいこと。
#アラン(通信)
「全部剥き出しにするのがどうして嫌なのか、って訊いてんだ」
エリカ
「それは……」
#アラン(通信)
「嫌われたくない、か?」
エリカ
「……わかりません」
#アラン(通信)
「ま、全部包み隠さず言いたくないってんなら、それが自分を守る、あるいは保つ為の手段だとは考えていいんかね」
エリカ
「…………」  「怖いんです」
#アラン(通信)
「へェ?」
エリカ
「……私、ずっと浅ましい人間なんです。嫌な女なんです。よくないこと、いつも考えてる」
#アラン(通信)
「よくないことって、具体的にはどんな事だよ」
エリカ
「シャルロットちゃんにしたって、……あんまり好きじゃないけど、お金持ちなら、仲良くしておけば、妹を養う手助けをしてくれるかもしれない、なんて」
#アラン(通信)
「……ふーん。で?」
エリカ
「……そんなことばっかり考えてるんですよ。でもそんなこと、出来るなら考えたくない……考えたら考えるだけ、そんな風にしか人を見れなくなっていくみたいで」
#アラン(通信)
「そういう事しか考えられなくなるのが怖いのか? それとも、それを人に言って関係がこじれるのが怖いのか?」
エリカ
「こじれるのだって嫌です。嫌ですけど……それは“怖い”じゃなくて“困る”って思っちゃうんです」
#アラン(通信)
「で、それもまた自分が嫌な人間だと思う原因になって、そんな人間になっていくのが怖い……と。成程な」
エリカ
「人との関係が悪くなったら、それだけ仕事がやりづらくなったり、暮らしにくくなったりする……だから困るって……そんなことばっかり」
#アラン(通信)
「なァ」
エリカ
「……なん、ですか」
#アラン(通信)
「それって、そんなにおかしい事か?」
#アラン(通信)
「普通だろ。自分が生きるのに最良、最善の手段を考えて、不利になる、困るような事を避ける。特別な事なんかじゃないぜ」
#アラン(通信)
「公言して回るような事じゃねェのは確かだが、それで自分を追い詰める程悪い事じゃない」
エリカ
「……でも、だって。それは、多少なら、そうかもしれないですけど」
#アラン(通信)
「多少もクソもねェよ。そういうことを一度でも考えた時点で、みーんな一緒だ」
#アラン(通信)
「子供だってそうだ。友達が欲しいと思うのは、自分が楽しく過ごしたいと思うからだ。純粋に見えても、言っちまえば自分の利益を追求してる」
#アラン(通信)
「歳を取る度に枷やらしがらみが増えて来て、悪い事だと錯覚しちまうだけだろ」
エリカ
「……ほんとに、そう、ですか?」
#アラン(通信)
「あァ、少なくとも俺ァそう思うね」
#アラン(通信)
「俺だって、何処までもそうしてお前の言う“嫌らしい”事ばっかり考えなきゃ生きてけない時期があった」
#アラン(通信)
「当時は、そんな自分が嫌だって思う事もあったし、自分の境遇を恨んだりもした。今だって、全部を肯定出来てる訳じゃねェ」
エリカ
「……」
#アラン(通信)
「けどな、自分だけがそういう事ばっかり考えてる嫌な人間な訳じゃない。大体の奴は同じような事を考えてるんだろうって事を学んだ」
#アラン(通信)
「アンタがそれを実感出来る日が来るのかどうかは、ちィと分からねェが、少なくとも、此処に似たような人間が居るっつーことは覚えとくといいぜ」
エリカ
「……そう、ですか」
エリカ
「覚えては、おきます……でも、私は、まだ、やっぱり怖いです」
#アラン(通信)
「それでいいだろ。怖いと思うな、なんて事までは言ってないぜ」
#アラン(通信)
「それが怖く感じなくなったら、お前はその“嫌らしい”事を嫌らしいと感じられなくなったって事になる」
エリカ
「……怖くてもいいから、少しは認めろって、ことですか」
#アラン(通信)
「そうなるんかね。そこまで思い詰めんな、って事が伝わりゃそれでいいんだがな」
エリカ
「……ありがとうございます」
#アラン(通信)
「最初も言ったろ? これだって半分は自分の為さ」 負担を軽くする、という理由もある。
#アラン(通信)
「シャルロットにはそうだなァ……正直に言ってやればいいんじゃね?」
エリカ
「……それで、納得してくれればいいんですけど」
#アラン(通信)
「『あなたは何もかも包み隠さず言える関係を求めてるのかも知れないけど、私はそこまでを求めてないし、今あなたに全部話すのは難しい』ってな」
#アラン(通信)
「そっから先はアイツ次第だろ。アイツがその上で、お前が悩みを打ち明けられるような相手になれるように努力するか、適度な距離感を保つ事を選ぶか」
エリカ
「……解りました。出来るだけ、そうしてみます」
#アラン(通信)
「別にこれに従う必要はないぜ? 最終的には、当事者二人の問題だし、俺にゃ最適解なんてもんは導き出せそうにない」
エリカ
「はい……でも、正直、どうしていいか分からなくって……勝てる気、っていうと、変ですけど、とにかく、あの子相手に、そういう気、しなくって……情けないですけど」
エリカ
「……こんなだから“下から目線”なんて言われちゃうんでしょうね」
#アラン(通信)
「それも、悪い事ばっかりじゃねェだろ。上を見てんなら、そこに憧れてる、立ちたいっつー潜在的な向上心はあるんだよ」
エリカ
「そうかも、しれないです。……なかなか、うまく行きませんけど」 憧れはあっても。
#アラン(通信)
「お前がアイツに負ける時は、多分、同じ高さに立たされて悩みでもなんでも打ち明けられるようになった時だろうな」
エリカ
「……? 勝ち負け、逆じゃないん……ですか?」
#アラン(通信)
「アイツの望み通りになってんだから、アイツの勝ちなんじゃね?」
エリカ
「ああ……そうですね」 仲良くなりたい、んだよな。あの子は。
#アラン(通信)
「ま、人生偶には負けるのも悪くない時もあるってことだ」
エリカ
「はあ……」
#アラン(通信)
「どうしたよ、ため息なんかついて」
エリカ
「……いえ。アランさんなんかにこんなこと話すことになるとは思わなかったなって」
#アラン(通信)
「そのなんかが無ければ良かったんだけどな」
エリカ
「まあ……明日は、どうにか努力します。私なりに」
#アラン(通信)
「あァ、それでいい。にっちもさっちもいかなくなったら、俺に言ってみろ。ずっととはいかないが、見通しが立つくらいまでなら、なんとかしてやるぜ」
エリカ
「……解りました。ありがとうございます」
#アラン(通信)
「思いの外素直な事が意外だったが、まァいい。んじゃ、そろそろ切るぜ」
エリカ
「じゃあその時は他の人に相談します」 意外とか言いおってからに。
#アラン(通信)
「それでどうにかなるんなら、それでいいだろうさ。それじゃァな」
エリカ
「……ええ、それじゃあ」
GM
ぷつ、と。通信が切れる音が短く鳴り、部屋に静寂が訪れる。
エリカ
」 はぁ、と溜息ついて、再びベッドに倒れこみ。
エリカ
思いの外、楽な気分になったことが少し癪に思いつつ。
エリカ
今度こそ、泥のような眠りに沈んでいった。

GM
例の一件から、一日を挟んで、翌日の夜。
GM
フェリシアの要請によって、ギルから〈宵の明星亭〉の一室が貸し出され、君たちは昨日の一件とこれからについての話し合いをすることになった。
GM
部屋の中に居るのは、君たち4人だけ。既に夜なこともあって、店内には他に客はおらず、ギル、エルシオーネ、フェリシアの3名も、ホールで待機している。
GM
控えめに部屋を照らしだすランタンの乗ったテーブルを囲むようにして君たちは座っている。
ジャン
「………」 腕組みしつつ眼を伏せて俯いている
シャルロット
「……」 簡素な普段着に着替えて、この場にやってきた。ちょこんと腰をおろしているが、挙動は普段とかわりなく座っている。
エリカ
「……」 皆と同じように腰を下ろしているが、少し緊張した様子。
ソルティア
「……さて、ではまず何から話しましょうかね」 少し困ったような笑顔で席に着き、皆を見回している。
ジャン
「むしろ何を話そうってんだよ」 やれやれ、と
ソルティア
「そうですね、話し合いと言うよりは意思統一の場、と言う事なんでしょうが……少なくとも、昨日の様に周囲に気兼ねをする必要はありませんね」 と言いおいて。
シャルロット
「……一先ず」 ソルティアの言葉に、そっと言葉を切り出す
ソルティア
「はい、何でしょうシャルロットさん」
シャルロット
「妹さんのこと、謝らせてください。昨日の言葉に嘘はありませんが、その事をあたかも良いことかのように言った口ぶりは良くありませんでした」 冷静になって、一日思い返したが、大した内容は浮かばなかったので率直に。
エリカ
「……私も謝らなきゃいけない。皆に。取り乱して、あの場を、無茶苦茶にしたから。ごめんなさい」
シャルロット
「取り乱してしまったことについては、切欠は全て私にありますから……そこを謝る必要はありませんよ?」 あはは、と、苦い笑みを浮かべつつ
ジャン
頭の後ろで手を組み、椅子の背もたれに重心を乗せて様子を見てる
ジャン
「………」 まぁ頭はちゃんと冷やしてきたみたいだな
シャルロット
「ですが……嘘偽りの無い、私の本心でもありました。……その、私が本音を明かせば、エリカさんも語りやすいのではないかと……浅い考えでした」 小さく唸りながら、指を絡めて喋る。眼はここにいる皆に、交互にくばりながら
エリカ
首を横に振り。 「隠し事したくない、っていうのは、別に、悪いことじゃないと、思うし」
エリカ
「……それに、ただ動揺するだけなら、ともかく。いろいろ、無茶苦茶な……恨み言っていうか、なんていうか。そういうことまで口にすることは、なかったんだし。それは、明らかに私が悪いもの」
シャルロット
「いえ。……私は、余すとこなくどっぷりと箱入り娘です。多分、大切に育てられたのだと思います。だから判らなかったんです、エリカさんの気持ちが」
エリカ
「恨み言の内容だって、別にシャルロットちゃんに何か非があるわけじゃない、ただの妬み、僻みだし……」
エリカ
「相手の気持ち、考えなかったのは私の方よ。考えれてたら、あんなこと言ったりしなかった」
シャルロット
「や、その……いいんですよ? それも真実なのですから」
シャルロット
「……喧嘩って、ああいうものなんでしょうか? 初めての事ばかりで判らないんですが、本当の友達というのは、喧嘩できて初めて……というように聞いていたのですが」 苦笑を浮かべながら、エリカやソルティアに聞きつつ
ソルティア
「うーん……実の所、僕もそこまでの友人がいたことはありませんでしたから、何とも言い難いんですが。まぁ、意見が一致しなければ口論になり、喧嘩に発展する事はあるでしょうね」
ソルティア
「喧嘩が出来ない関係は本当の友達ではないんじゃないか、と言われても、頷く事は出来ませんし。喧嘩するしないは人間関係の問題とはまた別なのではないのでしょうか?」
シャルロット
「難しいです……ソルティアさん」 言ってることが。
ジャン
(しっかし皆よくそんな講釈垂れたり出来るなァ) 呼ばれたから来たみたいなモンだ俺
ソルティア
「友達かどうか、と言う点と、喧嘩するかどうか、と言う点は別じゃないか、と言う事ですね。喧嘩で友人関係が終わってしまう事もあれば、結果的に更に仲がよくなる事もあるでしょう」
ジャン
「…………」 何かコレまどろっこしいなァ
シャルロット
「……簡単に丸く治めすぎていて、逆に抵抗がありますが……お互いに悪かったということで、良いでしょうか?」 何だか、一変して謝り倒しだ。思っていたものと違う内容に笑いながら
ジャン
「……あのなァ」 ようやく口を開く
シャルロット
「それから、今後もそういう時は構わず言っていただいて……はい?」 なんですかジャンさん
ジャン
「……ィんだよォ」 ぼそっと呟き
シャルロット
「……?」
ジャン
バンッ!とテーブルを叩いて勢いよく立ち上がる
エリカ
「……っ」 びく、と。
ジャン
「暗ェ!重ィ!息苦しい!」 ガッ、とエリカとシャルの腕を掴む
シャルロット
「ぃたたた……っ! ちょ、ちょっと……ジャンさん、どうしたんですか!」 びっくりして目を丸くしている
エリカ
「ちょ、いたっ、……な、なにするんですかっ!」
ジャン
「まどろっこしいわァ!」  「ごめんなさいってんなら握手して仲直りだろォ!ほれ!!」
ジャン
といいつつ無理矢理エリカとシャルの手を繋がせる
ジャン
「ほれ、お互いちゃんと眼ェ見て!」
シャルロット
「ちょ、ちょっとジャンさん……それはそうかもしれませんが、もうちょっとこう……」 この間にぎやかしたので、あんまり乱暴もきがすすまなくって
エリカ
「ええ、と……」 そんなこと言われても。
ジャン
「お前らさっきから余所余所しいんだよォ」
ジャン
「もう結構仕事一緒にこなしてきた仲じゃァねえか。こういう時はスッキリ終わらせりゃ良いんだよ」
シャルロット
「あー……はは。あの、エリカさん」 ジャンの物言いに呆れつつ、そっと手を出して
ソルティア
「はは……ジャンさんはちょっと乱暴ですが、やる事は間違っていないと思いますよ。仲直りの証と言う事でいいじゃないですか」
シャルロット
「私と、友達でいて頂けませんか?」
エリカ
「……」 友、達。 「……それは……構わない。でも」
シャルロット
「……でも、どうしました?」
ジャン
「………」 座らないまま腕組みして見てる
エリカ
「全部、本音を言い合いたいっていうのは、無理」
エリカ
「……親しくないから言いたくないことも、親しいから言いたくないことも、……どんな相手にだって、言いたくないこともあるの。だから、そういうのは無理」
シャルロット
「……はい」 半ば判っていたことだ。
ジャン
「友達だって喧嘩もするし隠し事もあるだろォよ。別に友達ってのは完璧な仲じゃァねえんだ」
ジャン
「むしろ、友達になってから少しずつ、色々解っていくコトもあるぜ」
シャルロット
「私も、一朝一夕に全部を良しとしていただく気までは、ありません」 それなら良いな、とも思うけれど
エリカ
「……うん」
シャルロット
「ですが、私はそうして行きたいと思うし、これからもしそうなれればいいなと……その程度にお考えいただければ構わないんです」
シャルロット
「……ジャンさんにも、色々言われてしまいましたしね?」 笑いながら
ジャン
「ンだよオイオイ、俺が悪いってのか」 ドカッと椅子に座り
シャルロット
「いえいえ。忌憚無きご意見、身にしみました」 くすくす、と笑う。
ジャン
「……なんか腑に落ちねえなァ」
エリカ
「……期待に添えられるかは、わからないけど」
エリカ
「仲悪いよりは良いほうがいいとは、私だって、思う」
シャルロット
「ええ。私も、無神経な態度を取ってしまうかもしれません。ですから、おあいこです」
エリカ
「……そう、ね」
シャルロット
「でも、私も判らないままそうなってしまっていることが多いと思うので……悪いことを言ったら、悪いと言っていただきたいとは思います」 なんてね
シャルロット
「それに納得がいかなければ、それはそれでちゃんと言い返しますので」 ね? と、小さく顔を傾けて
エリカ
「解った、わ。言える時は、そうする」
シャルロット
「それで結構です。……昨日のことで、少しはエリカさんのことも、判った気がします」 悪いところも、当然、いいところも。
エリカ
「……でも、言わなかったからって、それで文句も、言わないでよ」
シャルロット
「それは保障致しかねます」 言って欲しいと、せがむことはあるかもしれない。なんて、冗談めかして言いつつも続ける
シャルロット
「だからといって、それでエリカさんを嫌う事は無いと……それだけははっきりお伝えしておきます」
エリカ
「……私は、あんまりしつこくされたら嫌いになるかもしれないからね」
シャルロット
「……心得ました」 参った、という顔で頷いた
ジャン
「乙女心はデリケェトだなァ」 肩を竦めて場の茶を濁すように。こういうのは苦手なのだよ
シャルロット
「そういうものです」
ソルティア
「何、漢心もそれなりにデリケートなものですよ。ねぇジャンさん?」 意味ありげな視線を向けて
ジャン
「えェー? 俺そんな童顔じゃねえし女々しくねえしィ」
エリカ
「……」 ふぅ、と息を吐いて。 「けど……本当に、昨日はいろいろひどいこと言ってごめんなさい。それと、改めてこれから宜しく。シャルロット
シャルロット
「いえ。こちらこそ宜しくお願いします、エリカさん」 ぺこり、と頭を下げる
シャルロット
「あ、それと1つだけお伝えしておくことが」
ジャン
「おォ?」
エリカ
「……なに?」
ソルティア
「はい?」 とりあえずジャンへの返答は置いといて
シャルロット
「ええっと……私はそういう身分ではありましたが、お金は叩いても出てこないので」 なんて、唇に人差し指をあてて、冗談めかして言いつつ
シャルロット
「それでも、困ったら言ってください。冒険者のお仕事で得たお金は、私のお金ですから。ソルティアさんにもお貸ししたりしてるぐらいですしね」
ソルティア
「どうもお世話になってます……今は装備にも余裕が出てきましたけどね」
エリカ
「……」 む、と。 「……解った。頼る時が来たら、頼る」
エリカ
「……って、いつのまにそんな」
シャルロット
「いえ、街で偶然……ね?」
ソルティア
「鎧ってのは高いですからねぇ……特に金属鎧は」 はは、と困り顔で笑って頬を掻く。
エリカ
「はあ、そうだったんですか……」
ジャン
「ま、もうこの面子でやってくのは決まったようなモンだろォ?」
ジャン
「足りねえ時はこの面子の財産で補えば良いじゃァねえか」
ソルティア
「まぁ実際のところ、ここまで来れば一蓮托生でしょう。事件にも深入りしてきましたし、これ以上踏み込むのなら尚更です」
シャルロット
「……ですね。あ、それと……基本的に私のことは伏せておいて頂けると……」 ちょっと申し訳なさそうにエリカとソルティアへ
エリカ
「ああ、うん……それは、解ってるけど」
ソルティア
「勿論ですよ。仲間の秘密を他言するほど情を無くしたつもりはありませんからね」
ジャン
「ということで歓楽街一番と言われる”月明かりの蝶”っていうバーに行く資金をだなァ」 プリーズプリーズ
シャルロット
「……さ、フェリシアさんに報告しましょうか」 何をとは言わずに、ジャンをちらっと見た後言う
エリカ
「………そうね」 ちらっとジャン見つつ。
ジャン
「おいィ、何を報告する気だよお前!」
ソルティア
「なんにしても、スムーズに話し合いが終わってよかったですよ。僕の出る幕全くありませんでしたしね」 ジャンをスルーして
シャルロット
「私も……はぐらかされてしまうかも、と思っていましたが、何だかすっきりと話させていただけましたし。何か心境に変化が?」 後半はエリカに向けて
ソルティア
「どうやって調停しようか悩んだ挙句アカシャにまで相談した僕としてはもう苦笑いです」 HAHAHA
エリカ
「ああ、ええと……すいません、本当に」
エリカ
「その……ただ、一晩落ち着いて考えた結果っていうか……」 アランにアドバイス貰いました><とは言いたくない。
ジャン
「なんだァ、どっかのイイ男にでも話を聞いて貰ったんじゃァねえだろうなァ?」
エリカ
「違います」 断じてあれはイイ男じゃない。
ジャン
「つまんねえなァ」
ソルティア
「はは……いいんだよ、上手く収まったみたいだからね。エリカちゃんは元々、辛い所を見せないようにしてる節があったから、心配してたんだよ」
シャルロット
「いい男……ですか。いいおとこ?」 んー? 「恋人さんがいらっしゃったのですか?!」 ええっ
エリカ
「いや居ないし! 違うし!」
シャルロット
「なんだびっくりしました……いえ、居ておかしいというわけではないのですけれど」
ジャン
「モニカちゃんが知ったら喜んで飛び付いてきそうだなァ」 カッカッカ
エリカ
「……居なくて悪い?」 く。
シャルロット
「いえ……わ、わたしもいませんから、やっぱりおあいこなんじゃないですか?」 たじたじ
ジャン
「40番目で良いなら俺の隣空いてるぜェ」 増えてる
シャルロット
「それは隣って言うんです……?」
ソルティア
「困った時や辛い時は隠さずに言って欲しいな。僕だって君より長く生きて、それなりに経験もある……解決まで行かなかったとしても、手助けすることくらいは出来るだろうからさ」
エリカ
「……はい」 ソルティアに頷きつつ。
エリカ
ジャンの足を踏みつける。
ジャン
「言ういぅぐあァァァ!」
ソルティア
「まぁそんな台詞を言ってる横で若者達は恋人談義に華を咲かせてるわけで これが若さか……」 とてもアンニュイな目
シャルロット
「……あ、なるほど。エリカさんが踏んづけてたんですね」 今までのジャンのアレを見て、なるほど、と手を打った
ジャン
「お前なんだと思ってたんだよ……」 ヒリヒリ
シャルロット
「いえ……不思議に思っていました」 なんだろうなー、と
エリカ
「はあ、全くもう……」
ジャン
「はァ……ま、いいか」 立ち上がり  「うっし、話もまとまった(?)ところで」
ソルティア
「とりあえずフェリシアさんに報告ですね」
エリカ
「そうですね……」
ジャン
「とりあえず飯にしようぜェ。俺何も食ってねえんだよ」
エリカ
「……って」
シャルロット
「ここで何かご用意いただけばよいのでは?」 といいつつ、報告に移ろう
ジャン
「ちょいと奮発してやるって」 ギルが
エリカ
「……まあ、いいのかな」
GM
そうして、君たちはフェリシアへの報告を済ませる。
GM
彼女はほっとしたような表情を見せつつも、真摯な態度でそれを聞き届け、明日の日中、駐屯地にてアランの通信を交えて詳しい話をしましょうと約束。
GM
その日の夕食は、君たち4人にギル、エルシオーネ、フェリシアを交えた賑やかなものとなったが、一部が調子に乗りすぎて、後でギルが涙していた事については深く言及しないでおこう。

GM
そして翌日君たちはまた、北防衛区の駐屯地内部フェリシアの私室に呼び集められていた。
#フェリシア
「……では、あらためて、呪素発生装置の破壊と先日の一件、お疲れ様でした」
ソルティア
「いえいえ、こちらこそお手数おかけしまして」
シャルロット
「いえ。お騒がせいたしました……」 素直に謝りつつ
エリカ
「……色々と、申し訳ありませんでした」 頭下げつつ。
ジャン
「おォよ」 椅子に深く腰掛けて
#フェリシア
「雨降って地固まる。終わり良ければ全て良し、などと言った言葉もあります。過ぎた事は、あまり気にしないでいいでしょう」
ジャン
「ま、すんなり何事もなく行く方が難しいってな」
#フェリシア
「さて、早速ですが、もうあまり時間はありません。アランには事前に連絡をしていますから、彼を交えて、貴方がたの意志確認をさせていただきます」
ジャン
「へいへい」
シャルロット
「……はい」 というか、今にでも飛び出してしまいたいぐらいだ
ソルティア
「はい、分かりました」 「シャルロットさんはちょっと落ち着きましょうね」
#フェリシア
フェリシアは通信機を取り出し、慣れた手つきで操作し、テーブルの上に置いた。
#アラン(通信)
「あいよォ」 程なくして、通信機からアランの声。
シャルロット
「い、いえ。落ち着いてますからね?」
#アラン(通信)
「落ち着いてない奴はみんなそう言うんだ」
エリカ
こく、とフェリシアに頷きつつ。
#アラン(通信)
「で?」
#アラン(通信)
どうなったんだ、と。
#フェリシア
「……」 フェリシアは、目線で君たちに合図をする。
シャルロット
「で、といわれると返答に困りますが……ええと、仲良くなりました?」
エリカ
「……ええと。一先ず、仲直り……しました?」
#アラン(通信)
「うわァぎこちねェ……」
ソルティア
「何で二人揃って疑問形なんですか……」
シャルロット
「い、いえ。聞かれ方がアバウトすぎて何を応えたらいいのかと」
エリカ
「だ、だって “で?”ってだけ言われても……ねえ」
#アラン(通信)
「んな具体的に聞くような話でもねェしなァ」
#アラン(通信)
「どうよ年長組、お前らから見て大丈夫か?」
ソルティア
「冒険者仲間としてチームを組んでいく程度には仲直りしました。個人間の関係は、まぁこれからゆっくりやってけばいいと思いますよ」
ジャン
「ま、仕事が出来る状態にはなった筈だ」
ジャン
「後はコイツら次第だ」
#アラン(通信)
「ならま、いいだろ」
#アラン(通信)
「さて、じゃあここからが本題だ」 フェリ公、と呼んで促す。
#フェリシア
「ええ」 通信機に答えてから、君たち4人の目を真っ直ぐに見つめる。 「それでは、お聞かせください。貴方がたは、レーゼルドーン大陸に渡り、“死神”の対処に当たるということでよろしいのですか?」
ジャン
「個人的にも、この面子で行く理由もある。俺はオーケィだ」
シャルロット
「はい。というか、他の事を言われてもそちらへ向かいたいぐらいです」
ソルティア
「えぇ。僕もそちらで良いと思います」
エリカ
「私も、構いません」
ジャン
「へェ」 エリカちゃんも二つ返事か
#フェリシア
分かりました。“死神”への対処は、貴方がたに一任します」
#アラン(通信)
「ま、そうなってくれるのを信じて俺ももう公都に戻る準備は済ませてある」
#アラン(通信)
「お前らは? 今すぐにでも出れんのか?」
シャルロット
「問題ないですよ、いつでもばっちりです!」
ソルティア
「荷物は纏めてありますから、取ってくればすぐに出れますよ」
エリカ
「私も、すぐ出れるようにしてあります」
ジャン
「今日はターニャちゃんと会う予定だったが、まァ仕方ねえな」
シャルロット
「いったい、ジャンさんいくつお付き合いがあるんです……?」 不謹慎ですぅ、という顔で
ジャン
「星の数だけ、ってなァ」
#フェリシア
「既に馬の手配は済んでいます。このあと、準備の確認を済ませたら、すぐにカシュカーンへと向かってください」
#フェリシア
ジャンにはジト目を向けつつ。
ジャン
ちぢこまります
エリカ
「……」 ジャンに呆れた視線投げつつ。
ソルティア
「………」 何となくほっこり顔でジャン&シャルを眺める。
#フェリシア
「公都内の調査はアランに、公都の防衛はマグダレーナ様に代わり、私が指揮を務めさせていただく予定です」
#フェリシア
「それと……」 ジャンの方は正体どうするの、って目を。
ジャン
「え」 俺か 「コホン」 言いそびれたから後回しにするわ、と咳払いしつつ首を少し横に振った
シャルロット
「……」 いいんですか、それで。まあいいならいいんだけども
#フェリシア
「……」 ジャンには黙って頷いて。 「他に何か確認しておくことがあれば、今のうちにお願いします」
シャルロット
「色々、お手間かけて申し訳ありませんが」 がんばってください
#フェリシア
「シャルロット様、その言葉は、あまり使わないでください。なんだか、こちらが申し訳なくなってしまいます」 最近よく言われてるし。
ソルティア
「カシュカーンについたら、そちらに連絡を入れてマグダレーナ様と合流すれば宜しいでしょうか」
#アラン(通信)
「ああ、姫さんはお前らの事を今か今かと待ってるしな」
ソルティア
「特に可愛い妹の事を待っていそうですね」 はは、と軽く笑って。
シャルロット
「それ、本当ですか……?」 なんかそういうことはいいそうにないなあ、とおもいつつ
#アラン(通信)
「口には出してねェけど、空気?」
エリカ
「……いいんですか、そんな適当なこと言って」
#アラン(通信)
「立場と状況上、口が裂けてもンなこた言えねェしな」
#アラン(通信)
「いいんだよ、本人いねェし」
#フェリシア
「私が居るけどね……」
ジャン
「ま、実の妹が来て嫌だと思うコトなんてねえだろ」
シャルロット
「……アランさんの目を信じて、急ぎ向かうとしましょう」 疑っても仕方ない
#フェリシア
「では、これで
#アラン(通信)
「あー、待った待った」
エリカ
「?」 何ぞと通信機の方見て。
#アラン(通信)
「シャルロット、お前にひとつ確認しておきたい事がある」
シャルロット
「へ? 私ですか?」 なんでしょう、とうかがいつつ
#アラン(通信)
お前、誰か疑ってる奴が居るんじゃねェのか?」
ジャン
「ン?」 どういうこった
ソルティア
「え?」 不思議顔で首を傾げて
エリカ
「? 疑う……?」
シャルロット
「……」 疑っている、ね。思うところが無くはないが
シャルロット
「それが、どうかしましたか?」 不用意にモノは言えない。伺うように返す
#アラン(通信)
「俺が一昨日の通信で、帝国の人間の話を出した時、一人だけ様子が明らかに違ったんでな」
#アラン(通信)
「通信越しだからはっきりとは自信が持てねェんだが、今からの調査でのアテにはなるかも知れねェ」
#アラン(通信)
「お前の思考と勘は、割と馬鹿にできないと思ってるんでね」
シャルロット
「……いえ、ですが……確信があるわけでは」
ソルティア
「………」 顎に手を当てて
#フェリシア
……」 そういえば、先日神殿で会話した時も、妙だったような。
シャルロット
「あまり、人を疑うという行為は良しと思いませんし……」 う、うーん
エリカ
「……それはそうだけど、それで遠慮してる状況じゃあ、ないんじゃない?」
#アラン(通信)
「言えないってんならそれでも構わねェが、もしその推測が当たってた場合、最悪の事態になりかねねェんだ」
#アラン(通信)
「元々、ほぼ最悪に近い状況なんだしな」
#フェリシア
「……無理に、とは申しません。ですが、時には人を疑う事も必要なのは、確かです」
#フェリシア
「信じたいと思うのならば、その方の無実を我々で証明すれば良いのですし」
ジャン
「とりあえず言ってみるだけ言ってみりゃァ良いんじゃねえか」
シャルロット
「……その。バッカス小父様のご様子は、いかがでしたか?」 こんな形で聞かれると思わなかったので、自信なさげに
ジャン
「……ほォ?」
#フェリシア
「……バッカス大使、ですか」
ソルティア
「……バッカス様が……ですか」 思案気に視線を彷徨わせて
エリカ
「え……」 嘘、って顔で。 「ど、どうして?」
#フェリシア
「神殿襲撃事件以後、随分とお忙しくされているようで、あまり私もコンタクトを取ることが出来ていませんが……」
#アラン(通信)
「こないだの話し合いの時も、特におかしな様子は……」 深く考えるような声音で。
ジャン
「………」 顎に手を当て
シャルロット
「い、いえ。ちょっとひっかかることがあったので違うならいいんです。アランさんが言っていた方ではないみたいですし」
#アラン(通信)
「いや、俺もあり得るならその辺だ、とは思ってたが」 多分、疑念の程度はシャルロットと同程度かそれ以下だけど。
ジャン
「……まァ、確かに言われてみりゃァ」
ジャン
「俺らがこの件に気付く発端となったのはあのオッサンたちにし向けられた仕事だった……って考え方は出来るがなァ」
エリカ
「え、ええ? でも、そんな人には……ていうか、引っかかることって、何?」
シャルロット
「死神さんが……私の正体に気付いていることと」
シャルロット
「仕事のきっかけを与えた人であり、帝国の方でありつつも保守派にご協力頂いていること、でしょうか」 特にひっかかるのは、あくまで保守派“寄り”の中立という中途半端な位置だ
ソルティア
「……ですが、それだけでは何とも言い難いですね。状況証拠でしかありませんから……」
ジャン
「まァ、ちゃんとした証拠があるなら今頃掴んでる」
#アラン(通信)
「俺たちを、最も良い位置から監視出来る場所に居たのは確かだな」
シャルロット
「でも、それだけですし……気になっていた、という領分を出ません。ですから、アランさんがおっしゃったこととは、きっと違うんです」 ぱたぱたと手を振る
ジャン
「とりあえず思ってみたこと言えっつっただけだしなァ」
エリカ
「……まあ、そうよね」 まだ決まったわけじゃなし。
ソルティア
「確かに、僕らの知っている帝国の方の中で、疑うときに一番に上がってしまうかもしれませんが……まぁ、僕らの知り合いの中に内通者がいると限ったわけでもありませんしね」
#アラン(通信)
「俺らが猟犬の一件で死神に遭った時、アイツ、他にも何か言ってなかったか?」
エリカ
「何か、って言われても……」
ジャン
「私は仕事でソレを回収しにきただけ……ぐらいしか覚えてねえなァ」
シャルロット
「猟犬の時、ですか……?」 そっちは、ええと。どうだったかな
ソルティア
「……敵は目の前のものばかりではない、とは言っていましたが……」
#アラン(通信)
「あー、そんな感じだった気がする」
シャルロット
「……目の前のものばかりではない? それが、どうしたんですか?」
ソルティア
「正確に言えば……目の前ばかり見ていてはいけない、本当の敵はすぐ傍にいるものだ……と言う感じでしたか」
#アラン(通信)
「いや、どうにもアイツが何の考えもなしに、お前らを相手してるようには思えなくてな」
エリカ
「でも……わざわざ、他でもない敵側の言うことだし……」
シャルロット
「私は、彼女はまるきり敵の思惑通りに動いているというようにも感じられません」
#アラン(通信)
「ま、隅に置いとく程度でいいとは思うぜ」
ジャン
「……ふゥん」
ジャン
「っつーことは、今回の一件もただ対面するだけとは限らない……そう考えても良いかもなァ?」
ソルティア
「……彼女は基本的に、組織には属していませんからね。何らかの指令や依頼は請けるかもしれませんが……」
エリカ
「それは、確かに……」
シャルロット
「判らない意図がまだ、秘められているようにも思います」
シャルロット
「というより……依頼や命令ではない行動を、取っているようにも思うのです」
#フェリシア
「独断での行動を取っていると仰るのですか?」
シャルロット
「いえ、行動それ自体の大筋については、その通りだと思うのですが。それを遂行するにあたっての不要な部分もまた、多くあると」
ジャン
「人が飼えるような代物じゃァねえぜ、アレは」
ソルティア
「ありえる話ではあると思います。彼女は、その……行動は、いつも自分の為に、ですから」
ソルティア
「厳密に自分だけの為、と言うわけでもないですが……まぁそんな感じです」
シャルロット
「……本当に、そうなのでしょうか」
エリカ
「……」 正直、あの子の言動は理解しかねるし、したくもないのだが。
#フェリシア
「……それは、直接対峙して初めて分かる事なのかも知れませんね」
ジャン
「……ま、ここから先は行って確かめるしかねえ」
ソルティア
「……いえ、どうなんでしょうね。分かりません……」 小さく首を横に振った。>シャルロット。
ジャン
「とりあえず敵がどこにいるかも解らねえ以上、疑っておいて事が起こった時すぐ動けるってのは悪くねえ」
ジャン
「さっきのことだけ頭に入れとくとしようじゃァねえか」
シャルロット
「……そうですね」 色々、思うところは多くあるのだが。
エリカ
「そう……ですね」
#アラン(通信)
「ああ、そっちの依頼を請けるっつったのはお前らだ。その辺を含めて、しっかり頼むぜ?」
ソルティア
「……えぇ、分かりました。そうしましょう……」
ジャン
「あいよ」
#フェリシア
「それでは、各自行動に移りましょう」
ソルティア
「……ひとまずは、レーゼルドーンへ向かって出発しましょう。出来れば早めに着きたいですしね」
シャルロット
「はい! 急いで行きましょう!」
エリカ
「……はい、そうしましょう」
#フェリシア
「アランも、出来るだけ早くこちらに。頼まれていた件については、用意はできているけど」
#アラン(通信)
「俺ァ身軽だし、ぶっ飛ばしていくからすぐに行けんぜ。シャルロットの言った事もそうだが、どうも嫌な予感が色々と拭えねェ」
#フェリシア
「ええ、お願いね」
#フェリシア
では、解散」 パン! と手を叩きつつ、フェリシアは行動開始の合図をした。
シャルロット
「……よし、行きましょう!」 がた、とたちあがって
ジャン
「………」 ふー、と息をついてシャルを見つつ。ゆっくり立ち上がる
エリカ
頷きつつ、自分も立ち上がり。
GM
フェリシアは通信機を回収して、せかせかと次の行動に移っていきました。
ソルティア
「………」 解散の合図に、一瞬反応を返さず。
ジャン
「どうした、ソルティアぼーっとしてんなァ」
ジャン
行こうとしたところを振りかえりつつ
ソルティア
「え? あ……すみません。じゃあ、出発しましょうか」 がた、と席を立って。
エリカ
「? ソルティアさん?」 ジャンに言われて様子に気づき。
シャルロット
「どうしました? ……」 そういえば、二人で話したいとかいっていたこともあったような
ソルティア
「いえ、大丈夫ですよ。行きましょう」 女性二人にはいつもの笑顔で軽く手を振り。
エリカ
「それならいいんですけど」
ジャン
「ぼーっとしてたら目当ての子に逃げられちまうぜ」
ソルティア
「はは、それは困りますね。長年追いかけているんですから」
シャルロット
「本当に大丈夫ですか……?」 心配そうに伺いつつ
ジャン
「なら、しっかり気ィ張って行こうじゃァねえか」 ソルティアの背中叩いて先に部屋出てった
ソルティア
「えぇ、少なくとも体調は万全ですよ?」
シャルロット
「……心配なのは身体ばかりじゃないんですからね?」 詳しい話はあえて聞いていなかったが、かかわりのある女性が相手なら大変だろう
エリカ
「……私が言うのもなんですけど、何か気にかかることがあるなら、早いうちに誰かに言ったほうが、いい……と思います、多分」
ソルティア
「金銭的にも困ってないですから、大丈夫ですよ」 意図的に曲解しつつ。
エリカ
「……」 ちょっとむすーっとした顔になったぞ!
エリカ
「はあ……それじゃあ、先に行ってますから」 すたすた。
シャルロット
「あ、ソルティアさん馬に乗せてください」 そんな不安げなムードを壊すべく、ぽんと手をうってソルにもちかける
ソルティア
「あ、はい、構いませんよ」 とシャルロットに答えて。 「?」 とエリカちゃんには平然といつもの笑顔を返した。
シャルロット
「道すがら魔動鎧の連携と、取り扱いについて。みっちりお話しておきます」 いい笑顔
ソルティア
「……その物凄くいい笑顔が色々気にかかりますね。エリカちゃんに相談したほうがイイカナー」
シャルロット
「全くもう……」 やや苦い笑みを浮かべながら 「ジャンさんが子供っぽい大人なら、ソルティアさんは子供だった頃を置いてきた大人です」 ぶつぶつと、エリカのようにむすっとした笑みを浮かべながら、エリカの後を追いかけていった
ソルティア
「はは……」 苦笑と共に二人を見送って。 「……やれやれ。僕も大概ひねくれ者だ」 誰もいなくなった部屋で自嘲して、外へ出て行く。

GM
男が、身につけていた眼鏡を外し、目の前の執務机の上に起き、両手を組んで小さく伸びをした。
#バッカス
なぁ、バルトくん」 ひとつため息をついた後、男バッカス・ブルフォード大使は、傍らで事務仕事に手を貸していた武官に話しかける。
#バルトロメウス
「どうなさいました、閣下」 バルトロメウスも、手を止めてペンを置き、顔を上げて声を掛けてきた男を見る。
GM
職務中にバッカスが息抜きと称して世間話を持ちかけて来る事は、決して少なくない。だが、今日の彼の顔には、何処か悽愴なものが浮かんでいるような気がした。
GM
日々、共に職務に励んでいる者だからこそ気付ける程度のその中でも、特に注意深い人間であるからこそ気付けた程のものだ些細な違いだった。
#バッカス
「……君は、幸福というものをどう捉えているかね?」 机に両腕をつくようにして僅かに身を乗り出してバッカスが問う。
#バルトロメウス
「幸福、ですか」 バッカスが突拍子のない質問を投げて来るのは、そう珍しい事ではない。
#バルトロメウス
「厳密に定義するのは難しいでしょう。個々人によって望む幸福の形などは変わってしまいます。それを掴んだとて、さらなる幸福を追求するのが人ということもあります」
#バッカス
「成程。実に君らしい、真面目な意見だと思うよ」 バッカスは口元に笑みを浮かべて微笑んだ。それは、決してバルトロメウスを蔑むようなものではなかったが、何かに対する嘲りを含んでいた。
#バッカス
「……私はね」 ふと、視線を外し、窓へと移す。窓から差し込む斜陽は、確かに美しいが、索漠としてもいた。 「悲しみや怒り、嫉みがない事が幸福だと考えていたよ」
#バッカス
「君も知っての通り、私は帝国に妻を置いて、この国に赴任して来ている。今は通信機もあるし、連絡を取るのはそう難しくはないがね」
#バッカス
「私は、彼女たちを愛しているよ。心の底からね。結婚してからは、妻の笑顔を見る為だけに努力を重ねた。子供が出来てからは、それが2倍になった。努力も、得られる対価も、ね」
#バッカス
「その気持ちは、君にも理解してもらえるだろう。何せあの溺愛っぷりなのだから」 視線をバルトロメウスへと戻し、にかっと人懐っこい笑みを浮かべた。
#バルトロメウス
「ええ、私も妻を心底愛しています。まだ子は授かっていませんが、恐らく、妻と同様に愛情を注ぐ事になるでしょう」
#バッカス
「だろうね。私も、君たちの子供が見られるのを楽しみにしているよ」
#バッカス
そこまで言うと、バッカスは両目を閉じた。口元には笑みを浮かべたままだが、先程までの笑みとはまったく違う。
#バッカス
「……けれど、世界は上手く出来ていないんだ。何もかも、ね。……君も知っての通り、私の息子は幼くして命を落とした。下らない政争のとばっちりでね」
GM
バルトロメウスは静かに存じています、とだけ答えた。
#バッカス
「その頃から、だろうね。幸福とはただ嬉しい事、楽しい事だけを享受できる事だと考えだしたいや、考えるようにしたのは」
#バッカス
「失意の中、私は妻の為に苦心し、また彼女が笑ってくれるようになった。それは本当に嬉しい事だった。彼女には、ずっと笑顔で居て欲しいと願った」
#バッカス
「……しかし、その笑顔はいつしか本当の笑顔でなくなっていたと、近頃になって思ったよ。彼女は、悲しむ事も、怒る事もなく、ただ事務的に笑っているだけに見えるようになってしまっていた。こう思っているのは、私だけなのかも知れないが」
#バッカス
今更になって、私は気付いてしまったんだ。シャルロット君たち4人が、見えない恐怖に抗いながら、何も知らぬ身で必死に戦っていくのを見てね」
#バッカス
「……私の考えは間違っていた、と。嬉しいや楽しいと言った感情は、辛く、悲しい事があって初めて心地良く感じられるものだと」
#バッカス
「気付くのが遅すぎたよ。もう少し早く気付く事が出来ていれば、違う道を歩めたのかも知れないね」
#バッカス
そこまでを口にすると、大きく、ゆっくりと、息を吐いた。
#バッカス
「少し出てくるよ。済まないが、残りの書類は任せていいかね?」
#バルトロメウス
ええ、構いません」 その時、バルトロメウスが見せたのは、僅かばかりの逡巡だけだった。
#バッカス
「ありがとう」 その感謝の言葉は、仕事を引き受けてもらった事に対するものではない。
#バルトロメウス
「閣下、お気をつけて」 それでも彼は、バッカスを引き止めず、姿勢よく礼をして、その姿を見送った。
#バッカス
「彼らの事を、見守ってやってくれたまえ」 退室し、中に居る男には聞こえぬように、小さく呟いた。

第五話 「二つの導のその先に」 了