虚ろの輪音

第三部 第二話「たったひとつの言葉」 - 07

GM
では、公城を後にして、その足で新市街へと向かう。
GM
街では、心を取り戻した人たちがあちらこちらで話し合ったりしている。
GM
時々、騒ぎのようなものも見掛けるが、神殿や軍の者たちの働きによって大きな問題にはなっていないようだ。
GM
空は依然として曇ったままで、僅かながら《虚音》も降っているが、少なくともこれだけで多くの人々が侵されるような事はないらしい。
ヤンファ
「……流石に不安、不満は解消しきれてねえなァ」 当たり前だが、と言いつつ横目で
#ルナティア
「むしろ、これで済んでいるのが不思議なくらいよ」
ソルティア
「……まだ、全て事が済んだわけではありませんからね」
#ルナティア
「神官たちや軍の人たちだって同じ被害者だったというのに、彼らもよくやるわ」
ヤンファ
「もっと混乱に陥ってもおかしくはねえしな」
シャルロット
「そうならないのは、皆の尽力だけでなく、町の人々にも各々の力があるということでしょう」
ヤンファ
「その通りだとしたら、こっちも頑張ってる甲斐があるぜ」
ソルティア
「それも、人の強さってことなのかな……」
エリカ
「……この空は、まだ戻らないんですね」 と、見上げながら。
#ルナティア
「……三つ目の中継塔か、それとも最後まで戻らないのか。……まぁ、きっといつかは戻るわ」
GM
そんな会話をしながら、かつては通り慣れた道を行き、〈宵の明星亭〉へとやってくる。
GM
虚の世界の成立直後には、エリカとソルティアに苦い記憶を刻まれた場だ。
GM
札は今だ閉店中となっているが、中からは人の気配がする。
ソルティア
「……アカシャもモニカちゃんも、ここに預けられているんですよね」 確認するように呟いて。
#ルナティア
「そう聞いてる」
シャルロット
「……どうぞ」 先に入るのは自分じゃない
ソルティア
「…………」 エリカをチラ見したり。
エリカ
「……」 閉店中の札を見て若干立ち止まりつつ。
ヤンファ
「何今更遠慮してんだよ、ほれ」 エリカとソルの背を押して
ソルティア
「あ、わ、分かってますよ」 押された。
エリカ
「っ、と……、い、いきなり押さないでくださいよ!」
ソルティア
「…………」 とりあえずノックしてみよう。
エリカ
「……はあ、もう」 溜息つきつつ。
ヤンファ
「エリカが曇った顔してるからじゃァねえか。もっといい顔見せてやれよ」
GM
中からは「開いていますよ、どうぞ」と声が帰ってくる。
エリカ
「……解ってます」
ソルティア
「……行くよ、エリカちゃん」 と声をかけて、ぎぃっと扉を開ける。
エリカ
「入りましょう、ソルティアさん」
GM
中に入ると、少し久しぶりの冒険者の店の匂い。
GM
以前、エリカとソルティアがアランと共に入った時の空気とは、明らかに違った。
GM
君たちがかつて所属し、《呪音事変》に立ち向かった当時の温かい空気だった。
ソルティア
「…………」 かつての慣れた空気に、安堵の息を漏らして。
#ギル
「……お?」
#エルシオーネ
「……皆さん」
ソルティア
「……ギルさん、エルシオーネさん」
#ギル
「……はは、なんだろうね、この感慨深い感じ」
エリカ
「……」 ああ。なんだろう。どうしてか凄く懐かしい。
ソルティア
「……お久しぶりです、お二人とも」 小さく笑って、店内に入っていく。
エリカ
「ええと、お久しぶりです……でいいのかな」 なんか。この前会いはしたんだけど。
#ギル
ああ、久しぶり。シャルロットちゃんに、青年もね」
ヤンファ
「ご無沙汰だなァ。大変な時期だってのに全然顔出せなくて悪かった」
#ギル
「……いや、今こうしてまた顔を出してくれただけでも十分過ぎる程さ」
シャルロット
「ご無事でしたか?」
#エルシオーネ
「私たち自身は、おかげ様でこの通りです。……エリカさんやソルティアさんには、大きなご迷惑を掛けてしまいましたが」
#ギル
「……頭が上がらないね」
エリカ
「ああ、いや。別に二人が悪いわけじゃないし」 うん。
ソルティア
「後遺症なども無いようで、僕としては一安心ですよ」 首を横に振って。
エリカ
「今は、平気みたいだし。良かった」
#エルシオーネ
「正直、未だに何が起こっていたのか理解出来ていない部分もありますけどね」
#ルナティア
「…………」 ルナティアはその辺に座って辺りを眺めはじめてるわ。
#ギル
「みんなこそ、本当に無事で良かったよ」
ソルティア
「はい、ありがとうございます。……また、もう少し無茶をしてくる事になりますけども」
#ギル
「……あ、そうだな。こほん」
#ギル
おかえり、みんな」 にっと笑って。
ヤンファ
「おォよ」 同じように笑って返した
エリカ
「……ただいま」 ちょっとはにかみながら。
ソルティア
「……ただいま、ギルさん、エルシオーネさん」
シャルロット
「はい、ただいま戻りました」
#ギル
「よしよし。そっちの子も、四人の友達なら我が家と思って寛いでくれていいからね」
#ギル
「もちろん冒険者登録だって歓迎だ。明日には、ウチも営業を再開するつもりだからね」
ソルティア
「はは、長い事離れ離れだった家族ですよ。姉みたいなものです」
#ルナティア
「……あ、ええ」
ヤンファ
「慣れると結構痛い返しが返ってくるから気ィつけろよ」 ルナティアは
#ルナティア
「……」 ぎろり。
ヤンファ
「なんだよそう睨むなって」 事実じゃん
#ルナティア
「フォークが無かった事に感謝すべきだわ」
ヤンファ
「お前初めて入った店のフォーク投げるつもりだったのかよ……」
#エルシオーネ
「彼女……なかなかのやり手のようですね」 フォーク的な意味で。
ヤンファ
「エルちゃんといい勝負だと思うぜ」
エリカ
「ヤンファさんが一言多くなければ、飛んでくることもないと思いますけど」
#ルナティア
「失礼な事を言われなければ投げないわ」
ヤンファ
「………」 エリカとルナが口を揃えてきた
ソルティア
「……エルシオーネさんとは案外気が合うかも……」 ぼそっ。
#エルシオーネ
「これは強敵が出現したようです。私も人気獲得の為に明日からまた活動を再開しなければ」
ソルティア
「まあ、冒険者登録はまた今度ですかね。しばらくは僕らと一緒に行動する事になりそうですから」
#ギル
「ははぁ……なるほどねぇ」 顎を指で撫でながら。
シャルロット
「そのうち、登録に来ますよ。一緒にね」 ウィンクひとつ見せて、ギルにいおう。
ヤンファ
「皆とまた冒険者の仕事、かァ……なんかそれも悪くなさそうだな」 ふっと笑って。
#ギル
「心待ちにさせてもらうよ」
エリカ
「もう大丈夫なんですか? 営業再開とか……まだあちこち混乱してそうですけど」
#エルシオーネ
「そうですね、やばいといえばやばいです」
#エルシオーネ
「ただ、やばい時だからこそ、冒険者が必要とされるものでしょう」
エリカ
「……そっか。そうだね」 そういうものだった。
ソルティア
「冒険者のいつもの仕事、と言う事ですね。見知った顔は……今はいませんが」 閉店中だし。
#ギル
「そういうこと。動ける冒険者も、多少は居るみたいだから」
#ギル
「その子らに声掛けて、順次再開さ」
ソルティア
「僕らも頑張ってきますから。この事態が終わるのも、時間の問題ですよ、きっとね」 と笑う。
#ギル
「そうだね。期待してるよ」
シャルロット
「依頼が請けられる状態になれば、私に言ってください。頼むことは山ほどありますし、正式に依頼が出れば動き易いでしょう」
#ギル
「ありがとう。でもちゃんと他の店にも分けてあげてね。うちだけに集中しちゃ非難喰らっちゃうし」
シャルロット
「それは勿論です。というか、分けられるなら分けたいぐらいで」 手を振って笑いつつ。
#ギル
「ウチだけじゃ捌き切れないくらい出てくるだろうからねえ……」
シャルロット
「でも、コネ、ってこういうときに利用するものでしょ?」 にかっ、という擬音が合いそうないたずらっぽい笑みを返して。
ヤンファ
「雑用から大仕事まで舞い込んでくるだろうからなァ」
#ギル
「そうね。世の中はコネと金よ」 指で輪っか作って冗談らしく悪い顔した。
#エルシオーネ
「ええ……世の中はコネとお金です」 こっちは大マジだ。
ソルティア
「シャルロットさん、ギルさん、悪い顔になってますよ」
ソルティア
「エルシオーネさんは真顔過ぎて怖いです……」
シャルロット
「最近、世の中にすっかり毒されてしまって」 いやだわあ、という顔で頬に手を当てる。
ソルティア
「世間知らずだったあの頃が懐かしい……」
ヤンファ
「あの頃が一番大変だったんだぞお前」
ソルティア
「苦労を背負うのは僕じゃありませんしー」
ヤンファ
「ったく……まァ」  「こんな馬鹿話できるようになって良かったぜ」
エリカ
「……ええと、それで」
#ルナティア
「……あの子たちは?」
ソルティア
「あぁ、すみません、ギルさん……アカシャがこちらに預けられていると聞いたのですけど」 後モニカも。
#ギル
「モニカちゃんとアカシャちゃん、ね」
#ギル
「うん、ちゃんと預かってるよ。身体への負担が大きかったみたいで、まだベッドから起き上がるのは辛いだろうけど、後遺症も無いみたいだし、安心してよさそうだ」
#ギル
「ただ、今はまだふたりとも休んでるだろうから、話すにしても後でまたゆっくりの方がいいかもしれないね」
ソルティア
「……そうですか」 心底ほっとした表情を浮かべて。
エリカ
「……そうですか」 ほっとした様子で。
#ルナティア
「…………」 こちらも少しだけほっとするわ。
シャルロット
「……後でお時間とって、いってらっしゃいませ」
ソルティア
「そうですね……顔だけでも見て行こうかと思いましたが」
ヤンファ
「まァ、今日は一日休みにしてもらってんだ。焦ることはないだろォよ」
#ギル
「ま、それまでに買い物とか、他に挨拶しにいく所に行っとくといいよ」
#ギル
「俺たちは今日はずっと此処に居るから、誰も居ないって心配もないしね」
ソルティア
「はい、そうします。では、あわただしくて申し訳ありませんが……」 次に行くかい
シャルロット
「そうですね……ご無事は確認しましたし」
#エルシオーネ
「はい、いってらっしゃいませ」
エリカ
「……それじゃあ、また後で来ますね」
ヤンファ
「スヤスヤ眠ってるからって変な気ィ起こすなよ?」 カッカッカと笑い
#ギル
「青年じゃないんだから」
ソルティア
「その時はエルシオーネさんからフォークが飛んでくるから大丈夫ですよ」
#エルシオーネ
「いえ、ナイフで」
ヤンファ
「こええ」
ソルティア
「もっと酷かった……」
ヤンファ
「っていうか俺もしねえよ」
シャルロット
「飛ぶっていうか、絶対それ逆手に握り締めてますよね」
#ギル
「おや、青年なら妹リストに追加すべくやりかねないと思ったけど」
#ギル
「ははぁ……」
#ギル
シャルとヤンファを見た。
ヤンファ
「詮索はよせ」 真顔
シャルロット
「なんですか?」 こっちは不思議そうに首をかしげて。
#ギル
「なーんでもないよ」
#エルシオーネ
「まぁ、手を出したらやばいということで」
ソルティア
「その時はブレードネットで」
エリカ
「そんなことしたら焼くとして、行きましょうか」
ヤンファ
「なんで仮想の話で俺が焼かれたり魔法で引き裂かれたりしてるんだよ……」
ソルティア
「まぁ仮想の話ですし。火葬かもしれませんけど」
ヤンファ
「誰が上手いこと言えっつったよ」
#ルナティア
「普段の行いでしょう」
ヤンファ
「お前もホント口出してくるなァ……!」 茶々ばっかり入れやがって
シャルロット
「楽しそうで何よりです」 ルナが生き生きしてるわ
#ルナティア
「みんなの方が楽しそうだわ」
エリカ
「……まあ、とりあえずですね」
#ルナティア
「……次は何処にいくの?」
ヤンファ
「っと、そうだなァ、俺ら全員が世話になったのは……あそこの一家か」
エリカ
「ええと……ああそうか」 ルナティアは知らないな。
ヤンファ
「俺らが世話になったランベルト家に行こうと思ってたんだ」
ソルティア
「えっと、ランベルト教授と、その子供さん達のところですね。エドゥアルトさんとアンネリースさん」
#ルナティア
「……ああ」 名前を聞けば分かるわ。
エリカ
「知ってるの?」
#ルナティア
「ランベルト・ロートシルト教授と言えば有名人じゃない。帝国のマギテック協会の副会長でしょ?」
ヤンファ
「俺ら結構凄い面子と関わってるんだぜ」 忘れてただろ
エリカ
「もう、なんか今更ですけどね、色々」 皇族とか蛮王とか老竜とか
ヤンファ
「今は在宅かわからねえが、一応行ってみようぜ」
シャルロット
「そうですね。あの方々も、多く力をお借りした面々ですし」
#ルナティア
「個人宅に私が上がっていいのかは分からないけど……まぁついていかざるを得ないわね」
ソルティア
「皆一緒なら大丈夫だよ。ほら、行こう?」
#ルナティア
「……そういう意味もあるけど、それだけじゃなくてね」 邪魔にならんかなーって。
ヤンファ
「まァ、別に気にする面子じゃァねえよ。なんだかんだあの一家も肝据わってるしな」
ソルティア
「大丈夫大丈夫、僕の家族なんだから」
エリカ
「……まあ、大丈夫じゃないかな」
#ルナティア
「まぁ、あなたたちと離れる訳にもいかないしね」 監視される立場にあるんだし。
#ルナティア
「それじゃあ、案内して」
シャルロット
「監視されているのはルナっていうより……」 ルナが、ソルをって感じでも
ソルティア
「何が言いたいんですかシャルロットさん」
シャルロット
「いえ。何も」 口に出さない分別!
#ルナティア
「?」 よくわからなかったわ。
ヤンファ
すっかり賢くなって…
ヤンファ
「とりあえず、行くぜ」

GM
さて。
GM
所は変わって、旧市街。
GM
ここもかつて、《呪音事変》にまつわる一連の事件の際に大きくお世話になった場所だ。
GM
ロートシルト家の別宅は、この旧市街にある。彼ら一家にも、幾度と無く世話になった。
GM
庭にはやはり大きな魔動機が鎮座していて、家の中からは機械を弄るような音も聞こえてきている。
ソルティア
「……今日もお元気のようですね」
エリカ
「相変わらずみたいですね」
#ルナティア
「……魔動機術、か」
#ルナティア
「……今なら、少しは素直に受け入れられるかな」
シャルロット
「魔動機術、お嫌いなのですか?」
#ルナティア
「私の両親は、魔動機師だったの」
ソルティア
「…………」 そうだったのか、知らなかった。
#ルナティア
「……あの人たちを嫌っていた時は、魔動機術も嫌いだった」
#ルナティア
「知らないのも無理はないわ。ソルが生まれてからなんて、使っていないし」 私が生まれてからもそんなにだ。使えるのは二人から継いだ才があったからだけで、教わったとかじゃない。
ソルティア
「……ん」 ルナに頷き。自分の両親が何をしてたのか、知っているようなら後で聞いてみよう。
シャルロット
「そういうこと、ですか。……私は好きですよ、魔動機術」 言わなくても判ることだが
#ルナティア
「……私も、好きになれるといいと思うわ」
ヤンファ
「……ま、良いんじゃねェか」 進歩ってやつだ
ヤンファ
「しかし、あんなこともあったし、俺に気ィ遣うだろうなァ……ちょっと滅入るが」 コンコン、と
GM
ノックをして少しすると、中から足音が聞こえ、扉が開かれる。
#エドゥアルト
「はいはいどちらさんだっと……」
#エドゥアルト
「……あんたたちか」 バツの悪そうな顔になる。
ヤンファ
「よォ」 ピッと指を立てて挨拶。前来た時と同じだ
シャルロット
「お久しぶりです」
ヤンファ
「なんだァ、元気ねえな」
ソルティア
「お久しぶりです、エドゥアルトさん」 いつも通り礼儀正しく。
エリカ
「えー、と……久しぶり」
#エドゥアルト
「そりゃ、あんな事があった後で笑顔で迎えられる奴はいねえだろ」
#エドゥアルト
「……ま、久しぶりだな」
#エドゥアルト
「来てくれて良かったぜ。入んな」
ヤンファ
「おォ、邪魔するぜ」
ソルティア
「ええ……それじゃあ、お邪魔しますね」
シャルロット
「お邪魔します」 遠慮は要らないな
エリカ
「お邪魔します」 良かったぜ、と言われてちょっとほっとしつつ。
#ルナティア
「……お邪魔するわ」
#エドゥアルト
「……何だ? 新しい仲間か?」
ソルティア
「えぇ、そうですよ」 ソル個人には家族だが言う必要もあるまい。
シャルロット
「常々、スカウトをしていたのですが、このたび正式に」
エリカ
「……まあ、そんな感じ」
ヤンファ
「愛想は悪ィが、悪いヤツじゃァねえよ」
#エドゥアルト
「そうか。アンタたちの仲間だってんなら気にしなくていいだろ。気にするのも面倒くせェ」
#ルナティア
「……そう、じゃあ遠慮なく」
エリカ
(相変わらずだなあ……)
GM
エドゥアルトに案内されて、客間へと通される。
GM
かたかたとお茶を運ぶ魔動機を久しぶりに堪能しつつ
GM
その内、ランベルトとアンネリースも客間へとやってくる。
ヤンファ
「凄いだろコレ」 お茶運ぶやつ指して
#ルナティア
「見た目以外はね」
ソルティア
「僕はいまだに慣れませんけどね……」 と言ってたらやってきた。 「お久しぶりです、ランベルト教授、アンネリースさん」
#ランベルト
「……すまない、待たせてしまったね」
エリカ
「お久しぶりです」
シャルロット
「いえ。ちっとも待ってませんよ」 まっすぐきたし
ソルティア
「いえ、こちらこそ突然お邪魔してしまいまして」
ヤンファ
「よォ。俺はまァ、久しぶりって程でもねえが」
#アンネリース
「うん、久しぶり。……その、それと、この間はごめんね」
ヤンファ
「悪ィなァ、記憶力があんまなくて嫌なことなんて忘れちったわ」 白々しく
#アンネリース
「そっか。ありがと」
#ランベルト
「状況は、ある程度だが聞いているよ」
#ランベルト
「君たちには、多大な迷惑を掛けてしまったようだ。……謝罪と感謝を」
ソルティア
「そう畏まらないでください、教授。僕らの方がずっと助けられているんですから」
#ランベルト
「そう言ってもらえると助かる。が……絶望的な状況でこれだけのことを成してくれたのは事実だからね」
ヤンファ
「まァ、“そう思える”ようになったのを見れただけで俺は十分だぜ。あんま謝ってくれるなよ」
ソルティア
「ありがとうございます。ですが、戦いが終わったわけではありませんから……またお力添え頂けると助かります」
#ランベルト
「そうか……そうだな。では、謝罪は此処までとしておこう」
#エドゥアルト
「アンネの奴が、あれで嫌われて来てくれなかったらどうしようって煩くてなァ」
ヤンファ
「オイオイ、可愛いこと言うじゃァねえか」
#アンネリース
「……兄さん。言ったけど、本人たちに言う事じゃない」
#エドゥアルト
「散々開発とやらに付き合わされた仕返しだよ」
ソルティア
「そんな事は無いですよ、アンネリースさん……そういえば、以前いただいた鎧なんですが……」 変化しちゃったてへぺろ、って話しておくわ。
#アンネリース
「がーん……」
ソルティア
「す、すみません。折角いただいたものなのに……」 恐縮なう。
シャルロット
「なに、解析したら面白いかもしれませんよ」
#アンネリース
「していいの?」
ヤンファ
「解析できる代物かソレ……?」
シャルロット
「使い物にならなければいいのではありませんか?」
エリカ
「……魔動機術とは全然勝手が違いそうだけど……」
#ルナティア
「……完全に別物になっていたみたいだから、魔動機師的には何も面白くないと思うわ」
#アンネリース
「がーん……」  「……まぁ、機会があったら、見せてもらう」
ソルティア
「……まぁ一段落ついたら構いませんけど」
ヤンファ
「………」 アンネとかのやりとり見て  「とりあえずは落ち着いてるようで安心したわ」
#ランベルト
「整理は付いていないが、何もしない訳にもいかないだろう」
シャルロット
「……」 まあ、見るならファランダレスのほうが面白いんだろうな、なんて思うけど黙っている
エリカ
「え、えーと」  「そういえば、開発とか言ってたけど、また何か作ったの……?」
#エドゥアルト
「ああ」 エリカに頷いて。
#エドゥアルト
「アンタら、【アビス】は持ってるよな」
ヤンファ
「ン、あァ」 自分のペンダントを握り
ソルティア
「いつも助けられていますよ」
シャルロット
「あ、はい。しっかり乱用させていただきまして」
#エドゥアルト
「乱用っつーなよ」
エリカ
「……」 実際この前派手にリミットブレイクしちゃったので否定できない……。
#アンネリース
「それの改良版の開発をしてた」
エリカ
「改良版……?」 今のより強化されるのか。
ソルティア
「アビスを……更に、ですか?」 おじいちゃん魔動機のことはよくわかんないよ
#アンネリース
「正確には、もうほぼ出来てたのを実行に移した、って感じだけど」
#ランベルト
「帝国の方で進められていたものでね」
#ランベルト
「皇帝陛下などは既にその規格のものを使われているはずだよ」
ソルティア
「陛下が持っていたものですか」
ヤンファ
「あァ、やっぱユリウスの持ってたモンは俺らの上位版か」 皇帝を一般人の前で呼び捨て
エリカ
「ああ、そういえば……」 何か微妙に違うのを使ってた気が。
シャルロット
「も、もっとすごいって、それは大丈夫なんですか……?」 からだのほうが
#アンネリース
「大丈夫、とは言い切れない」
ソルティア
「えぇぇ」
#アンネリース
「でも、それはただの人ならの話し」
#アンネリース
「今のみんななら、大丈夫」
#アンネリース
「そう思うから、開発した」
シャルロット
「……結構乱暴な発想ですね」
#アンネリース
「文明の発達は5割のひらめきと4割の気合と1割の努力」
#エドゥアルト
「とてもじゃねェが、ありゃ一般向けじゃない。【アビス】でさえ、結構な負担なんだからな」
ソルティア
「……ある程度の実力がないと使いこなせない、と言う事ですね」 使いこなせないと言うか使えないと言うか
ヤンファ
「ふゥん……でもまァ、これからの俺らには、必要だろ」
エリカ
「……そうですね。これからの相手に、対抗するなら」
#エドゥアルト
「付き合わされて俺の身体が悲鳴をあげてるぜ……」
ヤンファ
「っていうかお前使って耐え切れてんのかよ」 すげえな
#エドゥアルト
「全身筋肉痛だわ」
シャルロット
「あははは……」
ソルティア
「更に厳しい戦いが予想されますからね……正直に言って、ありがたい話です。……操作方法は変わらないですよね?」
#ランベルト
「基本的には変わらない」
#ランベルト
「無論、今までのものの方が使いやすいという利点はあるだろう」
#ランベルト
「改良するかしないかは、君たち次第だ」
シャルロット
「えっ」 やらないなんてありえるんですか? という顔で
#ランベルト
「もし、その負担を受け入れてでも改良型に手を出すというのならば、君たちの【アビス】を一日貸し出してくれ」
ソルティア
「シャルロットさん、せめてポーズだけでも悩んでください」
#ルナティア
「此処に居る時点で、やらないと言うような人は居ないと思うわ」
ヤンファ
「ン」 既にペンダントから元の形状に戻してテーブルの上に置いていた
ヤンファ
「いやァ、此処は迷うトコじゃァねえだろ」
ソルティア
「……まぁ、その通りだけどね」
#ルナティア
「力は、必要よ」
エリカ
「……まあ、確かにここまで来てやらないなんて言わないけど」
ヤンファ
「お前もついでにやってもらったらどうだ」
#ルナティア
「私のものもやってくれるというのなら、お願い」 差し出す。
#アンネリース
「勿論」
シャルロット
「……これからの戦いを思うなら、ここで断ることなんてありえませんよ」
ソルティア
「では、お願いします」 甲冑付属のヘッドセット状にしてたアビスを差し出して。
エリカ
「普通、詳しいリスクとかもうちょっと先に聞いてもいい気がするんだけど……まあいいか」 髪留めにしておいたのをデフォルトの形状に戻して、差し出すわ。
#アンネリース
「リミットブレイクしなければ、そんなに変わらない」
#ランベルト
「最優先は君たちのものだが、順次マグダレーナ殿下やアラン君たちにも提案するつもりだ」
ヤンファ
「あァ、嬉々として受け取るだろォよ」
#エドゥアルト
「今夜だけで五人分……こりゃ今日は徹夜だな」
ソルティア
「それで、具体的にどう機能が変わるんですか?」
#アンネリース
「はい」 仕様書。分厚い!
ソルティア
「うげ」 何か渡された……。
ヤンファ
スルーパス確定
エリカ
「……」 分厚い……。
ソルティア
また部屋の隅っこで壁向いて仕様書を読む仕事が始まる……。
シャルロット
「……」 ちらっ、ちらっ 気になる
#エドゥアルト
「そんなモン渡してまともに読む奴居るかよ……」
ソルティア
「一名ほど……」
エリカ
「そこに……」 シャルロット指差しつつ
ヤンファ
「興味津々の奴が居るぜ」
ヤンファ
「シャルにも渡してくれ」 もういっさつ
シャルロット
「ぜひ」
#アンネリース
「はい」 シャルにも分厚いの。
シャルロット
受け取ったらキャッキャしながら手に取るわ
#ルナティア
「……」 す、と手を差し出した。
ヤンファ
「何か言えよ」
#アンネリース
「はい」 ルナティアにも手渡した。
ソルティア
「ルナもかっ」
#ルナティア
「ありがとう」 そうじゃないけど何かは言っておいた。
#ランベルト
「……まぁ、簡潔に機能をまとめたものもこちらに用意してある」 簡単な説明書。
エリカ
「あ、私はそっちを貰います……」
ソルティア
「僕もそっちでいいです……」 
ヤンファ
「まァ、俺は実践で何とかするか」
ヤンファ
「………」 そっちじゃねえよ、と言いたいけど気にしないでおこう
#ルナティア
簡易仕様書です。
〈自立可動式戦闘支援システム改良型【フェイス】〉

基本取引価格:40000G(非売品)

知名度 20 形状 さまざまに変形出来る浮遊機能を備えた小型魔動機 カテゴリ装飾品:任意
概要 装備者の戦闘活動を支援する 製作時期現在
効果
スキルラーニングシステム
 装備中、任意の宣言の必要な特技をひとつ習得しているものとして扱います。
 ただし、その特技は一度設定すると変更することが出来ず、また決定段階で装備予定者が特技習得の前提を満たしている必要があります。
 また、特技の設定が完了すると同時に使用者の登録も完了し、登録者以外には扱えなくなります。

リリースポテンシャルプログラム
 装備者はポテンシャルポイント(以下PP)を「5」点入手、使用可能になります。
 PPの使用方法については『ハウスルール/戦闘関連』を参照してください。
 また、睡眠によるPPの回復の上限が、一日「5」点になります。

ライズパワープログラム
 装備者が【アタック・ゲイン】を使用する時、その効果は【アビス】の4倍となります。
 
ショックアブソーブプログラム
 装備者が【ディフェンス・ブースト】を使用する時、その効果は【アビス】の3倍となります。
由来と逸話
〈自立可動式戦闘支援システム初期型【アビス】〉の改良型です。
 元来、【アビス】はかつて存在していた魔動機文明時代のものを復元したようなものでしたが、現在を生きる者たちによって改良が施され、当時の技術を超えるに至りました。
#ルナティア
「……成程ね」
エリカ
「使い方自体は、殆ど変わりはないんですね……」 ぺらぺら。
シャルロット
「……これ、変わってることは地味でも、内容はすごいですね」 仕様書めくりつつ
#ルナティア
「筋肉痛にもなるはずだわ」
ソルティア
「今までの倍近い能力があるわけですしね……」
#ランベルト
「あまり使い勝手が違い過ぎては、馴染みづらいだろうしね」
ソルティア
「えぇ、ありがとうございます。……明日までに仕様書は読んでおきますので……」
ヤンファ
「まァ、慣れないまま実践は流石にキツいわ」
シャルロット
「まあそもそも、この改良アビスフェイスに馴染めるほどの使用者って」 すっごい限定される気はします
#エドゥアルト
「早々いねェだろうな」
#エドゥアルト
「俺は無理だ」 だるすぎる。
#アンネリース
「だからこその、理屈を越えた信念(フェイス)という名前」
シャルロット
「そのうち、使えるようになりますよ、きっと」 それだけハードに使用してたなら、身体もついてきてるんだろう
#エドゥアルト
「使えるようになってもお断りだな」 一々これと似たような負荷を貰うなんて面倒臭い限りだ。
ヤンファ
「そのうちウチの公国軍にスカウトされたりしてな」
#エドゥアルト
「一応ルキスラの人間だ、俺は」
ヤンファ
「そういやァそうだったな」 忘れてたよ
エリカ
「ええと、いつごろ取りに来ればいいですか?」
#ランベルト
「明日の正午までには、どうにか済ませておこう」
ソルティア
「明日の正午ですね、分かりました」
シャルロット
「宜しくお願いしますよ。今に限っては、全力でお願いします」
#ランベルト
「任せておいてくれ」
ヤンファ
「無理はすんなよ?」
#アンネリース
「私の辞書に無理という文字はない。魔動機術に関しては」
ヤンファ
「いやそういう意味じゃァねえって」 無茶すんなよって意味だよ
ソルティア
「凄い気合ですねアンネリースさん……」
#エドゥアルト
「本気を出すと三日くらい寝ないからな、コイツ」
ヤンファ
「魔法でもかかってんのかよ……」
ソルティア
「……て、徹夜も程ほどにしてくださいね……」
エリカ
「……ほんと、無理はしない程度にね……?」
#ルナティア
「こういう手合いには、何を言っても無駄よ」
ソルティア
「それでも一応言っておかないと……」
#アンネリース
「程々には寝る」
シャルロット
「ええ。その気合です」 共感するところがあったのか、むしろ肯定するように笑ってアンネと握手
エリカ
「煽ってどうすんのよ……」 シャルロットに呆れ気味に。
#アンネリース
「シャルロットはきっと私と同類」 気合で徹夜しまくれる。
#エドゥアルト
「ま、いざとなったら無理やりにでも休ませる」
ソルティア
「そうしてあげてください……」
#エドゥアルト
「あんま無理させるとお袋にもドヤサれるんでな」
#ランベルト
「……」 少し妻が無事なのかは気になるが、今言って不安を煽る事もない。
シャルロット
「ああ、そうだ」 思い出したように。ひとつ、お願いがあったんだ
ヤンファ
「……ン?」 なんか訊くこと残ってたっけ
#ランベルト
「何だね?」 私的な場だとシャルにも敬語なんてないわ。
シャルロット
「技術的にはランベルトさんにもご協力いただくことになりそうですが」 本命は、とアンネに目をやる
#アンネリース
「私?」
エリカ
「……?」 何を頼むつもりなのか。
シャルロット
「アンネさん。これを」 持ってきていた、昔作ってもらった剣シュヴァルツシルトを鞘に差したまま差し出す
#アンネリース
「……シュヴァルツシルト?」
ヤンファ
「………」 何かまた注文するつもりか
シャルロット
「はい。今私は、ファランダレスを持って、戦わなければならない身ですので」
シャルロット
「お返ししますでは、ありませんよ? また、お預けします」
#アンネリース
ん、分かった。預かる」
シャルロット
「ファランダレスが要らないものになった時、また、受け取りに来ますから」
#アンネリース
「必ず、取りに来て。その時には、〈ファランダレス〉を超えるような剣にしておくから」
シャルロット
「ふふ……っ、期待してますよ、アンネさん」
#アンネリース
「ん」 サムズアップ。
シャルロット
「ン」 ぐ、っと返すように、親指を立てて
ヤンファ
「いや、それ超えたら色々とマズくねェ……?」
#アンネリース
「諦めたらそこで進歩は終わる」
ソルティア
「まぁ意気込みの話でしょうから……」
#アンネリース
「進化とはあきらめない事と見出したり」
ソルティア
「そんな武士道みたいな」
ヤンファ
「………」 駄目だ、何か噛み合ってない。質の話じゃないんだ
#エドゥアルト
「やめとけ。無駄だ」
ヤンファ
「……らしいな」
エリカ
「ま、まあ、前向きなのはいいと思うけど……」 実際超えられたら困るけど。常識的に観点からして。
#ランベルト
「……まぁ、流石に〈ファランダレス〉は越えられないだろうが、それでも、かなり良い武器に仕立てあげてはくれるだろう」
シャルロット
「でも」 と釘を刺すように腰に手を当てて、先生のように言う 「とりあえず、アビスのほうをお願いしますね?」
#アンネリース
「やるべきことはちゃんと分かってる」
#エドゥアルト
「さて、そんなところか?」
ヤンファ
「あァ。話も出来たしな」 こんなとこだ
#エドゥアルト
「話が済んだなら、早速取り掛かろうぜ。早くやらねェとマジで寝れなくなる」
ソルティア
「えぇ、そうですね。あまり長居してもなんですし」
シャルロット
「ん、色々とありがとうございます」
#ランベルト
「お互い様、ということにしておこう」 ひとまずは。
#ルナティア
「そうね。【フェイス】の事はよろしく頼むわ」
ヤンファ
「また明日、だな」
エリカ
「……それじゃあ、お願いします」
#アンネリース
「うん、また明日」
ソルティア
「では、また明日伺います。今日はありがとうございました」
ヤンファ
「明日はなんか甘いモンでも持っていってやるよ」 といって立ち上がった。果物とか
シャルロット
「また明日、お会いしましょう」
#アンネリース
「期待してる」
エリカ
「じゃあ、また明日」

GM
ロートシルト一家を訪ねた後、一行は〈宵の明星亭〉へと戻って来ていた。
GM
ヤンファとシャルロットは、ギルやエルシオーネと談笑したり、軽く営業再開のための手伝いをしている。
GM
エリカとソルティアはそれぞれ、モニカとアカシャと話をしにいく。
GM
そんなソルティアの傍らには、ルナティアの姿。何とも言い難い表情をしているルナティアと共に、今アカシャが休んでいる部屋の前に立っているといったところだ。
GM
ギルの話によれば、モニカもアカシャも、先程目を覚ました所らしい。
ソルティア
「……ルナ、なんとも言い難い顔になってるよ?」 と、扉の前で苦笑する。
#ルナティア
「当然でしょ……どんな顔をして会えばいいのか分からないわ」
ソルティア
「そうかもね……でも、これからはお姉ちゃんなんだから、しっかりしてもらわないと」
#ルナティア
「はぁ……そうね」 頑張るわ。
ソルティア
そんな事を言いながら扉をノックしよう。
#アカシャ
「はい、どうぞ」 中からは落ち着いたアカシャの声がする。
ソルティア
「アカシャ、僕だよ。入るね?」 そう一言おいて扉を開けよう。
#アカシャ
「……ん」 ベッドから上半身を起こして迎えよう。
#アカシャ
「あ……」 ルナティアの姿を見て、つい声を漏らす。
#ルナティア
「……こんにちは」
#アカシャ
「……はい、こんにちは」
ソルティア
「……アカシャ、調子はどう? 痛かったり、苦しかったりはしないかい?」 そういいながら部屋に入り、ルナが入ってきたのを見て扉を閉める。
#アカシャ
「……大丈夫ですよ。多少まだ身体は痛みますけど、苦しいっていう程じゃないですし、もうしばらく休めば平気になると思います」
ソルティア
「そっか……よかった」 ゆっくりとベッドに近づいて、ぽん、と頭の上に手を乗せる。
#アカシャ
「……はい。……義兄さん、ありがとうございました」
#アカシャ
「……いくらあんな状態だったからって、私、義兄さんの事を……」 ぐ、と拳に力を入れて肩を震わせる。
ソルティア
「……いいんだ、アカシャ。こうやってまた一緒に暮らせるようになるなら……僕は、それだけで嬉しいんだから」 そっと背中に手を回し、アカシャの身体を抱き寄せる。
#アカシャ
「ん……」
ソルティア
「……まだ、今までどおりに暮らせるには時間がかかるだろうけど。ごめんな、いつも寂しい思いをさせて」 ぽんぽん、と背中を叩いて。
#アカシャ
「ううん、いいんです。……今回のことで、改めて思いました」
#アカシャ
「離れてても、血が繋がっていなくても、私たちは家族として、ちゃんと繋がっているって。だから、寂しいなんて事ありません」
ソルティア
「……うん、そうだね」 もう一度ぎゅっと抱き寄せて、身を離す。
#アカシャ
「……その人が、義兄さんの探してた人、なんですよね」
ソルティア
「うん……そうだよ。彼女がルナティア、僕と……同じ村に住んでた、僕のもう一人の家族」
#ルナティア
「そして、八年前にあなたの両親を殺した者よ」
#アカシャ
「……」
ソルティア
「…………」 アカシャの肩に手を置いたままルナを振り返り。
#ルナティア
「それに、アレクサンドリアたちと共謀して、何度もあなたを利用した、あなたにとっては、最悪の相手」
ソルティア
「……ルナ、そういう言い方は……」 困ったように眉を下げて
#ルナティア
「いいのよ」
#アカシャ
「……あなたの姿には、覚えがあります」
#アカシャ
「義兄さんに保護された時の事も、神殿襲撃事件の時に、朧げながらにあなたのような人を見掛けたことも、昨日、あの場に立たされた事も」
ソルティア
「…………」 我知らず、肩においた手に少し力がこもる。
#アカシャ
「……そういう事を考えていくと、あなたは私にとって、最悪な相手なのかも知れません」
#アカシャ
「でも……」
#アカシャ
「私は、そうは思いません」
ソルティア
「……アカシャ……」
#ルナティア
「…………」
#アカシャ
「誰かの命を奪う事は、決して、肯定出来る事ではありません」
#アカシャ
「でも、私は……今の私は、あなたが居なければ此処に存在しなかった」
#アカシャ
「あなたが居なければ、今の義兄さんも居なかった。あなたがあの人たちの元から私を解放してくれなければ、私はこうして家族の大切さを噛み締める事も出来なかった」
#アカシャ
「それは、絶対に曲げようのない事実です」
#アカシャ
「……だから、そんな目をしないでください。そんな悲しい言葉を、口にしないでください」
#アカシャ
「私があなたに一番いいたい事はありがとう。ただ、それだけです」
#ルナティア
「っ……」
ソルティア
「……ルナ、君の……僕達がやってきた事は、全てが悪い事ばかりじゃないよ」
ソルティア
「間違っていたかもしれない、肯定出来ない事かもしれない……でも、こうして許してくれる人がいて、感謝してくれる人がいる」
#ルナティア
「…………本当、ソルに似たのね」
ソルティア
「そうだよ、ルナ。アカシャは、僕の義妹で……君の、義妹なんだ」
#ルナティア
「……そうね。……こんな子と、姉妹になれるのなら、それはきっととても良いこと」
ソルティア
「……アカシャ……ルナはこんな風に、素直じゃなくて不器用な子だけど……僕らの家族だって、認めてくれるかい?」
#アカシャ
「はぁ……義兄さん」
#アカシャ
「ダメですよ、そんな事じゃ」
ソルティア
「うっ」
#アカシャ
「義兄さんのお姉さんなら、私の義姉さんに決まってるじゃないですか」
#アカシャ
「もっと胸を張って、当たり前の事のように言えばいいんですよ」
ソルティア
「はは……そうだね。ごめんごめん」 照れたように笑って頭を掻く。
#ルナティア
「……この子からも、そんな扱いなのね」 ふっと笑って。
ソルティア
「出来すぎた義妹だよ、本当に。育ててたと思ったら、いつの間にか教えられる方になっちゃった」
#ルナティア
ルナティアよ。これから、あなたの義姉になるわ」 そう言って、アカシャに手を差し出した。
#アカシャ
「アカシャです。よろしくお願いしますね、義姉さん」 その手をしっかりと握って微笑んだ。
ソルティア
「…………」 その様子を、小さな微笑を浮かべながら見つめて。
#アカシャ
「……殆ど、先生の受け売りなんですけどね」
#ルナティア
「先生……アレクサンドリアのことね」
#アカシャ
「違いますよ、義姉さん」 ふるふると首を横に振る。
#アカシャ
「ベアトリス先生です」 人差し指を立てて。
ソルティア
「……先生、か。彼女も、ちゃんと帰ってきてもらわないとね」
#アカシャ
「はい。私は、まだまだ先生から教えてもらいたい事が沢山ありますから」
ソルティア
「……やっぱりアカシャが一番しっかり者だね、うちの家族は」 くすり、と笑い。
#アカシャ
「でも、先生を連れ戻す力は、私にはありません」
#アカシャ
「……だから、二人に任せます」
#ルナティア
「……どうやらそうみたいね。敵わないわ」
ソルティア
「うん。ちゃんと連れ戻してくるよ。任せておいて」
#ルナティア
「約束する。あなたの日常を、必ず取り戻してみせるわ」
ソルティア
「でも……今はもう少しだけ、三人で一緒にいよう」 向かい合う二人の頭をそっと抱きしめて。
#アカシャ
「ん……」
ソルティア
「やっと、こうやって……皆で会う事が出来たんだから……」 浮かんだ一滴の涙は、けして悲しみのものではない。
#ルナティア
「そう、ね……」 瞳を閉じて、じっくりとその感覚に浸る。

GM
同時刻、エリカはアカシャの部屋の隣の、モニカが休んでいる部屋の前に立っていた。
GM
モニカももう目を覚まし、君の来訪を待っているはずだ。
エリカ
「……」 ふう、と。扉の前で一呼吸し。ノックする。
#モニカ
「開いてます、どうぞ」
#モニカ
モニカの声も、大分落ち着いている。調子のよさそうな時の彼女の声だ。
エリカ
「ん。入るね、モニカ」 返事を聞けば、扉を開き。
#モニカ
「うん」
#モニカ
扉を開けると、モニカはベッドの上で上半身を起こして、外を眺めている所だったらしい。
#モニカ
顔を入り口の方へと向けて、はにかんでエリカを迎える。
エリカ
「調子、良さそうね。安心した」 微笑んで、ベッドの傍に。
#モニカ
「おかげ様で。というよりも……不思議なくらいに調子がいいの」
#モニカ
「あんな事があったっていうのに……身体の重さも、全部取れた感じっていうか……」
エリカ
「……不思議なくらいに?」 それはそれで、少し不安に思うところもあり。 「……その。記憶の方とか、そういうところで、違和感とかあったりは、ない?」
#モニカ
「……大丈夫。記憶も、かなりはっきりしてるの」
#モニカ
「……明星亭で、アランさんを刺しちゃった事も、中継塔で姉さんたちの前に立った事も、その時姉さんが掛けてくれた言葉も」
エリカ
「……」 よくないことは、忘れていてもいいと思っていたけど。 「……そっか」
#モニカ
「……うん、今度、アランさんにもちゃんと謝らないとね」
エリカ
「あれは……、別にモニカが悪いわけじゃない。《虚音》が、そうさせただけなんだから」
#モニカ
「……それでも、だよ。私、一番大事な事は忘れないって姉さんと約束したのに……あんな事になっちゃったんだもん」
#モニカ
「そんな中で、姉さんやアランさん、ソルティアさんにヤンファさん、シャルロットさんたちは頑張り続けてくれたんでしょ? それなら、お礼も謝罪も、ちゃんとしないと」
エリカ
「モニカ……。でも、本当に、モニカは悪くなんかないんだから。気に病んだりしなくて、いいからね」
#モニカ
「うん、ありがとう。そう言って貰えるだけで、すごく気が楽になるよ」
エリカ
「アランさんだって、あのことで、モニカのこと責めたりは、しない筈だから。……うん。でも、お礼は、そうね。今度、二人で一緒に言いに行こうか」
#モニカ
「……そうだね、そんなに話した事はないけど、そういう人だと思う。そうじゃなければ、姉さんがそんなに信頼するような事もないと思うし」
#モニカ
「お願い。一人じゃやっぱり……少し不安だしね」
エリカ
「……まあ、普段は凄いおちゃらけてるんだけどね、あの人」
#モニカ
「……ほら、そういう人程真面目になれば、みたいな」 あるじゃない。そういうの。
エリカ
「そうだけど……まあ、うん……もうちょっと普段も真面目にしてて欲しいけど」
#モニカ
「そのおちゃらけてる所も魅力なんじゃないの?」 悪戯っぽくそう言ってから、表情を少し引き締める。
#モニカ
「……あのね、姉さん」
エリカ
「ど、どうかな……私は別に」 そうは思わないけど、と言おうと。 「……何?」
#モニカ
「わたし、ずっと姉さんに言いたかった事があるの」
#モニカ
「……今までは、言ったって、わたしなんかじゃどうにも出来ないからって、言うのを止めちゃってたけど」
エリカ
「……ん」
#モニカ
「どうにも出来なくても、言いたいの。今回のことで、はっきりそう思った」
エリカ
「……」 黙って聞こう。
#モニカ
「……さっき、わたしにあんまり気に病むなって言ったけど、姉さんこそ、一人でなんでも抱え込まないで」
#モニカ
「わたしが原因なのは分かってる。それで姉さんが、ものすごい苦労したのも、分かってる」
#モニカ
「わたしに話したところで、わたしに出来る事なんて知れてるし、どうにもならないのも分かってる」
#モニカ
「それでも、一人で抱え込まないでほしい。辛い事や悲しい事があれば、わたしに話して欲しい」
#モニカ
「わたしが負担になってるなら、それも全部言って欲しい。……そういうことを、ずっと言いたかった」
エリカ
「……」
#モニカ
「今までは、それを受け止められる自信が無かった。……きっと、はっきり言われてたら自分を見失ってたと思う」
#モニカ
「でも、今は違う」
#モニカ
「私は、どれだけ嫌われたって、家族として、姉さんの事が好き。だから、何も出来なくても、死に物狂いで出来る事を探してみせる。そういう覚悟が出来たから」
エリカ
「……理由は、たくさんあるの」
#モニカ
「ん……」
エリカ
「モニカに心配掛けたくないとか、姉として良い格好したいとか」
エリカ
「そうしてやってくうちに、そうでなくちゃって、意地にもなったりとか」
エリカ
「それで、ホントに辛くなっても……、弱音と一緒に、モニカに、酷い言葉を投げかけてしまうんじゃないかって……それも、ずっと、凄く怖かった」
エリカ
「だから、モニカの前でだけは、絶対弱いところは見せないようにって、ずっと」
#モニカ
「……そっか」
#モニカ
「……やっぱり、姉さんはお母さんによく似てるね」
エリカ
「……お母さん、に?」
#モニカ
「そうやって、家族の為に自分を抑えこんでまで無理が出来る所。……無理をするところ、とも言うけど」
エリカ
「……ああ、そっか。……お母さんも、こんな気持ちだったのかな」
#モニカ
「……きっとね」
#モニカ
「……でも、わたしも、今度は絶対に失いたくないから」
#モニカ
「姉さんには、そこまでの無理はして欲しくないし、させない」
#モニカ
「……家族の前でくらい、弱い所を見せてよ。……たとえ酷い言葉が出ちゃったって、姉さんがわたしのことをしっかり見てくれてるのなんて、分かるから」
エリカ
「モニカ……」
エリカ
「……ごめん。ずっと、心配掛けて」
#モニカ
「……ううん、わたしこそ、ちゃんと受け止める覚悟が持てなくて、負担ばかり掛けちゃって、ごめんなさい」
エリカ
「ううん。……ありがとう、モニカ。……いいかな、これからは弱音、吐いても」
#モニカ
「……勿論だよ。しっかり、聞くから」
#モニカ
「……それと、ベアトリス先生にも、いつか二人で文句を言ってあげよう」
#モニカ
「まだまだ教えてもらいたい事がたくさんあるのに、それを放り出すなんて怒りますよって」
エリカ
「うん。……私、馬鹿だからさ、また、一人で無理しようとするかもしれないけど、その時は、遠慮無く、言ってやってね」 私に。抱え込むなと。
#モニカ
「ふふ、任せて」
エリカ
その答えに頷き。 「…………ベアトリス先生、か」
#モニカ
「わたしたちにとっては、アレクサンドリアだとか、女神様だとか、そういうのの前に、あの人はベアトリス先生だよ」
エリカ
「……そうだね。“ベアトリス先生”に。文句、言ってやらないとね。思いっきり」
#モニカ
「うん、だからお願い。あの人も、連れ戻してあげて」
#モニカ
「わたしもその為に出来る事があればなんでもするから」
エリカ
「……解った。絶対、連れ戻してくる。ベアトリスさんを」
#モニカ
「……ん、信じてる」
エリカ
「出来ること……」   「……それじゃあ、モニカ。お祈り、してて」
#モニカ
「お祈り?」
エリカ
「“ベアトリス先生”に。《虚人》じゃない、本当のモニカの気持ちで、祈ってて」
#モニカ
分かった、任せて」
#モニカ
「それなら、届かせるよ。必ず」
エリカ
「……うん。お願い」
エリカ
「……それじゃ、約束しよう」 と。右手の小指差し出して。
#モニカ
「……ん」 す、とこちらも右手の小指を差し出して。
エリカ
「ん」 小指と小指引っ掛けて。
エリカ
「ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼん、ね」
#モニカ
「ゆびきった、と」
エリカ
二人で言って、指離し。 「ん。よし」
#モニカ
「ふふ、姉さんとこんな風に約束するの久しぶりだね。……絶対に守らないと」 大事そうにその小指を抱えて。
エリカ
「……そうだね。久しぶり。……大丈夫、私も、絶対守るから」 同じような仕草をして。
エリカ
「……うん、絶対、大丈夫だって。モニカと約束したら、そう思えてきた」
#モニカ
「……ん、わたしも」
エリカ
「……さて。今日は、私もここに泊まろうかな。モニカと話したいこと、沢山あるし」
#モニカ
「うん、そうして。わたしも姉さんに聞きたいことも、話したいこともいっぱいあるから」
エリカ
「ん」 と頷いて。

GM
こうして、休息の時は急ぎ足で過ぎていく。
GM
次に向かうは、ルキスラ帝都が中継塔《インペリアル・センダー》。
GM
そこで待ち受けるのは、果たして希望への道か、絶望の断崖か。
GM
世界を取り戻す為の戦いはいよいよ佳境を迎える。

第二話 「たったひとつの言葉」 了