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技術

魔動通信

《虚ろの輪音》では、ソード・ワールド2.0(以下SW2.0)の一般的な世界観と比べて技術が多少進歩している環境として扱います。
 とはいえ、基本的な生活に大きな変わりはありません。しかし、生活に密着したものの中で非常に大きな役割を果たしている技術があります。
 それが魔動通信技術です。

 ユリウス・クラウゼの主導によるアル・メナス期の遺跡の大量発掘により、元々魔動機術研究の総本山と言えるルキスラ帝国は、さらに水準の高い技術を得るに至りました。
 諸外国から一番注目を浴びるのはやはりその飛行船の生産技術及び所有している飛行核の数ですが、国民たちが最も厚い恩恵を受けているのは飛行船ではなく、「魔動通信」でしょう。
 魔動通信というのは、魔動機文明時代のマジックアイテム〈通話のピアス〉と魔動機術【テレグラフ】の応用によって造られた通信機による音声の送受信による通話技術です。
 遺跡発掘の副産物として大量に出土したマギスフィアを加工し、それを組み込んだ小型の機械を「通信機」と呼びます。
 通信機は、音声を認識すると「魔動波」と呼ばれる目に見えぬ波を発し、それが各地に建設された「中継塔」を経由して、任意の通信機の元へと魔動波を届け、受信先の通信機がそれを音声へと変換し、通話が成立します。
 中継塔というのは、その名の通り遠距離に魔動波を届ける為の中継地点として建設された建物の事で、現在ではルキスラの主要都市のほとんどに設置されています。
 魔動通信の特筆すべき点は通話のピアスのように時間制限が厳しくなく、テレグラフと違って専門的な技術を必要としない所にあります。
 その上通信機は小さめのマギスフィアよりも安価であり、ルキスラの都市部に住まう人々は現在ではほぼ全員が通信機を所有しています。
 唯一の欠点として中継塔がない土地では機能しない事ですが、中継塔は帝国によって各地に敷設されてきており、近々ダーレスブルグ公国の主要都市にも建設計画が持ち込まれる予定です。

 ここまで語りましたが、現代社会における携帯電話といえばイメージは簡単に伝わるかと思います。

自立可動式戦闘支援システム

 PCたちに大きく関わる技術のひとつとして、〈自立可動式戦闘支援システム〉が挙げられます。
 これも、魔動機文明時代の遺産によって生み出された技術で、その名の通り装備者の身体能力などを向上させ、その戦闘行動をサポートします。
 その性能は凄まじく便利で、戦闘においては万能とも言える性能を誇りますが、その分値段も高く、何より数が少ないため、帝国、公国の一部の将校や名の知れた冒険者程度しか所持していません。

 使用者はまず、登録を行います。
 登録を行うと、システムが登録者の生体情報を記憶し、その後はその情報を元に認証およびサポートを行えるようになります。
 システムの仕組みとしては練技(体内に流れる魔力を利用して、肉体を強化する技術)を魔動機術でさらに強化するといったもので、起動することで装備者は身体に眠る潜在能力を引き出すことが可能になります。
 普段使用していない能力を引き出すことになるため、その負荷は強く、上手く使いこなす為には相当な修練が必要です。

 現在使用されているのは、〈自立可動式戦闘支援システム初期型〉、通称【アビス】と呼ばれます。
 まだまだ開発初期の段階であり、これからの研究での機能向上や大量生産による価格低下が強く望まれています。