舞台設定

用語集

虚音(うつろね)

 15年前のセフィリア神聖王国での《虚音事変》の際に響き渡った音を指します。
 この音を聞いた人々は次々に体調不良を訴えましたが、その音の正体は未だ掴めておらず、その音が人体に影響を及ぼしているという科学的な根拠はありません。
《虚音》という名称は音を聞いた人々が、心が空っぽであるかのように無気力になってしまったという所から来ています。

虚人(うつろびと)

 上記の《虚音》に侵され、無気力になってしまった状態、またはそうなった人間を指します。
 影響を強く受けた者の中には、15年前から現在に至るまで未だ廃人となっている者も存在します。

シャンリーク家の家訓

 一の刃『主を支える刃で在れ』
 二の刃『慈しむ心を忘れぬ刃で在れ』
 三の刃『苦境でも折れぬ刃で在れ』
 四の刃『己が一の生を持つ刃で在る事忘れる勿れ』

シャンリーク閃刀術(せんとうじゅつ)

 代々シャンリーク家に伝わる剣術で、複雑な工程から鍛え上げられた刀剣による、風をも両断する一太刀から生まれたものです。
 元々は護衛が主から離れずに相手を攻撃する為に編み出したものとされ、その根幹には居合いの技術が用いられたとの話も伝えられています。
 幾年の時を経てその剣技の体系は伝えられ続けてきましたが、一つ一つの習得が非常に困難な為に、奥義皆伝まで至った者は二人しかいないと言われています。
 また、現在ではシャンリーク家の者のみが知る部分と、そうでない部分が存在します。それは【シャンリーク閃刀術】に二通りの“型”があるということです。
 その二つの型を習得した上で、ようやく奥義の皆伝への一歩を踏み出すことが出来るのです。

『表の太刀』

 二通りの『型』のうち、一つはシャンリーク家で“表の太刀”と呼ばれる、所謂“遠当て”とされるものです。
 近接武器である剣から斬撃を飛ばすという珍しい戦術から、シャンリーク家を知る者・一目見た者であればこの剣技を知っていることが多く居ます。
 その有用性から真似て自らの技にしようと企む者も少なくないものの、断念する者が後を絶ちません。

(該当秘伝:《地這刃》など)

『裏の太刀』

 もう一つは“裏の太刀”と呼ばれ、その言葉からも解るように関係者以外で知る者は殆どいない剣技です。
 原理は遠当てを近接で用いるという単純なものですが、元々の技術とその運用の困難さから扱える者は少ない上、目にも止まらぬ速度で放たれる為にその存在は知られることがありません。  また、稀に“表の太刀”の過程を飛ばしてこの技に至る者もいると言われています。

(該当秘伝:《瞬刃》など)

刃狼(じんろう)

 シャンリーク家において、ある条件を満たしたものが名乗ることを許される通り名です。
 一部の者の間では、シャンリークと聞けばこの通り名を連想し、その名を轟かせたのは先代当主でありヤンファの亡き父であるフーロン・シャンリークです。
《刃狼》に至るには、シャンリークに伝わる四ヶ条の家訓を守る人物でなければならず、また、それと同時に主を護るための相応な実力を有している必要があることは言うまでもありません。
 しかし《刃狼》に至るために、必ずしも【シャンリーク閃刀術】の奥義を皆伝していなければならないということではありません。

中継塔

 超遠距離での魔動通信を成り立たせる為の中継施設です。
 魔動通信機は小型で持ち運びも容易ですが、その分出力に劣り、思うように離れた場所へ魔動波を届けることができません。しかし、その途中で中継塔に魔動波が到達し、増強され、送り先へと届けることでより離れた場所との通信が可能となるのです。
 中継塔は、巨大な魔動通信機と言うべき施設であり、同様にここから各魔動通信機へ連絡を送信することも可能です。
 中継塔は、現在ルキスラ帝国の主導のもと、ザルツ地方の各地の都市を中心に敷設が進んでいます。
 ダーレスブルグ公国の首都にもつい最近になって中継塔が建造され、公国では現在爆発的な速度で魔動通信が普及してきています。

魔動通信機(まどうつうしんき)

〈通話のピアス〉と魔動機術【テレグラフ】の応用によって開発された遠距離間連絡用機器です。通常、通信機と省略されて使われます。
 ルキスラ帝国の大規模な遺跡発掘の副産物として大量出土したマギスフィアを加工し、それを小型の機械に埋め込んで製造します。
 音声を認識すると、それを後述の魔動波と呼ばれる不可視の波に変換・発信し、それが中継塔を経由して、通信先の機器へと届けられて再変換が行われて通話が成立します。
 通信機は安価であり、専門的な魔動機術の知識も必要のないことから、庶民の間にも広く普及しており、ルキスラ帝国の都市部では殆どの市民が通信機を所有し、日々の生活に役立てています。

魔動波(まどうは)

 空間のマナの変化と、磁場などの空間の性質の干渉によって生じる波動です。
 大気中のマナと同様目に見えることはなく、余程強いものでなければその他五感でも感じ取ることはできません。
 通信機の機能によって、この魔動波と音が相互に変換されます。音波よりも遥かに速度が速く、それでいて遠距離にも伝導しやすいという特性を持っており、それが魔動通信を成立させる大きな要因となっています。