虚ろの輪音

第二部 第五話「蒼の叡智、灰白の花」 - 06

GM
翌朝。
GM
カエルレウスに礼を言い、彼とまた会う事を約束して、彼の元を出立する。
GM
君たちは一度、駐屯地へと戻る手はずになっていたはずだ。
GM
順調に進んでいれば、君たちが戻る頃には丁度竜槍山脈の麓に本軍がたどり着いているだろう。
GM
相変わらず、空は灰色で、周囲には〈ヴァニタス〉が不気味に咲き誇っている。
GM
君たち四人の胸には、何か嫌な予感特にシャルロットは強く気配を感じるだろうが渦巻いていた。
GM
そんな折、シャルロットの懐で鳴るはずの無いものが音を立てる。
GM
聞き慣れた音だが、ここ数日の間は聞く事が無かった魔動通信機の着信音。
シャルロット
「……?」 何でこれに着信が入っているんだ?
ヤンファ
「ン?」
シャルロット
おもむろに取り出して出てみる
エリカ
「通信機……?」 あれ、まだ圏外……だよね。
ヤンファ
「此処は圏内だったかァ……?」
ソルティア
「……? 通じないはずでは……?」
GM
ザ、と軽くノイズが入った後、男の声が聞こえて来る。
#アラン(通信)
……通じやがったか」
シャルロット
「もしもし
#アラン(通信)
「俺だ、アランだ」
シャルロット
「……あれっ、アランさん? どうしたんですか、通信なんて。というか、どうして繋がるんです?」 近くにいるのかしら
エリカ
「確かある程度近くに居れば通じるはずですけど……って、アランさん?」
ヤンファ
「………」 何か、このタイミングで通信はいい予感がしない
#アラン(通信)
「近くには居ねェ。どうして繋がるかも分からねェ。だが……もしかしたら繋がる理由があるんじゃァねェかと思ってな」
エリカ
シャルロットに向けてオープン会話にしろよ的仕草しつつ。
シャルロット
「繋がる理由がある? ……電波を、発着信させている何かがあるとでも?」 エリカに睨まれてすぴーかーに
#アラン(通信)
「……ああ。全てが繋がってんなら、この辺りにその準備が整えられててもおかしくはないと思ってな」
#アラン(通信)
「ったく、嫌な予想ばかり当たるもんだな」
エリカ
「中継塔の代わりがあるっていうんですか?」
ヤンファ
「……いや。そんな良いモンじゃァねえんだろ」
#アラン(通信)
「考えられるのは、それくらいだが……今のところお前たちもそんなのは見かけてない、よな」
エリカ
「そりゃあ、そんな目立つものがあれば解りそうなものですし……」 もちろん見ていない。
ソルティア
「中継塔なんて、目立つものですからねぇ……」 きょろきょろと辺りを見回し。。
ヤンファ
「っつーか、何で試そうと思ったんだよ」 繋がるかどうか
#アラン(通信)
「言ったろ。今までの事件全てが繋がってんなら、今じゃなく、もっと以前からこの辺りにそういう準備がされててもおかしくはないんじゃねェのか、ってな」
シャルロット
(それ)は見ていません。がもうすでに見えている、可能性も」
#アラン(通信)
「もう既に見えてる?」
ヤンファ
「………」 まさか、とは思うが。いや、それが本当に“音”であるなら……そうなのか?
エリカ
「見えてる、って……でも、それらしいものは全然……」
シャルロット
「モノがないなら無いと考えれば、ヴァニタスなんかが中継器としていかがですか……?」
ソルティア
「……まさか。音を……?」
ヤンファ
「……お前もそう考えるか」
#アラン(通信)
「……ああ、その可能性も十分に有り得る、と俺も思って、ランベルト教授に調べて貰ったんだ」
ヤンファ
「相変わらず読みのいい奴だなァ」
#アラン(通信)
「確かに、似たような力の“波”は感知出来た。が、ヴァニタスだけだと通信を中継するのは不可能だろうって事らしい」
ヤンファ
「……あァ、そうか」 “音”だけじゃあ駄目、だな
エリカ
「……ヴァニタスだけだと、ってことは、じゃあ、他の何かがあればいいってことですか」
#アラン(通信)
「ああ。それこそお前の言った中継塔とかな」 例え簡単な造りのものであっても
ソルティア
「ヴァニタスの効果を増幅するようなもの、でしょうか……?」
シャルロット
「つまり、まだ何かある、と」 何がまだ隠れているんだ
シャルロット
「こちらからも報告しましょう」 と、ヴァニタスの本質について手短に説明しよう
#アラン(通信)
「……成程な。そりゃ似たような波が観測出来るはずだぜ」
#アラン(通信)
「いよいよ、話が繋がって来たか」
#アラン(通信)
「……ま、それは置いといて、だ」
#アラン(通信)
「シャルロット、お前の身体はどうなった」
ヤンファ
「……っとォ、そうだったな」
ヤンファ
「聞いての通りだと思うが」
#アラン(通信)
「ばっちり万全、って事でいいんだな」
エリカ
「まあ、何かそうみたいです」
シャルロット
「ン……ヴァニタスから力を取り込んで、という少々荒療治な解決方法でしたが、ばっちり全快です」 
#アラン(通信)
「そりゃ結構……なのかは分からねえが、この状態でお前が動けるようになったのは大きい」 よしとしておこう。
ヤンファ
「その後に事合って交戦したが、それも難なくこなしたぜ」
ヤンファ
「で、用件はなんだよ」
#アラン(通信)
「んじゃァ、次はこっちの状況を報せるぜ」
シャルロット
「と、はい、お願いします」
エリカ
「何かあったんですか?」
#アラン(通信)
「今本軍は、セラシエ湖の手前辺りまでやってきてる」 セラシエ湖についてはルルブⅡ参照だが、まあ霧の街の置くの湖群の一つだと思えばいい
#アラン(通信)
「そこまでは順調だった。体調不良者は数を増やしてたがな」
#アラン(通信)
「が、そこで大きな問題が起きた」
#アラン(通信)
「何も無い所から、蛮族の大群が湧いて出てきやがった」
ヤンファ
「……はァ?」
ソルティア
「何も無い所……から?」
エリカ
「……は?」
#アラン(通信)
「……気配を隠してたとか、何処かに隠れてたとかそういうんじゃねえ。文字通り、何も無いはずの空間から現れたんだ。まるで何処かからテレポートでもしてきたみたいにな」
#アラン(通信)
「さらにそいつらは、全員虚ろな目をしてると来た。《呪音事変》の時の兵士たちみたいにな」
#アラン(通信)
「その数が結構なもんでな。今はその対処をしつつ、霧の街以南の一般人たちを公都とかまで避難させてるって状況だ」
#アラン(通信)
「言った通り、相変わらず体調不良者も増え続けてる。……幸い、蛮族軍の練度は大した事ないがな。いや、練度じゃなくて、ありゃこっちを積極的に襲うつもりは無いってだけだな」
シャルロット
「……それは」 もう、原因はきまったようなものではないのか
ソルティア
「……公都にまで、ですか」 かなり押し込まれることも考えてるってことか。
ヤンファ
「何もない処から……亡霊じゃァねえだろうなァ」
エリカ
「でも、アンデッドなら解る人がみればそうと解りますよね」
#アラン(通信)
「ああ、アンデッドなら俺だって分かる。が、アレはそういう類のモンじゃねェ」
#アラン(通信)
「それと、シャルロットに調査を頼まれてた件だが」
#アラン(通信)
進んでない。人間の調査が、じゃなくて〈ヴァニタス〉の調査そのものがな」
#アラン(通信)
「ユリウスがひとまずセラシエ湖前までの進軍を優先する事を提案し、本格的な調査を後回しにしてる間にこの蛮族軍の出現って訳だ。此処まであからさまだと、俺たちがそう疑う事も狙いなんじゃないかってレベルだな」
シャルロット
「進んでない……? 妙な言い回しですが、そんな時間も取れないということですか?」 
ソルティア
「……軍でヴァニタスを調べるつもりがない、と言う事ですか……?」
#アラン(通信)
「そんな時間を取らない、与えない、ってこった」
エリカ
「それは……」
ヤンファ
「しっかし、操られててもそんないきなり出て来れるモンかよ……」 もはや意味が解らん
#アラン(通信)
「……っは、オイオイ、ヤンファ」
ヤンファ
「あン?」
#アラン(通信)
「お前らは何度も見てるんじゃねェのかよ、目の前にいきなり出てきて、消える奴をよ」
ヤンファ
エリカ
「……」
ソルティア
「………」
ヤンファ
最早ご同類、ってかァ」
シャルロット
「……?」 ん、あれ、みんな判ってる感じ?
エリカ
「……いや、なんで解ってないのよ」 おい。
#アラン(通信)
「あのルナティア(チビ)だよ。思い出して見ろ」
シャルロット
「別にちっちゃくは……なにをですか?」
ヤンファ
「……オイオイ、お前肝心なトコで……」
#アラン(通信)
「アイツがいつも、どうやってお前たちの前から消えていったか」
シャルロット
「……」 眉を寄せて思い出す。
エリカ
「だいたい、昨晩だってあの子がどうやって去っていったか」 思いだせよ!
エリカ
「……私も何か、出鱈目なのに慣れてきたからあんまりどうこう言わなかったけど……」
#アラン(通信)
「……あん?」 昨晩、とな。
エリカ
「あ」 やべって顔した。
ヤンファ
「おォっと、今それどころじゃァねえだろ」 きこえないきこえない
#アラン(通信)
「……あー、良い。何かお前らにそれに関して突っ込むのはもう無粋な気がしてきたわ」
ヤンファ
「アレに関しちゃ、最初は俺も魔法か何かの類だと思ったがな」 話を戻す。
ソルティア
「……昔は、あんな事は……」 無かったよね?
GM
無いね。
シャルロット
「えっ、あれって単に極まった隠形だから、私が認識できてないだけなのかとおもっていました!」
#アラン(通信)
「おいィ?」
ヤンファ
「俺でもできねェぞアレは」 斥候だけど
ソルティア
「いや、隠れるにしても、あんな風に消える事はありません。昔だって、そんな事をしたことはありませんでした」 首を振って。
エリカ
「……」 ごほん。 「まあ、私も単純に魔法そのものとか、魔法のアイテムとかそういうのかなって思ってたけど……」
#アラン(通信)
「……ま、魔法っちゃ魔法なのかも知れねえが、あそこまでの高位の呪文はあいつにゃ使えないだろ」
エリカ
「魔術としてのテレポートは、あの子は使えそうな感じじゃなかったし……」
ソルティア
「姿隠しの呪文が精一杯ですからね……」
シャルロット
「つまり……?」
#アラン(通信)
「俺の見立てじゃ、今回現れた蛮族たちと、あいつの現れ方に消え方が同じに思えてな」
シャルロット
「つまり、同業で同じ技術を擁している、ということですか?」
#アラン(通信)
「……いや、違ェよ」 ちょっとズレてる。 「誰か、同じ相手によって“転送”されてんじゃねェのかって事だ」
ヤンファ
「………」 ふゥん。あの女の“あの発言”、やはりそういう意味だったか
シャルロット
「転送……?」
エリカ
「どこから……っていうのは、わかったら苦労しませんよね」
シャルロット
「……こう、テレポーターみたいなもので行き来してると?」
#アラン(通信)
「制限なしのテレポーター、かもな」
#アラン(通信)
「何処からでも、特定の相手を、特定の場所に転送出来る。いくらでもな」
#アラン(通信)
「ぶっちゃけ、もう俺たちの常識で考えない方がいい。神の所業と言わざるを得ないレベルの事をばんばかやって来る相手だと思っておいた方がいいだろう」
シャルロット
「団体が出た消えたをしているようですしね」
ソルティア
「……現れた蛮族が同じように消えた、と言う報告はありますか?」
#アラン(通信)
「この目で見た」
ソルティア
「送るだけでなく、戻すのも可能ですか……」
エリカ
「そんなのを素直に受け入れるのも難しいんですけど……実際慣れては来ましたけど」
エリカ
ちらちらっとシャルロットの方見つつ。
#アラン(通信)
「俺もできりゃ常識で考えたいとこなんだがな」
シャルロット
「まあ、私がもう常識の破壊者になりつつあるので、諦めてください」
#アラン(通信)
「ああ、それはもう諦めてる」
シャルロット
「早すぎませんか!? まだ諦めるには早すぎますよ」
#アラン(通信)
「お前が諦めろっつったんじゃねえか」
エリカ
「自分で諦めろっていっておいて……ああもうそれはいい」
シャルロット
「となると……蛮族は姿を消して居なくなっていたのではなく。統一管理されていた……と」
ヤンファ
「そういうことらしいなァ」 シャルに頷き
#アラン(通信)
「その考え方で間違ってないはずだ」
ヤンファ
「この時のために、姿を消してた」
ヤンファ
「つまり、手薄になるのを知ってた、か」
#アラン(通信)
「……で、だ」
#アラン(通信)
「さっき言ったな。こちらを積極的に襲ってくるつもりは無さそうだ、と」
シャルロット
「あ、ああ、はい」
シャルロット
「伺いました」
ヤンファ
「違う目的があるってことだな」
エリカ
「……具体的に、どういう行動をとってたんですか」
#アラン(通信)
「一応、仕掛けては来るんだが、攻める気が見当たらねえ」
エリカ
「仕掛けてはくるのに……?」
#アラン(通信)
「つまり……多分、この状況が作れればもうそれで良いんだろう」
ソルティア
「この状況……軍が足止めされている状況、でしょうか」
ヤンファ
「要は時間稼ぎか、目を逸らさせてるだけだろ」
#アラン(通信)
「で、別の所にもう一つ目的を作ってる」 つらつらと予測を語り続ける。
#アラン(通信)
「それが、お前らだ」
エリカ
「……?」
シャルロット
「……私が再起しましたからね」
ヤンファ
「俺らが此処にいること、か?」
#アラン(通信)
「いいや、其処じゃねえ」
#アラン(通信)
「もっと北ヴァルクレア城だろう。お前たちを、そこへ向かわせる事、それが蛮族たちの動きの目的だ」
#アラン(通信)
「もっと云えば、蛮族たちを操ってるであろう奴らの、な」
ソルティア
「……最終の目的地、ですか」 そんでもって推定胡弓の封印があるところか。
シャルロット
「……鍵を、ヴァルクレア城へもっていきたいということなんですか?」
エリカ
「……? で、でも、進軍は止まっちゃってるんですよね?」
#アラン(通信)
「そうだ、鍵だ。お前たちさえたどり着けば、それでいい」
ヤンファ
「……っつーことは、今そっちに戻れない状況か」
#アラン(通信)
「恐らく、そうなるだろうな」
シャルロット
「この通信が繋がるのも、もしかすると仕組まれた状況かも、と?」
#アラン(通信)
「ああ、そうだ」
#アラン(通信)
「俺がお前らに通信をしてるのかまで把握されてるかは分からねェがな」
ヤンファ
「まァ、これが丸々聞こえてる可能性はあるなァ」
#アラン(通信)
「……ま、ともかく、マジで蛮族の大群が居るんだったら、いくらお前らでもそれを突っ切って戻ってくるのは不可能だろう」
#アラン(通信)
「だから、お前たちにはそのままヴァルクレア城へ向かって欲しい」
#アラン(通信)
「ヴァルクレア城が今どうなってんのか、その目で確かめてくれ」
ヤンファ
「通せんぼされて、そのまま城へ向かえってかァ」
シャルロット
「……参りましたね。空でも飛べればいいんですが」
ヤンファ
「………」 シャルの言葉に、ちらりと山頂を見る
ヤンファ
「……いや、人族にも蛮族にも関与はしない、っつってたな」 首を横に振り
エリカ
「だ、だからって四人だけで敵の本拠地へ向かえっていうのも」 どうなの。
#アラン(通信)
「向かえる状況になってる。俺はそう睨んでる」
ヤンファ
「というより、道が作られてるようなモンじゃァねえの」
#アラン(通信)
「……あそこがもぬけの殻だったのなら、色々と確定だろう」
エリカ
「……もぬけの殻……」
ソルティア
「……ひとまず様子見、と言う事でいいんでしょうか」
シャルロット
「全く、招待に応じるしかないんですかね」
エリカ
「……行かなきゃいけないんですか?」
ヤンファ
「このまま状況放って逃亡でもしろってかァ?」
シャルロット
「むしろ、そういう企みなんだとしたら……ヴァルクレア城行き以外のルートには蛮族が出現しますよ、多分」
エリカ
「……」
#アラン(通信)
「お前らがヴァルクレア城へ向かってる間、俺は一般人の避難誘導に参加しなきゃなんねえ」 一番優先するのはそこだからな。
#アラン(通信)
「その後、俺とフェリ公に姫サンでお前らを迎えに行く」
#アラン(通信)
「ランベルト教授に船を借りてな」
ソルティア
「船……飛行船ですか?」
#アラン(通信)
「そりゃ飛空船だろ」
ヤンファ
「地面は蛮族で埋まってるからな」
エリカ
「……解りました。そういう、ことなら」
シャルロット
「落城させて凱旋飛行と行きましょうか、アランさん」 やれやれ、と開き直った顔で言う
#アラン(通信)
「ああ、そう出来たらいいんだがな」
ソルティア
「水路は……続いていませんでしたか」
エリカ
「我慢してください」
#アラン(通信)
「いつまでもボケてんじゃねェ。てめえ一人の我侭で云々って状況じゃねェんだ」
ソルティア
「あ、いえ、すみません。そういうつもりではなかったのですが……」
エリカ
「……ちゃんと、迎えに来て下さいよ」
#アラン(通信)
「必ず行く」
シャルロット
「全く……色々と知恵を働かせても、何だか手ごたえがなくてやるせなくなりますね」 アランに色々頼んでたのにな。と愚痴を零して
#アラン(通信)
そして、此処からが一番の本題だ」
シャルロット
「え、まだ何か?」
ヤンファ
「何だァ」
エリカ
「これ以上更にあるんですか……」
#アラン(通信)
「……まずは、ソルティア」 声が低く、ドスを利かせたものになる
#アラン(通信)
「……お前、アカシャちゃんに誰に何をさせた
ソルティア
「……は?」
#アラン(通信)
「聞いた話じゃ、あの子はインミスティで神官をやってたそうじゃねェか」
#アラン(通信)
「こないだ、霧の街の辺りまでインミスティから応援の神官を呼んでな。その中にあの子の姿があったんで、ちと話したんだが」
ヤンファ
「……?」 アカシャちゃんが何かあるのか?
ソルティア
「え、えぇ。……え?」 状況がつかめてない声
#アラン(通信)
あの子の扱ってる神聖魔法、ありゃライフォスのものじゃねェぞ」
ソルティア
「……… え?」
エリカ
「……、は?」
#アラン(通信)
「……ダルクレムとかブラグザバスとか、そういう類のモンじゃ無かったが、どんな神なのかは俺にもよく分からねえ。シャルロットの使ってたあの不可思議な魔法とも、恐らく違うだろう」
シャルロット
「……ああ、あれは解明できたんですが……それはもうどうでもいいですね」
ヤンファ
……聖印は?」 聖印ないとだめだろ神聖は、というように
#アラン(通信)
「……ライフォスのモノに酷似していた」
ヤンファ
「はァ……? 酷似して、ライフォスじゃない……?」
ソルティア
「……… な……いや、僕はベアトリスさんに神聖魔法の教授を頼……んで……」
エリカ
……」
#アラン(通信)
「……そうか」 ふぅと深く息を吐いて
ソルティア
「……ベア……トリス、さん……?」 呆然
エリカ
「いや……でも、どうして……」
#アラン(通信)
「いい加減、明らかにしようじゃァねェか」
ヤンファ
「何だ。またお前の正体、とか言うんじゃねえだろうな」
ヤンファ
「……つーかお前、聖印酷似してんのによく解ったなァ」 そういえばコイツも以前何か使ってたが……
#アラン(通信)
「神官が自分の神サンの聖印見抜けなくてどうすんだよ」
エリカ
「………えぇ!?」
#アラン(通信)
「うるせェ聖印ぶつけんぞ」
ヤンファ
「……あァ、カマかけるつもりだったが」 ライフォスか、前のは
エリカ
「い、いやだって! その発言からしてそういう柄じゃないじゃないですか!」
#アラン(通信)
「そりゃそういう風にしてんだよ」
シャルロット
「らしくない神官はここにもいますよ、エリカさんそれより」
エリカ
「……。とりあえず続きお願いします」
ヤンファ
「で、だ」 本題だったな
#アラン(通信)
「俺の詳しい正体はさて置いとけ。時間が惜しい」
#アラン(通信)
「俺が明らかにしようっつったのは、裏で手を引いてる黒幕だ」
シャルロット
「……え、はい?」 なんだと
#アラン(通信)
「居るはずだよな。一連の事件を、裏で全て操る事の出来たであろう奴が」
ソルティア
「……は、はい……」 まだ動揺の気配が残っているが、気を取り直して。
#アラン(通信)
「……レーゼルドーンの攻略だけじゃァねェ」
ヤンファ
「俺らが関わった《呪音事変》から」
ヤンファ
「……いや、ずっと前から、か」
#アラン(通信)
「そうだ。全ての始まり、《虚音事変》の後に世に現れ、その後全ての重大な事件を引き起こす事の出来た奴が」
シャルロット
「……」 ごくり、とツバを飲み込む
ソルティア
「……ま、さか……」
#アラン(通信)
「……思い出せ。最初から最後まで、全てを知る事が出来、此処まで尻尾を出さずに、お前たちを監視してきた奴が居るんじゃァないのか」
#アラン(通信)
大きな事件が起こる前には、必ず、現場の近くに居た奴が」
#アラン(通信)
「そいつはいつ、ザルツ地方(このせかい)に現れた」
シャルロット
「現場の、近くに……?」
ヤンファ
「………」 頭をポリポリ掻き、苦虫を潰したような顔になる
エリカ
「……そんな、こと」
GM
思い起こしてみれば。
GM
まず、君たちが出逢う事になる前に、その者は公都に居た。
GM
そして次に、君たちは4人揃って神殿襲撃事件の時に出会っている。その時、ソルティアの使い魔が突然消えたのは結局何故だったのか。
GM
モニカの病の治療薬を最初に提供したのは? その時に、その者は何か違和感を覚える発言をしていなかっただろうか。
GM
あの《呪音事変》の時にも、事件の中心である公都でその姿を見たのではないか。
GM
それ以後も、君たちの傍で、君たちに助言を与えて来た者が、居るのではないか。
シャルロット
「……」 睨んでいなかった、といえば嘘だ。
GM
その者は、いつ、どうやってルキスラ帝国に現れた。
GM
表舞台に姿を現したのは、ユリウス・クラウゼ即位の直後だ。
GM
どうやって現れたのか、その出自を知る者は、何処にも居ない。
#アラン(通信)
もう、十分だよな」
シャルロット
「ええ……」 ちらり、とソルティアとエリカに目をやり
ソルティア
「……そんな昔、から……仕組まれてた、と言うんです、か……」 呆然と、だがどこか確信を持っているような声で。
エリカ
「……」 疑いを持ちはした。けれど、やはりそう思いたくはない。だって、今まで助けになってくれた、はず、なのに。
ヤンファ
……目的は何だと思う、お前は」 十分すぎる、と添えて
#アラン(通信)
「シャルロットに、鍵を開けさせる事。……それが最終目的かは知らねえがな」
ヤンファ
「……その先に得られるモノが目的、か」
#アラン(通信)
「どうやって此処までの自体を引き起こしたのかは分からねえ。神……あるいは魔動機文明人でなければ出来ないような技術や手段を駆使しまくってんだからな」
ソルティア
「………」 大破局が起こった直後の人間だったとしたら、魔動機文明人と言ってもいいのだろうか。
シャルロット
「もう、この一連の出来事には神に近しいモノの介入がされているのですよ。ありえない、なんてこと、もういえない状況になってしまっています」
エリカ
「……」 それでも、ありえないと断じてしまいたい。自分の常識と心情が、それを受け入れるのを拒否したがっている。
#アラン(通信)
「あり得ないなんて事はあり得ない、か。……まったく、馬鹿馬鹿しいぜ」
ヤンファ
「っつーか、よくあんだけ技術を導入させたモンだな」
#アラン(通信)
「教授も言ってたぜ。そいつが居なきゃ、帝国の技術は後数十年は遅れてただろうってな」
ヤンファ
「違うな。本来ソレはあるべき技術じゃァなかったんだ」
シャルロット
「結局、通信機に関したって、神器の応用だったのかもしれませんね」 ため息混じりに
ヤンファ
「結局、帝国の発展も……仕組まれたモンだと思うと悲しいことだなァ」
シャルロット
「……その黒幕さんはまだ本隊にいらっしゃるのですか?」
#アラン(通信)
「……いや、探してたんだが、どうも姿が見当たらなくてな。ユリウスの奴も見つからねえ」
エリカ
「皇帝、陛下も……?」
シャルロット
「ちょ、ちょっとまってください、統率とか取れてるんですか!」
ヤンファ
「って、あの野郎までいねえのかよ。軍どうするつもりだ」
#アラン(通信)
「蛮族軍はヤル気無し。後は住民の避難くらいだからな。……指示なんて殆どなくてもやれるようなもんだ」
エリカ
「けど、こんな状況でいなくなるなんて……」
ヤンファ
「それでも混乱するだろォが……」 馬鹿な
シャルロット
「トップが急に居なくなるなんて……混乱は避けようがないんじゃ」
ソルティア
「マグダレーナ様たちは、まだそちらにいらっしゃるんですか?」 公国側の人間、と言う意味だが。
#アラン(通信)
「フェリ公は俺と一緒に避難に当たってる。ジェラルドのおっさんもだ」
#アラン(通信)
「姫サンは自分から蛮族軍の対応に志願して出ていったが……今の状況は分かんねえな」
ヤンファ
「……ちィ、こっちから誰も確認とれねえってのかよ」
シャルロット
「お姉様……」 道半ばで倒れることはない、と思いたいが、不安はどうしても滲み出てくる
ソルティア
「……ベアトリスさんの傍にいた騎士様も、いないんですよね」 すると帝国側はほぼ誰もいなくなったってことか。
#アラン(通信)
「あの騎士のおっさんは蛮族軍の対処にあたってたはずだが……これも姫サンと一緒で確認が取れねえな」
ヤンファ
「つっても、あの女に付いてた騎士だ。おそらくは……」
シャルロット
「帝国軍はさぞ大変でしょうね……」 トップが急に不在だ
#アラン(通信)
「もう、指示を出す必要も無いって事なんだろうな」
#アラン(通信)
「……ふざけた野郎共だ」
ソルティア
「……それで、今の事態を収縮させるには……」 ヴァルクレア城に行かなければならない、と言うことか。
シャルロット
「……居るんでしょうね、ヴァルクレア城に」
#アラン(通信)
「……いいや」
#アラン(通信)
「あいつらにとっては、ヴァルクレア城にはお前たちが到達すれば良いような感じだろう」
ヤンファ
「城はもぬけの殻……じゃァねえのか」
エリカ
「……じゃあ、どこに」
シャルロット
「また、違う何かがあると……?」
ヤンファ
「もっと先を見越して、鍵を開けた後にすぐ行動できる為の場所……」
#アラン(通信)
「“鍵”が施された場は、いくつある」 俺の知る限りでは三つとセフィリアなんだが。
ソルティア
「セフィリア……は、遠すぎますか……?」
ソルティア
「帝都地下の遺跡と公都地下の遺跡、海底遺跡、セフィリア、それと場所不明の城……でしたか」
#アラン(通信)
「此処まで執着してんなら、もうヴァルクレア城が《奏の城》と思ってもいいだろう」
ヤンファ
「……まァ、それはそうだろうな」
ソルティア
「……でしょうね」 こくり頷き。
#アラン(通信)
「……海底遺跡っつーのは初耳だが、まァ海底なんざ流石にどうしようもねえな」
ヤンファ
「……っつーか待て」
#アラン(通信)
「……あん?」
ヤンファ
「今、住民を公都に避難させてるんじゃァねえのか……?」
#アラン(通信)
「……ああ、そうだ。レーゼルドーンは戦いに巻き込まれる可能性があるからっつーことでな」
ヤンファ
「もしその遺跡で何か起こそうってんだったら、公都が安全とは……」
ヤンファ
「……いや、まだそこに奴らがいる確証もねえが」
エリカ
「……」
#アラン(通信)
いや、向かう可能性が高いのは、公都地下《響の楽園》だろう」
エリカ
「……どうしてそう思うんですか?」
ヤンファ
……帝国は用事が済んでる、か?」
#アラン(通信)
「ユリウスの野郎も、《護り手》の血を引いていて、〈ファランダレス〉以外の適格者であったのなら」
#アラン(通信)
「まず、真っ先に自分の手で《調の神殿》の鍵は解除するだろう」
エリカ
「……」 それは、その通りだ。
#アラン(通信)
「だが、《響の楽園》と《奏の城》は、それでは駄目だった」
#アラン(通信)
「……だから、此処まで執拗にシャルロットを使おうとしてるんじゃァないのか」
シャルロット
「……そう考えれば筋は通る、ですか」
#アラン(通信)
「俺がもし、ユリウスの立場なら、こうまでする理由はそれくらいしか思いつかねえ」
ヤンファ
「………止めれねえ、な」 今からじゃどうやっても遅い
エリカ
「……でも、封印はもう一つあるし、全部が解放されたわけじゃないなら、すぐに何か起きるわけじゃ……」
#アラン(通信)
「それでも、動かねえ訳にはいかないだろ」
シャルロット
「………参りましたね」 困ったものだ
ヤンファ
「……そうだなァ」 エリカに頷き  「まだ、終わったってワケじゃァねえしな」
ヤンファ
「とことんレールの上をいかなきゃいけないのがどうにも癪だ。何回レールの上歩かなきゃいけねえんだよ」
#アラン(通信)
「ひとまず、お前らはレールに沿ってヴァルクレア城に向かってやれ」
#アラン(通信)
「その後、レールごと砕きに行くとしようじゃねェか」
ソルティア
「……ひとまずここを抜けないと、レールからはみ出す事も出来ません、か」
シャルロット
「同じレールの上でも、精々大暴れして迷惑かけてやるしかないでしょうね…」
ヤンファ
「それっきゃねえなァ」
エリカ
「………」  「解りました」
ヤンファ
「……公都への避難、上手くやってくれよアラン」
#アラン(通信)
「自分の仕事はきちんとこなす。それが俺の一応の信条なんでな」
ヤンファ
「……自分の仕事、か。やることがデカ過ぎて大変過ぎるなァお互い」
シャルロット
「なぁに、ヤンファさんのやることは判り易くシンプルですよ」
ヤンファ
「お前のお守りだろ……」
シャルロット
「お分かりいただけて何よりです、ナイト殿」 ふふっと笑って頷く
ヤンファ
「……やめろよその呼び方」 なんか恥ずかしい
シャルロット
そういえば、話題に上ったアカシャはどうなったんだ?
GM
避難民の中に入ってる。
ヤンファ
何も知らずに癒し手やってるってことじゃないかね
ヤンファ
おそらくは自分がライフォスと違うということにも気付いてないんじゃないか?
ソルティア
まだ謎の神聖魔法が使えるようになった、だけっぽいかな。
エリカ
今は特にどうってことじゃないんじゃない?
シャルロット
一応、目の届くところにおいてやったほうがいいのではなかろうか
ソルティア
「……出来る限りでいいです。アカシャの事、見ておいてくれませんか?」
ソルティア
「アカシャ自身は、ライフォスの神官のつもりで、ライフォスの信者ですから、すぐにどう、と言う事は無いと思いますが……」
#アラン(通信)
「……ああ、出来る限りは見とくが、特別扱いは出来ねえんでな」
ソルティア
「分かってます。……それでも、よろしくお願いします」
シャルロット
「……他に、聞くべきことはありますか?」
#アラン(通信)
「……あー、ジェラルドのおっさんから、ひとつ」
#アラン(通信)
「通信が繋がったら伝えておいてくれ、っつわれてな」
ヤンファ
「ン?」 なんだなんだ
エリカ
「……ジェラルドさん?」 ちらっとシャルロットの方に視線。
シャルロット
「ハイ? ええと、それはなんでしょう」
ソルティア
「………」 姿勢を正して聞きます
#アラン(通信)
「『これからお前たちを待つのは、これまでで最も過酷な状況だろう』」
#アラン(通信)
「『それに直面して、お前たちがどのような選択をするのか、見せて貰うぞ』……だそうだ」
エリカ
「……」 そ、そんなこと言われても!
シャルロット
「……いつものお父様みたいな言葉ですが……少し違いますね」
ソルティア
「……意味深な言い方ですね。了解しました、としか言えませんが……」
ヤンファ
「……ジェラルドのオッサンにも色々言いたいことはあるんだがなァ。ま、了解だ」
エリカ
「……やるだけのことは、やってみます」
#アラン(通信)
「長くなったが、俺からはこれで全部だ」
シャルロット
「では。『迷わず信じた道を進みます』と、お父様へ。それ以上の言葉は、きっと不要でしょうから」
#アラン(通信)
分かった、会ったら伝えとく」
ヤンファ
「『イエイツの道が在ればそこにシャンリークの道も在り』。俺からは以上だ」
ヤンファ
厳密には担い手だがまあいい
#アラン(通信)
「おうよ、そっちも伝えておいてやる」
エリカ
「……あの、アランさん」 と、言いかけて。
#アラン(通信)
「……さて、じゃァ、俺たちが迎えに行くまで大人しくはしてなくていいが、いい子で待ってろよ」
#アラン(通信)
「……あん? どうした」
エリカ
「……あ、いえ」 別に、念押しは要らないよな、と思い直す。それくらい、さっきの返答は力強かった、ような気がするし。
#アラン(通信)
「オイオイ、いつも言ってんだろ。言いたい事は言いたい時に言っとけよって」
エリカ
「……いえ。ええと」 かといって言いかけでやめるのも。 「……えと、まあ、その。お互い頑張りましょう……みたいな」
エリカ
「……」 なんかしまらなかった気がする。
ヤンファ
「………」 ふ、と笑った
#アラン(通信)
「任せろ。嘘はつかねェ、約束は破らねェ、それが俺の仕事なんでな」 あ、仕事上必要な嘘は吐くわ、と付け加えて。
エリカ
「……」 なんか最後が余計だった気がするけど。 「……はい」
ソルティア
「……そうですね。頑張りましょう、お互いに。また皆で会えるように……ね」 小さく微笑んで。
シャルロット
「ハイ、その通りです! 頑張っていきましょう!」
ヤンファ
「此処まで来て頑張らねえ奴もいねえ。また、後でなァ」
#アラン(通信)
「んじゃ、またな
GM
ぷつっ。
シャルロット
では」 ぷつん、と通信機を切って懐に収める

GM
それから、数刻も待たずして、君たちは蛮族の大群の姿を見る事になる。
GM
予想通り、彼らは君たちの南と東……駐屯地へと戻る方向を尽く塞いでおり、そちらへ進むのは困難を極めた。
GM
何処までもレールの上を行き、機会を伺い、それを砕く為、君たちは彼らの誘導に乗り、一路ヴァルクレア城へ。
GM
その先に待つのは、運命の袋小路と呼ぶに相応しい、絶望的な状況だった。

第五話 「蒼の叡智、灰白の花」 了



戦利品の獲得
名誉点30D6 → 6 + 5 + 2 + 3 + 1 + 5 + 6 + 3 + 4 + 1 + 5 + 1 + 1 + 6 + 1 + 4 + 3 + 6 + 5 + 4 + 1 + 5 + 4 + 3 + 6 + 5 + 1 + 3 + 3 + 3 = 106
リザルト
2012/07/28 第五話「蒼の叡智、灰白の花」経験:3,900 報酬:消費したもの 名誉:106

▼能力値成長結果

シャルロットヤンファエリカソルティア
器用度 32 > 33
敏捷度 29 > 30
筋力  20 > 20
生命力 24 > 24
知力  26 > 27
精神力 25 > 25
器用度 34 > 35
敏捷度 36 > 37
筋力  28 > 30
生命力 23 > 23
知力  13 > 13
精神力 14 > 14
器用度 13 > 13
敏捷度 17 > 17
筋力  14 > 14
生命力 23 > 23
知力  28 > 30
精神力 40 > 42
器用度 30 > 30
敏捷度 16 > 16
筋力  30 > 30
生命力 23 > 25
知力  30 > 31
精神力 30 > 31