虚ろの輪音

第二部 第五話「蒼の叡智、灰白の花」 - 02

シャルロット・ヘリオドール
器用度 32+2
敏捷度 29+2
筋力  20
生命力 24
知力  26+4
精神力 25

HP 69+2  MP 64
ファイター     10
プリースト:ザイア  7
エンハンサー     5
マギテック      4
コンジャラー     2
レンジャー      2
戦闘特技
1.《魔力撃》
3.《防具習熟/盾》
5.《防具習熟Ⅱ/盾》
7.《マルチアクション》
9.《両手利き》
ex.《魔法拡大/数》
《タフネス》
秘伝/CA
《地這刃》
《活人撃》
《閃電二撃ち》
《ストレイフレイド》
《不動堰》

《咬破魔刃撃》
《瞬閃哮》
《黎光閃》
練技・賦術
【ガゼルフット】
【キャッツアイ】
【ビートルスキン】
【メディテーション】
【スフィンクスノレッジ】
装備
〈ファランダレス=リベラトール〉
〈ファランダレス=リベラ〉
〈イスカイアの魔導鎧〉
〈女神のヴェール〉
〈ウェポンホルダー〉
〈信念のリング〉
〈ガンベルト〉
〈跳躍の羽〉
〈フルオプション・マギスフィア〉
ほか
ヤンファ・シャンリーク
器用度 34+2
敏捷度 36+1
筋力  28+2
生命力 23+6
知力  13
精神力 14

HP 59+2  MP 29+2
フェンサー     10
スカウト       8
エンハンサー     6
プリースト:ヒューレ 5
アルケミスト     5
戦闘特技
1.《武器習熟/ソード》
2.《防具習熟/非金属鎧》
3.《武器習熟Ⅱ/ソード》
7.《マルチアクション》
9.《防具習熟Ⅱ/非金属鎧》
ex.《必殺攻撃》
《トレジャーハント》
《ファストアクション》
秘伝/CA
《瞬刃》
《天趨刃》
《刃狼哮》

《瞬閃哮》
《風の導き》
練技・賦術
【キャッツアイ】
【ガゼルフット】
【アンチボディ】
【ビートルスキン】
【ケンタウロスレッグ】
【デーモンフィンガー】
【クリティカルレイ】
【パラライズミスト】
【ヴォーパルウェポン】
【バークメイル】
【アーマーラスト】
装備
〈ヴァイケリオン〉
〈アラミドコート〉
〈籠手〉
〈男神のキッパー〉※1
〈ウサギのピアス〉
〈多機能ブラックベルト〉
〈軽業のブーツ〉
ほか

※1 … 〈女神のヴェール〉と同効果の男性専用代替品。ハウスルールで規定。
エリカ・ケイ
器用度 13
敏捷度 17
筋力  14
生命力 23
知力  28+6+2
精神力 40

HP 53+2  MP 70+2
フェアリーテイマー10
セージ        9
アルケミスト     6
エンハンサー     3
戦闘特技
1.《魔法誘導》
3.《魔法収束》
5.《魔法制御》
7.《魔法拡大/数》
9.《MP軽減/フェアリーテイマー》
ex.《魔法拡大/時間》
《鋭い目》
《弱点看破》
《マナセーブ》
秘伝/CA
《宴は終わらず》
《我らが舞は唯一人の為に》
《魔法圧縮/数》

《風の導き》
練技・賦術
【メディテーション】
【アンチボディ】
【ストロングブラッド】
【パラライズミスト】
【バークメイル】
【クラッシュファング】
【ヴォーパルウェポン】
【エンサイクロペディア】
【イニシアティブブースト】
装備
魔銃【シックザール】
〈ソフトレザー〉
〈カトレアの花冠〉
〈ノドゥス・セクンドゥス〉
〈祈りのアミュレット〉
〈ガンベルト:活性弾×12〉
〈韋駄天ブーツ〉
ほか
ソルティア
器用度 30+1
敏捷度 16
筋力  30+2
生命力 23+3
知力  30
精神力 30+3

HP 71+2  MP 63+2
ファイター     10
ソーサラー      8
エンハンサー     5
レンジャー      3
コンジャラー     2

戦闘特技
1.《魔力撃》
3.《防具習熟/金属鎧》
5.《防具習熟Ⅱ/金属鎧》
7.《武器習熟/ソード》
9.《武器習熟Ⅱ/ソード》
ex.《マルチアクション》
《タフネス》
秘伝/CA
《剛魔撃》
《閃電二撃ち》

《咬破魔刃撃》
練技・賦術
【ビートルスキン】
【キャッツアイ】
【メディテーション】
【ストロングブラッド】
【デーモンフィンガー】
装備
〈ディ・ゾンネ〉
〈スパイクシールド〉
〈イスカイアの魔動鎧〉
〈決死の鉢巻き〉
〈赤の眼鏡〉
〈黄鉄鉱のお守り〉
〈野伏の威風堂々たる炎武帝のマント〉
〈ウェポンホルダー〉
〈ブラックベルト〉
〈韋駄天ブーツ〉
〈信念のリング〉
ほか


第五話 「蒼の叡智、灰白の花」
霧の街の首魁は、最後の最後に大きな謎を残して死んだ。
僕らには、ゆっくりと考えられる時間は与えられず、それでも、世界は回る。

最後の目標へと向かうその前に、僕たちにはやるべき事があった。
それは、大切な仲間の身体を治す事。

その為に、蒼き叡智を求めて、僕らは進む。
そこは、灰白の花の咲き誇る、美しく、そして儚い幻夢の空間。
そして、この幽玄の花こそ、世界が変わる予兆に他ならなかった。


GM
霧の街にて、“翠将”ヤーハッカゼッシュを討ち、人族が街を奪還してから3日が経過していた。
GM
連合軍によって急ぎ霧の街の蛮族の掃討が行われ、現在は霧の街に収容されていた人々が次々に解放されている。
GM
〈ファランダレス〉の解放によって身体に多大な負担を負ったシャルロットを始めとして、ヤーハッカゼッシュ討伐の任までこなした4人は、その期間ゆっくりと身体を休めた。
GM
しかし、依然としてシャルロットの身体の調子が戻る事はなく、今日、今後の予定とシャルロットの体調についての事を議題として軍議が開かれる事になっていた。

#ユリウス
「諸君、改めて霧の街の攻略、ご苦労だった。特に、君たち4人の活躍には言葉も出ない程だ。よくやってくれた」
GM
会議の場にはいつもの顔ぶれが集まっている。ユリウス、ベアトリス、ディペナテス、バルトロメウス、ランベルト、マグダレーナ、アラン、フェリシア、イーヴ、ジェラルドと言った具合だ。
#ユリウス
「さて、あまりゆっくりと休む間もない状態ですまないが、我々の最終目標はまだ果たされていない」
#ユリウス
「霧の街の攻略まで済んだ今、ヴァルクレア城までは後一歩だ。後少し、どうか付いて来て欲しい」
#ユリウス
「今日の議題は主に2つ。今後の方針についてと、シャルロット殿下の回復についてだ」
#ユリウス
「細かい話は、ベアトリスからしてもらおう」
シャルロット
「……」 ぺこ、と小さく頭を下げる。相変わらず、体の調子は万全ともいえない状況故に、弾けるような元気はない
#ベアトリス
「畏まりました、陛下」 静かにベアトリスが立ち上がるのも、もうお馴染みとなった光景か。
#ベアトリス
「……目標であるヴァルクレア城は、ここ霧の街から北西、竜槍山脈と呼ばれる山岳地帯を挟んだ反対側に位置しています」
#ベアトリス
「その先には熱砂の砂漠が広がるという話ですが、今は置いておきましょう」
#ベアトリス
「霧の街の以北の蛮族軍の情勢に関しては、ここ数年、不安定な状態が続いていたとされています」
ヤンファ
「……」 シャルの傍らに立ち、腕を組んだまま話を聞いている
#ベアトリス
「ヤーハッカゼッシュを討った今、ヴァルクレア城まで大きな障害はほぼ無いと考えて良いでしょう」
#ベアトリス
「斥候も随時送っていますが、蛮族の姿を見かける事は殆どないという報告ばかりです」
#ベアトリス
「ですが、残念ながらこちらに良い報告ばかりではありません」
#ベアトリス
「霧の街に差し掛かってからというもの、体調不良を訴える者の数が随分と増えています」
#ベアトリス
「紅き霧の影響もあったのでしょうが、現在でも新たに訴える者が出ている以上、それだけが原因ではないと思われます」
#バルトロメウス
「……確かに、私の部隊の者でも、体調不良を訴える者は多くなってきていますね」
シャルロット
「……」 逆に、ヴァルクレア城には十分な戦力が整いつつある、ということだろうか。それ以上の嫌な話が聞こえてくる
#バルトロメウス
「私自身も例外ではなく、ふとした拍子に身体に違和感を覚える事もあります」 とバルトロメウス。
ヤンファ
(何かが始まっている、か。いや……ただの経過に過ぎないってか)
エリカ
「……」 体調不良。
エリカ
私とかどうなんですか?
GM
君らは4人とも平気なんだな。これが。
エリカ
おや……。
GM
雰囲気酔いみたいなのはあるかもしれないけどな。
#アラン
「俺は別に平気だが、姫さんはどうなんだよ」
#マグダレーナ
「いや、私も特に不調は無い。ただ、バルトロメウス殿と同様、私の管轄でもそういう者は出て来ている」
シャルロット
「そちらについては、あまり実感ありませんが……」 不調っていうのは、健康不良系か
GM
頭痛、吐き気、気怠さetc.
ソルティア
「僕も不調はありませんが……」 きょろっと周りを見回して。
#フェリシア
「……私も、特にありません。流石に多少疲労が溜まっていると感じる事はありますが、休息を取れば問題なく動けますし」 今度はフェリシアが言う。
#マグダレーナ
「ジェラルド、神官戦士団はどうだ」
#ジェラルド
「そうですね。皆さんと同様、こちらでもそのような者は出ております。私自身は、これといった影響は出ていないようですが」
シャルロット
「個人差……でしょうか?」 うーん
エリカ
「私も、とくには……勿論、多少の疲れはありますけど」
ヤンファ
「………」 一瞬顔を顰める、がソルティアが大丈夫なら違うか、と思うと表情を戻す
#ユリウス
「ランベルト教授、魔動機師たちの間では?」
#ランベルト
「ええ、こちらでも皆さんと同様の症状を訴える者が出ております。私自身も、稀にではありますが」
#イーヴ
「……ふむ」 眼鏡をくいっと上げる。これと言って症状が出ているようには見えない。
エリカ
「……」 こんなに皆不調を訴えてるのに自分が平気なのが自分で意外だ。
#フェリシア
「……どうにも、症状が表れる方々に共通性が見当たりませんね」
ソルティア
「……考え付くのは、霧の街より先に行った方が体調不良になってるのか?と言うくらいですが……」 どうなのよ、と指揮官陣を見る。
#ベアトリス
「……特にそういう事は無いと思われます。霧の街以南に駐屯している者たちの中にも、そういう者が現れているという話がありますので」
ソルティア
「霧の街より先に、人族に影響するような何かがあるかも、とは思ったのですが……」 そうではなかったようだ。
シャルロット
「……条件がわかれば、対処法もわかるのですが」 力量の差でもないようだし
#アラン
「……現状だと、ちとその条件ってのが予想出来そうにはねェ、か?」
ヤンファ
「……とはいえ、あまりそちらに時間を掛けていられる状況でもありません」
#ユリウス
「そうだな。それについては、ヤンファ殿の云う通りだ」
#マグダレーナ
「並行して原因究明を進めていくしかないか」
シャルロット
「あまり、賛同は出来ませんが」 今の諸症状で収まってる現象が、行軍で肥大化して下がりもできなくなったら終わりだ
#アラン
「まァ俺も無理はしたくねェとは思うが、お前が治んねえのも問題だし、はっきりとした障害もねェのに軍を進めないってのもな」
シャルロット
「……です、か」 反論もないことはないが、やはり押しきる要素はない
ヤンファ
「心苦しい処ではありますが、躊躇っていても事は進まない」
ヤンファ
「強行軍となるのは私も不本意ですが……こればかりはどうにも」
#フェリシア
「……インミスティなどでも、調査を行った方が良さそうですね」
ソルティア
「兵の体調はしっかり見て、更に悪化するようでしたら進軍を止める必要が出てくるかもしれませんね……」 それこそ動けなくなったら困るわけだしな。
#マグダレーナ
「……そうだな。兵たちの管理は、今まで以上にしっかり行なっておかねばならないだろう」
ヤンファ
「………」 胸騒ぎがするな
エリカ
「でも……実際に不調を訴えてる人が多く出てるっていうのは、十分“障害”じゃないですか……?」
#アラン
「現状、連日動けねェって程じゃねェからな」
エリカ
「……」 むう。
#アラン
「霧の街攻略の安心感で、疲労が一気に来たって見方も、半分くらい無理やりだが出来なくは無い」
ソルティア
「これ以上悪化したら進軍停止、くらいの事しか言えませんからねぇ……」
#ユリウス
「事実、実際に進軍に遅れが出る程の影響も出ていない」
ヤンファ
「少しずつ体調不良を訴える者が増えていく………《虚音事変》《呪音事変》また同じようなことが起きなければ良いのですが」
#バルトロメウス
「……2つの事変、か」
#フェリシア
「……だけど、《虚音事変》にも《呪音事変》にも関係するようなものなんて、この辺りには無いじゃない」
シャルロット
」 フェリシアの言葉に、ぴくりと反応するが……すぐさま平常を取り戻す
#マグダレーナ
「……シャルロット?」
ヤンファ
「それは、我々が知らないだけかもしれない……言い出せばキリは無いのですが、ね」 少し素のような素振りで
#フェリシア
「……それはそうかも知れないけど」
ソルティア
「原因の究明を急いだ方がよいとは思いますがね。環境の変化……見慣れない植物や動物を調べたり、後は水、特に飲料水の類を調べたり、でしょうか……」 と言ってもセージは無い。
#ジェラルド
「そうだな。調査には、神官戦士団も協力させよう」
#ジェラルド
「進軍に人員を割く必要がないのならば、そちらに回しても問題は出ないでしょう」
シャルロット
「そこは一先ず置きましょう。おそらく、結論は既に出ている部分です」
エリカ
「見慣れない……植物」
#アラン
「……まァ、それならたくさん見てんな、最近」
ヤンファ
「……植物?」 そういえばそんな報告が
ソルティア
「植物……?」 何かそういう報告はあんまり受ける立場じゃない気はするが、わさわさ湧いて来てるなら目撃くらいはしてるか
エリカ
「……」 いやでも、あれはそういう影響があるものだっただろうか。
シャルロット
「……」 エリカに、視線を送って それは待て と小さく見えないところでそんな仕草を送る
エリカ
「……」 む。なによ。
#ユリウス
「何か言いたい事があるのならば、此処で言っておいてくれ」
#ユリウス
「それが手掛かりとなる可能性もある」
GM
前回のラストのナレーションでも目撃してますしね。
GM
それ関連のお話はちらほら聞いてると思う。
シャルロット
「いえ」 なんでもない、というように返す
エリカ
「い、いえ。特に何かあるわけ、では、ないです」
ヤンファ
「………」 エリカ、そしてイーヴの方にも目を向ける。あの植物は確か彼も知っていたモノだ
#イーヴ
「…………」 ヤンファの視線には、ただ静かに目を伏せて小さく頷こう。
ソルティア
「そういえば、見慣れない花が生えているとの話はありましたね」 しれっと知らない振りをする
#ベアトリス
「ええ、灰白色の花でしたね」
#ランベルト
「確か、霧の街の霧が晴れた後、あちらこちらで見つかるようになっていたのでしたか」
#バルトロメウス
「元々ある程度は生えていたのでしょうが、霧の街の先では、かなり多くの数を見かけるようになりましたね」
ソルティア
「そちらも調べておくべきかもしれません。花粉やらなにやらで、人体に影響を与えるものかもしれませんしね」 仮定形で言えば嘘はついてない事になる論理
シャルロット
「……」 ひっそりと一人でうな垂れています……
#マグダレーナ
「……そうだな。今までの環境と大きく変わった点がそれならば、何かしらの影響を及ぼしている事は考えられる」
#マグダレーナ
「進軍と合わせて、まず灰白の花の調査を行なっていく。このような所で良いでしょうか、ユリウス陛下」
ソルティア
「後はそれこそ、飲料水や食料の心配ですね。蛮族が毒やら何やらを混ぜ込み始めた可能性もありますし」
ヤンファ
「………」 何人、ヴァルクレア城まで辿り着けるか
#アラン
「その蛮族がなかなか見つかんねえんだけどな、まず」
#ユリウス
「……ふむ」
ソルティア
「そういえばそうでしたね。まぁ、やっぱり何らかの形で体に悪いものが混ざりこんでるかもしれませんから余裕があれば調べておくといいと思いますよ」<食料とか
シャルロット
「……」 ちょっぴり恨みの乗った視線をソルティアに送りつつ 「基本の方針はそれで良いではありませんか?」
ソルティア
「………」 シャルの視線は知らん振りしつつ。本当に何か花から影響があるようなら実際大変な話だしな。
#ユリウス
「良いだろう。霧の街以南も含めて、灰白の花の群生状況と、その性質の調査を進軍と並行して行なっていく」
#ユリウス
「それに合わせて、彼の云うような事に関しても調べておくとしよう」
#ユリウス
「ランベルト教授、ルヴェリエ殿、ヘリオドール殿にはそちらの調査に協力していただく」
#ユリウス
「他の者は、引き続き本軍の進軍の指揮を」
#ユリウス
「さて……こちらの話題については、この程度で良いだろう」
ヤンファ
「はっ」
エリカ
「……」 あれこれ考えつつ、話題の打ち切りにはこく、と頷き。
#ベアトリス
「では、次はシャルロット殿下のお身体について」
#ベアトリス
「こちらについては、ルヴェリエ殿からお話をしていただきます」
#イーヴ
「ええ」 眼鏡のブリッジを中指で上げてから、顔を上げる。
#イーヴ
「シャルロット殿下のお身体の不調は、〈ファランダレス〉によって引き起こされたもの。……アルフレート三世陛下と同様の症状かとも考えられますが、正直な所、その対策は私にも考えつきません」
#イーヴ
「〈ファランダレス〉はただの〈守りの剣〉ではなく、もっと特異な力を持ったものであり、それは私たちの常識を遙かに超える程の力です」
#イーヴ
「まずは、〈ファランダレス〉についてゆっくりと調査をする所からと言いたい所ですが、その時間もありません」
#イーヴ
「そこで、私からひとつ提案があります」
#イーヴ
“蒼き観測者”の知恵をお借りしましょう」
エリカ
「蒼、き……?」 あれ、それって。
シャルロット
「……」 一度、イーヴとの対談で出てきた名前だ
ヤンファ
「………」 彼の竜、か
ソルティア
「“蒼き観測者”……」 ソルは聞いたことあったっけか。もう覚えてないや
#フェリシア
「……“蒼き観測者”」
#イーヴ
「……さて、皆様はザルツ地方に伝わる“幸せの蒼い鳥”の話をご存知でしょうか」
#マグダレーナ
「……ん、ああ、子供の頃に聞いた事があるな」
シャルロット
「……ええっと」 セージ判定に失敗しました
GM
はええよ。
エリカ
振ってすらいねえ!
#ジェラルド
「シャルロットに話した事があったのは、随分とまだお前が幼い頃だったな」
ソルティア
「ん……?」 聞いたこと無い気がします
エリカ
「ええと」 見識を
GM
えっ
ヤンファ
おまえらもってるんじゃねえのかよ
ソルティア
あぁあれか! 一度も使ったことなかったから(PLが)忘れてた。
エリカ
「……って」 そうだよ今まさにつけてるじゃない蒼い鳥のブローチを。
GM
酷い。貴重な妹たちからのアイテムなのに。
ソルティア
「……あぁ、そういえば……」 童話?縁がねーなぁ、とまず考えたので反応が遅れたようだ。
GM
ヤンファも別に子供の頃に聞いてても何らおかしくはないよ。
GM
ザルツ地方ならそうマイナーな話でもない。
シャルロット
「もう、随分とうろ覚えになってしまって」 苦笑いだ
シャルロット
「どんなお話でしたか」 判らないので聞かせてください
ヤンファ
「俺もあんま覚えてねえなァ……」
#ランベルト
「もし出逢う、あるいは発見することが出来れば幸運を得る事が出来るという蒼い大きな鳥の話でしたね」
#ユリウス
「私も、本で読んだ事があるな」
ヤンファ
「………」 絵本か。ユリウスが絵本か
#アラン
「俺はどーだったかなァ。聞いた事があったっけなァー」
ソルティア
「僕は義妹に聞きましたよ。何でも神殿の方で教えてもらった話だそうですが……」 つまりベアトリスさんから聞いたんだろう。
#ベアトリス
「……そうですね。アカシャやモニカには、私からお話したこともあります。彼女たちは、それ以外のシスターからも、何度か聞いているでしょうけれど」
エリカ
「私も聞いたことはありますけど……何か関係があるんですか?」 観測者がどうのと。
#イーヴ
「ああ」 エリカに頷いて
#イーヴ
「“蒼き観測者”は、その元となった存在だとされています。尤も、本物は鳥ではなく、長き時を生きた竜ですが」
#イーヴ
「エイギア地方とザルツ地方に古くから住まい、中立の立場を貫き続け、どのような戦いにも必要以上には加担せず、世界を観測()る存在。それが、“蒼き観測者”です」
#イーヴ
「空を飛ぶ姿すら滅多に見る事ができず、偶然見かけた者たちに幸運が齎されるという逸話が出来たのです。それが、“幸せの蒼い鳥”の話ですね」
ソルティア
「………」 鳥ってレベルじゃねーぞ!
エリカ
「……」 確かにずっと遠くを飛んでるのが見えれば鳥には見えるだろうけど。
シャルロット
「……サイズが狂ってるせいで、遠くに居る竜が鳥に見えると……」
#イーヴ
「ちなみに、この話には科学的な根拠は一切ありません」 子供たちの前では言えません。
#マグダレーナ
「……少し残念だな」
ヤンファ
「童話ですから」
エリカ
「……」 なんで素で残念がってるんですかマグダレーナ様!
シャルロット
「……」 お姉さまは私よりそういうの信じてそうなの
ソルティア
「……流れ星にお祈りする、とかの話と同レベルなんでしょうね……」
#マグダレーナ
「本当だったら素敵だな、とずっと思っていたのだが」
#イーヴ
「……まぁ、その話は良いでしょう」
#イーヴ
「古き時代からこの地を見続けているその存在であれば、今私たちが求めている答えを知っている可能性は高いはずです」
#イーヴ
「話を聞けるかは別問題ですが、現状一番素早く答えに辿り着ける選択肢であるのは間違いないでしょう」
エリカ
「会おうと思って会えるような存在……なんですか?」
シャルロット
「そこは、行ってみてから、ということですかね」
ソルティア
「……そう言うからには、その“蒼き観測者”と会える方法をご存知なのですか?」
#イーヴ
「その居所を、私が存じています」
#イーヴ
「そこに行けば、会う事は出来るでしょう。望む情報を引き出せるかどうかは、行く方々次第ですが」
ヤンファ
「険しい場所にありそうですが」 シャルとか連れていけんのか
#イーヴ
「それなりには」
シャルロット
「そればかりは、会話してみなければわからないことですし、勿論行きますよ」
#イーヴ
「ええ、シャルロット殿下には赴いていただかなければなりません」
ソルティア
「何か代価が必要でしょうかね……竜ならば、宝石やマジックアイテムなどでしょうか……」 烏の習性=竜の習性
#イーヴ
「彼は、普通の竜とは感覚が大きく違う。ややもすれば、数千年レベルで生きている存在かも知れない」
エリカ
「数千……って」
ソルティア
「……そこまで来ると、僕では想像もつきませんね……」 所詮24です。
#イーヴ
「実際の所は分からないが、《大破局》よりも前から生きているのは確実だ」
エリカ
「そう、なんですか……」 少なくとも、グレーター以上ではありそうだ。
#ベアトリス
「……となると、シャルロット殿下の護衛として、いつもの皆さんにはお願いする事になりますか」
#ユリウス
「元々、彼らは本軍の進軍への参加は考えていなかった。それで構わない」
ヤンファ
「………」 また護衛か。隊長代理の出番になりそうだな
ソルティア
「えぇ、分かりました。そろそろ活発なシャルロットさんに帰ってきていただきたいと思ってましたしね」
シャルロット
「私は戦線に混ざれないだけで、いつもどおりですよ」 ぷんすぷんす
エリカ
「それはいつもどおりって言わないとおもうけど……」
#アラン
「いつもはもっとうるさいじゃない」 裏声で。
エリカ
「……」 おい焼くぞ。
#アラン
肩竦めた。
#ベアトリス
「殿下が戦えぬ身ですから、その代わりにどなたかに協力していただくべきでしょうか」 とマグダレーナ、アラン、フェリシアを見て。
#アラン
「ン、まァ要請がありゃ付き合うけどよ」
#フェリシア
「私も勿論、指示があれば」
ソルティア
「………」 いつもの面子と顔を見合わせる。(そしてどこかにいるルナを思い出す
#マグダレーナ
「決定は、いつも通り彼らに任せようか」
ヤンファ
「……ふむ」 姫はまあ除外だが、二人から選ぶのも一つか
エリカ
「……とりあえず」 面子を決めないとな。

ソルティア
ここで三人から選ぶとルナが参加しない系の話になるのかしら。
ヤンファ
隠れキャラを仲間にするかどうか
エリカ
フェリシアさんあたり連れてくと確実に寄ってくる気がしない
シャルロット
誰連れて行くか、微妙なラインだけれど……誰良い?
GM
連れていかないという選択肢も勿論あるぞ。
ソルティア
うちはルナを連れてくって言うんだが……

ヤンファ
「とりあえず、現状でマグダレーナ様を連れて行くことは得策でないかと」
#マグダレーナ
「……ふむ」
#フェリシア
「そうですね。いつ他の兵たちと同じ症状が表れるか分からない以上は……」
ヤンファ
「マグダレーナ様は今間違いなく観測者を見たい話したいと思っているでしょうが」
ヤンファ
「フェリシア様に以下同文です」
#マグダレーナ
「……興味があるのは否定しない」
ヤンファ
「血筋としても話を伺いたい、というのは正しい理由でしょうからお咎めは致しません」 しゃーない
#マグダレーナ
「だが、そうだな。君たちの言うことは尤もだ」
ソルティア
「マグダレーナ様を連れて行ってしまっては、士気にかかわりますしね……もともと、体調不良が続いて兵も不安がってることですし」
エリカ
「……となると……」 ちら。アラン見た。
シャルロット
私の気持ち的にはアランなのだが。
#アラン
「俺か」
ソルティア
「フェリシアさんは、やはり軍の補佐をお願いしたいですしねぇ……」
エリカ
(アランさんだとどうだろう……) あの子顔見せるかしら。フェリシアさんがいるとまず出てこないだろうし。
#アラン
「まァ俺進軍にもそう活躍しねェし、調査の方はイーヴのおっさんにランベルト教授とかが居りゃ十分ではあるだろうしな」
#フェリシア
「……まぁ、そろそろアランにそういうの期待するのも馬鹿らしくなってきたしね」
#アラン
「日頃の行動の成果だなァ」
シャルロット
「……アランさんも、ちゃんと仕事をすればもっと評価もあがるのに」
#アラン
「お前に言われるとは予想外だったわ……」
#マグダレーナ
「アランは、きちんと為すべき事はしてくれているぞ。それはまぁ、軽口が過ぎると感じる事はあるが」
#アラン
「流石姫サンはよく分かってるわ」
ヤンファ
「……それ以前に、体調の話を始めるならば、少しでも体調が維持できる者に残って欲しいという思いもありますが、ね」
#アラン
「俺も姫サンもフェリ公も現状影響出てねえからなァ。お前らも含めて、平気な奴らをまとめ過ぎちまうのは確かに怖いのはあるな」
エリカ
「それはそう……ですね」 確かに。
ソルティア
「難しい所ですねぇ……」 うーん
ヤンファ
「…………」 顎に手を当て 「……戦える者3人、それで“蒼き観測者”の元へ行ける見込みは?」
#イーヴ
「蛮族の妨害が無ければ、今の君たちならばそう難くは無いだろう」
#イーヴ
「元々、この地で一番の障害となるのは蛮族だ」
#イーヴ
「今は、それに加えて体調不良の可能性もあるが、幸い君たちにはその症状はまったくといって良い程出ていないようだしな」
ソルティア
「たどり着く、と言う点では問題は無いわけですね」
ヤンファ
「霧の街の件で、蛮族の士気は下がっていると思えば難しい話ではない、と」
#イーヴ
「報告が正しければ、姿も殆ど見受けられていないそうですからね」
#イーヴ
「“蒼き観測者”の住処の近くには、元々蛮族があまり巣食っていないという事もあるでしょう」
ヤンファ
「………」 ちらりとソル、シャルを見
シャルロット
「? 私は判断をお任せしてしまっても良いかと思っていますが」
ソルティア
「現状、軍に不安がある状態ですから、戦える人を多く残しておくと言うのは妥当な判断だと思いますよ」 こくり頷く。つまりみんな置いてく!
ヤンファ
「では……異論がなければ“我々だけ”で向かうとしましょう」 外の方を一瞬だけ一瞥しながらそう判断を下した
エリカ
「……そういうこと、なら」 大丈夫、か。
#ユリウス
「……ふむ」
#ユリウス
「ルヴェリエ殿もそう言っているのならば、大きな問題は無い、か」
#ユリウス
「ただ、霧の街をこれ以上離れれば、インミスティの簡易中継塔からの魔動波の送受信も出来なくなる」
#ユリウス
「通信機は、使えなくなるものと思っておいてくれ」
ソルティア
「それはつまり、ここに連絡すると言うだけでなく、僕らの間でも使えなくなるという事ですね」 僕ら=PC達
#ランベルト
「いや、近くに居る者たちの間ならば大丈夫だ」
#ランベルト
「多少の距離までならば、直接通信機同士でやりとりが出来る」
ソルティア
「ん、そうなんですか?」 出来なくなるものと思ってたぜ。PCもPLも魔動機音痴
シャルロット
「中々……便利になりましたね」 単独でいけるのか
エリカ
「そうだったんですか」 しらなかった。
#ランベルト
「まぁ……限界が1km程度といったところになるがね」 流石に。
#ランベルト
「中継塔の発明は、それ程までに画期的な事だったんだ」
#ランベルト
「まるで、アル・メナス人から直接知恵が(もたら)されたのではないかと思う程にね」
エリカ
「そんなに凄いことだったんですね」 へー。
#ランベルト
「……と、これ以上脱線してはいけないな」
#ベアトリス
「……では、4人のみでよろしいのですね」
シャルロット
「ええ。問題ないかと思います。私も、直接交戦さえなければ戦力になれますしね」
ソルティア
「そういうことでお願いします。くれぐれも無理はなされないように……と僕が言うのはおかしな感じですが」 軍的な意味で。
#ベアトリス
「それはこちらの言葉です。本軍の方は、我々が責任を持って」
#ランベルト
「魔動通信の仕組みについては是非とも詳しく解説したい所だが、それはまた落ち着いた機会にとしよう」
#アラン
「ま、これで話は終わりか?」
#ユリウス
「ああ、特に皆から質問が無ければ今日はこれで終了としよう」
#ユリウス
「4名には、明日から早速“蒼き観測者”の元へ向けて出発してもらう」
ソルティア
「っと……了解しました。詳しい場所は後で……?」 とイーヴに顔を向けて。
#イーヴ
「ああ、紙に描いて手渡そう」
ヤンファ
「行動が決まったならば準備を済ませましょう」
#ユリウス
では、各自解散」
シャルロット
「了解です」 ゆっくりと立ち上がろう
GM
さて、NPCたちはそれぞれ散っていく。
GM
何かやりたいことがあれば言っておいてくれ。
GM
帰ってきたらルナティアに連絡するならして、合流して出発だ。
ソルティア
ベアトリスさんにちょっと花の事を聞いておきたい気はしないでもないな。モニカ関係でベアトリスは華の事知ってるんだし。
エリカ
私は変な影響あるんなら言うだろうし知らないんだろう、と思ってる。
シャルロット
知らないだろうと思うので、後でエリカちゃん捕まえてアランのところにでも行こうと思っていたのだけれど
ヤンファ
そんなことしたら取り残された俺がルナティアと話したくなるだろ
GM
オーケー。

#ベアトリス
「……おや、どうしました、ソルティア?」 出ていこうとした辺りで、ソルティアに呼び止められた、ということで。
ソルティア
「えぇ、ちょっと……あの花が気になりましてね」 花と言えば分かるだろう。
#ベアトリス
「灰白の花、ですね。貴方がたが以前見たのは、まだ花を咲かせていない〈ヴァニタス〉でしたか」
#ベアトリス
「どちらも同じ植物であることに変わりありませんが……それがどう気になるのですか?」 調査する、という方針にはなったが。
ソルティア
「えぇ。僕も恩恵を受けている物ではありますが……」 正確に言えばモニカが恩恵を受けているんだけど。 「今の軍に広がってる体調不良と重なる出来事ではありますし」
ソルティア
「何と言うか、こう……アレは本当に“良い”物なんですかね……?」 酷く漠然とした問いだが。
#ベアトリス
「……難しい質問ですね」
ソルティア
「効果の高い薬草である事は分かりますが……その、謂れと全く同じ物だったのなら、僕もこうは思わなかったんでしょうが」
#ベアトリス
「使いようによっては、良い物にもなるのは、貴方も知っての通りです」 モニカが好例だ。
#ベアトリス
「ですが、薬にもなりうるものは、同時に毒にもなりうるのも、また世の掟のひとつです」
ソルティア
「はい、それは分かります。ですが……それ以上に何か、得体の知れないものである気がして……」
ソルティア
「霧の街を落としたと思ったら、突然大量発生して、その結果が今の軍……いえ、ヴァニタスが原因と決まったわけではないんですけども……」
#ベアトリス
「……いえ、正確には霧の街を攻略したから大量発生したのではないはずです」
#ベアトリス
「ただ、霧が晴れて人の目に触れるようになっただけ。元々、この辺りには多く生息していたのでしょう」
ソルティア
「……元々この辺りに生えていたもの、ですか。じゃあ、やっぱり僕の杞憂なんですかね……?」 うぅん、と首を傾げる。
#ベアトリス
「貴方がそのような思いを抱くのは当然だと思います。数十年に一度しか現れないと言われる花が、こうも大量に生えているのですから」
#ベアトリス
「《蒼き北伐》の時代には、此処までの数は観測された事はありませんでした」
#ベアトリス
「それから5年間の間に、これだけ発生した、あるいは成長したという事になりますが、それが何を意味するのか、私には答えられません」
ソルティア
「……そうですね。元々知られていないものなのですし、何か得体の知れない効能があっても不思議ではありません、か」 「すみません、こんな事でお呼び止めしてしまって」
#ベアトリス
「いえ、貴方の不安を解消出来るように、調査には全力を尽くしましょう」
#ベアトリス
「貴方は、まず自分の身とシャルロット殿下の事を考えておいてください」
ソルティア
「はい、分かりました……ですが、僕にとってはベアトリスさんも大事な方ですから、心配せずと言うのは無理な話です」 少し笑みを見せて。
#ベアトリス
「……ふふ。その言葉は、そのまま返しましょう」
#ベアトリス
「貴方には、貴方を待つ妹も居るのです。必ず、無事に戻って来てください」
ソルティア
「えぇ、勿論皆でちゃんと帰ってきますよ。ですから、ベアトリスさんも、皆で僕らを迎えてくださいね」 と笑って。
ソルティア
「それでは、失礼します」 ぺこりと一礼して戻ろう。
#ベアトリス
「はい、勿論です」 柔らかく微笑んで。
#ベアトリス
「ええ、どうか気をつけて」 その背中を見送って。

GM
では、次か。
シャルロット
そんじゃエリカに「さっきの会議の時の事で」 と耳打ちして、ずるずるあらんのところにいこう。
シャルロット
できれば人気の少なそうな場所をチョイスして。アランにそういう場所いこうぜっていえばつれてってくれるだろう
#アラン
「……オイオイ、一体何だよ。修羅場か? 俺どっちにもまだ手を出した覚えはないんだが……モテる男は辛いな」
#アラン
と、人気のない駐屯地の隅の方までやってきました。
エリカ
「馬鹿なこと言わないでください」
シャルロット
「思ってたような皮切りの合図で安心しました」
#アラン
「お前らの反応も予想通りで安心だ」
エリカ
「……ていうか、私も具体的にどういう用件なのか解ってないんだけど」
#アラン
「大方『さぁ行きましょうエリカさん!』みたいなノリで連れて来られた……いや、今日は多分そんなノリじゃねえな」
エリカ
「半ば強制なのは変わんなかったですけど……」
エリカ
「さっきの会議がどうのって言ったけど……何か気になることでもあった?」
シャルロット
「ちょっとアランさんに相談したいことがあって。エリカさんを連れてきたのは、一緒に考えることと、聞いて欲しかったからです」
#アラン
「おう、なんでも言えよ。恋愛相談から今日のおかずまで相談乗ってやるぜ」
シャルロット
「こういった場面になる、ということは私が切り出すものの正体ぐらい察しているでしょうが」 アランに様子を伺いつつ、はっきり伝えよう 「ヴァニタスのこと、です」
エリカ
「……ヴァニタスのことって?」
#アラン
「もう名前も懐かしいな。イーヴのおっさんとこに行った時に探した草、だな」
#アラン
「まァ、モニカちゃんだったか? あの子の事でずっと世話になってるモンでもあるんだが」
エリカ
「……まあ、そうですね」
シャルロット
「はい。あの群生がいささか異常だ、ということは、イヤでも伝わってくると思います」
#アラン
「ああ。あの時と違って花が咲いてはいるが、バカみたいに繁殖してやがるな」
シャルロット
「ソルティアさんも、どうもアレに対して危機感を感じている。多分、モニカさんのことがあるからでしょう」
#アラン
「だが、モニカちゃんに関してはアレのお陰で体調が良くなってんじゃァないのか」
エリカ
「でも、別に毒性があるわけじゃなさそうだし……」
エリカ
「……まあ、毒と薬は実質的には同じものではあるけど」
#アラン
「用法用量を守って正しくお使いください、ってな」
シャルロット
「そこです。毒性があるわけじゃない……それに、アレがないとモニカさんが困るでしょう」 ホントは困るどころじゃないのだろうけど、今はそういう表現で
#アラン
「……ま、数十年に一度云々っつー草花がこんなに一気に顔出すってのは薄ら寒いモンはあるが」
エリカ
「……まあ、ヘンだとは、思いますけど」
エリカ
「でも、普通の人に変な影響が出るようならベアトリスさんやイーヴさんが知ってるだろうし……」
#アラン
「……どうだろうな。アイツらも知らねえ事だってあると思うぜ?」
#アラン
「何しろ、超絶レアな植物だ。今まで十分に調査された、出来た事はなかったかも知れねえ」
エリカ
「それは、そうかもですけど……」
シャルロット
「あの薬の性質や、背景なんかの調査はおいおい議題にもあがりましたし、やってくれるでしょう」 周りが
#アラン
「ああ、何なら、俺からもそっちについて調べとくが」 お前らの要請がありゃあ、と。
シャルロット
「いえ。アランさんに調べて欲しい、ってわけじゃないです。そういうことを依頼するなら、アランさんには失礼ですけどイーヴさんトコいってます」 えへへ
#アラン
「あれェ」
エリカ
「………? じゃあなんでアランさんに話してるのよ」
シャルロット
「アランさんには……その、“ヴァニタスを調べている人”とか“調べる気のない人”とかに張り付いて調査してほしいのですが」
#アラン
「……調べてる人間と、調べる気のない人間?」
エリカ
「……?? どういうこと……?」
シャルロット
「思うのですが、何であのヴァニタスについて、議題の第一にあがらなかったのでしょう。どう考えても異常なのに、言い出すまで話題に出なかった」
#アラン
「……そういやァ、そうだな」 会議の流れを思い出すように、腕を組んで顎に手を当てて
エリカ
「それは……確かにそうだったけど」
シャルロット
「既に“あの現象、ないしヴァニタスについて知っている人が居る”か、“触れたくない人”がいるんじゃないですか?」
#アラン
……」
#アラン
「……お前、成長したなァ」 しみじみ。
#アラン
「俺がついボケるのを忘れちまうくらいだ」
エリカ
「……それは、でも」 む、む。
シャルロット
「更に言いましょう。“何故近辺に蛮族が居ないのか”」
シャルロット
「“ヴァニタスが群生しているここが危険地帯だ”と、認識しているのではないでしょうか」
#アラン
「そしてこの地域を避けて、蛮族が居ないと。……成程な、筋は通ってるぜ」
エリカ
「……ようするに危険なのがわかってて黙ってる人がいるってことでしょう? でも、そんなことして何の得になるっていうの」
#アラン
「そりゃ、ひとつしか理由はねェだろう」
#アラン
「進軍を止めたくないんだ」
シャルロット
「この敷かれたレール……かなり強引にコトが進んでいるでしょう?」
エリカ
「それは……でも、それなら刈り取ってしまえば」
#アラン
「……こんだけ生えてるモンを全部か?」
エリカ
「…………」
シャルロット
「問題はあるが、止める理由には至らない。そうして進めてきた行軍です。何か作為的なものを感じます」
#アラン
「それは、ずっと感じて来た事だな」
シャルロット
「ヤーハッカゼッシュも、もしかすると嵌められたのかもしれない。“過程”の一つとして。でなければ、こんなヴァニタスが群生している場所に堂々と事を構えると思えません」
#アラン
「……なら、その途中の〈クルルラガン〉の一件も含めて、全部誰かの筋書きの上ってことか」
エリカ
「……なに、それ」 それは、なんだ。何か、こう。 「……気持ち悪い」
シャルロット
「勿論、ヴァニタスが何かの害ということが前提ですが」
#アラン
「……ま、ぶっちゃけ妙ちくりんなモンであるのは否定できねえな」
シャルロット
「もっといえば、あの私たちが始めてヴァニタスを求めたとき、もう何かが始まっていたのではないかと思います」
シャルロット
「あの時アレを見つけられたのは、運よく生えたのではなく……生えるような“環境”ができていた、とか」
#アラン
「……思い出してみると」
#アラン
「初めてヴァニタスを探しに行ってから、すぐにモニカちゃんの為に〈ヴァニタス〉が必要になったが……その時には、高価ではあるがある程度の数は手に入るようになってた、ってことなんだよな」
エリカ
「……そう、ですね」
シャルロット
「ええ。統計を見ないと判りませんが、少なくともモニカさんが困らない量のソレを得るだけの流通があるということなんです」
#アラン
「……はっは、シャルロット。お前、本当に面白ェぜ」
シャルロット
「むぅ……面白いといわれても褒められた気がしません」
#アラン
「いいや、これは本気で褒めてんぜ。心の底からな」
エリカ
「………」 何か、思案顔で黙っている。
シャルロット
「では、賛辞を頂く前にもう一つ」 と指を一本立てて
#アラン
「おう」
シャルロット
アランには、シャルロットが仕える限定神聖魔法、知ってると思っていいよね
#アラン
うん。
シャルロット
「私の使える得体の知れない加護、これが、ここにいる蛮族にはことごとく通用したという事実」
#アラン
「……へェ。そういや、あの時の霧の街の蛮族には効いてたな」
シャルロット
「あの“コンヴィクション”は恐らく神聖魔法の“セイクリッド”と似た系統だと思いますが、そうなると」
シャルロット
「私を加護する“何か”からすれば、彼らは“敵”だと判断されているということ」
シャルロット
「ですが、蛮族という枠組みではない。では何か
#アラン
「……」 静かに続きを待つ。
シャルロット
ここの蛮族は、何かが感染、ないし浸透していたのでは? という疑惑です。それこそ」 ここに群生した、ヴァニタスの影響で
#アラン
「……有り得ねえ話じゃ、ねェな」
シャルロット
「キーワードは《虚音》、そして“洗脳”です。彼らは自由意志を、何か別の志向性の意思にすりかえられていた可能性だってある」
シャルロット
虚音、という単語にやや顔をしかめながら
エリカ
「……確かに、様子はおかしかったけど」 ヤーハッカゼッシュを思い出しつつ。
#アラン
「なら、〈ヴァニタス〉は《虚音》に関係した何か、って事になるのか?」
シャルロット
「私は、総てどこかで繋がっていると考えています。多分、始まりは一つなんです」
エリカ
「けど……前にも話してたけど、その《虚音》って、ダグニア地方でのことでしょう?」
#アラン
「……《虚音事変》、か」
#アラン
「確かに、事件そのものはセフィリアの首都アーレで起こったもんだ」
#アラン
「だが、その後の展開はダグニアに限った話じゃァない」
エリカ
「この前の《呪音》だって、似てはいるけど違うものだって話だった気がするけど……、……その後の?」
#アラン
「ヤンファには話した事があったが《虚音事変》の原因は、世間に伝わってる話と違って、破壊されてなんか居ない」
エリカ
「……どういうことですか?」
#アラン
「事変を引き起こしたのは、とある神器名を〈ライフォス胡弓〉……より正確には、救世のうんたらって呼ばれてたんだったか」
エリカ
「……え」
エリカ
「そ、それって、その、」 え、ええ……?
シャルロット
「……そんな気も、していました」
#アラン
「事件の後、その神器はセフィリアの封聖省の管理下から消失し、何らかの手段によってこのザルツ地方に運び出された、と目されている」
エリカ
「ちょ、ちょっと待って下さい。それって確か」 大破局の時には聖女が使ってどうたらと。
#アラン
「ああ、そうだ。“救世の聖女”が一体化したソレだ」
#アラン
「……ま、生で見たこたねェから完全に一緒のモンなのかは知らないが、大間違いって事もないだろう」
#アラン
「シャルロットのさっきの話は、結構説得力があった」
#アラン
「お前の云う通り、俺ァ“人”の方を洗わせてもらうぜ」
シャルロット
ええ、お願いします。きっと、アランさんにしか出来ないことだから」
エリカ
「……」 確か逸話では砕け散ったという話で……で、この前聞いた話だと実はそうでもないと……あれ、いやこれはアランの前で言うわけにはいかなかったっけ。 「ええと……」 もごもご。
#アラン
「……あん、どうした?」
エリカ
「あ、い、いえ、なんでも」 アイゼルとかと会ったことはひみちゅなのだ。
#アラン
「多分お前の考えてる事、大体ヤンファの奴から聞いてんぞ」 既に。
エリカ
「……え、ええ!?」 聞いてたんかい!
シャルロット
「ヤンファさんも大概、アランさんとは意気投合してますよねえ……」
#アラン
「最初、紅き霧から脱出する時にどうのこうのって話ならな」
#アラン
「ま、あいつとはキャラは被ってるがその分馬が合うしな」
エリカ
「な、なんだ……っていうか、話したんなら一言くらいなんか……」 そのこと言っとけよあの馬鹿。
#アラン
「おう、それはあいつの責任だな」 責任転嫁なう。
シャルロット
「ともかくエリカさん」 ちら、と視線を
エリカ
「……な、何」 急にこっちみんな。
シャルロット
「コレの件に関して、私は疑いを持っています。でも、この調査をエリカさんに内緒でやるのは、出来ないと思って一緒に来てもらいました」
エリカ
「………なんで」
シャルロット
「その……モニカさんのことがあるでしょう? 自分を支えてくれているものを疑われるって、気分の良くない事だと思って」
エリカ
「………別に、そういう変な気の使い方しなくていいわよ」
シャルロット
「でも、捨て置けるほど簡単なことじゃないし、大事なことだと思うから……私より頭のいいエリカさんに協力して欲しかったんです」
エリカ
「…………」 嫌味かっての。
シャルロット
「えええッ、なんでそこでそんなすごい目で睨むんですか!?」
エリカ
「……はあ。本っ気で無自覚にそういうこと言うわよね、貴女」
#アラン
「まァ閃き云々に関してはシャルロットのが上だが、知識面やらなんやらはお前のが上だろうしな」
#アラン
「シャルロットが結構馬鹿なのは、お前も知っての通りだ」
エリカ
「それはそうですけど……」 肝心な頭の回転では負けているのだとひしひしと感じるのだ。
#アラン
「頭の良さっつーのも色々あるからなァ。ひとつふたつの面だけ見てどうと断じる事は出来ないもんだぜ」
シャルロット
「だ、だって私はそんな風に思う、とか。こんな気がする、っていうだけで、裏づけとか実際の調査とか、全部人任せですし」 だんだん声が小さくなっていく
#アラン
「まァ指揮官タイプだよな」 馬鹿だけど。
シャルロット
「前線、をあたまにつけてください」
#アラン
「そういう所が馬鹿だわ」
シャルロット
「何故……ッ」
エリカ
「……まあ、いいわよ」 別に。 「何にしても、ヴァニタスについては今のところ私じゃ解ることはないから」
シャルロット
「は、はい! ありがとうございます!」 わぁ、わぁ。協力を取り付けたぞ
エリカ
「別にお礼言うことじゃ……ていうか、そもそもヴァニタスについてならイーヴさんやベアト……」
シャルロット
「……エリカさん?」
#アラン
「ま、何か協力して欲しい事が出来たらエリカにもン……?」 何かエリカが止まったぞ。
エリカ
「……いや、まあ、いい」
シャルロット
「……? いいならいいですが、話すべきだと思ったら私じゃなくていいので、誰かに相談してくださいね? ソルティアさんとか」
#アラン
「言いたい事があるなら言っとけよ。通信機も使えなくなるんだしな」
エリカ
「……いえ、その」
エリカ
「あんまり、言いたくはないですけど」 恩人、だし。 「ただ、ベアトリスさんが怪しいのは確かだから」 あの人に協力求めるのはできないな、と。
シャルロット
「……さっき、ソルティアさんがどこか行ってませんでした?」 おんや?
#アラン
「その宰相サンに話しに行ってる感じだったが」
#アラン
「具体的な理由はあんのか?」
エリカ
「具体的って言っていいかは、わからないですけど」
エリカ
「……だって、進軍を止めたくないのは、皇帝陛下で、ベアトリスさんはその部下です。何か知ってても、皇帝陛下の為に黙ってるってことは十分あるって、思ったんです」
エリカ
「それに……」
シャルロット
「ヴァニタスの利用を薦めてきたとか」
エリカ
「……」 ぐぬ。
エリカ
「……まあ、その、通り。“最近頻繁に採取されるようになった”、って」
#アラン
「……ほう、ンな事を言ってたのか」
#アラン
「……ヴァニタスを使わせる事で、アイツ自身が何の得をすんのかはちっと分かんねえが」
#アラン
「ユリウスの部下って点は、まァそうだな」
シャルロット
「……そう、ですか」 うーん、と小さく唸って
エリカ
「使わせることでどうこうとは思いませんけど」
エリカ
「ただ、あの時誘拐事件の直後に、そんなこと知ってるくらいには、ヴァニタスのこと知ってたってことですから」
#アラン
「成程な」
#アラン
「なら、ぶっちゃけあの二人を中心に……で良さそうだな」
エリカ
「……正直、あんまり、悪いものだって思いたく、ないですけど」 妹が継続して服薬しているのだから。
#アラン
「薬の効果自体は出て、体調はよくなってんだろ」
エリカ
「……はい」
#アラン
「少なくとも、それだけは事実だろ。あんまり考えすぎんな」
エリカ
「……」 こく。と。無言で頷いた。
シャルロット
「……もうちょっと調べることがありそうですねぇ……」 頭が回らなくなってきた
#アラン
「……やれやれ。こんなことして、何を企んでやがるんだか、あの野郎は」
シャルロット
「いや……ユリウス陛下もどこまで知っているのかな」 総てを知るには、人の身に余る
#アラン
「……っつーと、お前の考えは」
シャルロット
「まだ裏に糸引く者がいるのでは、と」
#アラン
「分かった。それも頭に入れて調査するぜ」
シャルロット
「ええ、宜しくお願いします」
エリカ
「あの皇帝陛下のことも裏で操ってる人がいるってこと……?」
#アラン
「どうやら、そう疑ってるらしいぜ」
エリカ
「いくらなんでも……」 あの皇帝陛下は正直好きじゃないけど。
シャルロット
「陛下は強く、目標に向けて進んでいます。その意思を操るのは難しいかもしれません」
シャルロット
「でも、陛下の判断材料に“異物”を判らないように紛れ込ませるだけで、その進路を歪ませるコトだって出来る」
シャルロット
「ともすれば、陛下が内心に持つ“目標”それ自体が、歪んだものなのかもしれない。……それを、見極めないと」
#アラン
「真面目馬鹿程周りが見えなくなるもんだからなァ」
エリカ
「……」 むう。
#アラン
「ひとまず、俺はそれの判断材料が少しでも増えるように努力するとしますか」
シャルロット
「あはは……アランさんにはご迷惑かけます」
#アラン
「構わねェよ。俺だってその辺は気になる所だからな」
#アラン
「お前らはお前らで、まずはシャルロットの身体をしっかり治して来いよ」
エリカ
「……そうですね。とりあえず、私たちは一先ず向かうところがありますし」
シャルロット
「はい。頑張ってきます」 力なく握りこぶしだ
エリカ
「頑張るのは主に私達になりそうだけど……」 しばらくは。
シャルロット
「あ、あはは……さ、最悪、盾になりますから」
#アラン
「男連中を盾にしろよ……」

GM
時刻は同じ頃、駐屯地を少し離れた林の中。
GM
此処にも、灰白の花はそれなりに生息している。
ヤンファ
「………」 頭をぼりぼり掻きながら、咲き乱れる〈ヴァニタス〉を見
#ルナティア
「……さっきからきょろきょろして、何してるの」
#ルナティア
ふと、背後から声がする。
ヤンファ
……怖いからやめてくんねェ?」
ヤンファ
振り返り、半ば呆れ顔で見る
#ルナティア
「挙動不審なあなたの方が、気持ち悪いわ」
ヤンファ
「察しろよ。探しに来たんだぜェ?」 あまり思ってない風だが
#ルナティア
「……何で?」 ソルやシャルならまだしも、ヤンファが探しに来る理由などあるのか、と首をかしげる。
ヤンファ
「いやァ、“蒼き観測者”の処に行くことになったからな」
ヤンファ
「お前にも道中手伝ってもらおうってなァ」
#ルナティア
「それがシャルを治すのに必要なら、構わない」
#ルナティア
「……でも、てっきり、シャルが嬉々として通信してくるものだと思ってたわ」 ここならまだぎりぎり圏内だし。
ヤンファ
「アイツはアイツで色々調べ回ってるみたいだからなァ。ま、隊長補佐も仕事の一つだろ」
#ルナティア
「……そう」
ヤンファ
「とりあえず、返事はオ-ケィ、と」
#ルナティア
「……約束したから。それは破らないわ」
ヤンファ
「……約束だから、だけか?」
#ルナティア
「それ以外に、何かあるって?」
ヤンファ
「さァ?なんとなく訊いただけだが……例えば」 
ヤンファ
「友達だから、とかなァ?」
#ルナティア
「そもそも、約束の前提に友人関係があるのよ」
#ルナティア
「何でもない相手と約束なんて、しないわ」
ヤンファ
「あァ、そうだったか」 木にもたれ掛り、ポケットから煙草を取り出して口に咥えつつ 「で、よ」 シュボっと火を着け
ヤンファ
「なんで、アイツに声を掛けられて応じたんだ? 別に元々仲良しちゃんってワケじゃァなかったろ」
#ルナティア
「……ん?」 屈みこんで、ヴァニタスを一輪採りながら
#ルナティア
「……誰の事?」
ヤンファ
「街中でどうやって出会ったか知らんが、お前がシャルと友達になる理由ってあったのかってコトだよ」 
#ルナティア
「無理やり買い物に付き合わされたわ」 ヤンファとは違う木にもたれ掛かって、その花びらをちぎって遊びはじめた。
#ルナティア
「そのままお茶に付き合わされて、それから先は、成り行きで」
#ルナティア
「……友達になりたいって言われたの、初めてだったから」
ヤンファ
「……ふゥん」 ふぅー、と煙を吐き 「嫌じゃァなかったンだな」
#ルナティア
「……躊躇いはあった」
#ルナティア
「勿論、戸惑いもね」
ヤンファ
「ま、お前みたいに鎖も繋がれてない猫みたいな奴が、そう簡単に首を縦に振るとは思えないからなァ」
ヤンファ
「いや、繋がれてはいるか」 こちらは独り言のように
#ルナティア
「……」 それらの言葉には答えずに。
#ルナティア
「……結局、何が言いたいの。仕事で、私がシャルの友人に相応しいかどうかでも、調べてるの」
ヤンファ
「……ま、気になったんだよ。友達作るような雰囲気じゃァないからな、お前」
#ルナティア
「実際、居なかったしね」
ヤンファ
「まァ、それは生い立ちもあるだろうが」 居る居ないは 「シャルと友達になった時、どう感じたかってのが知りたかった。そんだけだ」
ヤンファ
「ある意味相応しいか調べてるって言い方も出来るが、仕事じゃなくて私事だなァ」 ぷかー、と煙で輪をつくり
#ルナティア
「……難しい事を訊くのね」
ヤンファ
「でもそれをお前は答えた」 難しい、をな
#ルナティア
「……答えになってない答えだと思うけど」
ヤンファ
「嬉しさ、戸惑い、躊躇い。ちゃんと答えになってるじゃァねえか」 煙草を指で挟んでルナティアに向けつつ
#ルナティア
「……嬉しいなんて言った覚えはないわ」
ヤンファ
「友達になって欲しいって言われたの、初めてだから……少し嬉しかった。ってことだと思ったんだが?」
#ルナティア
「……そこは読まなくていい行間よ」 花びらをちぎり終えて、辺りに放った
ヤンファ
「……くくっ」 その仕草を見て低く笑う
#ルナティア
「……殴りたい」
ヤンファ
「そのちっちゃい手で殴られても可愛いだけだろォ」 ついでに胸もちっちゃいな
#ルナティア
「じゃあ斬るわ」
ヤンファ
「おっと、それは流石におっかねえ……じゃねえ」
ヤンファ
持ってた煙草の灰が落ち、次の煙草を箱から取り出す
ヤンファ
「……出会った当初、てめェがシャルに得物投げたの覚えてるかァ?」
#ルナティア
「ええ、覚えてる」
ヤンファ
「あの時から、お前が嫌いで堪らなくてなァ」 火を着け、一息
#ルナティア
「……そうね。それが普通よ」
#ルナティア
「私が、誰かに嫌われないのが、おかしい。……この世界では、それが当たり前」
ヤンファ
「………」 煙草を咥えたままルナティアを見つめ、その言葉をどこかに留めつつ聞く
#ルナティア
「……私は、人になりそこねた、“狂った劣等品(ルナティア)”だもの」
ヤンファ
「……その筈だった、か」
ヤンファ
ふー、と煙を上に吐き
#ルナティア
「……そうね。……ソルは、私と境遇が一緒だったから、私の事を嫌いではないのは分かるけれど、シャルに……エリカまで、あんな事を言うのは驚いた」
ヤンファ
「変わり始めてる。俺も変わったし、アイツらだって、お前だって何かが変わった。シャルロットという女を中心にな」
#ルナティア
「……」 否定せず、ヤンファの方を見る。
ヤンファ
「さっきはああ言ったが、お前もシャルを友達として護るだろうよ。そして、俺もシャルを護る」
ヤンファ
「仲良くやろうや、とまでは言わないがなァ。案外と目的も一致してる」
ヤンファ
「エリカの真似事じゃァないが、俺もお前を赦すことにした」
#ルナティア
「…………そう」
#ルナティア
「……ありがとう」
ヤンファ
「……礼を言われる為に言ったんじゃァねえがな」 そこは素直じゃなく、上を向いてまた煙を吐いた
#ルナティア
「私もエリカじゃないけれど、あなたの事は、別に嫌いじゃないわ」
ヤンファ
「……そうかィ」
#ルナティア
「もう、言いたい事は無い?」
ヤンファ
「……ま、大体俺がお前を探しに来た理由はこんなモンだなァ」 煙草を木に擦り付けて火を落とし
ヤンファ
「訊きたい事は一応あるが、あんま答えてくれそうな内容じゃァねえ」
#ルナティア
「訊いてくれてもいいわ。答えられないなら、答えられないって言うだけだから」
ヤンファ
「ン」 そうか、と頷き  「俺らと出会う頃から、何人に雇われた?」
#ルナティア
……」
#ルナティア
「……丁度、あなたたちと一緒にシャルロットの治療に向かうなら、話そうと思っていたことよ」
ヤンファ
「あァ……そうなのか」
#ルナティア
「私の本当の雇い主は、8年前《蒼銀戦役》の頃から、変わっていないわ」
ヤンファ
「……」 目を細める。やはり、変遷していったように見えて…  「……そうかァ」
ヤンファ
「……ま、詳しい話は後で纏めて、ってかァ」
#ルナティア
「ええ。だから、表面上は何人にも雇われていても、本当は、そのひとりだけ」
#ルナティア
「……それ以上の詳しい話は、今はあまり出来ないけれどね」
ヤンファ
「“雇われること”が仕事、か」 恐ろしい話だ 「まァそうだろうなァ」
#ルナティア
「“死神”を演じる事も、私の役割のひとつだったもの」
#ルナティア
「……勿論、私自身にも、誰かの命を奪う事で復讐心を満たそうとしていた気持ちはあったけれど」
ヤンファ
「そしてそれがお前を繋ぐ“鎖”で、完全にシャルの手を取れない理由なワケだ」
#ルナティア
「……そうね。私は、独りの世界が嫌で、その鎖に身を委ねた」
ヤンファ
「だが、シャルは確実にソイツを砕きにくるぜェ」
#ルナティア
「ええ、分かってる。……言ったでしょう、待ってるって」
ヤンファ
「あァ、そうだったな」
#ルナティア
「……もっと早くに、あなたたちとッ……く、ぅ……」 ぐ、と左目を押さえて蹲る。
ヤンファ
どうしたっ」 突然の仕草に焦り
ヤンファ
ルナティアに近寄ろうと一歩踏み出る
ヤンファ
が、そこで足が止まる
#ルナティア
「……いえ、大、丈夫。……少し、痛んだだけよ」
#ルナティア
左目を押さえたまま、ゆっくりと立ち上がり。
ヤンファ
「……前々から思ってたが、その左目……」 何かあるのか、と訊こうと思ったが  「……いや」 思いとどまり、首を横に振る
#ルナティア
「……今は、それでいいわ」 静かに頷いて。
ヤンファ
「……話をさせすぎたな」
#ルナティア
「……ええ、そうね」
#ルナティア
「戻りなさい、ヤンファ。出ないと、斬るわ」
ヤンファ
「悪かった。また迎えに来る時シャルから連絡を入れさせる」
#ルナティア
「……分かった」
ヤンファ
「……また」 一人にさせたくはないが、させなければならないようだ。足早にその場を離れていった
#ルナティア
「……」 その背を見送って
#ルナティア
「……私も、バッカスみたいに、死ぬのかしらね……」
#ルナティア
「……ふふ、嫌ね。……死ぬのが、こんなに怖いなんて」 背負った鎌を手に取り、目の前で見つめる。