虚ろの輪音

第三部 第四話「心持つ者へ」 - 01

シャルロット・イエイツ=ヘリオドール
器用度 36+2
敏捷度 34+2+2
筋力  20
生命力 28
知力  31+2+2
精神力 28

HP 75+2  MP 82+2
ファイター     11
プリースト:騎士神  8
エンハンサー     7
マギテック      4
ソーサラー      4
レンジャー      3
コンジャラー     2
戦闘特技
1.《魔力撃》
3.《防具習熟/盾》
5.《防具習熟Ⅱ/盾》
7.《マルチアクション》
9.《両手利き》
11.《防具の達人》
ex.《魔法拡大/数》
《タフネス》
秘伝/CA
《地這刃》
《活人撃》
《閃電二撃ち》
《ストレイフレイド》
《不動堰》
《剛魔撃》

《咬破魔刃撃》
《瞬閃哮》
《黎光閃》
《饗宴の四重奏》
練技・賦術
【ガゼルフット】
【キャッツアイ】
【ビートルスキン】
【メディテーション】
【スフィンクスノレッジ】
【ケンタウロスレッグ】
【デーモンフィンガー】
装備
〈ファランダレス=リベラトール〉
〈ファランダレス=リベラ〉
〈クロト=ムネモシュネ〉
〈女神のヴェール〉
〈祈りのアミュレット〉
〈ウェポンホルダー〉
〈信念のリング〉
〈ガンベルト〉
〈跳躍の羽〉
〈フルオプション・マギスフィア〉
ほか
ヤンファ・シャンリーク
器用度 43+1
敏捷度 42+1
筋力  30
生命力 25+6
知力  13
精神力 16

HP 64+2  MP 37+2
フェンサー     11
スカウト       9
プリースト:剣神   7
エンハンサー     7
アルケミスト     6
戦闘特技
1.《武器習熟/ソード》
2.《防具習熟/非金属鎧》
3.《武器習熟Ⅱ/ソード》
7.《マルチアクション》
9.《防具習熟Ⅱ/非金属鎧》
11.《防具の達人》
ex.《必殺攻撃》
《トレジャーハント》
《ファストアクション》
《影走り》
秘伝/CA
《瞬刃》
《天趨刃》
《刃狼哮》

《瞬閃哮》
《風の導き》
《饗宴の四重奏》
《刹風刃》
練技・賦術
【キャッツアイ】
【ガゼルフット】
【アンチボディ】
【ビートルスキン】
【ケンタウロスレッグ】
【デーモンフィンガー】
【リカバリィ】
【クリティカルレイ】
【パラライズミスト】
【ヴォーパルウェポン】
【バークメイル】
【アーマーラスト】
【コンセントレーション】
装備
〈ヴァイケリオン〉
〈フローズヴィトニル〉
〈籠手〉
〈男神のキッパー〉※1
〈ウサギのピアス〉
〈多機能ブラックベルト〉
〈軽業のブーツ〉
ほか

※1 … 〈女神のヴェール〉と同効果の男性専用代替品。ハウスルールで規定。
エリカ・ケイ
器用度 14
敏捷度 22
筋力  14
生命力 25
知力  33+6+2
精神力 48

HP 58+2  MP 96+2
フェアリーテイマー11
セージ       10
アルケミスト     6
エンハンサー     6
戦闘特技
1.《魔法誘導》
3.《魔法収束》
5.《魔法制御》
7.《魔法拡大/数》
9.《MP軽減/フェアリーテイマー》
11.《キャパシティ》
ex.《魔法拡大/時間》
《鋭い目》
《弱点看破》
《マナセーブ》
秘伝/CA
《宴は終わらず》
《我らが舞は唯一人の為に》
《魔法圧縮/数》

《風の導き》
《饗宴の四重奏》
《安らぎの舞踏会》
練技・賦術
【メディテーション】
【アンチボディ】
【ストロングブラッド】
【チックチック】
【スフィンクスノレッジ】
【リカバリィ】
【パラライズミスト】
【バークメイル】
【クラッシュファング】
【ヴォーパルウェポン】
【エンサイクロペディア】
【イニシアティブブースト】
装備
魔銃【シックザール】
〈ディ=ペナテス〉
〈マナコート〉
〈カトレアの花冠〉
〈ノドゥス・セクンドゥス〉
〈祈りのアミュレット〉
〈ガンベルト:活性弾×12〉
〈韋駄天ブーツ〉
ほか
ソルティア
器用度 33+1
敏捷度 18
筋力  31
生命力 30+3
知力  33+1
精神力 35+3

HP 81+2  MP 83+2
ファイター     11
ソーサラー      9
コンジャラー     6
エンハンサー     6
レンジャー      3

戦闘特技
1.《魔力撃》
3.《防具習熟/金属鎧》
5.《防具習熟Ⅱ/金属鎧》
7.《武器習熟/ソード》
9.《武器習熟Ⅱ/ソード》
11.《防具の達人》
ex.《マルチアクション》
《タフネス》
秘伝/CA
《剛魔撃》
《閃電二撃ち》

《咬破魔刃撃》
《饗宴の四重奏》
《刹風刃》
《総て穿つ神の槍》
練技・賦術
【ビートルスキン】
【キャッツアイ】
【メディテーション】
【ストロングブラッド】
【デーモンフィンガー】
【スフィンクスノレッジ】
装備
〈ディ・ゾンネ〉
〈スパイクシールド〉
〈リーヴスラシル〉
〈決死の鉢巻き〉
〈赤の眼鏡〉
〈黄鉄鉱のお守り〉
〈野伏の威風堂々たる炎武帝のマント〉
〈ウェポンホルダー〉
〈ブラックベルト〉
〈韋駄天ブーツ〉
〈信念のリング〉
ほか


第四話 「心持つ者へ」
世界を取り戻すには、僕たちの力は、あまりに不足していた。
けれど、絶対に諦めない。
僕たちには、共に歩む仲間が居て、家族が居て、大切な人が居る。
どれだけ辛くても、苦しくても、手を繋ぎ、顔を上げ、立ち向かう。

そんな僕たちの眼前に吊るされた選択肢。
僕たちの全てを否定し、未来を得るか。僕たちの全てを肯定し、未来を閉ざすか。
示された選択肢は、かつてない程に、辛く、苦しいものだった。
それでも、僕らは


GM
《インペリアル・センダー》での戦いから、どうにか逃げ果せた君たちは、飛空船にて公都へと向かっていた。
GM
此処に至るまで、アレクサンドリアによる妨害はなかった。ユリウスらは、自分たちの役目を果たしたという事だろう。
GM
だが、一同は揃って浮かない顔をしている。いつしか、交わす言葉も殆ど無くなってしまっていた。
#フェリシア
「……公都が見えて来ました」
GM
フェリシアがそう声を発した時には、もう辺りはすっかり夜の闇に包まれていた。……とはいっても、この虚ろな世界では日中でも相変わらず雲に覆われ、そう明るくはないのだが。
ヤンファ
「あァ、ご苦労さん」 それだけを返す
#アラン
「みんな休みたいのは山々だろうが、時間はねェ。公都に降り次第、すぐに話を始めたいが、いいか?」
エリカ
「……はい」
ヤンファ
「問題ねェよ」
#ルナティア
「……ええ、構わない」
シャルロット
「こっちこそ、そうして欲しいぐらいです。お願いします」
ソルティア
「そうですね……時間を取って間に合わなくなってしまうと、皆に顔向けも出来ませんし」 弱々しげな笑みと共にアランに声を返して。
#ルイーゼ
「モチのロンよ」 流石にこの人も若干おとなしい。
ヤンファ
「………」 腕組みして俯き、時間が流れるのをじっと待っている
#アラン
「……オーケー。多分、あっちももう準備は出来てるはずだ」
#アラン
アランは通話のピアスを取り出して、耳に当てる。
#アラン
「俺だ。じきに公都に到着する。そっちはどうだ?」
#アラン
「……そうか。分かった。城の衛兵たちにはもう話を通してある。先に公城に向かっておいてくれ」
#アラン
通話先の相手にそう告げると、ピアスを握り締めるようにして懐へ仕舞いこむ。
ヤンファ
「………」 おそらくセフィリアから来た同志か誰かだろう、と見ている
#ルナティア
「……後は、ランベルト教授たちの飛空船の準備ができてるか、ね」
#ルイーゼ
「だーいじょうぶよ。私の自慢の旦那様に、愛しの娘にやるときゃやる息子なんだから」
ヤンファ
「……くくっ、こんな時に惚気かよ」 冗談まじりに、軽く笑う
#ルイーゼ
「そりゃ、どんな時だって私は私だもの」
ヤンファ
「私は……私、ねえ」
#ルナティア
「家族の事、信じてるのね」
#ルイーゼ
「なになに、クールガール、羨ましいの? 何だったらウチに養子に来たっていいのよ」
#ルナティア
「……そんなに簡単に誘うものじゃないと思うけど。まぁ、生憎と、もう家族は居るの」
ソルティア
「駄目ですよ、ルナはうちの家族なんですから」 少しでも気分を変えようとしたか、冗談を口にして。
#ルイーゼ
「二人共つれないなー」
#ルイーゼ
「ま、もう居るっていうならいいけどね」
ソルティア
「義妹も合わせて三人一緒に、なら考えないでもないですがね」
#ルイーゼ
「私個人としてはそれも大歓迎だけどね」
エリカ
「……」 ぼんやりと窓の外に視線を向けている。
#アラン
……」 ふぅ、と珍しく何かを話す気にもなれず、エリカと同じく窓の外を見やる。
#ルイーゼ
「それと、家族の絆なんて、先に築いても後に築いてもどっちでもいいのよ」
ソルティア
「義妹を口説くのは大変ですよ? 意外と頑固な子ですから」 はは、と笑って。
#ルイーゼ
「おばさんのしつこさを舐めちゃいけないわよ」
ソルティア
「肝に銘じておきます」
#ルナティア
「……」 そんなやり取りにふ、と小さく笑ってから、一人先に座席に戻った。
#ルイーゼ
「笑い方もクールね……」
シャルロット
……」 周りの会話を耳にしながら、心此処に在らずといったさまで行く先を見る
#フェリシア
「……シャルロット様、大丈夫ですか?」
シャルロット
大丈夫ですよ、平気です」 特に目をやることなく応えて、手を振る
ヤンファ
「………」 ちらりとシャルを見、視線を戻す
#フェリシア
「……そう、ですか」 平気な訳が無い。こんな状況で。だからといって、自分に何か言葉が掛けられる訳でも無い。
ヤンファ
「……そろそろか」 そう一人で呟き、ぎゅっと拳を握る
#フェリシア
「……間もなく、公都に到着します」
#フェリシア
「ルナティア以外の皆さんも、席へお願いします」
エリカ
「……あ、はい」 頷いて。
ソルティア
「……えぇ、分かりました」 席に戻ろう。
ヤンファ
「オーケィ」
#アラン
「ああ、分かった」
シャルロット
「ン」 こく、と頷いて腰を下ろす

GM
公都へ着陸した後、君たちは疲れた身体を引き摺りながらも公城へと歩いて行く。
GM
公都のあちこちでは、魔動制御灯が灯され、陽も落ちたというのに多くの人々が出歩き、真剣に何かを話しあったり、談笑したりしている。
GM
君たちの知らぬ間に、公都は少しずつ人の輝きを取り戻し始めていたようだ。
GM
また、街の至る所で武装した兵士や冒険者と思しき者たちが辺りを哨戒している。
GM
議会の決定は滞り無く行われ、軍や冒険者たちに通達が行き渡っているのだろう。
GM
道行く兵士たちは君たちの姿を認めると、それぞれ敬礼をして見送る。
GM
そんな公都を抜けて、公城へと至る。
ヤンファ
……」 視線だけで周囲の人々を追い、僅かだけの安堵
#アラン
「……よし、早速準備するか」 公城内へと到着すると、アランが片手を腰に当ててて言う。
#フェリシア
「そうね」 頷くフェリシアの表情にも、僅かばかりの安堵が浮かんでいる。
ヤンファ
「……で?」
ソルティア
「準備と言うのは、一体何を?」 アランの下へ歩み寄って尋ねる。
#アラン
「ん、ああ。呼び寄せた奴らに話を通して来るだけだが」
ソルティア
「そうですか……それじゃ、お願いします」
シャルロット
「……というか、そろそろ聞かせて頂いてもいいのではありませんか」
エリカ
「具体的に……何をするんですか?
#アラン
「その時に話すさ」
#ルナティア
「余程言いたくない事なのね」
#アラン
「……ま、30分くらい時間を貰うぜ」
シャルロット
「……」 むぅ、と唸りつつも、素直に待とう
ヤンファ
「まァ、とりあえず待とうぜ」
#アラン
「その間、お前らは荷物の整理とかしてきてくれ」
#アラン
「それが終わり次第、中庭に集合だ」
エリカ
「……解りました」
ヤンファ
30分後に中庭だな。解った」
ソルティア
「はい……使った物も、補充しておかないといけませんしね」
シャルロット
「……了解」 それぐらいしかやれることもない、と頷いてすぐに動き出す
#アラン
「フェリ公は、悪いがランベルト教授たちに連絡してくれるか? ま、作業が終わってるようならこっちに呼んじまおうぜ」
#フェリシア
「ええ、分かったわ」
#ルイーゼ
「じゃあ私もフェリシアちゃんに付いていこっかなー」
#フェリシア
「では、ルイーゼさんはこちらへ。皆さん、また後ほど」
エリカ
「はい」
ヤンファ
「あァ、後でな」
#アラン
「よっし、じゃあ解散解散」 しっし、と君たちを追いやり。
ソルティア
「はい、お疲れ様です。また」
ソルティア
「……どこか一つ、部屋でも借りましょうかね」 会議室かなんかでいいか。

#L=リベラ
相変わらず自分使いが荒いですね」
シャルロット
「自分を酷使するぐらい、いいでしょう」 出て来い、と思ったタイミングで、あわせたように出てくる相手に顔をゆがめて
#L=リベラ
「自分を酷使することを、周りの人たちが良しとするかは、私には分かり兼ねますが」
#ルナティア
「……」 なんというか、結構軽いわコイツ。
ヤンファ
「って言われてもなァ……」 もう何に言及すればいいのやら
エリカ
「……」 なんかもうこいつのノリ慣れてきたわ。
#L=リベラ
「エリカさん、何だかんだでそうやって全部に慣れて来てしまっていますよね」
エリカ
「いちいち突っ込んでたらキリがないっていうか考えてること勝手に読まないでくれる?」
#L=リベラ
「考えを読んだのではなく、今まで貴女を見てきた上での率直な感想を言ったまでです」
シャルロット
用向きはわかりますよね」 その言葉に、かえって呆れてしまって、ふっと笑う
#L=リベラ
「はい。〈ラクスタイト〉ですね」
#L=リベラ
「では、それをルナに。ルナは、それを持ってこちらに」
#ルナティア
「……ん」 渡して貰える? と手を出した。
シャルロット
「はい……じゃあ、お願いします」 頷くと、ルナティアに手渡そう
ヤンファ
「何だァ、またとりあえず後ろ向いてりゃァいいのか」 防具どうなんのか知らないけど
#L=リベラ
「見たいなら見ていて構いませんけど」
ソルティア
「どっちがいい?」 聞くなよ。
#ルナティア
「……」 あ、コイツ殴りたい。
ヤンファ
「絶壁にはそこまで興味ないんでなァ……」
#ルナティア
「……」 あ、コイツぶった斬りたい。
エリカ
「…………」
シャルロット
「……流石に」 フォローできない。
ヤンファ
「嘘だって。そんな睨むなよ」
ソルティア
「ヤンファさんはシャルロットさんでも見てればいいんじゃないですかねぇ」 そう言いつつ一応後ろ向いた。
エリカ
「いいからもう全員後ろ向いておけばいいんじゃないですか……」
ヤンファ
「いや、ちょっとしたお茶目じゃァねえか」 痛い視線にあてられ、ボリボリと頭をかきつつ後ろを向く
エリカ
「そういうのをセクハラって言うんですよ」
ヤンファ
「すみません……」
#ルナティア
「無自覚なソルが一番最悪だわ」
ソルティア
「ごめんなさい……」
#L=リベラ
「はぁ……」 片手を額に当てた。
#L=リベラ
「では、男性二人は後ろを向いていてください」 女性はお好きにと。
シャルロット
私はガン見じゃないけど、見守っていよう
エリカ
一応そっぽ向く。
#L=リベラ
「さて……それでは」 ラクスタイトを持つルナティアの前に跪いて、その片手を取って手の甲にキスを落とそう。
GM
皆の時と同様、ルナティアの身体が光に包まれ、瞬時にその衣服の細かな部分に、蒼い刺繍のような装飾が施されていく。
#L=リベラ
「もういいですよ」
#ルナティア
「……思ったよりは、変わらなかったわね」
ソルティア
「はいはい」 振り返る。 「あれ……あんまり変わってないね」
エリカ
「……結構原型とどめてるのね」
シャルロット
「でも、装飾が綺麗ですよ。前よりずっといいです」
#L=リベラ
「貴方たちのいやらしい視線が反映されたのかもしれませんね」
ヤンファ
「そりゃまァ」 そんな短期間で育たないだろ
ソルティア
「わけが分からないよ」
#L=リベラ
「それはともかくとして……」
シャルロット
「ともかくとして?」
#L=リベラ
「その衣服は、見えなくなった貴女の眼に、本来見えぬ物を映す力を持っています」
#L=リベラ
「程々に、大切な人たちを護り、護られてくださいね」
ソルティア
「本来見えぬ物……?」
ヤンファ
「本来見えぬモン……?」
#ルナティア
「……ふぅん」
エリカ
「……?」
#L=リベラ
「一言で言えば、未来です」
シャルロット
「……み、未来?」
ソルティア
「……はい?」
#L=リベラ
「ええ。僅か数秒ばかり先の未来」
#L=リベラ
「それを予見し、未然に防ぐ」
ヤンファ
「……へェ」 トンデモな話だな
#L=リベラ
「それが、今ルナが得た力です」
#L=リベラ
「皆さんが彼女を想う気持ちと、彼女が皆さんを想う気持ちが体現されたもの、と考えていいでしょう」
ソルティア
「……何だか負担がかかりそうな力だね、それ」
#L=リベラ
「まぁ、そうですね」 ある意味では。
ソルティア
「多用はしない方がよさそうです……」
#ルナティア
「そう多用出来るものでもなさそうだわ」
シャルロット
「……なんていうか、それ、一番とんでもない能力では?」
#L=リベラ
「眼が治ったら、もう使えませんよ」
シャルロット
「そうですか……」 ソレが一番都合がいいのかも、と笑って
ヤンファ
「治った時には、未来を得た証になってる……ってか」
〈ブルームーン〉

基本取引価格:取引不能

知名度 24 形状 細部に蒼の装飾のついた黒い衣服 カテゴリ〈非金属鎧〉B
概要 来たるべき望まぬ未来を“あり得ない”ものとする 製作時期現在
効果
未来を識る蒼き月(ブルームーン)
 半径50m以内に居る味方陣営のキャラクターが、何らかのダメージや不利益な効果を受けた時、その結果を見てから、その対象を自身へと転換させることが出来ます。
 この能力は、1ラウンドに1回のみ使用可能で、連続した手番には使用できません。
必筋回避防護
備考
10 +1 6
由来と逸話
 ルナティアの為に〈ラクスタイト〉から、生成された衣装です。
 決して他者には知り得ぬ事の出来ぬ未来を知り、それが現実となった時、それを否定する力を持ちます。
#ルナティア
「ともあれ、ありがとう。お礼を言うわ」
エリカ
「……大丈夫なの?」
#L=リベラ
「大丈夫です。彼女が使い方を間違えさえしなければ」
エリカ
「間違えなければ、って……」
ヤンファ
「……ま、今のソイツに心配はそう要らないんじゃァねえの?」
エリカ
「まあ……、そう、ですね」
ソルティア
「…………」 使い方は間違えないけど無茶はするかも、と言うコメントを心に秘めつつ。
#ルナティア
「大丈夫よ。死ぬつもりもないし」
ヤンファ
「便宜上は俺らの監視下にあるんだぜ。そう勝手なことはさせねえよ」
シャルロット
「……決戦への準備は、整っていっています」 “自分”に言い聞かせるようにして呟く
#L=リベラ
「……ええ、そうですね」 シャルロットに、両目を閉じて頷く。
#L=リベラ
「それでは、私もこれで」
ヤンファ
「へいへい」 お疲れさんでした
ソルティア
「あ、はい、お疲れ様です」
#L=リベラ
「私も、疲労をまったく覚えないかと問われるとノーですから、少しは休ませて貰わないと」
シャルロット
「私“たち”も、そろそろ心を決めなければなりません」 遠くない未来に、と。そう伝えて、背中を向ける
ソルティア
「…………」 眉を顰めて
ヤンファ
「………」 そうか。そうだな。俺が望む結末に至ればソイツは……
#L=リベラ
分かっています。きっと、そこが私たちが決定的に意志を違えている所でしょうから」
シャルロット
「……ええ」 それ以上引き止めずに、送り出そう
エリカ
「……? 何の話よ」
#L=リベラ
「それでは、また」
#L=リベラ
無表情にそう言うと、光の粒子となって〈ファランダレス〉の中へ消えていく。
エリカ
「あ」 消えたわ。
#ルナティア
「彼女は、〈ファランダレス〉とシャル、両方を依り代にして存在しているということよ」
#ルナティア
多分ね、と付け加えて、一人廊下の先へと歩いていく。
エリカ
「……?」 だから何なのだろう。眉を顰める。
#ルナティア
「荷物の整理をしてくるわ。また後でね」
シャルロット
私もそうしましょう。集合時間には遅れないようにしてくださいね」
ソルティア
「……ん」 追いかける事も出来ず、その背を見送って。
ヤンファ
「俺は……どうするかねェ」 ルナティアの発言には敢えて触れずに
ソルティア
「……僕も荷物の整理をしてきますね。また後ほど」 甲冑を鳴らしつつ、皆から離れていこう。

GM
30分程後、君たちは城の中庭へと集合する
GM
《騎士公城》の中庭からは空が見え、勢いこそ弱くなっているものの、まだぽつぽつと《虚音》が降り注いでいる。
GM
中庭の中央には、アランに、彼と話す見知らぬ銀髪を長いポニーテールにした女性、その他彼女に付き添っているのであろう武装した者たちが数人立っていた。その女性自身も、背中に2本の槍を携えている。
#アラン
「来たか」
#アラン
君たちを見やると、アランが片手を上げて合図をする。
ソルティア
「はい、お待たせしまして」 ぺこりと頭を下げる。
#アラン
「待たせちまって悪かったな」
シャルロット
「いえ。……この方々は?」
ヤンファ
「おォ」 うなずいて。一応周囲の人らに軽く会釈
ヤンファ
「聖戦士のお仲間……か?」 偉く腕が立ちそうなのがいるが
エリカ
「……」 なんか沢山いらっしゃるわ。頭下げとこう。
#アラン
「セフィリアの準聖戦士とか、その見習いとかだ」
GM
準聖戦士たちも、軽く君たちに会釈をする。
#アラン
「……ま、紹介はフェリ公たちが来てからでいいな」
ソルティア
「そうですか……お初にお目にかかります」 周囲の皆にお辞儀を返して。
#ルナティア
「……」 控えめに頭だけ下げておいた。
ヤンファ
「ふゥん……」
#フェリシア
「お待たせしました」
#フェリシア
ややあって、フェリシアが、ロートシルト一家を伴ってやってくる。
#アンネリース
「やっほ」
ヤンファ
「よォ。ちゃんと寝たかお前ら」 
#エドゥアルト
「全然だ」
ヤンファ
「だろうなァ……」 隈すげえよ
#ランベルト
「……話は聞いたよ。君たちだけでも、無事で良かった」
ソルティア
「はい。皆さん、お久しぶりです……ということも無いはずなんですが、何故かそう思いますね」 少し苦笑しながら一家を迎える。
#ルイーゼ
「まあ私は30分振りだけど」
ヤンファ
「……その、なんだ。すまねェ……と言いたいトコだが。話は後にしようぜ」
#ランベルト
「……ああ、そうだね」
シャルロット
「そうです。時間が惜しい……」 ここに集まった理由も深く聞かされていないのだ
#アンネリース
「……ひとまず、こっちは順調」
#ランベルト
「新しい飛空船については、明日にはもう準備が完了するだろう」
#エドゥアルト
「面倒くせェ事をいくつもいくつもさせられたんだ。結構な出来にゃなってるはずだ」
#エドゥアルト
「……ま、時間も物資も限られた状況では、の話だが」
ソルティア
「明日ですか……あり難い事です。今は本当に時間が惜しい」 ぺこり、と頭を下げる。
ヤンファ
「十全すぎるぐらいだ。そんな謙遜しなくていいぜ」
#ルイーゼ
「それだけ出来たならじゅーぶんでしょ」 わしわしとエドの頭を撫でてから、中央の者たちに向き直る。
#エドゥアルト
「ガキかよ」
#ルイーゼ
「子供でしょ」
ヤンファ
「………」 母親ってのは強いなァ
ヤンファ
「……まァ、それはともかく」 アランに視線をやり
エリカ
「ええと、それで……」 ちら、とアランの方見て。
#アラン
「……さて」
#アラン
「集まった所で、早速話を始めるか」
ソルティア
「……はい」
シャルロット
「お願いします」 こくり、と頷く
#アラン
ひとまず、皆を一箇所に集めて。
#アラン
「こいつらは、さっきも言った通り、セフィリアの準聖戦士に、見習いとかだ。今回は、こいつらに“ある物”を持って来て貰った」
#準聖戦士
「リーザロッテ・ダイクロアイト。セフィリア神聖王国の、準聖戦士。よろしく」 二つの槍を背に携えた女性が進み出て、君たちにそれぞれ握手を求める。
ヤンファ
「どうも。ヤンファ・シャンリークだ」 握手
シャルロット
「シャルロット=イエイツ・ヘリオドールです」 握手を返す
エリカ
「エリカ・ケイです」 握手求められたら応じます。
#ルナティア
「ルナティアよ」
ソルティア
「《アストラム》のソルティアと申します」 握手しよう。ナイトメアだけど舌打ちされたりしないよね?
#リーザロッテ
まったくもって気にしないよ。
#アラン
「……まァこいつらについての詳しい紹介までしてたらキリがねェ。とりあえず、話を進めるぜ」
#アラン
色々事情があるんだが、と言っておいて。
#アラン
「飛空船の中で用意がある、っつったろ。こいつらには、それを運んで来て貰ったんだ」
#リーザロッテ
「……これを」 見てくれ、とリーザロッテが差し出した両手の上には一本の鞘に収められた剣があった。
GM
剣の鞘は白地に、絡みつく蔦のような金色の装飾が施されている。一見しただけでも、計り知れない力を秘めている物だというのは理解出来るだろう。
シャルロット
「それは……?」
エリカ
「魔剣……ですか?」
#ルナティア
「……綺麗だけど、少し、寒気を覚えるわね」
ヤンファ
「此処まで持ってきたんだ。普通の剣じゃァねえだろうが……」 見てもそう解らない
ソルティア
「剣……聖剣の類でしょうか」
#リーザロッテ
これは、〈封印の剣〉と呼ばれる剣。セフィリア神聖王国の封聖省で管理されているもののひとつ」
#リーザロッテ
「……封聖省というのは、セフィリアの省庁のひとつで、大きな力を秘めたアーティファクトなどを管理している所、と思えばいい」
ヤンファ
「……オイオイ」 とんでもねえの持ってきたな。
#ルイーゼ
「あそこってお役所がルキスラ並かそれ以上に多くて面倒臭いのよね……」
ソルティア
「……よくもまぁ。それだけの事態、と言う事なんでしょうが……」
ヤンファ
「まァ……ゴタゴタはあっただろうが今は目を瞑るとするか」
#アラン
「……ま、どうにかしなきゃならねえからな」
#アラン
「……お前たちが誰よりも身に沁みて分かってると思うが、アレクサンドリアに勝つには、俺たちには圧倒的に力が不足してる」
#アラン
「このままじゃ、天地がひっくり返っても不可能なくらいにな」
エリカ
「……」
ソルティア
「……はい」
#アラン
「だからといって、ゆっくりと修行してるような時間も無い。それでアイツに勝てる力が手に入る保証も無い」
#アラン
「……そこで、コイツって訳だ」 ぽん、と〈封印の剣〉の鞘の上に手を置く。
#リーザロッテ
「これを抜けば、貴方たちは大きな力を手に入れる。それこそ、“救世の聖女”と対等に渡り合える力を」
ヤンファ
「刃を抜くだけで……?」
#リーザロッテ
「それで、剣との契約が成立する」
#アラン
「……全員なら、勝率はもっと上がるだろう。対等以上に戦えるのは間違いねェ。だが
#リーザロッテ
「……この剣が、〈封印の剣〉と呼称される理由は、二つある」
シャルロット
「……」 静かに聞き入っている
#リーザロッテ
「ひとつは、契約者の持つ潜在能力を、全て解き放つという封印解除の力から。同時に身体も強化されるから、身体への負担も大した事はない」
#アラン
そしてもうひとつは、契約者の意志を封じる力からだ」
エリカ
「……意志を封じる?」
ソルティア
「意志……を……?」
#ルナティア
「……」 俄に表情が厳しくなる。
#アラン
「この剣と契約を交わした者は、絶大な力を得る代わりに、契約の時から一切、その意志を失う」
ヤンファ
「………それは」 代償が大きすぎるように聞こえるな
#アラン
「要は、ただひたすらに人の世の為に力を振るう事しか出来ない、機械のような存在になるってこった」
#アラン
それこそ、アレクサンドリアのようにな」
エリカ
「な……」
ソルティア
「…………」 やっぱりそう言う事か
ヤンファ
……!!」
#アラン
「人が神を模倣して創り出した、人であることを否定する魔剣。それが、この〈封印の剣〉だ」
#フェリシア
「……そう簡単に、力が手に入るはずがないものね」
シャルロット
「その剣の能力は、それが以上ですか?」 取り乱すこともなく、アランへと問いかける
#アラン
「ああ。それだけだ」
ソルティア
「……ある意味では……それを使った時点で、ベアトリスさんを肯定する事になりかねませんね、それは」
エリカ
「なんですか、それ! それじゃあ、元も子もないじゃないですか!」 思わず、声を荒げて。
#アラン
「元も子もなくても、考えられる方法は、これしかなかった」
エリカ
「そんな……」
ヤンファ
「……アランだってやりたくねェ手段持ってきたんだ。俺らにやらせるワケなんだからよ」 エリカに言い聞かせ
#ランベルト
「……そんな力を使わねば、聖女には届かない、ということか」
#ルナティア
「…………」 片手でもう片手の肘辺りを掴んで黙って立っている。
#アラン
「……抜け、とは言わねえし、言えねえよ」
#アラン
「……だが、俺の独断でこれをお前たちに見せもしないなんて訳にも行かなかった」
シャルロット
「……」 封印の剣に目を落とす。じぃ、と見つめるその目には、ひそかな落胆が見えた
ヤンファ
「………抜くのは、一人じゃァダメか?」
#アラン
「そいつだけで、アレクサンドリアに届くかは分からねェ。それに、周りの奴が納得しないだろうよ」
ヤンファ
「……解ってる。訊くのはタダだろ」 だから訊いただけだ、と
#リーザロッテ
「……ひとつ、言っておくと」
#リーザロッテ
「この剣に、“奇跡”なんてものは、絶対に望んではいけない」
#リーザロッテ
「意志は、必ず封じられる。例外は、無い」
ヤンファ
「過去に例外たる者は居ない……か」
ソルティア
「……でしょうね」
ソルティア
「そして当然……一度抜けば、引き返す事も出来ない」
シャルロット
「わざわざ仰らなくても構いませんよ。こんな剣が、鐘以外にもあったことのほうが驚きです」 ふぅ、と肺の中の重い空気を吐き出す
#アンネリース
「…………」 ぎゅ、とエドゥアルトの服の裾を握る。
#アラン
「世の中にゃ、俺らの及びもつかない発想をしまくる馬鹿が多いみたいでね」 呆れ顔で肩をすくめる。
#フェリシア
「……でも、だからって、こんな選択は……」
#フェリシア
「今までの私たちの全てを否定するようなものじゃない……」
#ルナティア
「ようなもの、じゃなくて、そのものよ」
ソルティア
「……それを否定してでも勝つか……或いは、それを使わずに挑んで……」 後者の場合、結果は言うまでもあるまい。
ヤンファ
「………」 思案顔
#エドゥアルト
「……」 ぽん、とアンネの頭に手を置いて。 「流石にすぐに選べ、って訳じゃァないんだろ」
#アラン
「ああ。こんなもんを5分やそこらで決められてもな」
#アラン
「だが、あまり悠長にしてる時間は無い」
#アラン
一晩だ」
#アラン
「明日の朝、もう一度此処に集まって貰う」
#アラン
「それまでに、答えを聞かせてくれ」
シャルロット
「……そんな時間、必要ですか?」 低い声。落胆を隠せない表情でアランへ応える
#アラン
「……そんな顔で言う台詞かよ」
シャルロット
「こんな顔でも、です
ヤンファ
「……なァ、リーザロッテっつったか」
シャルロット
続きを言いかけて、ヤンファに気をとられて言葉をとめる
#リーザロッテ
「……何か」
ヤンファ
「……ちょっと、貸してくれ。大丈夫だ、抜きはしねェ」 其の剣を指差し
#リーザロッテ
「……」 アランにいいのか? と視線を向け。
ソルティア
「……?」 俯いていた顔を上げてヤンファを見る。
#アラン
「……ま、いいだろ」
#リーザロッテ
どうぞ」 とヤンファに封印の剣を差し出す。
エリカ
「……ヤンファさん? 何を……」
ヤンファ
「何もしねェよ。ちょっと、な」
ヤンファ
あァ」 両手でその鞘を受け
シャルロット
「……」 そっか。と、どこか納得顔でヤンファを見守る
ヤンファ
「………」 剣を目の前に持っていき、右手で柄を、左手で鞘を握る
#フェリシア
「ちょっと……!?」
エリカ
「ちょ、ちょっと……!」
ヤンファ
そして、息を静かに、そっと目を瞑る
ソルティア
「……ヤンファさん、何を……?」 抜くとも思えず、一体何をするのか見当もつかない。
ヤンファ
「…………」 周りの言葉を耳に傾けず、ただその剣の存在に神経を注ぐ
ヤンファ
「………」 一瞬だけ、グッと手に力が入るが、すぐに力を抜き  「……」 ゆっくり目を開く
ヤンファ
「……もういい、ありがとうよ」
#フェリシア
「……ひ、ひやひやさせないでよ」
ソルティア
「……?」 結局何をしていたのかよく分からなかった。
#リーザロッテ
「……ああ」 ヤンファから剣を受け取ろう。
ヤンファ
首を横に振り、リーザロッテに剣を返す
ヤンファ
「抜かない、っつっただろ」
ソルティア
「それはそうです、ヤンファさん。では、一体何をしていたんですか?」
#フェリシア
「今の様子を見れば誰だって抜くのかと思うわよ……」
エリカ
「……」 はあ、と溜息ついて。
ヤンファ
「……まァ、触ってみないと解らないこともあるんだよ」
ソルティア
「はぁ……」 よく分からなかった。
エリカ
「抜きもしないのに、あんなことすると思いませんよ、普通……」
シャルロット
「……でも、答えは決まったみたいですね」
ヤンファ
あァ」 シャルに頷き
ヤンファ
「悪ィな。肝冷やさせて」
#アラン
「……ま、お前らはともかく」
#アラン
「他の奴には決断までに時間が必要だし、お前らにも休息は必要だろ」
#アラン
「今は疲労で判断が鈍ってるとも言えなくもない。……これが、決戦前の最後の休息だ」
#アラン
「一晩は、絶対に考えて貰うぜ」
ソルティア
「…………はい」 長い沈黙の後、ため息をつくように返事を返す。
シャルロット
「……」 何事かを言いかけて、アランの言葉に飲み込む
#ルナティア
なら、先に失礼するわ」
エリカ
「……」
#ルナティア
「用があれば、呼びに来て」
#ルナティア
そう告げると、ルナティアは一人先にすたすたと城内へ戻って行く。
ソルティア
「あ、ルナ……」 何か言いたげに一瞬手を伸ばし。
ソルティア
「……いや、ごめん。また後で」 そう言って首を横に振る。
#ルナティア
「ゆっくり考えなさい。その後なら、聞いてあげる」
ソルティア
「うん……」 小さく頷きを返した。
#フェリシア
「……アランの言う通り、一晩であっても時間は必要でしょう」
#フェリシア
「一度、部屋に戻りましょう。……私も、頭の整理をしないと」
ヤンファ
「………」 ルナティアの背を見送り  「まァ、実質時間っつー時間はねェが。最後の猶予だな」
シャルロット
「……」 周りの、考える必要がある、という雰囲気に不満そうに顔をしかめている
#アラン
「……何だ、そんなに不満か」
シャルロット
「不満ですよ。休息上、時間は必要でしょう。でも、ただ自分の内側に篭って考えるだけで一晩を過ごすなんて」 時間の無駄だ、と言外に言う
#アラン
「別に篭れなんて言ってねえよ」
#アラン
「それぞれ、話したい奴と話した上で決めろ。俺はそういう意味で一晩考えろ、って言ったつもりだぜ」
ヤンファ
「要はいつもと変わらないんじゃァねえのか。ただ、次の日に待ち受けるモンが違いすぎるだけで、な」
シャルロット
「私が言っているのはそんなことじゃないんですよ!」 ぎゅう、と拳を握り
#アラン
「……何?」
#フェリシア
「……シャルロット様?」
ヤンファ
「………」 怪訝な顔をすることなく視線をやり
エリカ
「……」 俯き気味の顔上げて、シャルロットの方へ視線を。
シャルロット
「手間をかけてくれたアランさんや、他の皆さんには感謝しています。でもこんな剣、何の役に立つんですか」 だんだんと声が尻すぼみになっていく
ソルティア
「…………」 言う言葉も見つからず、シャルロットを見る。
#アラン
「……さっき、言ったろ。……コイツがありゃ、アレクサンドリアを倒す力は手に入るんだ」 苦虫を噛み潰したような表情で、シャルに応える。
シャルロット
「そこらの鉄の剣より役に立たない……アランさんも、あの人に似ています」 思い出すのはユリウスのことだ
#アラン
「……」
シャルロット
「一緒に戦ってきたでしょう。アランさん、忘れたんですか。私たちの、戦いのことを」
ヤンファ
「………」 アランがそんなこと解ってない筈がない。だから、それには何として触れはしない
#アラン
「……忘れる訳ねえだろうが。覚えてなけりゃ、俺はこんな所に立っちゃいねえ」
シャルロット
「単純なポテンシャルなら、対等でしょう。そうかもしれません。普通なら勝ち目もあるかもしれない」
シャルロット
「でもあの剣では絶対に勝てない。絶対です。それこそ“奇跡”の欠片も見えないほどに」
#アラン
「……分かってんだよ。俺たちの望む“勝ち”は、この剣じゃ手に入らねえって事は……」
#アラン
だが、他にどうしろって言うんだよ……! お前でも! 俺たちの力を合わせても、今のままじゃ届かねえんだろうが!」
シャルロット
「そういった意味の“勝ち”ですらないことに、いい加減気付いてください」
#アラン
「……どういうこった」
シャルロット
「あの剣を手に取った瞬間にアレクサンドリアの同士になるでしょう。アレクサンドリアと戦う以前の問題です」
シャルロット
「操られる、と言う意味ではありません。ただ機械的に“人のため”を為すのであれば、彼女の答えこそが最適な結論だからです」
#アラン
「……ってんだよ……」 俯き、握り拳を震わせながら呟く。
#アラン
「ンな事、俺だって分かってんだよ!」 ッガ、とシャルロットの胸ぐらを掴み。 「それでも、他にどうしようも無いんだろうが……!」
ヤンファ
やめろッ!!」 間に割って
ヤンファ
無理矢理アランの手を引き剥がす
#アラン
「短い間でも仕えた主を護れずに、長年追い求めた兄貴も護れずにッ!」 ヤンファに止められても、尚吠える。
#アラン
「そいつらを消した相手に、一矢報いる事も出来ずに死ねって言うのかよ、お前はッ!」
ヤンファ
「………お前らしくもねェ。いや、ずっと抑え続けてきた、か」
シャルロット
「……あの剣では一矢すら報いることが無いと言っているんです」 叫ぶアランを、変わらぬ表情で見つめ
#アラン
「……なら、どうすんだよ! お前は、このままで良いのかよ……!」
シャルロット
「このままでもですか」 ちら、と封印の剣を見て、アランに視線を戻す
シャルロット
「……まずは今無いモノを、この世界に無いのだと決め付けて選ぶことをやめましょう」
#アラン
「……何?」
シャルロット
「本当に、あの封印の剣が唯一残された手段なのですか?」 アランに、そして皆に、更には自分に。問いかけるように言い放つ
#アラン
「……一つだとは言い切れねえよ。……だが、限られた時間の中で、他に何があるってんだ」
ソルティア
「……いいえ、違うでしょう。手段は必ずある。この世界のどこかに。……それを、残された時間で見つけられるかどうかは、また別の話になりますが」 首を横に振って。
#フェリシア
「…………」 アランの問いに答えられず、目を背ける。
シャルロット
「限られた時間だからこそ、私たちは前を向くべきなんです。あんな封印の剣を抜くだの抜かないだのと、くだらない問いかけに頭を悩ませているなんて、無駄でしかないんです」
#アラン
「それで道が開ける可能性が見えてるなら、俺だってそうしてる……。それが見当たらねえから、こうしてんじゃねえか……」
ヤンファ
「……とりあえず、もうやめろ」 制し。 「やめてくれ。大事な時にそんな風に言い争ってンのは見たくねェ」
#アラン
「…………分かってる。……悪かった」
シャルロット
「見当たらなければ、諦めるんですか」 首を左右にふって、柔らかく笑おう
#アラン
「……諦めたくなんか、無いに決まってるだろ」
ソルティア
「…………」 険しい顔で言葉を続けるシャルロットを見る。
シャルロット
「その答えを求めていました」 アランの言葉に小さく頷く
シャルロット
「私も、心を決めます」 す、と胸に手を当てて
#アラン
「……どうするつもりだ」
シャルロット
「私にだって、今出せる回答はありません。だから、出来る事をしましょう。その上でもし封印の剣が回答になったのなら、それはひとつの答えだと思います」
#フェリシア
「……今出来る事、ですか?」
ヤンファ
「まァ、考えろっつっても色々あるだろ。道を一つに絞るのは俺らのやり方らしくねェ」 腰に手を当て、ふーと息を吐く
シャルロット
「一つは休息。それから、探しましょう。色んなことを」
#アラン
「…………」 一歩、二歩、後ろへ退いて。 「……分かった。そうしよう」
シャルロット
「私たちいえ、私以外が、あの虚音に影響されなかったことだって調べていませんし、知恵を持つ方の意見だってまだ聞けて居ません」
ソルティア
「……ま、一つ手段があるだけでも、追い詰められた気分は解消されますしね。一つ道が開けるのなら、新たな道が見えてくるかもしれません」 若干ため息交じりではあるが、シャルの言葉に賛同する。
シャルロット
「もしかしたら、こんな事態はもうお見通しなのかもしれませんし、ね」
#アラン
「……どうやら、休息が一番必要なのは、俺だったみたいだな」
ヤンファ
「……ンなこたァねえよ」 肩竦め  「お前だって、お前なりにがむしゃらに打破する方法考えてくれたんだしなァ」
ヤンファ
「だったら、それをまた違う方向に向けてやっていこうぜ」
エリカ
「……」 はあ、と。詰まってた息を吐き出して。
#アラン
「……そうだな」
ソルティア
「休息が必要なのは僕もですよ。……正直、その剣を抜く事を本気で考えてましたから」 息を吐いて。
シャルロット
「……私は」 周囲の表情を見回して、自虐的に笑って。 「そうですね」
ソルティア
「シャルロットさんの言う事も一理ありますが……僕は、ベアトリスさんが作ろうとしている世界が“人の為になる”なんて考えてませんからね」 苦笑して。
シャルロット
「ソル……それでも、駄目ですよ。強いだけの剣が、彼女に通用しない事ぐらいご存知でしょう?」 前回は、意志が乗ってこそのあの成果だったのだから
ヤンファ
「あァ、あの“剣”、さっき握らせて貰ったが……あれは抜けねえよ。握って、引っ張る力なんて入りはしねェ」
ヤンファ
「刃から伝わってくる。お前はこっちに来るな、って色んな奴の声がな」
ヤンファ
「だからソルティアも無理だと思うぜ」
ソルティア
「言外に根性無しと言われている気がしますが」 冗談めかして。
ヤンファ
「あの女のためにあんだけ根性出しといてよく言うぜ」 くくっと笑い。
ソルティア
「それじゃあ、握らないようにしないといけませんね。家族の為と念じれば抜いてしまいそうです」 ひらひらと手を振って。
ソルティア
「そうですね。それでも可能性があるなら、縋りたくなってしまうんですよ」
エリカ
「……普通、シャルロットが言うようになんて、なかなか考えられないですよ」
シャルロット
「エリカさん……私が普通じゃないって言ってます?」
エリカ
「貴女が普通なんて言われたら私の価値観が色々崩れる」
シャルロット
「……そう、ですね。私、普通じゃないです」 躊躇いがちに、エリカの言葉を肯定する
#アラン
「……はっ、まぁ、普通じゃねえのは確かだな」 嫌味は一切無い言い方で。
#フェリシア
「……それを言えば、此処に居る人たちの大半は、“普通”ではありませんよ」
#フェリシア
「……あるいは、個々に普通らしさを求めるなんて、間違っている事なのかもしれませんね」
シャルロット
「そうかも」 フェリシアの言葉に、思わず笑みをこぼして、エリカへ視線を向ける
ソルティア
「……普通の概念を一方的に決めて、それに人を押し込める事。それは、ある意味でベアトリスさんがやろうとしている事なのかもしれませんね」 空を仰いでほうと息をつく。
#フェリシア
「……そうですね。そうも言えると思います」
ソルティア
「……人らしさ、と言うのは一体何なんでしょうねぇ……」 一人ごとのように呟いて。
#アラン
「……未練がましくて悪いが」
#アラン
「明日、此処に集まって、もう一度それぞれの口からはっきりと、〈封印の剣〉は要らねえって言葉を聞かせて欲しい」
#アラン
「……多分、そうしねえと俺はコイツの陰を断ち切って、クリアに次を考えられねェ」
ヤンファ
「………」 溜息一つ  「まァ、全員考える時間はどの道必要そうだな」 状況を見て
#フェリシア
「ひとまず、アランの言う通り、明日また此処へ集まって、それぞれの決定を下しその後に、私たちにできる事を考えましょう」
エリカ
「……そうですね」
ソルティア
「……考えるだけでもなく、時間は欲しいですしね。義妹に会って里心をつけてこないと」 はは、と笑って。
ヤンファ
「おォ、バッチリ甘えてこいよ」
ソルティア
「ヤンファさんも妹さんに会ってこなくていいんですか? 複数人の」
ヤンファ
「今そういうの止めようぜ」 会うわけねーだろ
ソルティア
「はいはい、すいませんでした」 肩を竦めて。
#アラン
「リーザ、悪かったな。わざわざ持って来て貰ったのによ」
ヤンファ
「……お前その女の上官じゃァねえの?」 準パラディンじゃないっけ。上から言われてるぞ
#アラン
「立場上はな。だが、俺がンなもん大して気にしないのは解りきってんだろ」
#リーザロッテ
「彼がそう望んでいる。問題はない」
#ランベルト
「……」 ふぅ、と大きな息をつく。
ヤンファ
「お、おォそうか……」 ならいいけどなんか変な感じするな
#リーザロッテ
「良い。お前が、お前に納得の行く答えを出せるのならば」
シャルロット
「……エリカさん」 そっと手を胸に当てて
エリカ
「……なによ?」
シャルロット
「わたし、頑張ってちょっとだけ“普通”になろうと思います」 明日までに心を決めて、と続けて言う。胸に当てられた手を、もう一人の(じぶん)に重ねて
エリカ
「……」 きょとん、として。
エリカ
「……まあ、なれるもんなら、なればいいんじゃない……?」 微妙に困惑気味に返答する。
シャルロット
「はい、頑張ります」 こく、と満足げに頷く
#ランベルト
「……やれやれ、当事者ではない身としては、何を言うべきか迷う所だが」
#ランベルト
「君たちは、君たちらしい道を。私は力が及ばずとも、それを支えさせてもらうよ」
#エドゥアルト
「面倒だが、全力で、な」
ソルティア
「はい、よろしくお願いします。これからも」 未来に希望を繋げるように言う。
#アンネリース
「……ん」 こくりと頷いて。
ヤンファ
「俺らは俺らで出来ることを、そっちはそっちで出来ることやってくれよ。それだけで支えになるぜ」
#ルイーゼ
「まっかせなさい。若い子たちには負けないって証明して見せるわよ」
#フェリシア
「では、一度解散しましょう」
#フェリシア
「各自、明日の午前10時にもう一度此処へ集まる事。良いですね?」
ソルティア
「了解です」
ヤンファ
「問題ねえ」 頷いて
エリカ
「はい」
#アラン
「ああ」
シャルロット
「了解です」