虚ろの輪音

第二部 最終話「決戦、そして」 - 03

#ユリウス
「ぁあああああッ!」 マグダレーナの制止は間に合わず、シャルロットの盾と剣に、ユリウスの剣が振り下ろされる。
シャルロット
ッ!」 剣先を盾で受け止め、剣で払う!
GM
キィィイン!
GM
剣と剣がぶつかり合う甲高い音が部屋に響く。それと同時に、眩い光が二つの剣が重なった場所から発され、皆の視界を奪う。
GM
シャルロットの身体は、〈ヴァイケリオン〉の補助があっても尚重く伸し掛かる〈ファランダレス〉の負荷と、今までのどの剣よりも重い剣撃によってぎしと悲鳴を上げ始めていた。
GM
……が。
#ユリウス
「……ぐ、おぉぉぉぉおおおおおおっ……!」 それよりも先に悲鳴をあげたのは、ユリウスだった。
シャルロット
「づ……ッ、ァ……!!」 潰れたような悲鳴が喉からわずかに漏れる
GM
そして力を失ったユリウスの手から、〈リベラリオン〉がするりと落ちて、音を立てて地面に転がるとその輝きが少しずつ小さくなっていく。
GM
ユリウスの全身からも力が抜け、膝を折り、その場に崩れ落ちる。
ヤンファ
「!! ……シャルッ!」
エリカ
「、ぁ……」 眩しさに細めていた目を開く。
GM
その場に立ち続けていたのは、〈ファランダレス〉の《担い手》シャルロット・イエイツだ。
シャルロット
「……っが、ぁ………、ッ」 剣の技量じゃない、力のぶつかり合いで決着がついたことを肌で感じる
ヤンファ
「……ッ……」 負荷が自分にも逆流してくる。その場に片膝をつく
エリカ
「終わった、の……?」
#マグダレーナ
「っ…………」 何かに気付いていたのだろう。マグダレーナはその様子を見て苦虫を噛み潰した表情になる。
ソルティア
「ッ……マグダレーナ様! これは一体……!?」
シャルロット
「……ッ、」 思わず視線を落としてユリウスの状況を見る。死んでしまっただろうか
#アラン
「…………」 倒れたユリウスに近付いて、その様子を確かめる。
#アラン
「……大丈夫だ」 生きている、と。
シャルロット
「……ン……エリカさ、ん、手当てを!」 振り返って、声を張り上げる
エリカ
「……あ」 呆けてた。 「わ、解ってるわよ!」
#ユリウス
「…………っ……」 今度こそ、立ち上がる力は無いが、かすかに顔をあげ、口を動かす。 「……私は……敗れた、のか……」
#アラン
「……そうだ。シャルロットの勝ちだ。アンタの野望は、此処で終わりだ」
ヤンファ
「………」 立ち上がり、アランとユリウスの傍へ
ヤンファ
「独り、誰にも助けを求めれなかった、お前の負けだ」
#ユリウス
「……負けた理由など、求める事はすまい……。この結果に、それを求めたとて……」
エリカ
「死にかけなんだから動かないでください!」 シャルロットとヤンファ、ユリウスにもまとめて【ウィスパーヒール】を行使する。
シャルロット
ユリウスは任せて、姉のもとに駆け寄ろう
ソルティア
「マグダレーナ様! ご無事で……!?」 こっちもマグ様のところへ行っておこう。
#マグダレーナ
「……シャルロット……それに、皆も……」
シャルロット
「ご無事で……!」 駆け寄ると、崩れ落ちるようにしゃがみこんで抱きつく
#マグダレーナ
「…………ああ、私は、この通りだ」 弱ってはいるが、命に別状はないようだ。
#マグダレーナ
シャルロットに抱きつかれながら、シャルとソルティアにそうやって答えて。
ソルティア
「……そうでしたか。皆、マグダレーナ様のことを心配していましたよ」
エリカ
「マグダレーナ様は……」 とりあえず大丈夫そうだ。 「良かった」 ほっ。
#マグダレーナ
「……それよりも、シャルロット……君の身体は、平気なのか」
シャルロット
「……?」 身体、といわれると首を傾げてしまう。確かに先ほどの衝撃で悲鳴をあげているけれど
#ユリウス
「……? ……何も、変わっていないのか?」
#ユリウス
疑問の声をあげたのは、ユリウスだ。
#マグダレーナ
「…………」
ソルティア
「………」 マグダレーナ様も無事、ユリウスも生きてるとなると、気になるのは……。
ヤンファ
「……観測者に手伝ってもらった時の力……か?」
エリカ
「ヤンファさんと負荷を分け合ったからじゃ……ないんですか?」 平気そうなのは。
ヤンファ
「……いや、そういう次元じゃねえ」 首を横に振る
エリカ
「……? それってどういう……」
シャルロット
「……え、あの……?」 首を傾げてしまう。自分の身体に問いかけてみるけれど
GM
何も変わっていない。それどころか、何か重い役目から解放されたような。そんな清々しさすらある。
シャルロット
ッ」 っだ、と立ち上がる
ソルティア
「!? シャルロットさん、急に動いてはッ……」
シャルロット
「ベアトリスッ!」
#ベアトリス
……」 シャルロットが彼女をにらみつけると、ベアトリスはただ静かに、君たちの方を向く。
ソルティア
「……ベアトリス、さん……?」
GM
彼女は黙ったまま、こつこつと靴音を立てて、君たちの方へと近づいてくる。
シャルロット
「貴女は……!」 姉を庇うように、剣を構えて前に
#ベアトリス
ご苦労様でした、《担い手》たち」
ヤンファ
「………」 静まり返る場を、ベアトリスの動きを伺う
エリカ
「……ベアトリスさん……?」
#ユリウス
「どういうことだ……」
#ユリウス
「……どういう事だッ、アレクサンドリアッ!!」
シャルロット
「担い手に、〈胡弓〉の力など降りてこないのですよ」
#ベアトリス
その通りです、シャルロット・イエイツ」
シャルロット
「私たちは、鍵。放たれたものが宿るのは、鍵なんかじゃ、ない」
#ベアトリス
「二つの剣が重なったその時、最後の封印は解かれ、私の計画は成りました」
ヤンファ
「………そうか、姫が止めたあの瞬間」
ヤンファ
「アレが、あの瞬間が全て狙いだったのか……!!」
エリカ
「……、あ……」 あの瞬間に、封印が解放された……?
ソルティア
「一体……一体何をしようというんですかっ、ベアトリスさん!」
#ベアトリス
「〈胡弓〉いえ、〈弔鐘〉の封印を解く役目、貴方がたは本当によくやって下さいました」
#ベアトリス
「ユリウス、貴方は本当に優秀でした。そして同時に、何処までも愚かでしたね」
#ベアトリス
「己の力を過信し、自らの正義を信ずるが余り、その眼を曇らせてしまった」
シャルロット
「……ッ、やはり……!」 ユリウスすら、誤情報で操られている抱いていた疑惑が、今真実になって目の前に現れる
#ベアトリス
「……私が何をしようとしているのか、それはこれからお見せ致しましょう」
#ベアトリス
「その前に、貴方がたには感謝の意を込めて、改めて自己紹介を」
ヤンファ
「……ッ!」 全員を手で制し、前に立つ
#アレクサンドリア
我が名はアレクサンドリア・クラウゼ。ルキスラ帝国建国王アレウスの妹にして、〈ライフォス胡弓〉の《担い手》となった者です」
#アレクサンドリア
「《大破局》の顛末は、恐らくもう貴方がたならば知っているのでしょう」
#アレクサンドリア
「私は、〈胡弓〉と一体化し、その変形である〈救世の弔鐘〉と共に、クラウゼとイエイツの者たちによってその力を分散され、各地に封じられました」
#アレクサンドリア
「……そして、300年という時が経ち、封印が弱まり、再び大地を踏む事となりました。世界に等しく幸福を(もたら)す為に」
シャルロット
」 剣を構え睨みつつも、斬り込めず歯噛みする
#アレクサンドリア
「〈弔鐘〉の真髄たる《虚音》の力は、もう皆も何度か見た事でしょう」
#アレクサンドリア
「ソルティアもそれを望んでいるようです。……その真の力を、今からご覧に入れましょう」
#アレクサンドリア
そう言って、彼女は君たちを一切警戒する事なく、背を向けて部屋の奥の操作盤へと歩いて行く。
シャルロット
「や……やめなさいッ! ベアトリスアレクサンドリア!!」
エリカ
「ちょっと、待って……そんなこと、したら……!」
ソルティア
「何を……ベアトリスさんっ!」 右手を精一杯伸ばして
シャルロット
黙って見送るなんてできるものか。その背中に駆け出して、ファランダレスをふるう!
ヤンファ
シャル、駄目だ!今は危険すぎる……ッ!」 今にも飛び出しそうなシャルを止めようとする
#アレクサンドリア
もう、手遅れです。貴方がたには、止められない」
#アレクサンドリア
シャルロットが彼女へ向けて〈ファランダレス〉を振り下ろす。
シャルロット
「ッハぁあ!!」 一閃
#アレクサンドリア
が、彼女に達する前に、見えぬ壁によって阻まれ、それどころか、それに触れただけでシャルロットの身体は痺れ、動かなくなってしまう。
エリカ
「っ、な……」
シャルロット
ッ、ぐ……ッ!!」
ヤンファ
!!」
#アレクサンドリア
「無駄です、シャルロット・イエイツ。所詮、鍵はただの鍵。私に刃向かう事など、出来はしないのです」 一瞥もせずそう告げて。
ヤンファ
「シャルッ!!」 それから引き離しに駆け寄る
#アレクサンドリア
ヤンファが近づけば、その壁に近づいた瞬間、吹き飛ばされそうな程の強い反発力を受ける事になる。
ヤンファ
「く……ッ」 これ以上は近づけない
エリカ
「……、それなら……!」  『土の子たち、足止めを
#アレクサンドリア
エリカが妖精に彼女の行動を阻害させようとする。が
#アレクサンドリア
その妖精も、不可視の壁に阻まれ、吹き飛ばされる。
エリカ
「っ、嘘……!」
ソルティア
「ベアトリスさんっ……ベアトリスさんっ! それが……それが、そんなものが人の幸せだって言うんですかッ!?」
#アレクサンドリア
「…………そこで大人しく見ていなさい、ソルティア」
ソルティア
「ッ……」 声をかけられると一瞬身体を震わせ、伸ばしていた手を引っ込めてしまう。
シャルロット
「鍵である以前に、私は、私だ!!」 この力に対抗する術はひとつだ! ヤンファを振り切るようにして剣にある言葉をこめる
ヤンファ
「やめろ、シャル!!」 アレクサンドリアとの間に入り、シャルを庇う
シャルロット
ッ、信念の刃(コンヴィクション・ウェポン)!!」 その障壁を切り裂くように、ひとつの祈りをその手に!
#アレクサンドリア
私は、無駄に命を奪いたくはありません。退きなさい」 振り向いて、シャルロットへ片手を向ける。
#アレクサンドリア
その手が握られると、シャルロットそして彼女を庇わんとしたヤンファの両方の身体が、尋常ならざる力によって縛られる。
ヤンファ
ガ、ッ……!」
#アレクサンドリア
シャルロットが祈った、信念の刃でさえ、その力の前では無力で、その力は虚しく霧散していく。
シャルロット
く、ぁぁあッ!」 足りない、到底力が! 歯噛みをして悲鳴を上げる
ヤンファ
「か……は………ッ…………」 呼吸も、身体も、全てを締め付けられるように
エリカ
「あ……」 ヤンファでも、シャルロットでもどうにもならない、のか。
#アレクサンドリア
「……さて……」 二人の拘束を維持したまま、彼女は操作盤へ手を掛け。
ヤンファ
「……て、め………ッ……」 ギシギシと身体を軋ませながら、必死に解こうとする
エリカ
「っ、待って、 待ってベアトリスさん、やめて……!」
ソルティア
「………」 ぎりっと歯軋りし、強く拳を握る。
#アレクサンドリア
「御覧なさい。新しき世界の誕生を」
GM
そして、中空に四つの映像が浮かび上がる。
GM
ひとつは、何処かの海面を映しているもの。残りの三つは今居る場所と同じように、無数の機械に囲まれた建物の中で……それぞれの映像に君たちの知る人物が移っていた。
GM
一つ目には、ユリウスやベアトリスの護衛をしていた“黒き騎士”ディペナテスの姿。
GM
二つ目には、君たちが剣を交え、追いかけ、そして時には共闘した“死神”ルナティアの姿。
GM
そして、三つ目には、白き鎧を纏い、人々の先頭に立ち、彼らを護って来ていたシャルロットの父、ジェラルド・ヘリオドールの姿があった。
ソルティア
「ッ……!? ルナッ!?」
#マグダレーナ
「ッ……!」
シャルロット
……おとう、さま……?」
#ユリウス
「…………」 ただ呆然と、それを眺める事しか出来ない。
ヤンファ
……な、………」
#アラン
「…………冗談じゃねェ」
#アレクサンドリア
「彼らには、私の計画に協力していただいていました」
#アレクサンドリア
駒ではなく、協力者として」
エリカ
「……何、これ……」
ヤンファ
「……う、そ………だ……ろッ」
#アレクサンドリア
「……さぁ、三人とも、お願いします」
GM
アレクサンドリアがそう告げると、三人が映っていた画面の映像が切り替わり……“塔”が映る。
GM
ディペナテスが映っていた画面には、つい先日竜槍山脈で見た塔。ルナティアが映っていた画面には、君たちもよく知るはずの公都ダーレスブルグの中継塔。ジェラルドが映っていた画面には、帝都ルキスラの中継塔。
GM
そしてそれらの塔の先端が同時に開き、天へ向けて塔の内部から棒状の機構が更に伸びていき、一定の高さまで達すると四つに展開する。
ヤンファ
「……か、べ……超えろ、って……言った……じゃ、ねえか……」 縛られる中、苦し紛れに彼に言葉を投げかける
ヤンファ
「……あん、たが……言ったじゃねえか……!!」
GM
展開した塔からは、“揺らぎ”が発され、瞬く間に周囲へと広がっていく。
GM
そして、“揺らぎ”が広がった後は、至る所から、まるで雪のように灰色の光の粒が現れ始め、大地へと降り注いでいく。
GM
すると、次第にアレクサンドリアの周囲に光の粒が現れ、彼女の身体へと集まっていく。
GM
叫びも、想いも、誰にも届かない。
GM
ただ淡々と、事態は進んでいく。
#アレクサンドリア
「……どうやら、予想以上のようですね」
#アレクサンドリア
「今、三つの中継塔の力を使って、ルキスラ、ダーレスブルグ、そしてエイギア地方の者たちをすべて《虚音》の支配下に置きました」
シャルロット
「………ッ」 淡白に呟くアレクサンドリアに、初めて殺意をこめた視線を叩きつける
#アレクサンドリア
「そして、それによって私の元に彼らの“信仰”が集められ私は、神として覚醒しました」
#アレクサンドリア
「……素晴らしい。これならば、争いの無い世界の実現も可能でしょう」 シャルロットの視線を意にも介さず、言葉を紡ぎ続ける。
ヤンファ
「……ッ!!」 ギリ、ギリ、と歯軋り
エリカ
」 は、として。通信機を取り出す。コールするのは、当然モニカの番号だ。
GM
通信機からは、ただ不快で無機質な機械音が響く。
エリカ
「っ、なんで、どうして……!」
#アレクサンドリア
「彼女が、死した訳ではありません。直接、会いに行くと良いでしょう」 エリカには冷たくそう告げて。
#アレクサンドリア
「……さて、それでは仕上げと参りましょう」
GM
アレクサンドリアが言うと、今まで海面だけが映っていた画面に変化が生じる。
GM
海面に波が立ち始め、大地が揺れ始める。
GM
この場所を、かつて君たちは見たことがある。
GM
フォリア灯台遺跡へと向かった時に、その岬から見た海底に沈んだ遺跡《ヴァニタートゥム海底遺跡》だ。
GM
段々と波や海面の揺れは大きくなっていき、少しずつ海底遺跡の姿が地上へと現れる。
GM
やがてその全てが海上へと現れ、そのまま空中へ浮上する。
ソルティア
「………」 もう歯軋りもせず、握っていた拳を解き、ただ冷たい視線だけを前に向けて事態が進んでいくのを眺めていく。
#アレクサンドリア
あれが、最後の封印の場であり、今この時より世界の中心となる地、《虚空楽土》です」 映像へと視線を移して。
#アレクサンドリア
「……役目を終えた貴方がたを排除するのは容易い。しかし、私の目的は殺戮ではなく、平和の実現です」
#アレクサンドリア
「貴方がたもこの理想の世界に身を委ねれば、永遠の安寧を手に入れられるでしょう」
#アレクサンドリア
「少しの間、世界を見る猶予を差し上げましょう。この世界を受け入れ、平和な生を享受するか、拒絶し、旧き世界と共に朽ち果てるか。どうか、悔いのない選択を」
#アレクサンドリア
そう言うと、アレクサンドリアは一瞬にして姿を消す。
シャルロット
「誰が……そんなこと……ッ!」
ヤンファ
「くそ、待ちやがれ……!!!」
エリカ
」 からん、と通信機を取り落とし、その場にへたり込む。
ソルティア
「……… はっ」 小さな、皮肉気な笑いを上げて、消えていくベアトリス……いや、アレクサンドリアを見送る。
GM
後に残されたのは、静寂と、絶望だけ。
#ユリウス
「……は、はは……」
#ユリウス
「……何だ……これは……」
#ユリウス
「……私は、何をしていたんだ……」
#マグダレーナ
「…………っ……気付いて、いたのに……」
シャルロット
「……」 拘束は、もう解けただろう。緩慢な動きで剣を収め、ゆるゆると歩き始める
ヤンファ
「………」 立ちすくみ、彼女が立っていた場を呆然と見据え
ソルティア
「……あの機械を壊しても、もう無駄でしょうね」 と、アレクサンドリアが操作していた操作盤を冷たい目で眺めて。
#アラン
「……そもそも、操作すら出来ねえだろうよ」
ヤンファ
「……意味があるなら、残しやしねェ」
#アラン
「……エリカ」 へたり込むエリカに近付いて、その様子を覗きこむ。
エリカ
「……アランさん」 へたり込み、俯いたまま。
エリカ
「これから、どうなるんですか……モニカ、どうなっちゃったんですか……」
#アラン
「……少し休んでろ。今は何も考えるな」 エリカの頭に手を置いてから、立ち上がって話をしている三人の所へ。
シャルロット
「後は……協力者の人間に問い詰めるか……或いは、直接乗り込むか」 脱力した声音
ソルティア
「《虚空楽土》、最後の封印の場、ですか。……と言う事は、その封印はまだ解けていないんでしょうかね?」 と映像が残っているかどうか、浮かびあがった遺跡を見つめる。
ソルティア
「一つずつやりましょう。……まずは話を聞きに行くのがいいでしょうね。それぞれ、所在地は分かっているわけですから」
#マグダレーナ
「…………話を聞きに行く……か」
シャルロット
「封印というより……恐らく、起きぬ子を起こしにいくようなものでしょう。封印自体は解けてるに等しい」
ソルティア
「なるほど。ではあまり時間が無いということですね。座り込んでる暇はありませんよ、シャルロットさん」
シャルロット
「そうですね……幸い、私たちは洗脳されていないみたいですし」 今まで聞いたことのないような乾いた声に、自分が驚く
ヤンファ
「………」 周囲を見渡し  「……いや」 ソルティアに首を横に振り
ソルティア
「アランさん、エリカちゃんは……今は何も言わない方がいいですか」 とやってくるアランへ顔を向け。
#アラン
「……」 ソルティアには黙って首を横に振った。
ヤンファ
「少しだけ、休もうぜ。今の状態じゃ無理だ」
シャルロット
「勿論」 崩れ落ちるエリカと、歩み寄ってくるアランに目をやって
エリカ
」 俯いて、座り込んだまま。
ソルティア
「……そうですか。そうですね。分かりました……休むにしても、ここでは場所が悪いでしょう」 とヤンファがソルの顔を見れば、いつもの笑顔が綺麗さっぱり無くなっているのが分かるだろう。
ヤンファ
「……地上に安息の地なんてあるのかよ」 そのソルティアの表情を見、嫌気が差したように肩を竦め
ソルティア
「少なくとも、ここで無いほうがいいでしょう」 首を横に振り。 「同じ遺跡内でも、まだ休むのに適した場所があるでしょうしね」
シャルロット
「すぐには無理でしょうが、先ずは休める場所と……状況の確認です」 くしゃ、と髪をつかんで乱し
ヤンファ
「あァ……そうだな」
#マグダレーナ
「…………そうだな。……まずは、どんな時でも、自分の出来る事を、探さなければ」
ソルティア
「その通りです、マグダレーナ様。まだ僕らは生きていて、意志がある。ならば、まだ諦めるには早い」
#マグダレーナ
「……ああ、済まない。少し取り乱した」 ぐ、と精一杯身体に力を入れてゆっくりと立ち上がって。
ソルティア
「陛下……は、今回の事は何も聞かされてないようですね。これからどうしますか?」
#ユリウス
「……これでは、とんだ道化だ…………は、はは……踊らされていたのは、私ではないか……」 ソルティアの声にも応える余裕など、今の彼にはない。
シャルロット
「……」 ユリウスを見咎めるとすこししゃがみ、その目を睨む
#ユリウス
「……何だ」 そこまで近付かれてようやく、気付いたようで呟くように顔をあげずに声を発する。
シャルロット
「……失礼」 一言謝ってから、その片頬にちからの限りの平手打ちをブチかます
#ユリウス
「ッ……」
ソルティア
「……いい音がしましたね。お見事です」 ぱちぱち、と数回手を叩き。
シャルロット
「目は覚めましたか? “この程度”で諦めるのが貴方だったのですか。あまり私を失望させないでください」
#ユリウス
「……この程度? この程度だと? ……ふざけるな。私が今までどれだけの者たちを殺して来たと思っている……!」
ヤンファ
「………」 俯き、あの男を姿を思い出して唇を噛み締める
#ユリウス
「……彼らの命は、彼らの意志は……一体何の為に消えていったというんだッ……!」
シャルロット
「では、これまでの事を悔やみ、ここでうな垂れて、訪れる“歪んだ平和”に身をゆだねると?」
#ユリウス
「……だが……しかし……。あれに対抗し得る術など……」
シャルロット
「貴方が! ここで死んだら、貴方が殺し、背負ってきたその命が総て無為になるんです! 何のために? 何かの為になんて、それは散っていったものたちがきめることで、貴方が決めることじゃない!」
#ユリウス
「………………」
シャルロット
「散っていった命を悔やむなら、彼らの魂に恥じぬ未来を描きなさい! 転生してくる彼らの魂を迎える世界を、作ればいいでしょう!」
#ユリウス
「…………済まない。……時間をくれ……」
#マグダレーナ
「ユリウス……」
シャルロット
「……」 気がつけばユリウスの胸倉を掴んでいた。
#マグダレーナ
「止すんだ、シャルロット」
#マグダレーナ
ユリウスの胸ぐらを掴む手を、マグダレーナが掴んだ。
シャルロット
「……」 ふるふる、とマグダレーナに首を横に振ってみせる
ヤンファ
「………」 その光景を眺め、アランに視線をやる
#アラン
「……今はいい。云う気もしねェ」
ヤンファ
「………後悔しないうちにな」 気付かれていた、か
#マグダレーナ
「私は、彼が目指していたものを多少なりとも知っているつもりだ。……だから、少しだけ、少しだけでいい」
#マグダレーナ
「……彼に、気持ちの整理をする時間をあげてくれ」
ヤンファ
「ソイツだけじゃねえ。俺らも……時間が要る」
ソルティア
「……今のうちに、休めそうな場所を探してきましょう。皆はここで」
ソルティア
「………」 休む場所を探しに部屋を出る途中、うずくまるエリカを見て、かける言葉もなく首を横に振ってそのまま部屋を出て行く。
シャルロット
手を離してそっと立ち上がる
シャルロット
離れ際に、ぽつりと呟く。 「私……貴方のような人であれば、お姉様の隣に居てもいいと思っていました。もう、それを裏切ることだけはしないでください」
#ユリウス
「……」 手を離されると、そのままどさっと地面に膝をついて。
#マグダレーナ
「……シャルロット……」
#マグダレーナ
「……済まない」 そう謝罪して、ユリウスに肩を貸して立ち上がらせた。
ヤンファ
「………」 一段落つきそうなのを見  「少し、休もうぜ。場所はソルティアが探しに行った」
シャルロット
「……」 そうして、ヤンファとアランに目をやる
#アラン
「……ン、どうした」
ヤンファ
「……どうした?」
シャルロット
「いえ。……私も、嘘が上手くなったと、思って」 姉とユリウスが去ったのを見とどけてから……乾いた笑みを浮かべる。まるで自嘲しているようだ
ヤンファ
「………そうだな」 多くを語る気分にはならない。短く、それだけ返した
シャルロット
「嘘、いや……虚勢かな。とりあえず、休む場所が確保できたら次は情報です。……色々、調べないと」
#アラン
「……その前に、お前もゆっくり休めよ。考えるのは、それからだ」
ヤンファ
「あァ。アイゼル達の状況も確認して、再度時間をとる必要もあるしな」
#アラン
「……エリカも、立てるか。手、貸した方がいいか」 シャルロットたちのやり取りを見終わると、再びエリカの方へと歩いていって。
エリカ
「……」 僅かに横にかぶりを振って、覚束無い足取りで立ち上がり。
#アラン
「……掴まれ、見てらんねェよ」
エリカ
「……すいません」 小さくそう言って、アランに捕まり。……震えているのが伝わってしまうけど、隠そうとするほど、もう気を強く持てない。
#アラン
「行こうぜ。……フェリ公たちも待ってるはずだ」 エリカの震えを抑えるようにその身体を引き寄せて。
エリカ
「……」 黙って、僅かに頷いた。
ヤンファ
「………」 エリカの様子を見るが、何も言えない。必死に繋いで護ってきたものの希望の糸か、突然プツリと切れてしまったのだから
シャルロット
「……」 そういえば、リベラリオンは落ちたままかな。あったら、私が拾っていこう
GM
OK
シャルロット
「貴方が立ち上がれるときまで、お預かりしますよ」 ここにいなくなったユリウスに一言断って、自分の腰にくくりつける
ヤンファ
「……いいと思うぜ」 シャルのそんな素振りを見て、ぽつりと
シャルロット
「……?」 振り返って、ヤンファを見る
#アラン
「……頼む」 
ヤンファ
「いや、何でもねえ」 首を横に振った
ヤンファ
「………」 部屋を出る前に、一度振り向き先ほどのモニタが映っていた場所を眺める
GM
もう画面には、《虚空楽土》以外何も映っていない。
ヤンファ
(親父……てめェのダチだった奴は、あの野郎は……ッ!) 強く、強く拳を握り締める。爪が掌にのめり込み、血を流すのではないかというぐらい
シャルロット
「……ルナの事、助ける以外にまたひとつ増えましたね」
ヤンファ
「……そうだな。アイツも、会わないとな」
ヤンファ
シャルの一言に拳の力を抜く
シャルロット
「やることはユリウスと変わりませんよ、多分」 疲労した様子は隠せないが、芯の通った言葉をつむぐ
シャルロット
「会って、ぶっとばせ」 笑おうとして、ひきつってしまって少し不恰好な笑みになってしまった。ごまかすように緩く握った拳をヤンファにつきだす
ヤンファ
「……っくく、なんだァそりゃ」 少しだけ、頬が綻ぶ。弱弱しい笑みといえばそうだが、意志は消えてない
ヤンファ
「そうだな。色んな奴、殴ってやろうぜ」 先ほどまで強く握っていた拳に軽い力を入れ、シャルの小さな拳に合わせた
シャルロット
全部終わったら、ゆっくり傍で泣かせて下さいね」 それまでは、頑張ります。そんなふうに、小さな決意を言葉にした。
ヤンファ
「あァ。そんで、沢山笑える最後に、してやるさ」
シャルロット
「期待してます」 “未来”に夢を描いて、ようやっとちゃんとした笑顔を浮かべた
シャルロット
「さ、いきましょう。仕事してください、ヤンファさん」 寝床の調達だ、といいながらゆっくり歩いて表に出て行こう
ヤンファ
「おォよ」 諦めはしない。そう小さく笑い、彼女に並んで歩っていった

GM
君たちは、フェリシアたちと合流した後、疲れ果てた身体を引き摺って《響の楽園》の外へと出る
GM
そこに広がる世界は一変していた。
GM
大地には〈ヴァニタス〉が咲き乱れ、周囲に生えるすべての植物が〈ヴァニタス〉と同じように淡く灰色に発光している。
GM
……そして、空は雲に覆われたように灰色に染まっていて、何処からともなく、まるで雪のように灰色の粒が降り注いでいた。

GM
待降の時は訪れ、世界は一瞬にしてその姿を変えてしまった。
GM
そして、君たちは大きな選択を迫られていた。
GM
この灰色に染まる世界で生きるか、それとも……。

世界は、私の意志とは無関係に変わっていく。新しい世界で、私たちは


第二部最終話 「決戦、そして」 了

第二部 「待降への序曲編」 了


リザルト
2012/08/25 第二部最終話「決戦、そして」経験:3,150 報酬:20,000G 名誉:100

▼能力値成長結果

シャルロットヤンファエリカソルティア
器用度 34 > 35
敏捷度 31 > 31
筋力  20 > 20
生命力 24 > 24
知力  28 > 30
精神力 25 > 26
器用度 37 > 38
敏捷度 38 > 38
筋力  30 > 30
生命力 23 > 24
知力  13 > 13
精神力 14 > 15
器用度 13 > 13
敏捷度 19 > 19
筋力  14 > 14
生命力 23 > 23
知力  31 > 32
精神力 42 > 44
器用度 30 > 30
敏捷度 16 > 16
筋力  30 > 31
生命力 26 > 27
知力  31 > 31
精神力 33 > 34