虚ろの輪音

第二部 序話「始動-次なる舞台へ-」

GM
会談の前々日には、ルキスラ皇帝ユリウス・クラウゼとその宰相ベアトリス・エインズレイが入国を完了しており、その影響で公都内特に公城区と行政区はいつになく警備が厳重になり、緊張した空気が流れていた。
GM
前日には、ルキスラ帝国からの来賓を饗応する為の会食などが催されたが、当然一般市民たちには関係することではなく、君たち4人の中で関係があるのはシャルロットだけだ。
GM
会談では、出席者たちは敢えて会談についての話題を口にしないようにしていたのか、何処かぎこちない空気を感じ取る事は出来ただろう。
GM
シャルロットは、3人に先立って一人ユリウス・クラウゼとの軽い挨拶を済ませたが、正式な挨拶はまた明日させてもらいたい、とユリウスからの約束を取り付けられた。
GM
途中、ユリウスがマグダレーナを誘って、二人でバルコニーに出てグラスを片手に語り合っていたようだが、会話の内容は他愛のない世間話から、若くして国の中心的な立場に立つ者同士の悩みと言った事が中心で、会談については、二人の間でもあまり話題とはならなかった。
GM
そのまま会食は滞りなく終了し、夜が明け、君たちが会談への参加要請を請けて丁度一週間目の今日、予定通りルキスラ・ダーレスブルグの二国会談は開催されることとなる。
GM
現在、君たちはそれぞれ普段の冒険着とは違うフォーマルな格好で公国大会議場〈虚啓示録〉のひとつがその目の前に置かれていた場でもあるの控え室に居た。
GM
会談開始は13時を予定されている。現在時刻は12時丁度、開会まではあと1時間あるが……。
GM
控え室には、アランやフェリシアも待機している。他の公国側の議員たちは別室で待機しており、この部屋に居るのは君たち6名だけのようだ。
#フェリシア
「……また一時間程時間はありますが、このまま此処で待機をお願いしますね」
#アラン
「おーおー、思ったより似合ってるじゃねェの」 見るなりエリカを茶化したりしつつ
エリカ
「や、やめてください」 そわそわ。
#アラン
「叩かれるかと思ったのに意外な反応だわ」
ソルティア
「アランさんにそう言われるとは、僕の見立ても悪くなかったって事ですかねぇ」 あはは
ヤンファ
「胸元が控えめだからこそ映えるドレスかァ。良いの選んだなァ」
エリカ
「……焼きますよ」
エリカ
「ふぇ、フェリシアさん、どこもおかしくないですよね」 そわそわ。
シャルロット
「こういうとき、ヤンファさんがいいそうなことわざを一つ知っています」
#フェリシア
「何ですか?」
ヤンファ
「ほォ」 なんだなんだ
シャルロット
「まごにもいしょう」 ヤンファさんのこと、勉強しました。
#アラン
「ぶははははっ」 げらげらと吹き出した。
#フェリシア
「しゃ、シャルロット様……それはエリカさんに失礼です……っ」
エリカ
「………」 くっ。 くっ……。
ヤンファ
「………お、おう」 思ったけどシャルが言うとなんかヤバくね?
#フェリシア
「……え、エリカさん。勿論、よくお似合いですよ」 咳払いをひとつして。
シャルロット
「実際、私やエリカさんは普段やたらと着飾りませんし、目新しいものを見たらそういいそうですが」 こっちは、肩口からざっくりと露出してる自己主張の激しいドレスなんだとおもう
#フェリシア
「ヤンファたちの言う事はあまりお気になさらずに。……此処に居る男性陣はデリカシーに欠けますから」
エリカ
「……フェリシアさん、この流れでフォローされると惨めさが増します」 泣くで。
#フェリシア
「いえ、本当にそんなつもりはありませんから」 本心からだよ。これははっきりと言った。
エリカ
「……すいません、ありがとうございます……」
ソルティア
「ヤンファさんが言いそうな事、ですから合ってると言えば合ってますが……」
#アラン
「実際言いそうだけどなァ」 だからうけてたんだし。
ヤンファ
「お前ら失礼だなァオイ」
シャルロット
「……あれ? これは褒め言葉じゃないんですか?」 素
エリカ
「……」 くそっ、くそっ、本気で素で言ってるのかそれは!
#フェリシア
「……どちらかというと服飾を褒める言葉、ですね」
ソルティア
「本人に対しては割りと褒めてませんね、えぇ」
ヤンファ
「そうかァ、使い方間違えたかァ」 この空気はちょっとアレだなオイ
ソルティア
「公の場では使わないようにしましょうね? 空気が凍りつきますから、ガチで」 生暖かい笑顔で
シャルロット
「そうなんですか……!? てっきり、着飾ると気付く美人さんとか、そういうことわざかと!」 中の人は中学生までそういうことわざだとおもっていた!
ヤンファ
「ちょっとシャル黙ってろ」 久々に言ったわこれ
シャルロット
「ヤンファさんに久しぶりに言われてしまいました……」 私は笑顔で口を閉じている子になります…
#フェリシア
「……お、怒らないで差し上げてくださいね」 本当に悪気はありませんから……と。>エリカ
エリカ
「……」 ぎりりっ。 「わ、解ってます……解ってます……」
ソルティア
「まぁまぁ……でも、似合ってるのは本当だよ?」
エリカ
「……ありがとうございます」 だが今の流れだと素直に喜べないのであった。
ヤンファ
「……ま、実際悪くねえと思うぜェ? 魔動機で画像に残しとくかァ?」 カッカッカ
#アラン
「皆で記念写真、ってかァ。悪くねェかも知れねェけど」
ヤンファ
「記念撮影な。誰が撮ってくれるんだァ?」
#アラン
「俺むーり。魔動機術ならフェリ公じゃね?」
#フェリシア
「……用意すれば出来るけど、後になるわよ?」 >魔動キャメラ
ヤンファ
「ま、後でもいいだろ。こんな機会そうそうねえしなァ」
ヤンファ
「理由はアレだが、こうやって煌びやかな格好するのも悪くは無ェ」
#フェリシア
「それじゃあ、後で用意するとして」 時間を確かめて
#アラン
「そろそろ、行った方がいいかもな。遅れちゃ洒落になんねェし、早めに行っとけよ」
ソルティア
「はは……ま、あんまり緊張しすぎて背筋張りすぎないようにね」
エリカ
「……きをつけます」
ヤンファ
「あァー、帰りたくなってきたァー」
エリカ
「やめてください。私も帰りたいです」 本音が。
ソルティア
「でも、僕も礼服着るなんて久しぶりですねぇ……軍の頃以来だよ、ほんと」
#アラン
「俺ァ此処で待機してっから、頑張れよォ」 ひらひらと片手を振って
シャルロット
「あれ、アランさん、待機なんですか?」
#アラン
「だって俺お呼ばれしてないし」
シャルロット
「アランさんも功労者ですのに……わかりました。また、後ほど」
ヤンファ
「アラン代われよ俺と」 大体一緒だろキャラ
シャルロット
「ほら、行きましょうヤンファさん。書類の山は渡しませんから」
#アラン
「いやいや、俺ァ公王陛下を助けてねェし? あとこういう場はさすがに面倒臭ェし?」
#フェリシア
「ま、まぁまぁ……皆さん頑張ってください。ただ聞いているだけですから」 基本的には
ヤンファ
「……ま、しゃーねえな」 エリカちゃんに視線合わせて、やれやれだな、と苦笑
ソルティア
「さすがに、会談の面子に口を挟むことはしませんよ……恐ろしい話です」
エリカ
「しようと思っても出来ませんよ……」 地蔵になる以外に。
#フェリシア
「私も……これだけの方々を相手にするとなると発言するのに緊張してしまいますしね」 苦笑して。
ヤンファ
「………」 それに関してはシャルが心配だなー
シャルロット
「………な、なんですか。私だって変なことは口走ったりしません」
ヤンファ
「さてなァ」 どうだか
#アラン
(さっき馬子にも衣装とか言ったばっかだからなァ……)
ソルティア
「声が裏返らないようにだけ気をつけましょうか……」 はは、とフェリシアに笑って。
ヤンファ
「とりあえず、準備は出来てるし行くかァ」
#フェリシア
「さて、それでは良ければ参りましょうか」
エリカ
「……はい」 正直気が重いけど。
ソルティア
「はい、行きましょう」
GM
では。
GM
会議場の中にいくつも存在する会議室の中で、最も広いホールに通される君たち。
GM
部屋の中央にはコの字型の巨大なテーブルが設置され、その長辺にそれぞれ帝国の来賓たち、公国の議員及び一部貴族が並ぶ、と言った具合だ。
GM
短辺には、オブザーバーであるジェラルドを始めとした両国の神殿責任者たちが数名座っている。
GM
君たちにはまとめて、公国側の長辺の隅に席が用意されていた。
GM
君たちが着席すると、公国の議員たちが続々入室して来る。
GM
それからしばらくして……。
#マグダレーナ
どうぞお入りください、皇帝陛下」
#マグダレーナ
扉が開かれ、マグダレーナ・イエイツの凛とした声が響くと、室内は一気に緊張に包まれる。
#ユリウス
ああ」 そう短く答えて、大会議ホールの扉をくぐったのは、豪奢な衣装に身を包んだ威厳のある青年。
#ユリウス
透き通る程の金髪に見た瞬間に深謀遠慮を感じさせるような蒼い瞳、彼こそがルキスラ帝国現皇帝ユリウス・クラウゼだ。

#ユリウス
……」 入室と同時に、一瞬で視線を巡らせ、集まったそれぞれの姿を鋭く見回す。
#ユリウス
が、すぐにそれは終わり、彼は室内へと足を進めて行く。
シャルロット
「……」 昨日会ったばかりだし、変に緊張はしないものの……雰囲気が重い
ソルティア
「………」 とりあえず周りの人に習って礼をしよう。
ヤンファ
」 会場に入った時点で、騎士の表情になる。顔を引き締め、視線を揺らさぬようにしている
#ベアトリス
「失礼致します」
#ベアトリス
その後ろを、長い白銀の髪を揺らして帝国宰相ベアトリス・エインズレイが続く。
#ベアトリス
切れ長の赤い瞳が、今まで君たちが見たそれとは明らかに違う空気を醸しだしていた。
ソルティア
(……さすがに、公式の場だと雰囲気が違うな) いつもは神殿でゆったりしてる姿だし。
エリカ
「……」 マグダレーナを初めて見た時に近い感覚だ。見惚れる反面、自分が同じ場にいることに重圧を感じる。
GM
二人に続いて続々と帝国の議員たちも入室しその中には、暫定大使バルトロメウス・アイゼナッハの姿もある、最後に車椅子に乗せられたアルフレートⅢ世が入室し、全参加者がホールに揃う。
GM
バタン……と大きな音を立てて扉が閉められ、全員の着席を確認した後にマグダレーナが立ち上がる。
#マグダレーナ
「本日は、ルキスラ帝国・ダーレスブルグ公国の会談の場にお集まりいただき、厚く御礼を申し上げます」
#マグダレーナ
「お集まりいただきましたお歴々、公王アルフレートⅢ世陛下のご不調に伴いまして、私マグダレーナ・イエイツが名代としてご挨拶を申し上げる事をどうかご容赦ください」
#マグダレーナ
「つきましては、本日の会議進行の司会も不肖ながらこの私が務めさせていただきます。至らぬ点は多々あるかも知れませんが、どうぞ宜しくお願い申し上げます」
#マグダレーナ
そう言って彼女が深く頭を下げると、出席者たちからぱちぱちと拍手が上がる。
#マグダレーナ
「こちらにいらっしゃるのは、ルキスラ・ダーレスブルグ両国の神殿の責任者の方々です。民の視点から、この会議の動向を適切に見守っていただく為に、同席を依頼させていただきました」
#ジェラルド
「公都ダーレスブルグ、ザイア神殿長ジェラルド・ヘリオドールです。お見知り置きを」 立ち上がり、深く頭を下げる。
#ジェラルド
ジェラルドに続いて神殿関係者たちが、次々と立ち上がり、軽く自己紹介をし礼をしていく。
#マグダレーナ
「それでは、早速会議に移りたいと思います」 彼らの紹介が終わると、マグダレーナがそう声を発し、二国会談の幕が開かれる。

GM
会議はまず《呪音事変》に至るまでの一連の事件の確認から始まり、経済的損失、人的損失、公国から帝国に対する補償に関する話など続々と展開されていった。
GM
帝国側も、主に確認として聞き手に回っていたが、安全保障に関する議題に移った時、会談の空気は大きく変わることとなる。
#マグダレーナ
以上の事情から、公国における開放派と保守派の問題は収束を見せ始めていますが、その代償に今国内は非常に不安定な状態となっています」
#マグダレーナ
「レーゼルドーン大陸の蛮族への対処は、今しばらくの間は防戦を維持し、国内の復興を最優先として
GM
マグダレーナがそう説明をしていた途中で、一人の男性が待ったと言わんばかりに声を上げる。
#ユリウス
少し、良いだろうか」
#ユリウス
手と声を上げたのは、ルキスラ帝国皇帝ユリウス・クラウゼだった。彼の一声には、場の空気を一瞬にして制するだけの威厳があった。
#マグダレーナ
「……如何なされましたか、ユリウス陛下」
#ユリウス
「《呪音事変》について初めて耳にした時から考えていた腹案がある。既にエインズレイ宰相とは話し合ったものだ」
ヤンファ
「………」 目線だけ動かし、ユリウスの方を見る。動きがあるというのか
#マグダレーナ
「……拝聴させていただきます」
#マグダレーナ
そう言って、マグダレーナは息を飲みながら着席する。それに合わせて立ち上がるユリウス。
#ユリウス
「今回の一件、余は《ネベール会戦》以後から続く開放派と保守派の争いを発端とするものだと理解している。これには相違ないだろうか」
#ユリウス
ユリウスが公国議員たちを見回すと、皆一様に神妙な面持ちで頷く。
#ユリウス
「どちらも祖国を護る為の立派な志であるのは語るまでもない。しかし、その結果として実際にこれだけの痛ましい事件が起きてしまっている」
#ユリウス
「その責任を、ダーレスブルグ公国に問うのは容易い。事実、我がルキスラ帝国が負った損害も並大抵のものではない」
#ユリウス
「公国に住まう帝国臣民の安全が脅かされた事、〈魔動通信機〉に対する不信感、ランベルト・ロートシルト教授の拉致事件、宰相ベアトリス・エインズレイの身も、民たちと同様脅威に晒される事となった。そして何よりも、バッカス・ブルフォード大使への脅迫と死亡これらはどれも、我が国にとって看過しえない事象だ」
#ユリウス
議員たちの顔に緊張が走る。皆、どう考えてもこの会談は「公国が帝国に対して成さなければならない賠償を決定する為のもの」と考えているのだろう。どれだけの請求がされるか、不安で仕方ないのだ。しかし
#ユリウス
「余、ユリウス・クラウゼはその責に対する賠償請求を必要最小限に留めることを此処に誓おう」
#マグダレーナ
……」
#フェリシア
「…………え?」
GM
皆に、ざわめきが走る。
#ユリウス
そんなざわめきを意にも介さず、ユリウスは言葉を続ける。
#ユリウス
「何故ならば、これらの責の根本は“人”には無いからだ」
#ユリウス
「であれば、その責は何処に帰趨する」 その目が、ぎらりと光りその場に居る全員を一通り眺めて行く。誰か、答えられる者は居らぬかとでも問うように。
シャルロット
「……」 すごいことを言う人がいたものだ、と半ば感服して目を細めている
ヤンファ
「…………」 話に聴いていたが、食えない男だな。と表情変えずに内心思う
#ユリウス
「そう蛮族だ」
#ユリウス
「レーゼルドーン大陸の蛮族が、公国を護る為の意志を歪ませた。真に我々が責任を問わねばならぬのは、彼らであろう」
#ユリウス
「蛮族に歪まされた事件は我が国でも起こった。8年前の《蒼銀戦役》だ」
ソルティア
「………」 あの内戦か。
#ユリウス
「当時はそれが大規模な内戦にまで発展し、その責を計画を企てた者たちに問うしか無かったが、今の余の思いは違う」
#ユリウス
「蛮族によって引き起こされる人族内での欺瞞、そして蛮族たちに対する怯懦それを払拭せねば、我々は未来へ進めない」
#ユリウス
「《大破局》の時代、建国王アレウスと“救世の聖女”アレクサンドリアを中心として、人族が手を取り最大の苦難に立ち向かったように、今こそ我々も手を取り合い、共に蛮族に立ち向かう時だ」
#ユリウス
「何より、我々は西のフェンディル王国と併せて、共に対蛮族同盟を形成している身だ。ならば、我らの敵はただ一つ」
#ユリウス
「《蒼き北伐》以降、北に対して有効な手を打つ事ができていなかったが、その状況に今こそ終止符を打つ良い機会だろう」
#ユリウス
余はルキスラ皇帝の名の下、此処にルキスラ・ダーレスブルグ両国によるレーゼルドーン大陸南部奪還計画を提唱する」
GM
ざわ。会議場が一気に色めき立つ。
#ユリウス
「この計画の最終的な目標は、現在のレーゼルドーン大陸南部の蛮族の要、ヴァルクレア城を人族の手に取り戻すことにある」
GM
ユリウスが言葉を続けるが、議員たちの殆どはまともにその言葉は耳に入っていないだろう。
GM
あれだけ強硬的で、自国の利益を優先した国が賠償を請求する為の好餌を自ら手放したのだから。
GM
……無論、公国側に恩を売るつもりではあるのだろう。しかし、ヴァルクレア城は確実に奪還出来る訳ではなく、その為の労力を考えれば、国益を優先するのならば確実に賠償を請求した方が良い。
GM
そんな心を見透かしているかのように、ユリウスの次の言葉が投げかけられる。
#ユリウス
「奪還したレーゼルドーン大陸の土地及びヴァルクレア城を始めとする施設は、その権利のすべてをダーレスブルグ公国が優先して取得する、として扱おう」
GM
は?」 「……え?」 「なんだって……!?」 各々から上がる疑問と驚愕の声。
ヤンファ
「………」 どこまで先を見ている、この男は
#ユリウス
「もう一度言おう。奪還した土地は基本的にすべてダーレスブルグ公国の領土として扱い、我がルキスラ帝国はそれに対抗出来ぬものとする」
GM
破格の条件だ。
エリカ
」 何、言ってるんだろう、この人は。
ソルティア
「………」 この場でこの提案とは、読みきれないな。
シャルロット
「……ええ。そういう指針であるならば、そうでしょう」 そっと、一人ユリウスを眺めて小さく呟く
#ユリウス
……」 シャルロットの呟きに気付いたのかどうか、彼の目が一瞬、シャルロットを向いたような気がする。
GM
普通ならば、間違いなく裏を読む。しかし、どれだけ考えてもその「裏」が具体的に思いつく者は居なかった。
GM
「……て、帝国の臣民たちがそれで納得出来るのですか?」
GM
公国議員の一人がしどろもどろにユリウスに質問を投げる。
#ユリウス
「臣民たちに直ぐ様理解してくれと云うのは難しいだろう。しかし、人族の世の為、必ず我が帝国の臣民たちであれば理解してくれるであろう事を余は確信している」
#ユリウス
「当然、理解には相当の期間が必要だ。計画の実行には、今しばらくの時間が必要だろう」
#ユリウス
「その間に、ダーレスブルグにおいても審議を為し、これを受け入れてもらえるかどうかを決定して欲しい」
#ユリウス
「今日、余が最も表明したかった主張は以上だ。色よい返事を期待している」

GM
結局、ユリウス・クラウゼの突然の提案によって、会談のそれ以前の論議は殆ど意味をなさなくなってしまった。
GM
だが、その提案は何処までも公国にとって魅力的で、頼もしいものでもあった。
GM
ダーレスブルグ公国は近日中に議会での話し合い、そして混乱する情勢の為、国民投票も行なって意思決定を成すことをその場で誓い、二国会談は終了した。
#マグダレーナ
「……シャルロット、ヤンファ、ソルティア殿にエリカさん」
#マグダレーナ
会議ホールから続々と皆が退室していく中、その結果を呆然と聞いていたであろう君たちにマグダレーナが声を掛けてくる。
ヤンファ
「はっ」 名を呼ばれ応じる。まだそっちの顔だ
エリカ
「……あ、は、はいっ」
ソルティア
「……マグダレーナ様」
シャルロット
」 もう姿を見なくなったが、それでもなおそっと視線をユリウスのいた席へと向けていた
シャルロット
「……お姉様?」
#マグダレーナ
「会議への出席、ご苦労だった。……そんな所に申し訳ないが、もう二つ程付き合って欲しいのだが、大丈夫かな」
シャルロット
「ユリウス皇帝陛下、ですか?」
#マグダレーナ
「ああ、そうだ」 シャルロットに頷いて
ソルティア
「えぇ、問題ありません。……エリカちゃん、大丈夫?」 エリカに目を向けつつ。
エリカ
「あ、は、はい。大丈夫ですけ、ど……」 皇帝、とはどういうことだろう。
シャルロット
「半ば確信めいたものがあります。なるほど、私たちに声をかけたのはそういうことですか」
#マグダレーナ
「ユリウス陛下が、君たちに直々に御礼を述べたいと仰っている。緊張するとは思うが、この後、皇帝陛下たちがいらっしゃる部屋まで向かって貰えるだろうか」
エリカ
(そ、そういえばそういう話だったっけ……)
ヤンファ
「………」 全員が部屋に居なくなったのを見  「俺は構わねえぜ」 といつもの調子に戻る
ソルティア
「本当に、直々に礼、なんですね……皇帝陛下は本当に豪胆なお方です」 苦笑して。
#マグダレーナ
「先程の提案といい、付き合いはそれなりに長い方だが……彼は私にも読み切れないな」
ソルティア
「僕ではお相手など出来そうもありません。上手く躍らせてくれるといいのですが」 皇帝陛下には苦笑しっぱなしであるよ。
#マグダレーナ
「……はは、それは私も同じだよ」」
ヤンファ
「………」 思うところはあるが、邪推に過ぎないのもあって今は口にするところではない。
#マグダレーナ
「まずはそれがひとつ。もうひとつは、それが済んでからフェリシアに連絡を入れさせよう」
シャルロット
「判りました……お姉様?」 ふと声をかけて
#マグダレーナ
「どうした?」
シャルロット
「ああ、いえ……ユリウス陛下相手だと、どうも口が出てしまいそうで。少し」
#マグダレーナ
「……君の言いたい事は、どんどん彼に伝えておくべきだと思う」
ヤンファ
「………」 一理ある、とは思うが  「あァ、良いんじゃァねえか?」
ヤンファ
「直々にってことは、話をしたいってことだろォよ」
ヤンファ
「何も言わず終いじゃァ意味がねえ。それは恐らくあの男にとっても同じだが、な」
#マグダレーナ
「彼は、そう簡単に腹を立てるような人物ではない。それこそ、君のどのような言動だって軽く流してしまいかねない程だ」 シリアスな意味でも、ギャグ的な意味でも。
シャルロット
「……では。多少気兼ねしながらお話をさせていただいてきますね」 そういっておらえると助かる
ソルティア
「……あの提案が、本当に公国の為になると良いのですが」
シャルロット
「さて、ね
#マグダレーナ
「……少なくとも、レーゼルドーンを奪還する事は、この国にとって有益な事だ。賠償が最小限に留められることも、ね」
ヤンファ
「………」 そう、おそらくは、シャルが言い返してしまうことを見据えて。
ヤンファ
「どうだかなァ」 シャルに同意だ
ソルティア
「……そうですね。今は寛大な処置に、感謝しておくとしましょう」 その先に何かあるだろうとはいえ。
#マグダレーナ
「だが、それ以外あるいはその先に何かがあるかも知れないとは、私も思う」
ソルティア
「少なくとも、蛮族相手の盾としては、期待されているようですからね」 はは、と苦笑し。
エリカ
「……普通に考えたら、何もなしにあんなこと言い出そうなんて思わないと、思いますけど」
#マグダレーナ
「……ただ、ひとつ私が確信しているのは」
#マグダレーナ
「ユリウスが持ち、信じている正義というものは、間違いなく人族の為にあるものだろうということ、だ」 敢えて敬称を付けずにそう言って。
#マグダレーナ
「今まで彼と交友関係を築いて来た者として、それだけは自信を持って言えるよ」
シャルロット
「いえ。そこに関しての不安は一切。見立ては正しいと思いますよ」
ソルティア
「……それでしたら、真摯に踊る気にもなると言うものですよ」 小さく微笑んで。掌の上で踊らされているだろうとはいえな。
#マグダレーナ
「そうか、ありがとう」
#マグダレーナ
「では、心の準備が出来たら向かってくれ」
ヤンファ
「ま、良い機会だ。見せてもらうとしようじゃァねえか、噂の帝国を引っ張る男の器を」 
シャルロット
「はい。……とはいえ、私は別に準備も何も、今から構いませんので」 他の3人を見る
ソルティア
「僕はいつでも。皇帝陛下も礼儀に五月蝿くないお方のようで一安心ですよ」
ヤンファ
「俺もいつでも良いぜ」
エリカ
「……ええと。だ、大丈夫です」
シャルロット
「……はい。ではいきましょう」 エリカを心配そうに見たあと、ふっと微笑んで言う
ヤンファ
「エリカちゃんが蛇に睨まれた蛙にならねえか心配だなァ」
#マグダレーナ
「そこは君たちでうまく補ってあげてくれ」 さすがに緊張するなとは言えない。
エリカ
「……」 正直、萎縮しないなどとは強がりでも言えない。
ソルティア
「いざと言う時は背中に隠すとしましょう」 はは

GM
そして、ユリウス皇帝たちの控え室の前。
GM
他の部屋とそう変わらぬ扉であるはずなのに、緊張のせいか異常に重いものに思えて来るだろう。
GM
警備の為に帝国兵が一人と黒い甲冑に全身を包んだ騎士エリカとソルティアは、《呪音事変》の際に一度会ったことがある人物だが立っている。
#黒き騎士
……」 君たちの姿を認めると、扉へ向き、コンコンとノックする。
#黒き騎士
「陛下、宰相閣下、例の4人がお見えになりました」
エリカ
「……」 一瞬、あ、と声を上げそうになった。とりあえずぺこりとお辞儀だけしておく。
ソルティア
おや、見た人が。 「お久しぶりです、騎士様」 一礼して。
#黒き騎士
「…………」 小さく頷いて返す。
シャルロット
「……お知り合いで?」 おや。と小声で
ソルティア
「事件の日、神殿でベアトリスさんと共にお会いしまして」 ひそひそ
ヤンファ
「………」 知り合いか、と思いつつも無駄な言葉を発さず、引き締めた表情で扉の奥を見る
#ユリウス
通して差し上げてくれ」
#ユリウス
中から、ユリウスの声が返ってくる。
#黒き騎士
「……入るといい」
シャルロット
「ありがとうございます、騎士殿」 ぺこ、とお辞儀。するりと部屋へ
ヤンファ
「は。では、失礼します」
GM
中は、非常に綺麗かつ高価な調度品などが揃えられた空間だった。帝国の首脳を迎える部屋なのだから、このぐらいの歓待は当然なのだろう。
ソルティア
「ありがとうございます」 黒騎士さんに礼をして。
GM
部屋の中央に据えられた低いテーブルを囲むように、4つのソファが置かれており、そこに皇帝ユリウス・クラウゼと宰相ベアトリス・エインズレイが座していた。
ソルティア
前にシャルロットとヤンファを押し立てて三番手に入ろう。
#ベアトリス
「皆、ようこそいらっしゃいました」 宰相が目を伏せ、頭を下げて挨拶する。
シャルロット
「シャルロット=イエイツ……参りました」 中に入り大きすぎない声でしっかりと名乗る
ヤンファ
「いえ。こちらこそこのような場にお呼び戴き、光栄に存じます」 とベアトリスに
ソルティア
「このたびはお招きいただき、恐縮でございます」 ベアトリスと皇帝陛下にお辞儀。いつものように敬語がアレだけどいつものように気にしないでくれ
エリカ
「……」 何言っていいか分からずとにかくぺこりと頭下げた。
#ユリウス
「ふふ、そう硬くされるとこちらも自然と緊張してしまうが……。好きな場所で構わない。まずは掛けてくれ」
シャルロット
「……ユリウス皇帝陛下……何と言うか、どちらかといえばお姉さまみたいな方でしたか?」 余計に気兼ねはいらないかな、と。
#ユリウス
「いつでも公の場のように気を張り続けていたのでは、私も疲れてしまう。君たちも、君たちらしく振る舞ってくれて構わない」
#ユリウス
「マグダレーナ殿下とは、私も仲良くさせてもらっているし、ね」
シャルロット
では。ユリウスが座るのを待ってから、ストンと腰を下ろそう
ヤンファ
「………」 シャルが座るソファの後ろに立つ。気は抜けない。ユリウス本人がそうは言っても面構えは解かないままだ
シャルロット
「……」 お姉さまとはどこまで、と口をついて出そうになったのは内緒だ
ソルティア
「お気遣いありがたく存じます。この通り、礼も知らぬ粗忽者故……」
#ユリウス
「……ふふ、何やら随分と警戒されてしまっているようだが、まぁ無理もあるまい。あのような提案をしたばかりなのだから」
シャルロット
「普通に考えれば、警戒以上の何でもないですよ、ユリウス陛下? わからないものは大体怖いですから」
シャルロット
そういうこちらは、大して緊張もせずにリラックスモードだ
#ユリウス
「その通りだな。未知は恐怖を生み出す。道理だ」
#ユリウス
「ともあれ、改めてルキスラ帝国現皇帝ユリウス・クラウゼだ」
ソルティア
「ソルティアと申します。お目にかかれて光栄です」>ユリウス。 ベアトリスさんはいつも会ってるからいいだろう。
ソルティア
とりあえず石化してるエリカちゃんを促しつつソファーに座らせてもらおう。
エリカ
「……エリカ、ケイ……です」 かくかくとソルティアに続いてじこしょーかいしつつ。 「し、しつれいします」 促されたのでソファー座ったよ。
ヤンファ
「ヤンファ・シャンリークと申します。こうしてお目に掛かれたこと、この上なき事であります」
エリカ
「……」 けろりとしているシャルロットを一瞬恨めしげに見た。
#ユリウス
「……ああ、他の諸君も、言葉遣いは自分の楽なようにで良い。そちらの方が、君たちの心が伝わりやすいだろう?」
#ベアトリス
「陛下……お言葉ですが、それはなかなかに難しいご注文であるかと」
ヤンファ
「………」 ち、コイツしつけえな。せっかく公の場の顔してるってのに
シャルロット
「そうは言っても、実際やるとやっぱり腰が引けるものだと最近気付きました」 苦笑を浮かべて
#ユリウス
「ふふ、君が言ってもあまり説得力は無いように思えるがね」
#ユリウス
「シャルロット殿下は既に順応してくれているようだが……これも大器の片鱗と言った所かな」
シャルロット
「いえ……私は頭の悪さが滲み出ているだけですので」 ひらひらと手を振って否定をする
ソルティア
「では、少々言葉を崩させていただきます……マグダレーナ様と仲が宜しい理由がよく分かりましたよ」 言葉を崩しつつ、いつもの笑顔になって。
#ユリウス
「彼女とは、政治に携わる人間の中では歳が比較的近い事もあって、色々と仲良くさせてもらっている」
シャルロット
「……」 再三再四、お姉さまとはどこまで、という言葉を飲み込んだ
#ベアトリス
「……エリカ、陛下がこう仰っているからには何も咎められるような事はありませんから、どうかいつもの貴女らしく振る舞ってもらえませんか?」
エリカ
「え、あ、はい、その、す、すいません」 予想外のところから声かけられてしどろもどろった。
ヤンファ
「………」 やべえ、エリカちゃんぷるぷるしてるおもしれえ
#ユリウス
「……此処まで緊張されてしまうと、何か悪い事をしている気分になって来るが、観念してもらうとしようか」 優雅に冗談らしく笑って。
エリカ
「ご、ごめんなさい、その、な、慣れなくて」 すいませんすいません。
ソルティア
「彼女が慣れるには、当分公国へ通っていただけませんと」 ははは
ヤンファ
「…………」 緊張ではない。黙々とシャルの後ろに立ち、会話が流れていくのを耳にしているだけだ
ソルティア
「皇帝陛下とマグダレーナ様の仲が良い様子は、公国民から見ると一安心ですよ。二国間の友好関係にも繋がりますからね」 と言ってみる。
#ユリウス
「一部議員たちには、あまり評判は宜しくないのだがね」 苦笑して。
シャルロット
「私は気が気ではないのですが……?」
#ユリウス
「……この通り、ね」 肩をすくめて。
ソルティア
「皇帝陛下も、人間関係には中々お悩みのようで。いえ、皇帝陛下だからこそ、でしょうか」 同じように肩を竦めて苦笑する。
#ユリウス
「皇帝でなくとも、人間関係には皆悩むものだろう。特別なことではない」
ソルティア
「やっぱりお姉さんとの関係が気になりますか?」 はは、と笑って。>シャルロット
#ベアトリス
「シャルロット殿下にとっては、他の方々以上に他人事ではないでしょうから」
シャルロット
「い、いえ。否定的なわけではないのですが、その。ええ……」 わかってください
#ユリウス
「大丈夫だ、君の言いたい事は分かるよ」
ヤンファ
「……シャルロット様、あまり深入りしてはユリウス陛下もお困りになります」 と耳打ちした
#ユリウス
構わない、とヤンファに手で示して。
#ユリウス
「……さて、本題に移ろう」
シャルロット
「……それで、お礼をとのことでしたが?」 それは建前なのだろうと思いつつ、元々の目的を伺う
#ユリウス
「そう、その通りだ」
#ユリウス
「君たちを呼んだのはシャルロット殿下も言った通り、君たちに直接礼を述べたかったからだ」
#ユリウス
「私は公国の人間ではないが、帝国も公国も共にザルツ地方に存在する人族の国家。その安否を案ずるのは当然のことだ」
#ユリウス
「君たちの活躍によって、多くの者の命が護られた。ここに居るエインズレイ宰相についてもそれは同様だ」
シャルロット
」 言葉を洩らさず伺う
#ベアトリス
「貴方がたがあの時救援に来てくれなければ、いつかはあの兵士たちに押し潰されてしまっていたでしょう。改めて、御礼を」 これはエリカとソルティアに向けて。
ソルティア
「いえいえ、とんでもないです、ベアトリスさん。日頃は僕らの方がお世話になっているくらいなんですから」 ソルが公国へ来る時のお世話とかもな。
#ユリウス
「あの公都での出来事だけではない。その前にも、君たちはランベルト・ロートシルト教授の命を救ってくれてもいるそうだな」
#ユリウス
「流石は、マグダレーナ殿下の妹御とその仲間たちなだけはある。彼女も抜きん出て優秀な人物であるが、妹御であるシャルロット殿下も、負けず劣らず優秀である事は疑いようがないようだ」
#ユリウス
「……公王陛下の御命が無事であったのは喜ばしい事だが、依然としてあのようなご容態では隣国として不安が尽きなかったが、マグダレーナ殿下に加えて君のような存在も居るのならば、今後は《呪音事変》のような出来事もそうそう起こらないだろう」
シャルロット
「私はこの界隈に出戻ってきた半ば新人ですから……あまり持ち上げられると困りますね」 複雑そうな顔で
#ユリウス
「ふふ、謙遜が激しい所まで、よく似通っている」
エリカ
「あ、あれは」 と思わず声上げちゃったからには言い切らないとアレで。 「その、偶然みたいなものというか……」 自分たちとしては博士というより身内を助けにいっただけみたいな感じだし。
#ユリウス
「偶然であろうと何であろうと、事実は事実。私は、その事実に礼を述べているんだ」
ソルティア
「どちらかと言うと、こちらが巻き込んでしまって申し訳ない、と言うべきなんですが……」
#ベアトリス
「それももう過ぎた事。それらを受けて、如何に未来へ繋げていくかそれを陛下は重要視していらっしゃいます」
エリカ
「……あ」 あうあう。 「そ、そうですね、ごめんなさい……」 なんか謝っちゃった。
ヤンファ
「………」 やべー、エリカちゃん完全に蛙状態だよ
ソルティア
「それはあの提案からも分かりますね。寛大な処置をいただいて、ありがたい限りです」
ヤンファ
「………」 欠伸が出るような会話だな、と思いつつもそんな様子は片鱗も見せない
#ユリウス
その話だが」 ソルティアに続いて。 「先の私の提案に対する公国の意志次第では、我々二国は本格的にレーゼルドーン大陸の攻略に乗り出すことになる」
#ユリウス
「そうなれば君たち少なくとも、シャルロット殿下とヤンファ殿については今までよりもずっと厳しい戦いに身を置く事になるだろう」
#ユリウス
「残りの2名、エリカ殿に、ソルティア殿だったね。君たちについても、無関係と云う訳にはいかないだろう。冒険者を続けるのであれ、別の形であれ、公国と帝国に居る限りは否が応でも目を背けてはいられない事態になる」
ソルティア
「……その通りですね」 上手くレーゼルドーンへの進出を決定させられた感じではあるが。
ヤンファ
「は、心得ておきます」
#ユリウス
「そうなった場合には、私をいくら恨んでくれても構わない。だが、それが人族の世に必要である事だけは、心に留めておいて欲しい」
エリカ
「………」 人族の世に必要だから、か。
ソルティア
「……橋の向こうでは、いまだに激戦が続いているのでしょうしね。冒険者なら、その橋を越えて行くのは悲願のようなものでもありますが」 儲けの為に。
シャルロット
「公国の意思次第、というか、そうなるでしょうね」
#ユリウス
確信がある、と?」
シャルロット
「単刀直入に行きましょう、ユリウス陛下」 真剣な表情で
#ユリウス
ああ、何かな」 少しも動じる事なく、シャルロットをまっすぐ見据える。
ヤンファ
「………」 早速きたか
シャルロット
「レーゼルドーン大陸の進出に先駆けて、私たち4人は英雄視され期待を受ける星なのだと、認識を改めろということではないですか?」
#ユリウス
「何故、そう思う?」
シャルロット
「礼を言うなら会議の場に我々全員を控えさせる必要は無かったと存じますが?」 あの進出するという宣言を聞かせたかったんじゃないのか? と
#ユリウス
「……ふふ、何度も言うが流石はマグダレーナ殿下の妹御だ。確かに、君たちをあの場へ招いたのはそのような理由もあった」
シャルロット
「ついでに言えば、ご自身の目で確かめたかったのでしょう。私や、皆を」 ちら、と仲間である3人に視線を向けて
#ユリウス
「その通りだ」
#ユリウス
「自覚のあるなしに関わらず、君たちは《呪音事変》までの間に、この国で比肩する者が殆ど居ない程の実力を備えるまでになった」
#ユリウス
「君たち4人が、私の期待に応えてくれる程の者たちであるかどうかを、あの場で見極めたかった」
ヤンファ
「……勿体なきお言葉」 とだけ返しておこう
ソルティア
「……陛下のご期待、ですか?」
#ユリウス
「ああ、そうだ」
エリカ
「……」 期待。
#ユリウス
「本来対立する立場にある人々が結束するには、“象徴”が必要となる」
#ユリウス
「かつて《大破局》の際、“救世の聖女”アレクサンドリア・クラウゼがそうであったように、ね」
#ユリウス
「君たちは、ダーレスブルグの人間だろうから、私たち程かの聖女の逸話には馴染みがないかも知れないが……」
シャルロット
「そしてこの《呪音事変》で名を上げた冒険者4人。特にその中の人間が実は姫などとなれば、掲げるシンボルとしては良さそうな素材ですね、ユリウス陛下?」 若干笑みを洩らしながら
#ユリウス
「ああ。そして他の3名が、すべて国の中心を担う者ばかりではないという事も重要だ」
ソルティア
「……一介の冒険者には、少々荷の重い話かと」 少し眉を顰めて。
ヤンファ
「………」 やれやれ、上手く使われてんねえ
エリカ
「……それは、陛下ご自身じゃあ駄目なんでしょうか」
#ユリウス
「無論、私も帝国側からの象徴として全力を尽くさせてもらうつもりだ」
#ユリウス
「だが、帝国と公国、両国から生じた象徴があってこそ、連盟の結束は固まるというものだ」 故に私だけではダメだ、と。
シャルロット
「とはいえ、民が惹かれるのはただ目上の人間ではなく、身近な英雄なんですよ、エリカさん」
シャルロット
「それに、ユリウス陛下が最前線というのも、少々無理のある運びですしね」 決まっている予定を語るようにユリウスへ語りかける
#ユリウス
「……ふふ、可能であればそうしたいところだが、私には私に期待されている責務というものもある」 その通りだ、と肯定するように言って。
ソルティア
「……これは何とも」 軽く頭を掻いて。
エリカ
「……」 結局、いいように利用したいってことじゃない。
#ユリウス
「とはいっても、私から君たちに何かを強制するような事はない」
#ユリウス
「あくまで、君たちは公国の人間で、私は帝国の人間だから、ね。命令を下せる立場にはないはずだ」
ソルティア
「えぇ、そうなりますね。最も、皇帝陛下のお心遣いを無碍にするのも憚られますが……」 うーん、と腕を組んで。
シャルロット
「まあ、そのうちお姉さまから話が来る気もしますけれど」 どうにも笑みが我慢できないような顔で
#ユリウス
「ああ彼女ならば、私と同じような事を考えていると思うよ」 目的の仔細は違えど。
ヤンファ
「………」 事の運びをじっと眺めるままだ
#ユリウス
「……さて、シャルロット殿下に見事に心を見透かされてしまった事だし、私から言いたかった事は以上だ」
シャルロット
「いえいえ。あそこまで鮮やかに“進出”へ運ばれては、わからない物も判ってしまうと言うものです」
#ユリウス
「……ふふ、まだ確定した訳ではないが」
シャルロット
「私はユリウス陛下の手腕が確かなものだと、確信しましたので」 それで決まりだろう、と
#ユリウス
「ありがとう」 言いつつ立ち上がって。
#ユリウス
「この後、少しマグダレーナ殿下とも個人的に話をしたくてね。申し訳ないが、私は一足先に失礼させてもらおう」
ソルティア
「左様ですか……では、こちらも失礼させていただきます。本日はお招きいただき、どうもありがとうございました」 立ち上がって礼をしよう。
#ユリウス
「いや、こちらこそ、足労を掛けて済まなかった」
#ユリウス
「それでは、後は頼む、ベアトリス」 そう言って部屋を出て行こう。
#ベアトリス
「はい、陛下」
ヤンファ
ユリウスが出ていこうとしたところに一礼した。
エリカ
「……」 ぺこ、と。続いて頭下げた。
シャルロット
「それでは」 立ち上がって、ユリウスを見送る
#ベアトリス
「……さて、立て続けで申し訳ないのですが、もう少し私の話にも付き合っていただけるでしょうか?」
エリカ
「……あ、は、はい?」
シャルロット
「……?」 おや、と。首を傾げて
ソルティア
「ん……ベアトリスさんも何か?」 とそちらへ顔を向けて。
ヤンファ
「……ン」 まあこの宰相は喋ったことあるしいいか  「そっちも何かあんのか」
#ベアトリス
「ええ、少し」
シャルロット
「ユリウス陛下の掲げた話に関しては、私は肯定的に捉えていますが……」 きっと違う話なんだろうな、とおもいつつフォローを入れる
#ベアトリス
「……そうですね。お話したい事はいくつかあるのですが」
#ベアトリス
「まずは、謝罪から」
#ベアトリス
「帝国宰相の身でありながら、お二人の身分を知らずに敬称を用いずに名をお呼びしていた無礼をどうかお許し下さい」 シャルロットとヤンファに深々と頭を下げる。
#ベアトリス
注意深く見ていれば、髪の毛が揺れた隙間からその額にひとつ瘤のような小さな角を発見出来る。
ヤンファ
「……はァ?」 思わず抜けた声
ソルティア
「ヤンファさん、変な声出てますよ」
#ベアトリス
エリカとソルティアは、《呪音事変》の時に確認したであろう。
シャルロット
「へっ……? い、いやいや! そんなまた……そのぐらいの事で目くじらを立てるなら、ヘリオドールの娘などやっておりませんから!」
ヤンファ
「全くだわ。一々そんなこと気にしてられねえって」
ヤンファ
しっかりその角を視認しつつ、会話を続ける
エリカ
「……」 角に気づき、そういえばそうだった……と。あの時は状況が状況で、気にする余裕もなかったけど。
#ベアトリス
「ええ、お二人であれば私を咎めるような事はなさらないと思っていましたが」 くすくすと口に手を当てて。
ソルティア
「まぁ、それでも公人として一言言っておかないといけないんでしょうねぇ。政治がらみの話は難しいです」 お前が言うか
ヤンファ
「こうやって喋ってる以上は私的なモンだと思うがなァ」
ソルティア
「謝罪をした、と言う事実が重要なんでしょうねぇ」 とかヤンファに言いつつ。
#ベアトリス
「それと、ソルティアとエリカにはあの時に見せる事になってしまいましたし、お二人にもこの機会にお教えさせていただいておきましょう」
#ベアトリス
「貴方がたには、私も隠し事はしたくありません」
エリカ
「あ……、は、はい」
ヤンファ
「っつーと、“ソレ”か」 顎で頭の方を指し
#ベアトリス
「……ええ」
ソルティア
「顎で指さないでくださいよ」
ヤンファ
「別にいいじゃねえか」
ソルティア
「気にするんですよ、僕にとっては恩人なんですから止めてあげてください」
ヤンファ
「ン、ソイツは悪かったなァ」 そこまで気にするとは
#ベアトリス
「私は、始祖神ライフォスの使徒ですが、同時に忌み子でもあります」 改めて、前髪を掻き分けてその角を君たちに見せる。
#ベアトリス
「ご存知かも知れませんが、ナイトメアという種族は不老とされ、身体が一通り成長した後は、成長も老いもしません。……ですから、私はユリウス陛下よりも長く、少なくとも倍以上は生きています」
エリカ
「そう、だったんですか……」
シャルロット
「……そうですか」 忌避するわけじゃないんだけど、なんて声をかけるべきか困ってしまった
#ベアトリス
「その経験から、陛下を補佐させていただいているのです。……ふふ、実際はそう私が進言する必要のある事柄など無いのですが」
ソルティア
「種族柄ですからね……確かに、最初出会った時からずっとお美しいままですが」
ソルティア
「………」 しかし、アカシャの事を気にかけてくれてたのは一度関わりあったから、以上の思いがありそうだな。
ヤンファ
「始祖神の使徒でありつつ、皮肉な道を辿ってんなァ」 あえて口にした
#ベアトリス
「いえ、このような身だからこそ体現出来る信仰というものもあります」
ヤンファ
「ほォ?」 ベアトリスの言葉に興味を示す
#ベアトリス
「始祖神が私に力をお貸しになってくださる事、それが、始祖神がナイトメアを忌避してはいないという証明になると信じていますから」
ヤンファ
「……成程なァ。結構前向きじゃァねえか」 悪いことじゃない
#ベアトリス
「後ろ向きでは、政治には携われませんよ」 苦笑して。
ヤンファ
「ソイツは失敬」 カッカッカと笑い
エリカ
「……」 何と言っていいものか。
#ベアトリス
「ああ、すみません。少し、困らせてしまいましたね。……私の種族については、あまり意味はありませんし、そうお気になさらぬようにしていただけると」
エリカ
「……」 どうも、複雑だ。種族でひとくくりにしても、仕方がないのだろうけど。あの子と同じというのが。
#ベアトリス
「それと、先の会談での陛下のご提案と、先程の貴方がたとのお話についてですが……」
#ベアトリス
「あまり快くは思えなかった部分もあることと思います」
シャルロット
「え、そうですか?」
#ベアトリス
「……ふふ、シャルロット殿下は本当に純粋かつ大らかでいらっしゃいますね」
ヤンファ
「ンー、そうだなァ」
ソルティア
「……まぁ、見方を変えれば上手く開放派の思惑に乗せられた、と言うのに近い点はありましたからねぇ」
#ベアトリス
「そうですね。そういう見方もあるでしょう」
#ベアトリス
「ですが、陛下にも相応の理由と覚悟がある事を、貴方がたには知っておいていただきたいのです」
シャルロット
「おおらか、というかユリウス陛下の心は、蛮族の討滅にあるのでしょう? 人同士の利益やいざこざなんて、あの方にとっては邪魔なだけなのではないですか」
#ベアトリス
「ええ陛下には、そうお思いになるだけの理由がありますから」
シャルロット
「ルキスラが富を肥やしたところで、我々ダーレスブルグに力なくば求めるものは得られない。そういうことではないんでしょうか」 とじられた扉を眺めて
エリカ
「……」 ああ、と。シャルロットの言葉に納得し。
ヤンファ
「…………」 まあその辺には敢えて何も言わないでおこう
#ベアトリス
「……成る程、やはり聡明でいらっしゃる」
ソルティア
「あの条件では断れませんからね。皇帝陛下がレーゼルドーンへの進出を目論見ていたのなら、今回の事件は好都合だった……邪推ではありますがね」
#ベアトリス
「ええ、それを卑劣だと評する輩も居る事でしょう」
#ベアトリス
「陛下は、何よりも人族同士での対立を嫌悪しておいでです」
シャルロット
「レーゼルドーンの利もまた。戦うものにこそ与えられるべきだといういうなれば戦う者たちの士気にかかわることです。全てわかった上で陛下はあの指針を打ち出された」
シャルロット
「そこに至る理由については流石に判りませんが……確かな信念なのでしょうね」
#ベアトリス
「勿論、そのような政治的な理由を含めてのご提案ですがその根底には、もっと純粋な思いがあるのですよ」
シャルロット
「と、いいますと?」
#ベアトリス
「陛下は、取るに足らぬ政争や蛮族の脅威によって、人々の生活が不安に晒される事を何よりも忌避していらっしゃるのです」
#ベアトリス
「その理由は、陛下のご家族にあります」
エリカ
「……家族?」
シャルロット
「ご家族……?」
ソルティア
「家族……ですか」
#ベアトリス
「陛下が即位なされたのは、13年前になります」
#ベアトリス
「それ以前ルキスラ帝国の状況は、それはそれは酷いものであったそうです」
#ベアトリス
「貴族たちの腐敗は進み、大国という立場に甘んじ、その蜜を啜り、民からは暴利を貪るのみ」
ヤンファ
「……13年前っつーと、確かに今よりもっと悪い時代だったなァ」
ソルティア
「………」 当時は帝国にいたのかもしれないな。
#ベアトリス
「その中心に立っていたのが、ユリウス陛下のお父上前皇帝陛下とその兄君であったのです」
#ベアトリス
「誤解を恐れずに言うならば、ユリウス陛下に比べて、しばらくの間歴代の皇帝たちは無知蒙昧な人物ばかりであったそうです」
ヤンファ
「だろうなァ。そうじゃなきゃ今あんなに話題に上る人間にならねえだろ」
#ベアトリス
「その中に、ユリウス陛下は非凡な才を持って、クラウゼ家に生まれ、幼少の頃からあらゆる意味で兄君を圧倒していらしたそうです」
#ベアトリス
「……そして、ユリウス陛下の弟君も同様に、非常に優秀な人物であったと聞きます」
ソルティア
「……弟君が?」
ヤンファ
「弟、か」 そんな話は耳にしたことないな
#ベアトリス
「ええ、世間には一切知られていませんが、陛下から直接お聞きしました」
#ベアトリス
「マリウス・クラウゼ殿下。ユリウス陛下が唯一信頼を置いていた、血の繋がった弟君だったそうです」
エリカ
「おとう、と……」
ソルティア
「………」 弟的な話となると他人事じゃないな。(このシスコン
#ベアトリス
「ですが、陛下のお父上ダリウス・クラウゼ前陛下はともかく、兄君コルネリウス殿下は、ユリウス陛下とマリウス殿下を快く思ってはいませんでした」
ソルティア
「……でしょうね。当時の帝国がそんな惨状であれば、優秀な弟達が気に入られるはずもありません」
ヤンファ
「……あんまり明るい話じゃァねえみたいだな」 
#ベアトリス
「コルネリウス殿下は、周囲の議員たちと結託し、何度もユリウス陛下とマリウス殿下の暗殺を画策しました」
#ベアトリス
「そんな中、ユリウス陛下はひとつの決意をなされました」
#ベアトリス
「自身が帝国の中心に立ち、腐敗した政治を立て直し、民を導く指導者になり、ルキスラ帝国の権威を取り戻す、と」
#ベアトリス
「ですが、ルキスラ帝国の皇位は、皇位継承権の順位に素直に従って承継されるものユリウス陛下にとって、兄君の存在が最大の枷となりました」
#ベアトリス
「皇帝の直接の指名があれば話は別ですが……ダリウス前陛下には、とても期待できなかったのでしょう。ユリウス陛下は、一人で、多くの帝国貴族たちに立ち向かう事を決められました」
ソルティア
「通常なら、長兄が第一位王位継承者……ですからね」
ヤンファ
「勇猛果敢。結構なこったなァ」
#ベアトリス
「そして、その政争にマリウス様を巻き込みたくはない、その理由から、陛下はマリウス殿下を他国へ“留学”させることにしました」
シャルロット
「……」
#ベアトリス
「そしてユリウス陛下は、まだ10歳にも満たなかったマリウス様を説得し、彼を遠きセフィリアの地へと送り出しました」
エリカ
「セフィリア……」 随分遠くに、と思ったが、いざこざから引き離すというなら、当たり前か。
ヤンファ
「……待て、それは何年前だ」
#ベアトリス
14年前《虚音事変》から1年程後になるでしょうか」
エリカ
「《虚音》……」 またそれか、と。
シャルロット
「……?」 ヤンファは何に反応しているのだろう
ヤンファ
「そうか……あれから一年後、か」 巻き込まれてはいないが、中々危険な場所に放り込んだな
ソルティア
「……陛下が皇帝になる、一年前ですね」
#ベアトリス
そして、その海路の途中、マリウス様の乗った船は難破しました」
エリカ
「……え?」
ソルティア
「な……」
ヤンファ
「唯一信頼している弟“だった”、つってたもんなァ」
#ベアトリス
「……」 こくりと頷いて。 「そうして、陛下は唯一の支えであった弟君も失う事になってしまわれました」
#ベアトリス
「それでも、陛下はそれを受けてより一層ご自身の決意を固められたと聞きます」
ソルティア
「……強いお方ですね」 自分もアカシャが亡くなったら、と考えると。
#ベアトリス
「その後は、皆さんも聞いたことがあるかも知れません。ダリウス前陛下は病に伏され、兄コルネリウス殿下は不慮の事故でその御命を落とされることになってしまいました」
#ベアトリス
様々な意味で壊れてしまった家族、それが、ユリウス陛下の戦う理由であり、彼の持つ“正義”の先にあるものなのです」
ヤンファ
「成程なァ」 不慮の事故とかその辺には触れないでおくか。この人には
エリカ
「……凄い人、ですね」
#ベアトリス
「勿論、陛下からはこのお話は貴方がたにしても良いと許可を頂いていますから、ご安心ください」
ソルティア
「……それが、今回の提案の裏にある想い、と言う事ですか」
#ベアトリス
「ええ、それを貴方がたには知っておいて欲しかった」
#ベアトリス
「それは、陛下にとっても同じだと思います」
シャルロット
「少々、強引なところが見え隠れするあたり……ユリウス陛下の歳相応な一面が見えるような気がしますね」 あの生き方を見て、そんなふうに思う
#ベアトリス
「そうですね。ただ、その勢いも今の帝国には必要なのだと思っていますが」
ソルティア
「……全く、皇帝陛下もベアトリスさんも、食えない人ですねぇ」 腕を組んで苦笑した。
#ベアトリス
「ふふ、政治家はそうでなければやっていけませんから」
ヤンファ
「で、何。惚れてんの?」 偉い肩持つなーとか思ってちょっとニヤけてみたり
エリカ
」 あ、つい拳骨が。
ヤンファ
「ゴフッ……!」
#ベアトリス
いえ、そのような畏れ多いことはとても」 ふっと笑って
ソルティア
「………」 生暖かい目でヤンファを見た。いや、メアの恋愛ってのは大変なんだぞ的な意味で。
#ベアトリス
「ただそうですね。一政治家としてではなく、一人の人間として、彼の語る思想に好感を持っているのは確かです」
ヤンファ
「そ、うか……それは残念……ごほっ」
シャルロット
「その、補佐する立場が中々……支えてあげる側も、志高くというところでしょうか」 苦笑
#ベアトリス
「……ええ、常に私に務まるかという不安と戦っていますよ」
ソルティア
「こう語られると、はいそうですかと言ってお家に帰る気にはなれませんからね……」 はは、と笑って。
#ベアトリス
「ふふ、すみません。ですが、本当に貴方がたに聞いていただきたかったという純粋な気持ちがあることは、ご理解いただけると」
ソルティア
「打算ばかりで無い事は分かっていますよ。そうでなければ、ああもアカシャが懐きはしませんからね」 アカシャの過去を思って少し顔を伏せて。
#ベアトリス
「ありがとうございます」
ヤンファ
「……ま、何だ」 こほんと咳払いして仕切り直し  「さっきの話をしてる時のアンタはちょっと嬉しそうだったんでなァ」
シャルロット
「邪推が過ぎますよ、ヤンファさん。……そういうのは判っても口に出しては」
ヤンファ
「そんな陛下の元で力を発揮出来てるのが誇りなんじゃァねえか?」
#ベアトリス
「さて……それに関してはコメントは控えさせていただきましょう」 冗談らしく笑って
ヤンファ
「いやァ、偶には茶々入れても良いじゃァねえか」
シャルロット
「ヤンファさん。訂正を要求します。たまにでは在りません」
ヤンファ
「中々鋭い事言うなァ」 確かに偶にじゃない
エリカ
「……正直言うと、その」
#ベアトリス
「……」 エリカの言葉に集中しよう。
エリカ
「あんまり聞きたくは、なかったです」 今の話。
#ベアトリス
「……気を重たくさせてしまったのは、事実でしょうからね」
エリカ
「さっきも言いましたけど、陛下は凄い人だと思います。さっきの話で、同情とか、共感とか、そういう気持ちも湧きました」
エリカ
「正しいことしてる人だなって、思います……でも、あんまり好きになれると、思えないんです」
エリカ
「個人的な感情っていうか……、くだらない意地みたいなものなんですけど。だから……、何て言ったらいいのかな」
#ベアトリス
そうですね。それは、陛下もご自身で思っていらっしゃることでしょう」
ソルティア
「………」 静かにエリカの話を聞きつつ。
エリカ
「……正直、自分の感情の方が間違ってるんだろうなって思うんですけど、ね。……さっきみたいな話し聞いてると、余計に」
#ベアトリス
「いえ、そんな事はないでしょう」
#ベアトリス
「政治的に“正しい”事と、道徳的に“正しい”事。これは必ずしも一致しません」
シャルロット
「……」 今回のエリカが言いたいことは、判らないでもないだけに黙っている
#ベアトリス
「ただ、そういう場所に陛下が立っていらっしゃる。その事だけが伝われば、貴女がどのような感情を抱こうとも、私の伝えたい事は伝わっていますから」
エリカ
「……そう、ですか」
#ベアトリス
「だから、貴女はその感情を大切にすれば良いと、私は思います」
エリカ
「……はい。なんか、ごめんなさい。結局、ただの愚痴でした」
#ベアトリス
「謝らないでください。むしろ、嬉しいくらいなのですから。貴女がそのような事を話してくれるというのは、多少なりとも信用を置いてもらえているということでしょうからね」
ソルティア
「……理屈では語れない事もあるよ、エリカちゃん」 少し悲しそうに顔を伏せて。
ヤンファ
「ま、気持ちは解らんでもねえしな」
#ベアトリス
「……さて、長々と拘束してしまいましたが、そろそろユリウス陛下たちのお話も終わる頃でしょう」
#ベアトリス
「話を聞いていただいて、ありがとうございました」
エリカ
「……あ、いえ、そんな」
ソルティア
「いえ……また神殿に顔を出してやってください。アカシャも喜びます」
#ベアトリス
「ええ、そうさせていただきましょう」
ヤンファ
「そっちこそ、長々と話してもらったしな。貴重な話を聞かせてもらったわ」
シャルロット
「では、お姉様のところへ我々も向かいましょうか」 確かまだ話があったはずだ
シャルロット
「また、こんどは違う話を聞かせてください。色んな話をしましょう」 ということで挨拶をして出て行くのだ

GM
君たちが話を終えて部屋から出ると、シャルロットの通信機がなり、フェリシアから連絡が入る。
GM
ユリウス陛下とマグダレーナ殿下のお話が終わったから、今からマグダレーナ殿下の控え室に来て欲しい、という内容だった。
GM
そうして、君たちはユリウスたちの控え室から出た足でそのまま、反対側に位置するマグダレーナの控え室へと向かい、現在、その扉の前に居る。
GM
ノックすると、「入ってくれ」というマグダレーナの声が返って来る。
ソルティア
いつものように三番手で入って行こう。
エリカ
控えめに四番手です。
GM
中の部屋は、反対側の部屋とは違って質素なものだった。
GM
とても王侯貴族が待機する部屋とは思えないが、これもまた、マグダレーナの希望であったのだろう。
ヤンファ
「入るぜェ、と」
エリカ
「失礼、します」
ソルティア
「参りました、マグダレーナ様」
#マグダレーナ
「よく来てくれた」 ソファとテーブルの配置だけは、反対側の部屋と同じで、ユリウスとベアトリスと似たような感じで、マグダレーナとフェリシアが座っている。
シャルロット
「ユリウス陛下の私室も、実はこんな感じではないのかと邪推する私です。……戻りました、お姉様」
ソルティア
「質実剛健、と言うことですかね?」
ヤンファ
「ま、無駄は好まない人間だろうしなァ」
エリカ
「……」 確かに余計なモノは置かなさそうだな、と思いつつ。
#マグダレーナ
「そういえば、彼の部屋の話は聞いたことがないな……。次に機会があれば聞いてみようか。恐らく、シャルロットの予想通りだと思うけれど」
シャルロット
「陛下の場合は、もう少し……意味深に装飾されていそうですが」 簡素とは言わせない、とばかりの流れ
#フェリシア
「……」 ヤンファに視線で大丈夫だった? と聞きつつ。
ヤンファ
「ン」 むしろ全然オッケーだったぞ、って感じで手を振る
#フェリシア
「……そう」 ほっと胸を撫で下ろして。
#マグダレーナ
「ともあれ、掛けてくれ」
ソルティア
「はい、失礼しますね」 ソファーに腰掛けよう。エリカちゃんはさすがにもう固まってないか?
エリカ
はいと返事しつつ腰掛け。ユリウス相手ほど固まってはない。今は。
ヤンファ
「で、二つ目の話だったなァ?」 椅子にどかっと座りつつ
ヤンファ
先程とは全く持って対照的である
#マグダレーナ
「ああ、そうだ」
#マグダレーナ
「では、単刀直入に話すとしよう」
#マグダレーナ
「まず間違いなく、ユリウス陛下のなされた提唱は公国内でも支持されるだろう」
シャルロット
……」 姉妹だなぁ。なんて思ってしまった >単刀直入にいきましょう
#マグダレーナ
「……ん?」 シャルロットの視線には軽く首を傾げつつ
ヤンファ
「ま、そりゃ甘い蜜だしなァ」
エリカ
「……」 そうだろうな、と思う。いつかのように公国内で演説でもしてしまえば余計にころりといくんじゃないか。その必要もないかもしれないが。
#マグダレーナ
「私自身、非常に魅力的な誘いだと思っているし、な」 当然、何か裏を読んでいない訳ではないが
シャルロット
「いえ、魅力は魅力のままでなければ、禍根が残ってしまいますからね」
#マグダレーナ
「それに際して、両国の軍を多少なりとも再編成する事になるだろう」
#マグダレーナ
そこで、第四軍に新たな部隊を設立しようと、私は思っている」
ヤンファ
へェ?」
シャルロット
「第四軍に、部隊……ですか?」
ソルティア
「新たな部隊、ですか」
エリカ
「……?」 新しい、部隊。そんな話が私達と関係あるんだろうか。
ヤンファ
」 その時ヤンファに戦慄走る。この話をしたということは……
#マグダレーナ
「名をダーレスブルグ第四軍将軍直属特務部隊、別名《アストラム》」
#マグダレーナ
「そして君たち4人には、その部隊に入隊して欲しい」
ソルティア
「……マグダレーナ様直轄の部隊……」
エリカ
「……え?」
ソルティア
「……軍属に戻れ、と言う事ですか?」 予想はしてたので動揺はしないが。
#マグダレーナ
「ああ」
エリカ
「入隊、って……私たち……が、ですか?」 というか、私が?という顔。
#マグダレーナ
「そうだ」 躊躇う事なく肯定して
ヤンファ
「ンなこったろうと思ったが……少し違うだろォ?」
ヤンファ
「入隊して欲しいっつーか、むしろ引率してくれってコトじゃァねえのか」
#マグダレーナ
いいや、隊員は君たち4人にアラン、そして補佐にフェリシアを置くだけだ」
シャルロット
「少な……っ」 思わず声に出た。
エリカ
「どうして、」 私なんかが、と。言おうとして。 「……あ」 先ほどの、ユリウスとの話を思い出して。
#マグダレーナ
「君たちだからこそ、だ」
ヤンファ
「あと数人は就くと思ってたが……成程なァ。小回りの利く少数精鋭が必要なワケだ」
#マグダレーナ
「ユリウス陛下の思いに乗るという考えもあれば、勿論別の理由もある」
シャルロット
「別の理由、ですか?」
#マグダレーナ
「単刀直入に言ってしまえば、ヤンファの言う通り、信頼のおける少数の直属の部下が欲しい」
ソルティア
「さすがにそれは、即答はしかねますね……」
シャルロット
「軍属だと拘束されてしまいますからね……」
ソルティア
「僕自身、目的の為に一度軍を退いた身ですから。まだ目的を果たしていないのに、再度軍に戻ると言うのは……」 首を横に振り。
ヤンファ
「いや」 シャルやソルティアには横に首を振り 「おそらく、軍人って硬いモンとしてとらえなくていいハズだ」
#マグダレーナ
「軍属ではあるが、私の一存で全てを決められる部隊。いわば専属の冒険者のようなものだと思ってくれて問題ないだろう」
エリカ
「……」 要するに、英雄のパーティをそのまま直属の部隊として取り込む、ということか。
シャルロット
「しかしながら……受ける、受けないの自由意志が無くなる拘束力はあると思いますよ?」
ソルティア
「……硬いかどうかの問題ではありませんから。軍自体の話ではないんです」
#マグダレーナ
「そうだね。その部隊に所属するということは、私の命令に従って、様々な任務をこなしてもらうことになる」
#マグダレーナ
ソルティア。君の目的というのは、“死神”の事で相違ないかな」
ソルティア
「えぇ。彼女を……市井へと戻し、普通の生活をさせる。それが、僕の目的です。……マグダレーナ様に言うべき事ではないかもしれませんが」 一応危険人物だからな、ルナは。
シャルロット
「……」 えへへぇ。その危険人物とティーです
#マグダレーナ
「その彼女を追う鍵は、果たして冒険者を続けているだけで掴めるだろうか」
#マグダレーナ
「彼女と出会ったのは、今回の一連の事件に関わったからこそ、だろう」
ソルティア
「分かりません。なので、即答は出来ない、と言いました」
ソルティア
「これからの事に彼女がどう関わってくるのか、分かりませんから。冒険者として彼女を追うのが正解なのか、マグダレーナ様の部隊に就くのが正解なのか……」
#マグダレーナ
「無論、私とてすぐに答えろ、とは言わない」
#マグダレーナ
「ただ、レーゼルドーン大陸攻略に参加してもらいながら、君たちには別途依頼する任務も出てくるだろう」
#マグダレーナ
「《呪音事変》に隠された真実を追う為の、ね」
ソルティア
「……それは、マグダレーナ様がこの事件……《呪音事変》を追って行く、と言う意思表示と見て宜しいんですね?」
#マグダレーナ
「ああ、そう思ってくれて構わない。《呪音事変》だけでは、無くなるかも知れないが」
ヤンファ
「そもそも、どれだけ多くの事柄が絡んでるのかも解らねえしなァ」
ソルティア
「……分かりました。家族にも相談をしないといけないので、即答できないのは変わりませんが……前向きに考えようと思います」
シャルロット
ルナティアの処遇について、説得できたり引き抜けたら不問とするとかそういう言葉が出ないあたりやさしいな
#マグダレーナ
「……ありがとう」
#マグダレーナ
「待遇についてだがフェリシア」
#フェリシア
「はい」
エリカ
「……」 報酬は、きっと間違いなく申し分ないだろう。軍属扱いな以上、冒険者より安定性もある。
#フェリシア
「報酬は、今の冒険者市場よりも高い報酬を提示していく予定です。その分、任務も難易度の高いものとなりますが」
#フェリシア
「そして、今まで以上に皆さんに密着した状態でのサポートが可能になります」 やったぜマジックアイテム買いやすいぜ。何が買いやすいかは未定です。
エリカ
「……」 それだけで二つ返事できるレベルだ。
ソルティア
「……部隊に配属される際、僕の報酬は最低限で構いません。家族が暮らせるだけ、部隊としての活動が維持出来るだけの保証があれば」
ソルティア
「その代わり……ルナ、“死神”を捕まえる事が出来た時、彼女が市井に帰れるような努力をしていただきたい……確約は求めません」
#マグダレーナ
……そればかりは、私の一存で決めるのは難しいが、最大限の努力をする事は約束しよう」
#マグダレーナ
「シャルロットとも、関わりがあったようだし、ね」
ソルティア
「……約束だけで構いません。口約束だからと、それを破るようなお方とは思っていませんから」 小さく微笑んで。
#マグダレーナ
「そう信じて貰えるのならば嬉しいよ」
ソルティア
「それと……僕に何かあった時、義妹の事を。もう、一人で生きていけない年ではありませんが……」
#フェリシア
「その点については前述の条件に加え、皆さん自身及びご家族の生活の保証を約束させていただきます」
エリカ
「……」 ぴくり。 「家族の、生活の保証……?」
#フェリシア
「……はい。少々、条件として引き合いに出すには卑怯だと思われるかも知れませんが」
ヤンファ
「………」 こういう意味じゃ手口が汚いのは同じという視点もあるが、まあそれだけ必要とされてるのだろう
#フェリシア
「ご家族の方には、レーゼルドーン大陸のカシュカーンなどに来ていただいて、なるべく近い場所で暮らしていただく事も出来ますし、公都で暮らすままで、軍の方で面倒を見させていただくという形も可能です」
エリカ
「……私の、妹の状態は……、解ってるんですよね」 その面倒を見る、というのはつまりそういうことでいいんだろうか。
#フェリシア
「はい。〈ヴァニタス〉という貴重な薬草を原料とする霊薬が必要なことも」
エリカ
「……優先的に確保してくれたりもするんですか?」 薬を。
#フェリシア
「ええ、そうなります」
エリカ
」 何も断る理由がない。
ソルティア
「……ルナと義妹の事、その二つさえあれば、僕はそれで構いません」 頭を下げて。
#マグダレーナ
「すまない、結局即答してもらう形になってしまったな。だが、感謝する」
ヤンファ
「………」 二人は大丈夫そうだな。後は…  「特に俺は断る理由もねえ」
ヤンファ
「シャルが断るってんなら話は別だが、まァそんなことも無いだろ」
シャルロット
「私は勿論、問題ありませんよ」
#マグダレーナ
「ああ、シャルロットには私の隣に立って戦ってもらいたいという思いもある。それを、シャルロットが断るはずがない、とも」
#マグダレーナ
「それに合わせて、ヤンファ、今の君ならば彼女に付き合ってくれるだろうと信じているからね」
ヤンファ
「だろォな。最初から組み込まれてると思ったわ」
シャルロット
「あはは……あの会談が終わった時点でもう判っていたことでしたしね」
ヤンファ
「まァ、流石に直属とは思わなかったけどなァ」
ソルティア
「正式な回答は、義妹と相談させてからにしてもらいます。……嫌だ、とは言わないとは思いますがね」
#マグダレーナ
「ああ、良い返事を期待しているよ」
ソルティア
「……少しくらいは我侭を言って欲しい、と言うのが本音ではありますが」 顔を少し緩めて、空気を和らげるように笑う。
#マグダレーナ
「ふふ、その気持ちは私も解るよ」
シャルロット
「私は今の時点で十分我侭だと思いますけれど……」
ソルティア
「まだ足りないそうですよ、シャルロットさん」
#マグダレーナ
「もっと我侭になってくれても良いということさ」
シャルロット
「これ以上は想像ができないです……」
ヤンファ
「じゃァ報酬の一端としてべっぴんさんの手配をだなァ…」 云々かんぬん
#マグダレーナ
「却下していいか?」
ソルティア
「ヤンファさんは可愛げが無いので駄目ですね」
シャルロット
「あ、エリカさんが足を踏むときってこういうときなんですね」
ヤンファ
「Oh...」
#マグダレーナ
「私は今フェリシアがヤンファに拳骨を振り下ろすタイミングが分かった気分だ」 やったね。
シャルロット
「奇遇ですね……今度ためしてみましょう」
ソルティア
「……姉妹ってこうも似るものなんですかねぇ……」 血のつながりを感じて義兄なソルとしてはちょっと悲しいぞう
#フェリシア
「変則的な部隊とはいえ、軍属になるとすれば、今までとは多少心構え等も変わってくる部分もあるでしょう」
#フェリシア
「それらについては、私がつきっきりで、実際の任務開始までの期間、訓練させていただきましょう」
エリカ
「……」 この条件で断る方がどうかしてる。別に、危険があるのは冒険者だって同じだし。
ソルティア
「僕は元々軍属ですから慣れたものですけど……エリカちゃんはちょっと大変かもねぇ」
ヤンファ
「エリカちゃんは頭で家計簿つけんのに必死だからな今」
エリカ
「……」 足踏んだ。>ヤンファ
#フェリシア
「……」 拳骨した。>ヤンファ
ヤンファ
「姫さんからパンチ喰らうとかグァアア!!」 ダブルアタック喰らった
#マグダレーナ
「いや……流石に私は遠慮しておくよ」
シャルロット
「そうですか……」
ヤンファ
「………」 流石に同時に跳んでくるとは思ってなかった。足ぷらぷらさせつつ
エリカ
」 すぅ。はぁ。別に、怖気づくことなんて、なにもない。 「……解りました。この話、受けます」
#マグダレーナ
ああ、ありがとう」 気を取り直して、エリカに。
シャルロット
「……」 頑張って皆を護らなければ。気持ちを新たに
ソルティア
「大丈夫だよ、エリカちゃん。いつものように、僕が前にいる……んだろうから」 まだ本決定ではありませんでした。
エリカ
「……はい。ありがとうございます」
ソルティア
「うん。何か困ったら、いつでも言ってくれていいんだよ? エリカちゃんだって僕の妹みたいなものなんだから、我侭言ったって構わないんだから」
エリカ
「はい、大丈夫です。何かあれば、言いますから」
ソルティア
「そうそう、それでいいんだよ」 うんうん、と腕を組んで頷く。
#マグダレーナ
「正式な入隊と任務の開始までには、まだ多くの時間を要するだろう」
#マグダレーナ
「だが、返事は出来るだけ早い段階で聞かせてくれると、こちらも対応が容易い」 頼むぞ、と。
ソルティア
「えぇ、帰ったらすぐに話をしますよ。明日には答えられるかと思います」
#マグダレーナ
「先程フェリシアが言った通り、多くの面でのサポートも全力でさせてもらう」
シャルロット
「ええと、新たな部隊の部隊長であるとかは……フェリシアさん?」
ソルティア
「シャルロットさんじゃないんですか?」
#フェリシア
「……と、そうですね。決定しておいた方が良いですよね」
#マグダレーナ
「ん、そうだな。まだ気が早いと思っていたが……決めておいても良いか」
ヤンファ
「フェリシアは補佐っつってなかったか」
#フェリシア
「ええ、そう。私は補佐で、正式に所属するのとは少し違うのよ」 大体似たようなもんではあるけど
シャルロット
「そうでしたか……」 気鬱に。書類整理で頼れるのはソルとエリカか……
GM
ヤンファがあっさりと外された……
ヤンファ
ワロタ
エリカ
働かせるなら金をくれ
ヤンファ
「援助兼連絡役ってトコかね」
#フェリシア
「場合によっては、あなたたちと前線に立つ事もあるかもね」
#マグダレーナ
「それで、隊長は誰にするんだ?」 なんだかわくわくしている気がするのは気のせいだ。
ヤンファ
「なんでそんなちょっと愉しそうなんだよ」
ソルティア
「何でわくわくしてるんですかマグダレーナ様」
#マグダレーナ
「いや……妹の晴れ舞台を見ている気分というか、な」
エリカ
「隊長……」 このメンツの中で隊長……
シャルロット
「……」 ちらっとソルティアとヤンファを見る
ヤンファ
「……え、何」
ソルティア
「なるほど、よく分かりました」 シャルロットから露骨に目を逸らしつつ。
シャルロット
「え、あの。何で二人とも“知らないし”みたいな顔してるんですか!?」
ソルティア
「えぇ、まぁね、神殿でもたまに慰労の出し物とかがあって、そういうのを見に行くとね……」 シャルロットをわざとほかってマグダレーナ様と話し込むか。
#マグダレーナ
「……うむ、そうだろう」 兄馬鹿&姉馬鹿。
ヤンファ
「いやァ、第四軍を率いてんの姫さんだぜェ?」
ヤンファ
「じゃァその直属の特務部隊を率いるのはその妹ってのもオツだと思うがなァ?」
シャルロット
「あの、あれえ!? ちょっと待ってください、なんですかこの予定調和!」
#フェリシア
「ま、まぁ……出来る限りは私もお手伝いさせていただきますから」
シャルロット
「……え、ぇえー……わ、わたしでいいんですか本当に……?」
エリカ
「良いも悪いもないと思うけど……」
ヤンファ
「ま、それに部隊長つっても別に全責任が押しつけられるってワケじゃァねえだろ」
ヤンファ
「今まで俺らが冒険者としてやってきたようにやれば良いんじゃァねえか?」
ソルティア
「まぁ実際のところ、護衛騎士のヤンファさんや元一兵卒の僕が姫殿下のシャルロットさんを率いるってのは問題なんですよねぇ」
ソルティア
「どっちかって言うと対外的な問題ではあるんですけどね。まぁ心配せずとも責任も書類仕事も押し付けたりはしませんから」
#マグダレーナ
「真面目な話私は、この4人の中では一番君が適任だと思っているよ」
シャルロット
「何故……っ」 しょっきんぐな表情でお姉様を見る
#マグダレーナ
「前に立つ力を有し、仲間を鼓舞し、挫けぬだけの心も持ち、その上で、冷静に物事を見極められる慧眼を持っているからだ」
#マグダレーナ
「姉妹だからという贔屓を抜きにしての、率直な感想だよ」
シャルロット
「そ、そこまで持ち上げられますと、どう反応していいか困ってしまいますが……」
ソルティア
「決めるのは隊長の仕事、進めるのは隊全体の仕事、と言うこったですよ」
#マグダレーナ
「他の3人も、無論私が直属の部隊に誘うだけの才能を持っているが、何事もオールラウンドにこなせるのは、君を置いて他に居るまい」
シャルロット
「……」 お姉様に言われてNOといえない今日この頃
エリカ
「個人的にはソルティアさんの方がいい気がするんですけど……」
#マグダレーナ
「……彼は、どちらかというとフェリシアのような立場が合っていると私は思う」
ヤンファ
「ソルティアは参謀って感じじゃねェ?」
エリカ
「……まあ、確かに」
シャルロット
「最後の仲間まで……っ」 陥落しました
エリカ
「別に仲間だったつもりはないけど……対外的に見たらさっきソルティアさんが言ったとおりだし」
ソルティア
「小隊長くらいならやるんだけど、小隊も何も無いからねぇ」
ソルティア
「戦闘では火力担当ですけどね」 ガンナーに近いフェリシアも火力っちゃ火力だけど。
ヤンファ
「俺も部隊長ってガラじゃァねえしなァ」 諦めろ諦めろ
#マグダレーナ
「まあ、不都合が生じればその都度臨機応変に対応していく事も不可能ではないだろう」
シャルロット
「仕方ありません。……隊長をお受けします……」 気が重いというよりは、肩が重い
ソルティア
「はいこれで決定ですね。おめでとー」 ぱちぱち
#マグダレーナ
「そう気を病まないでくれ。此処3週間よりは、楽になるように配慮するよ」
シャルロット
「それであれば、まあ、良いと思いますが……」
#フェリシア
「それでは、ひとまずはこれで、でしょうか」
シャルロット
「そうですね。……詳細はまた、日を改めて詰めましょう」
ヤンファ
「そういやァ、部屋とか手配されんのか?」
#マグダレーナ
「ん、レーゼルドーンに移った時には、各兵舎に部屋を用意させてもらうが」
#マグダレーナ
それまでは基本的に公都だし、今までの家で過ごせばいんじゃね? って。
ヤンファ
「オーケィ。なら問題ねえ」
ソルティア
「レーゼルドーンに移った後も、たまには公都に戻らせて欲しいですねぇ……」
#フェリシア
「飛空船が気軽にこちらでも利用できれば、それも容易になるのですけどね……」 苦笑して。
ソルティア
「いっそ前線に神殿を作って欲しいくらいですよ」 ははは
シャルロット
「ないこともないのでは……?」
#フェリシア
「流石にそれは危険すぎる気が……」 そこにアカシャを置くのは、という意味で
ソルティア
「ですよねー」
エリカ
「……レーゼルドーン、か……」 遠くなるな、と。カシュカーンに呼んでもいいとは言われたが、多少なりとも危険の近い場には置いておきたくはないし。
#マグダレーナ
「公都との通信は可能だから、連絡を取る事自体は難しくはない」 一応ね。
エリカ
「そうですか……そう、ですね」 連絡は取りやすい。
#フェリシア
「それでは、入隊における訓練や今後のご家族の生活、それ以外の詳細についても、後日連絡させていただきます」
ヤンファ
(訓練……!?) 俺も……?
#フェリシア
「……」 (^^>ヤンファ
ヤンファ
(マジかよ……絶対俺だけハードなの組まされるだろ……)
シャルロット
「その辺の手配も……今後私の仕事、ですか……」
#マグダレーナ
「……あ、いや、大丈夫だぞ……?」 凄い暗い顔してるわシャルちゃん……
ソルティア
「だからその辺は手伝いますって……」 第一話始まる前にオフィシャル2取るし。>しゃるろっと。
エリカ
「……」 シャルが忙しそうにする分には別にいいや。
シャルロット
「ここ最近が初見ナイトメアみたいな生活だったので若干とらうまに……」
ソルティア
「なにそれこわい」
#マグダレーナ
「……初めてナイトメアを見た時の気持ちがどうかしたのか?」
シャルロット
「いえ、ちょっとザイア神の電波にノイズがはいりました。大丈夫です」
#マグダレーナ
「そうか、騎士神も疲れておられるのかな……」
シャルロット
「最近違う神の声がきこえるような……いえ、ちょっと私が疲れてるんだと思います」 遠い目で
#マグダレーナ
ともあれ、その方向で進めていくとしよう」
#マグダレーナ
「疲れているのならば、ゆっくりと休むのだぞ。仕事は、言ってくれればこちらでどうにかするから」
シャルロット
「やれることをやってから無理だということにしましょう。……では、今日はこの辺りで?」
ソルティア
「……カシュカーンまでなら派遣してもらう事も出来るのか……?」 おい悩むな。
ヤンファ
「……大丈夫かコイツら」 違う意味で心配だなオイ
#マグダレーナ
「……それ以外にも、何か問題があれば、適時私やフェリシアに報告をしてくれ。どんな事でも構わないから、な」
ソルティア
「分かりました……とりあえずは明日、ですね」
#マグダレーナ
「ああ、今日は会談の疲れも残っているだろうし、この辺りにしておこう」
エリカ
「……はい。解りました」
ヤンファ
「へいへい」
#フェリシア
「それでは皆さん、長い時間お疲れ様でした。今日の所は、ゆっくりお休みください」
ソルティア
「はい、お疲れ様でした、皆さん」 ぺこりなう
ヤンファ
「ま、帰るとすっか」
エリカ
「はい。お疲れ様、でした」 頭下げ。
エリカ
(……軍属、か) 妹に言ったらどんな顔されるだろう。冒険者になるって言ったときと同じか、それとも。

GM
ルキスラ・ダーレスブルグの二国会談が終了してから、それぞれの国民たちの関心は専ら連盟を結ぶか否かに向けられていた。
GM
信用を失った公国の中枢機関は、国民たちの声を直接聞かずして決定に踏み切ることが出来ず、一ヶ月の期間を定めて、予定通り国民投票が行われることとなった。
GM
結果、多くの者の予想通りに議会でも連盟の締結が支持され、また国民投票でも大多数を集めて、ユリウス・クラウゼの提唱した連盟案は支持された。
GM
その後直ぐ様ルキスラ帝国とも連携が取られ、両国はレーゼルドーン大陸南部の攻略へ向けて体勢を整えていく事となる。
GM
間もなく、人族の世を脅かす蛮徒たちを退ける為の戦いが幕を開けようとしていた。

相変わらず、世界は、私たちの意志とは無関係に次の舞台へと進んでいく。
けれど、以前とは違うこともある。
私たちは今、その舞台に立つ事の出来る権利と力を、持っているのだから。

序話 「始動-次なる舞台へ-」 了